加茂家の超エリート術師に転生しました 作:君よ気高くあれ
主人公の話し方のムラが凄かったので編集しました
転生したら加茂家の次期当主候補になっていた。
まず加茂家というのは呪術界における御三家のひとつだ。旅の最初に連れて行けるパートナー的なものではなく、呪術師の社会において長い歴史と権力を持つ三家門のことをそう呼ぶ。
加茂の他にも禪院、五条があり、家門同士は対抗意識から非常に仲が悪い。
五条と禪院の方は慶長年間に行われた御前試合で、当時の当主同士が相討ちで死亡したせいか折り合いが悪く、加茂家の方はというと「史上最悪の呪術師」「御三家の汚点」とまで言われる呪詛師を輩出している。
クソと呼ばれる呪術界だが、まさにその通りだ。術式至上主義と男尊女卑の激しい禪院。
呪術界の伝統や一族の血統を重視しているせいで、頭が固いし動きは鈍く、呪術上層部と癒着の関係にある加茂。
五条は表立った不祥事などはないが、現長男の性格を見ればあまりいい環境ではないことが窺える。
呪術御三家の共通の特徴として、代々血筋によって伝わる相伝の術式を受け継いでいる。
加茂家の相伝の術式は、自身の血液とそれが付着したものを操る「赤血操術」なのだが、それは親父の妾の子である異母兄弟の方に引き継がれた。
基本的に術式を受け継げなかった者や才能が無い者、呪術が使用できない者についてはたとえ正室の子であっても冷遇され、逆に術式さえ受け継いでいれば側室や家から距離を置いている術師の子であっても厚遇される傾向にあるのだが、異母兄弟は次期当主候補にされてはいるものの厚遇されているとは言い難く、正室である母親の息子の俺も加茂家の術式からはかけ離れた術式を持つせいか少し煙たがられているように思える。
まぁ理由としては幼い頃に顔合わせと称して俺をいいように利用しようと洗脳教育をしようとした上層部のジジイを殴り飛ばしたせいだが。
呪術御三家は代々続く伝統的な家系であるのに加えて、朝廷との結びも強かった縁か、金銭的な余裕があり名家として認知されている。
また、呪術師という一種のアイデンティティを得ているため、エリート気質が強い人間が多く、顕著なのは禪院家の次期当主だ。
双子の父親もその思考が強く、呪術界では忌み子として避けられる双子の娘たちを迫害している。
では、加茂家はどうなのかといえば、腹違いの弟である憲紀は杓子定規ではあるものの、他を重んじて規律ある行動を取れる辺りまだマシな部類だ。
ただ、父親やその取り巻きは相当腐っている。他の御三家や有力な術士が現れれば足の引っ張りは日常茶飯事で、職権乱用で階級にそぐわない任務を与えて殉職という名の死刑を与えることもザラにある。
そんな加茂家に生まれた俺は、加茂家相伝の術式を引き継がなかったとはいえ、幼い頃から膨大な呪力量を持っていた。
これが転生特典なのかは分からないが、親父から加茂家の長男らしくあれと英才教育を施された俺は古臭い加茂家の男らしくあろうと努力した。
しかし、親父から教わるものはどれも古臭く、妙にしっくり来なかった俺は、呪術界のエリートであり、加茂という家の次期当主候補を目指すにあたって1人の人間を模倣することにした。
誇り高き王子で、努力を怠らず、最強になれずとも強者に一矢報いるそんな戦士。
そうなるために呪力操作、呪力を増やす訓練を絶やさず行い、また体術も磨き上げた。それが予想以上に伸びをみせた結果、俺をガキだからと見下すやつを殴り飛ばし、初対面で俺を雑魚と罵ったやつは呪力放出で吹き飛ばすことができた。
数々の成功体験と、学生時代に味わった敗北感を糧にして俺は今や特級呪術師として、呪霊や呪詛師たちを始末している。
「げ」
そんな日々を繰り返し、ある日北の方で強い呪力を感じた。近くには伏黒恵、後から五条悟の気配も感じたことからついに来たかと俺はその3日後に呪術高専東京校に来ていた。
校門をくぐり、夜蛾か五条を探して聞き出そうとグラウンドに出ると、禪院家から逃げ出し、京都ではなく、東京校に入学した禪院の双子姉妹の姉の方、禪院真希と遭遇した。
「なんだその目は。禪院の落ちこぼれが超エリートであるこの俺の顔を拝めるだけでも光栄だというのに」
加茂家の長男として恥のないように、常に尊大に、常に傲慢に、他者を寄せつけない孤高さが必要だと……どっかの星の王子のロールプレイングをしたらいつの間にか俺のキャラはこんな風になっていた。
後悔はしていないが、結果的にクソだと罵った加茂家や御三家の人間と変わらない言動を取るようになってしまったのは恥ずべきだが、今更やめられんと俺は真希を睨みつける。
「別に、加茂家歴代最強の術師様がこんなところに何用かと思ってな」
煽るように切り返してこれるのはさすがは禪院家で育ったことはあると褒めたくなる。禪院から離れ、自由となり、担任の影響もあってか強くたくましく育った真希だが、その実力は俺には遠く及ばない。
「少なくとも貴様には用はない」
腕を組んで真希から視線を外し、その目を東京校の校舎へと目を向ける。
「夜蛾か貴様の担任はどこだ?」
「さぁな。知らねぇよ」
「だろうな。まぁいい。こっちで探す」
五条の方は器の方の手続きやらでこちらにいないにしても、夜蛾校長の方は立場上大規模な呪霊や呪詛師の攻勢がなければ高専内に引きこもっているはずだ。
呪骸を作っていれば、その時に発せられる呪力でもっと簡単に居所を突き止められるんだがな。
「……いつものところか」
夜蛾の呪力を探ると、どうやらいつも呪骸を作っている所にいるらしい。
「何しに来たんだよお前」
年上に対する口の利き方では無いが、呪術界隈、特に御三家では敬語を使うやつの方が珍しい。真希の性格からすれば俺みたいなやつに敬意を払うことはないだろう。担任にすらあの口の利き方だしな。
「いちいち説明するのも面倒だ。てめぇで勝手に想像しやがれ」
そう言って夜蛾のところへと向かおうとした時、強い呪力の持ち主と、その隣に奥底にこれまた強い呪力を持っているやつの気配を感じた。
場所は俺がさっき通った校門の近くで夜蛾のいる建物へと向かっている。
「この呪力は五条……もう1人は……」
表面化してる呪力が濃いのは現五条家当主の五条悟で間違いない。だが、やつの近くにいる呪力の持ち主は今まで感じたことの無い混ざった呪力だ。これが俺の予想通りならば。
「探す手間が省けたか!」
「うおっ!?」
呪力を解放してその場から飛び去る。砂埃が舞い、それが真希を襲うがメガネをかけているから問題あるまい。
そんなことよりもようやく現れた"器"の方だ。
仙台でほんの僅かな時間、巨大な呪力を感知したがすぐに消え去った。その理由は両面宿儺が枷のついた器、つまりは檻に閉じ込められたからだ。
「呪いの王か、どんな面か見せてもらうか」
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「ん?」
「どしたの先生」
五条悟が特級呪物"両面宿儺の指"を摂取した虎杖悠仁の秘匿死刑を、全ての指を回収してからの処刑に切りかえてからわずか数日。虎杖悠仁を呪術師として育てるため、呪術高専東京校に入学させるべく、諸々の手続きを済ませて学校長である夜蛾に会わせようとしていたところ、こちらへとやってくる見知った呪力に顔を上げる。
「は? え?」
それに釣られて悠仁も顔を上げると、晴れ渡った青空の下に悠仁の見知らぬ男が浮いていた。
逆立った黒髪に、鋭い目付き、組まれた腕からわかる発達した筋肉量に、只者では無いことは容易に想像できた悠仁は、緊張した面持ちでその男を見る。
「あれ、来てたの。珍しいね」
「ああ。俺を差し置いて王を騙るやつが受肉したらしいからな」
「やっぱり知ってた? 加茂家って上とズブズブだもんね」
悠仁が萎縮するほどの威圧感を放つその男とフランクに話す五条に、小声で悠仁が尋ねる。
「先生、あの人誰?」
「僕んとこの五条家と同じで、呪術界の御三家の1つの加茂家の次期当主で、僕の同級生の篝だよ」
「……なんで、浮いてるのあの人」
「そういう術式だからね」
五条が言えた口では無いが、篝の術式はなかなかにぶっ飛んでいる。五条のように瞬間移動のような芸当はできないが、超スピードによる長距離移動は可能である。
「何をごちゃごちゃ言ってやがる」
コソコソと話している2人を不機嫌そうに見下ろす篝は、悠仁の方をじっと見つめる。遠くからでもわかったが、近くに来てみればより濃く感じる邪悪な呪力。それが悠仁の奥底で渦巻いているのがわかる。
「貴様か。両面宿儺を受肉させたやつは」
「あ、はい」
「そうか」
悠仁の返事を聞いて、篝はすぐさま手のひらを無防備な悠仁へと向ける。
「波ぁッ!」
そして、躊躇いもなく悠仁へと呪力のこもった呪弾を放つ。ほぼノータイムで放たれた一撃は、運動神経に優れる悠仁でも避けられない。直撃すれば肉体は四散し、運良く避けられたとしても掠っただけで致命傷の威力だった。
「ちょっと、人の生徒に何してんの?」
だが、それも五条の無下限呪術に阻まれては意味が無い。
ただ、本当に殺す気であれば五条がそばに居る時に、彼ならば防げる呪弾での殺害を試みたりはしない。それがわかっているから悟は怒りを顕にせずに、篝が身の危険を感じて宿儺が表に出てくるかを試したと察する。
「ほう……やはり檻として機能しているらしいな」
「そゆこと」
地面に降り立ち、宿儺に肉体の主導権を取られなかった悠仁を見て、五条が彼を守ることを選んだわけに納得する。
「おいガキ。両面宿儺にはすぐに代われるのか」
「ガキって……」
俺より背低いくせにと思いつつ、ちらりと五条の方を見る。すると、言っていいよと頷かれる。
「うん。代われるよ」
「すぐに戻って来れるのか?」
「うん」
実際にそれは五条が確かめているため、悠仁も確証を持ってうなずける。ただここでは校門を破壊し、最悪夜蛾のいる場所への被害も起きるかもしれないため、代わるのは遠慮したい悠仁に篝は背を向ける。
「もう帰んの?」
「あぁ」
見たいものは見れたと、篝は納得して身体に呪力を巡らせると再び宙へと浮かぶとそのままどこかへと飛び去っていく。
「なんだったんだ今の……」
「篝は自分で見たものしか信じないから、確認に来たんじゃない?」
いきなり殺されかけた悠仁は納得がいかないようだったが、付き合いの長い五条は篝が飛び去った方向から視線を外す。
「けど、篝のことだから宿儺に代われるなら戦わせろとか言うと思ったけど、まだ2本だし不十分だったのかな?」
強い呪霊や呪詛師と戦いたがるバトルジャンキーの側面のある篝なら、呪いの王と呼ばれた宿儺の力を確かめたいと思っただろう。しかし、本来の力を失い、20本のうちの2本しか取り込んでいない宿儺との戦っても結果は見えていると判断したのだろう。
「あの人強いの?」
「うーん、そうだね。一応僕と同じ特級だし、その気になったら地球だって壊せちゃうかもね」
「マジで!?」
「マジマジ」
多分しないと思うけどと五条は笑うも、そんな呪術師の一撃を防いだ五条に畏敬の念を抱いた悠仁は引き気味の表情を浮かべる。苦手かもと微妙な顔をする悠仁に、五条は「大丈夫だよ」と悠仁の肩を叩く。
「まぁ怖がらなくてもいいよ。アイツ、噛めば噛むほど味が出るタイプだから」
そう言ってから、それじゃあ行こうかと本来の目的を果たすべく歩き始めた五条に、悠仁もまた歩き出した。
加茂 篝(かがり)▶︎男。加茂家の長男。五条世代。京都高出身。
加茂家次期当主(父親が存命+上層部と関わりたくないため)。幼少期の時に既に父親を超えており、御三家の中ではトップクラスの実力を持つ。
プライドが高く、御三家の男らしく男尊女卑(立場上出会って本人としては男女平等主義を掲げたいらしい)、術式、呪力至上主義。
身長は170~175cm付近。
術式は呪力放出。呪力を圧縮して弾にしたり、飛行したりできる。
オリ主の原作知識
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あり(本誌分含め)
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あり(渋谷事変まで)
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あり(交流戦まで)
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微量(SNSで見たレベル)
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なし