俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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乙女心とパルデアの空(5)

 

 

 砂浜でのバトルの後、海に沈む夕焼けを眺めながらピクニックセットで少し休憩した俺達は暗くなり始めたタイミングで、ミライドンに乗ってテーブルシティに帰る事にした。

 ただ、この時間が終わるのが名残惜しくもあったから、安全運転を理由にミライドンには少しだけゆっくり走ってもらって、無事に夜を迎える頃にはテーブルシティに着く事ができた。

 

 一日中デートも、いよいよ大詰め。

 

 我ながらこんなに幸せで良いのかと思いつつも、二人でたっぷりイチャつきながら夕飯とシャワーを済ませて、ゼイユの部屋で二人っきりになる。

 すると案の定、ゼイユは超甘えたモードになってピッタリと身体を俺にくっつけてきた。

 そんなゼイユを、俺は超甘やかしモードで迎え撃つ。

 そしてデートの締めと言わんばかりに、ゼイユのベッド上でこれでもかと言うほどお互いに存分にイチャつく。

 抱きしめたり、手を繋いだり、指を絡ませたり、頭を撫でたり、匂いを嗅いだり、俺がゼイユを抱っこしてみたり、etc……。

 

 ただ、幸せな時間と言うものはあっという間に過ぎるもので、いつの間にか夜も更けてきた。

 ちょうど俺もゼイユも眠気が出てきた様なので、今日はこの辺りで寝に入る事にした。

 眠る準備をしてからまたベッドに集合し、今度は二人で抱きしめ合いながら一緒に眠りに入った。

 

 

 ………………と思わせて、俺だけほんの少しのズルをする事にした。

 

 

 スゥスゥとゼイユの寝息が聞こえてきた頃、寝たふりをしていた俺はコッソリと目を開けた。

 ……眠っているゼイユはまるで、精巧な作りをした人形の様な美しさと儚さを併せ持っていた。

 思わずおでこに掛かった髪を指で軽く梳くと、おでこが見えるくらいにゼイユの前髪がサラリと揺れる。

 

 前世のゲーム時空よりも少し幼いゼイユに、まだキスはしていない。

 お互いの想いが通じ合った関係になれたとは言っても、教育的な観点から見てあまり良くないだろうと、キスやそれ以上の事にならない様に、上手い事イチャイチャをセーブしながら避けていた。

 ……ただまぁ、おやすみのキスならセーフだろうと言う事で、ゼイユの寝るのを待っていたと言う訳だ。

 

「……おやすみ。俺の可愛いお嫁さん」

 

 ゼイユのおでこにキスを落とし、頭を優しく撫でてから今度こそ眠る為に目を閉じる。

 

 

 ………………あれ? これやってみると、結構恥ずかしいぞ……! 

 

 

 そんな事を考えていると……唇に柔らかいものが押し付けられた。

 なんだなんだ?! と驚いて目を開けると、目の前にはイタズラっぽい笑顔を浮かべるゼイユがいた。

 

「おやすみ。あたしの可愛い旦那さま♡」

 

 ……どうやら、ゼイユの方が一枚上手だったらしい。

 こうして俺のファーストキスは、見事にゼイユに奪われてしまったのであった。

 

 ◯

 

 ゼイユとデートをして、幸せな一日を過ごした次の日。

 

 俺、ゼイユ、そしてペパーの三人組みは、次なるスパイス探しの為にテーブルシティ西門へと集合していた。

 

「よう、お二人さん! 昨日のデートは、たーっぷり楽しめたか? それとも『昨日はお楽しみでしたね』とかって言った方が良いか?」

「……ふふ、ご想像にお任せするわ」

「え? 何だその反応……。つまり、なんだ? もしかして『そう言う事』なのか!?」

「こらゼイユ、変な含みをもたせるな。ペパーがあらぬ勘違いをしてるだろうが……」

「『……おやすみ。俺の可愛いお嫁さん』」

「オーケーわかった。この話はもうやめよう」

 

 やっぱ俺って、ゼイユに勝てそうになくない……? 

 

「じゃあ気を取り直して……ペパー、今日行くヌシのすみかっぽいところを教えてくれ」

「お、おう! わかったぜ!」

 

 ペパーの話によると、噂や目撃情報からスパイスを守る残りのヌシポケモン達のおおよその生息地リサーチは終わらせている様で、あとは実際にヌシを見つけて倒してスパイスをゲットしていくだけらしい。

 

 ……ゲームやってる時は何とも思わなかったけど、ジムやスター団アジトと違って不確かなヌシポケモンの場所をある程度特定するのって、結構すごい事なんじゃないか……? 

 

「今回のヌシは、セルクルタウンを超えた先の岩山にいるって話だ。どうやらでっけぇ岩が山の上から落ちてきてて、登山もできない有様らしいぜ。おそらく、そのヌシポケモンの仕業だ」

「岩山で巨大な岩……今回のヌシポケモンも、ガケガニみたいな岩タイプかしら?」

「……いや、多分ヌシポケモンの正体はオトシドリだな」

「オトシドリ? 何で岩と関係ない……いや、そっか! オトシドリの習性!」

「正解! ゼイユは賢いな。さすが、俺のお嫁さんだ」

「ふふん、もっと褒めてくれてもいいのよ?」

「あー、イチャつくのも全然いいんだけどよ……解説を頼んでも良いか?」

 

 おっと、いかんいかん。

 流石に真面目な場面では自重しなくては……。

 

「俺もオトシドリをゲットしてるから分かるんだが……アイツらは、高い所から大きな音のするモノを落として遊ぶ習性みたいなのがあるんだよ」

「ふむふむ」

「んで、それを喜んでやってる節があるから、周りに被害が出る場合もある訳なのよ」

「それじゃあ、でっけぇ岩が山の上から落ちてきてるって今の状況は、ヌシポケモンのオトシドリの仕業って事か!」

「多分な」

 

 ゲーム知識のおかげで、今回もそれっぽく説明ができたわ……。

 

 

「よし。ヌシの正体に目星もついたところで、今回も気合い入れていくか!」

「ええ!」

「よっしゃー!」

 

 

 

「「「えい、えい、おー!」」」

 

 




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