俺は、強くて硬くなくていーわな男   作:なんちゃってアルゴン

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藍の円盤、楽しみ過ぎる!!


スパイスの力ってすげー!

 

 

 どうにか大空のヌシのオトシドリを退けた俺達は、前回と同じく秘伝スパイスがあると思われる洞窟に足を踏み入れていた。

 

「……あ、あった! 間違いなく秘伝スパイスだ! やったぜ! ありがとうよ、二人共!」

「アギャァス!」

「……ああ、テンゴを助けたお前もな。……さ、メシだメシ! さっそく準備するぞ!」

 

 そう言ってサンドウィッチ作りの準備を進めるペパーと、それを眺めるミライドン。

 なんて言うか、ゲーム時空と違って心なしかペパーとミライドンの仲も、ほんの少し良いものになっている様な気がする。

 

「それで……テンゴ、身体の調子はどうだ?」

「……すまん。まだ腰抜かしたままで、まともに動けそうにねぇや」

「アギャァ?」

「悪いなミライドン。それにゼイユも、何度も迷惑かけちまって……」

「何言ってるのよ。テンゴのお世話だったらキタカミの里の時からいっぱいしてるじゃない、迷惑だなんて今更思わないわ。それに、あたしはテンゴのお嫁さんよ。こう言う時に助け合わないでどうするの!」

「……ありがとうな、ゼイユ。ペパーも気遣ってくれてありがとう。ミライドンも、背中に乗っけてくれてすげぇ助かる」

 

 そう、今の俺はゼイユに支えられながら、ミライドンの背に乗っけられて移動している。

 

 それはゼイユがヌシオトシドリを倒した後、スパイスのゲットに向かおうとして立ち上がろうとした時だった。

 危うく死ぬところだったと言う実感と恐怖がそのタイミングで押し寄せてきて、情け無い事に身体に力が入らなくなってしまったんだ。

 

 そんな訳で不恰好な姿だけどゼイユとミライドン、それにマフィティフと一緒にペパーのサンドウィッチの完成を待っているところだ。

 

「うおおおおおお! ずりゃ! おりゃー!!」

 

 今回ゲットした秘伝:苦スパイスには血行促進の作用がある為、身体を温める効果や免疫効果のアップが期待できるそうだ。

「良薬は口に苦し」なんて言葉があるが、まさにその言葉を表したスパイスって事だな。

 

「お待ちどうさん! 俺特製、きまぐれスパイスたっぷりサンドだ!」

「ありがとうペパー! それじゃあ……テンゴ、食べられそう? よかったら、またあたしがあーんするけど……」

「悪いな、よろしく頼む。まだ手足に力が上手く入らないんだ……」

「気にしないで。あたしだって、テンゴにあーんできるの嬉しいんだから! それじゃあペパー、いただきます」

「いただきます、ペパー」

「アギャギャス」

「おう! めしあがれ!」

 

 ◯

 

 結論から言うと、ペパーのサンドウィッチはめちゃくちゃ美味しかった。

 少なくとも、食べ終えてしまうのが惜しいと感じるくらいにはめちゃくちゃ美味しかった! 

 

 正直な話、ゲームをプレイしていた頃に見た苦スパイスのサンドウィッチはあまり美味しそうじゃなくて、他のスパイスを使ったサンドウィッチに比べて積極的に食べてみたいとは思わなかった。

 

 でも、その判断は間違っていたと断言できる。

 確かに苦味はある。でも、この苦味こそが癖になる。

 噛めば噛むほど食材そのものの旨味とスパイスの苦味が絶妙に結び付いて、もっと次が欲しくなる。

 その結果、サンドウィッチはあっという間に食べ切ってしまった。

 

 そして、全部食べ終える頃には身体に秘伝スパイスの効果が現れていた。

 

 あれだけヘニャヘニャだった手足に力が入る。

 身体の奥の奥底から熱が溢れてきて、元気が湧いてくる! 

 

 俺、復活!! 

 

「う、うおおおー! す、すげぇ! スパイスの力ってすげー!」

「テンゴ! 元気になったのね! 本当によかった!!」

「アギャギャース!」

「ああ、本当によかった……やっぱ、秘伝スパイスの効果ってば絶大だな。……さ、次はお前の番だぞ、マフィティフ」

 

 そう言ってペパーは、マフィティフにサンドウィッチを与えていく。

 

「ほら、ゆっくり食べろよ。少しずつで良い、ゆっくりゆっくり噛むんだぞ……」

 

 あ、いかん。調子悪かったとは言え、ちょっと空気読めてなかったかもしれない……。

 

「ペパー……マフィティフ……」

「アギャァ……」

 

 ゼイユも、ミライドンも心配してる。

 まぁ、俺はゲームでどうなるか知ってはいるんだけど。

 

「前のスパイスの時は、冷え切ってたマフィティフの手足がちょっと温かくなったんだ。今回だって……」

 

「…………なる! 絶対、元気になる!!」

「テ、テンゴ?」

「アギャァ?」

「……テンゴ?」

 

 ゲームで知ってるから何だって言うんだ! ここはもう俺が生きて、死ぬ世界だ! ゲームの世界じゃない! 

 

「ほら、見ろよペパー! あんなに腰抜かしてビビって動けなくなってた俺が、スパイス使ったペパーサンドウィッチのおかげでこんな大声出せるくらいに元気になれたんだ! マフィティフだって、絶対元気になる!」

「……そうよ! 絶対元気になるわ! マフィティフ、よく噛んで食べるのよ? 噛めば噛むほど美味しいんだから!」

「アギャ、ギャース!」

「……ああ、そうだな。そうでなくちゃ困っちまうちゃんだぜ! ………………あ」

 

 サンドウィッチを食べ終わったマフィティフの瞼が、少しずつ、ゆっくり開いていく。

 

「わわわっ! マフィティフ、お前これって……目ぇ見えてんのか!? ……やった! やったぁ!!」

「やったな、ペパー!」

「ペパー、マフィティフ! やったぁ!」

「アギャ、アギャアス!」

 

 俺達はペパーの周りに集まって口々に「やった!」と言い合った。

 

「ずっと……ずっとさ! 目も開けなくって! 俺すげえ心配で……! うぅ……よかった! 本当によかった……!」

 

 ペパーが近づくと、マフィティフはペパーから溢れる涙を舐め取る様にペロ……っと舌を動かした。

 それによってペパーからは、涙だけじゃなく笑みが溢れている。

 

「スパイスの力ってすげー! やっぱ、あの本に書いてあった事は本当だったんだ!」

 

 多分、バイオレットブックの事言ってるんだろうなぁ。

 そう言えば、俺が今ミライドンを預かってるけどフトゥー博士……フトゥーA Iとかの関係ってどうなるんだ? 

 

「よーし、ペパー! この調子で、マフィティフをどんどん元気にしていきましょう!」

「ああ! スパイス探しは残り三つ、一緒に頑張ろうな!」

 

「「「えい、えい、おー!!!」」」

「アギャース!!!」

 

 




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