俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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藍の円盤、楽しみ過ぎる!!


vs大空のヌシ(2)

 

 

 プテラに乗った俺はゴロゴロと転がってくる大岩の上を文字通り飛び越えて、ヌシポケモンのすみかである山頂へと向かって飛んでいた。

 

「プテラ、今回はお前の活躍が俺達の勝利の第一歩だ。責任重大だけど、一緒に頼むぞ」

 

 跨がっている背中を軽く叩きながら声を掛けると、俺の言葉に気合いが入ってくれたのか一声大きく鳴いて、更に力強く羽ばたいてスピードを上げるプテラ。

 そんな今回の俺とプテラの最初の役目は、ヌシオトシドリの注意を引きつける事。

 ヌシオトシドリの注意を俺達に向ける事で、後に控えているゼイユとペパーが山から転がってくる大岩で危険に晒される事なく、ミライドンに乗って安全に山を登れる様にする為だ。

 

 ちなみに、ヌシオトシドリがしている岩落としと言う行為自体は一見はた迷惑な行動ではあるが、オトシドリと言うポケモンの歴とした生態からくる行動の一つに過ぎない。

 だから難しく考えずに、ヌシオトシドリの行動を邪魔して怒らせるなり何なりしてやれば、それで嫌でも注意を引く事ができる筈だ。

 

 

 転がってくる大岩を見下ろしながらしばらく飛んだところでガァン、ガァン、と大岩を落として楽しんでいる様子の巨大なオトシドリが徐々に見えてきた。

 間違いない、奴がヌシポケモンのオトシドリだ。

 

 よし、そろそろだな……。

 ある程度近づくと向こうもこっちに気付いたのか、岩を落としながら視線をこっちに向けてきた。

 

「……おらぁー! オトシドリこらぁー! ゴロゴロガンガン好き勝手迷惑なんだよー! このクソ鳥ぃ!!」

「……ストオオオク?」

「こっちだよバーカ! スパイスで図体ばっかデカくなりやがって! でも、脳みそはそのままかー? 鳥の頭はデカくなっても鳥頭ってかー?!」

「……ストオオオクッ!!!」

 

 悪口を言われているとわかってくれたのか、岩を落とすのを止めたヌシオトシドリはこちらに身体の向きを変えてきた。

 

 よしよし、挑発に乗ってくれたな。狙い通りだ。

 

 ゼイユとペパーが安全に山頂までたどり着ける様に、このまま奴の注意を引いて岩を落とさせない様にする為には、ただ奴の怒らせれば良いって訳じゃない。

 奴に俺達を排除するべき対象だと認識させて、岩を落とす暇を与えない様にさせないといけない。

 

「ここからだぞ、プテラ! 突っ込め! 『アイアンヘッド』だ!」

 

 加速して一気に急接近したプテラの『アイアンヘッド』がヌシオトシドリの胴体に突き刺さる。

 そのタイミングで、麓の石で予めいくつか作っておいた自家製シズメ(物理)ダマをヌシオトシドリの顔面目掛けてぶん投げて、とにかくこちらに注意を引く。

 

「おらぁ! お前の相手は俺達だ、このくそ鳥ぃ! 馬鹿みたいに岩落として遊んでる暇があるならかかってこいやぁ!」

「ストオオオクッ! ストオオオクッ!!」

 

 よし! 完全にターゲットが俺達になった! 

 後はゼイユとペパーがミライドンで登ってくるまで時間を稼ぐだけだ! 

 

 すかさずプテラに距離をとらせて、ヌシオトシドリからの追撃を躱していく。

 さーて、ここからはブンブンとうるさい蝿の様に鬱陶しくいこうか。

 

「プテラ! 『ちょうおんぱ』で奴をこんらんさせろ! そんで『ロックブラスト』だ! かましてやれ!」

「ギャオオ!」

 

『ちょうおんぱ』でこんらん状態にしたヌシオトシドリの周りを旋回しながら、そのままプテラの『ロックブラスト』でダメージを与えていく。

 図体のデカいヌシポケモンには『ロックブラスト』みたいな連続で当てていく技だって、まぁ良く当たる。

 それに相手はヌシとは言え、こっちは飛行タイプに効果抜群の岩タイプだ。

 それなりにダメージは与えていける筈だ。

 

「ス、ストオオオクッ……!」

 

 フッフッフッ、こんらん状態の影響で訳も分からず自分を攻撃しているな? 

 今回の俺ができる状態異常はこれが精一杯だったが、効果は覿面だったみたいだな! 

 そして、これでダメ押しだ! 

 

「お前も頼む、オトシドリ! 『ロックブラスト』だ!」

「ストオオオク……」

「……ん? どうしたオトシドリ。なんか元気なくないか?」

「ストオオオク…………」

 

 なんだ? オトシドリを繰り出して技の指示を出したのに………………もしかして、何か体調に異常が?! 

 いや、出発する前の手持ちポケモンのコンディションチェックには、オトシドリも含めてみんな異常はなかった。

 

「オトシドリ、マジでどうしたんだ? 何か調子が悪くなったか? 後は……何か伝えたい事があるとか?」

 

 オトシドリはコクンと頷くと俺とヌシオトシドリとを交互に見て、悲しそうな鳴き声を出すのを繰り返し始めた。

 

 俺、ヌシオトシドリときて、オトシドリが悲しい……? 

 うーん、わからん。

 俺がオトシドリに何かした覚えはないし……それにヌシオトシドリも関係してる……のか? 

 

「……同じオトシドリ同士、戦うのが気が引けるとか?」

 

 フルフルと首を振られる。どうやら違うらしい。

 だとしたらなんだ? 俺とヌシオトシドリに関係があって、俺のオトシドリがテンション下がる様な事って……。

 

 

 ………………いや、待てよ。

 

 

「オトシドリ。もしかして俺が散々ヌシに言った悪口やら暴言で、同じオトシドリとして凹んでたりする?」

 

 コクンと首を振られる。どうやら当たりらしい。

 

 いや、違うからね! あれは奴を挑発して注意をこっちに向ける為の方便ってやつで、オトシドリそのものを悪く言うような意思はこれっぽっちもないからね?! 

 と言う事を慌てて力説したおかげか、オトシドリの機嫌はある程度だが元に戻ってくれたみたいだ。

 

 さ、そうきたら気を取り直して……。

 

「……スットオオオクッ!!」

 

 ん? うおおお! しまった、オトシドリとのやり取りに気を使い過ぎた! 

 な、なんだ、この突風は?! 

 

「ストオオオクッ!?」

「ギャオオ!?」

「オトシドリ!? プテラッ!?」

 

 突風を受けたオトシドリとプテラが、モンスターボールに強制的に戻されてしまった。

 

 くそ、しまった! これは『ふきとばし』だ! 

『ふきとばし』の効果で、強制的にオトシドリもプテラもモンスターボールに戻されたんだ! 

 ……ん? じゃあ俺って………………ッ! 

 

 ほんの少しの浮遊感からの、身体が風の抵抗を受けながら急激に下に落ちていく感覚。

 俺は突如として、人生初のスカイダイビングをしなければならなくなった。パラシュート無しで。

 

「うあああああぁぁぁぁぁ!!!」

 

 死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! 

 無理、これ死ぬってー! 

 

 も、もう一度プテラかオトシドリを……く、くそ! 風の抵抗で上手く身体が動かない……! 

 モンスターボールに手が届かないんじゃ、ポケモンを繰り出せない! 

 まずいっ! このままじゃ、地面に叩きつけられて本当に死ぬ! 

 

 まずいまずいまずいまずいまずいまずい! 

 嫌だ! こんなところで死にたくない! 

 

 まだペパーのスパイスやらジムバッジやら厄災ポケモンやら、全部集められてない! 

 ゼイユともっとイチャイチャしてたい! スグリとボタンだったり、シンジとネモのその後を見届けられてない! 

 またキタカミの里にだって帰りたい! 

 タケシ兄さんに兄孝行だってできてない! 

 

 誰でもいい、だれか……。

 

 

 

「だれか、たすけてくれー!」

 

 

 

「アギャアアアッス!」

 

「「テンゴー!」」

 

 ◯

 

「テンゴ! おい、しっかりしろテンゴ! 頼む、目を開けてくれ!」

「……………………んん、ペパー?」

「テンゴ! よかった、気が付いたんだな!」

「アギャッス!」

 

 聞こえてきた声に少しボゥっとしながら答えると、そこには心配そうに俺を覗き込むペパーとミライドンの顔があった。

 どうやら横に寝かされていたみたいで、ペパーの手を借りながら身体を起こすとミライドンが擦り寄ってきた。

 

 ……そうだ! 俺、強制スカイダイビングで万事休すって感じだった筈なのに、生きてるのか? 

 手足に力は入るし、見たところ異常のありそうな身体の部分も見られない。

 俺の勘違いとかじゃない限り、五体満足で無事みたいだ。

 

「……なぁペパー。俺、生きてるんだよな?」

「ああ! 生きて、ちゃんとここにいるぞ! ギリギリでミライドンが間に合って、何とか受け止められたんだ!」

「そうだったのか……チオンジェンの時も今回も、本当にありがとうな、ミライドン」

「アギャス!」

 

 しかしホントに俺は、肝心な時に誰かに助けてもらってばっかりだな……。

 情け無いわ、本当に。

 

「あれ? そう言えばゼイユは?」

「あー、ゼイユならヌシとバトルしてるぞ。ほらあっちだ」

 

 ペパーの指差す方を見てみると、確かにゼイユはヌシオトシドリと戦っていた。

 

「アマルルガ、撃ち落としなさい! 『れいとうビーム』! ラムパルドは『がんせきふうじ』!」

「ストオオオクッ!?」

「許さない許さない許さない許さない許さない! あたしのテンゴをあんな目に合わせて、絶対に許さない! アマルルガ『はかいこうせん』! ラムパルド『もろはのずつき』!」

 

 ただ、それは最早バトルとか言うレベルではない一方的な戦いだった。

 

 いや、マジかよ。

 俺のプテラのちまちましたダメージもあったとは言え、実質ほぼ一人でヌシオトシドリをボコボコにしちゃってるじゃん。

 俺のお嫁さん強すぎない? 

 

「はん! テンゴをあんな目に合わせた報いよ。パルデアの土の……いや、岩の味を噛み締めなさい! アマルルガ、ラムパルド! 『いわなだれ』!」

 

 いや、えぐぅ……。

 追い討ちのダブル『いわなだれ』で、ヌシオトシドリ完全にノックアウトじゃん。

 容赦ねぇ……。

 

「あ、テンゴ! 大丈夫?! 今ちょうどテンゴを危ない目に合わせた奴をパルデアの土と岩のサンドウィッチにしてきてやったから安心して!」

 

 ……とりあえず、この先絶対に悪戯にゼイユを怒らせない事を、固く誓った。

 

 




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