加茂家の超エリート術師に転生しました 作:君よ気高くあれ
「一目見た時から分かってた。あぁ、コイツは退屈だと。でも人を見た目だけで判断しちゃあいけないよな」
恵と釘崎を己の腕力のみで吹き飛ばした東堂はズンズンと短靴の底を鳴らしながら呪力でガードして建物への激突を免れた2人へと近づく。
「だからわざわざ質問したのにオマエは俺の優しさを踏みにじったんだ」
しかも俺の家族のことまでバカにしやがってと憤る東堂に、恵と釘崎は咳き込みながら体勢を整える。
「アイツ、頭の中身までパイナップルなわけ?」
「……かもな。でも、気をつけろよ釘崎」
「何よ」
「あの東堂という男、噂通りの術師なら相当手強いぞ」
去年起きた呪詛師夏油による未曾有の呪術テロ『新宿・京都百鬼夜行』。京都の夜行に現れた1級呪霊5体、特級呪霊1体を1人で祓った1級術師がいる。
特級に勝てる1級術師はいるにはいる。だが、恵が驚いたのはそこではない。
「アンタ術式使わないんだってな」
百鬼夜行において、東堂が術式を使用していないという噂。東堂葵は術式すら必要とせず、己の拳1つで特級を祓ったのだという。
「ん? あぁ、その噂はガセだ。特級相手には使ったぞ」
「1級には使ってねーのかよ!! 化け物が!」
手を振って否定する東堂に一瞬理解が追いつかなかった恵だが、すぐに理解して怒鳴った。
「……ねぇ、どういうこと。私にも分かるように説明しなさい」
「東堂先輩、去年起きた呪術テロで特級相手にしか術式使ってないの」
1人だけ恵の怒る理由に理解できない釘崎が恵へと説明を求めるも答えたのは1人蚊帳の外で3人を見守る真依だった。
「……マジ?」
「おうよ。マジ」
「……らしいぞ」
確かにバケモンだわと東堂への認識を改める釘崎に東堂は頷いた。
「東堂先輩、握手会あるんでしょ? 油売ってていいの?」
「問題なし。高田ちゃんに会う前にちょいとな」
今年の交流会が東堂にとって楽しめるものか。それは今年の1年生たちにかかっている。東堂と張り合える乙骨は任務で海外に、3年生は停学中だ。
真希ではフィジカルがまだ足りず、パンダと棘では永続的に東堂を抑えることが出来ない。
強者故の渇き。
「さぁ、おしゃべりはもういいだろう。いくぞ、一年坊」
「俺が行く」
東堂からの挑発を受けたのは恵だった。
「来い。バラバラにしてやるよ」
「やれるもんならやってみろ……! 鵺! +蝦蟇!」
東堂の見せたフィジカルの高さに、釘崎では不利と判断した恵は鵺の手印を結び、即座に蝦蟇の手印も結ぶ。
そして、恵の足元の影から現れる羽の生えた蝦蟇。不知井底に、コキッと東堂は首の関節を鳴らす。
「おい、先輩」
恵と東堂の戦いが始まったところで、釘崎は買ったばかりのジャージに汚れが着いたことに気づくと不機嫌さを顕にしながら真依へと声をかける。
「相手がいないんだけど、アンタ、暇そうだな」
「……やめといたら? クリーニング代くらいは出すわよ」
恩人の好みを小馬鹿にされて少し頭にきているのは真依も同じこと。
生来のアオリスト(煽りのスペシャリストの意)である真依は今はその鳴りを潜めているが、人間感情が高ぶった時ほど本性が剥き出しになりやすい。
「おろしたてのジャージに泥付けやがって。アンタの制服置いてけよ。私の夏服にしてやる」
「……その足の長さじゃこれは着れないんじゃないかしら」
制服1つで面倒事が済むならと真依は譲ってあげようと考えたが、釘崎のスタイルを見て眉を顰めるとそう口にした。
「おとす!!」
それが、釘崎の怒りを買うとも知らずに。
「ウチのパシリに何喧嘩売ってんだよ真依」
凄みのある形相で向かってこようとする釘崎に、真依がため息を吐きつつ応戦しようと懐に手をかけたところでこの場にまた違う人間が現れる。
「……あら、落ちこぼれすぎて気づかなかったわ。真希」
真依と同じ顔、同じ背丈、同じスタイル……呪術界では忌み子とされる双子の姉である真希が妹である真依へと声をかけた。
「落ちこぼれはお互い様だろ。オマエだって物に呪力を篭めるばっかりで術式もクソもねぇじゃねえか」
「知らないの? 落ちこぼれだって必死に努力すればエリートを超えることだってあるのよ?」
真希の言葉に真依は当然のようにそう返すと、以前とは違う真依の雰囲気に真希は訝しんだ。
「……努力じゃ越えられない壁が私たちにはあんだろ」
「あら、それは弱者の発想ね。そんな風に思ってるくせに禪院家の当主になるなんて言って家を出て行ったの?」
「……」
底辺同士の争い、真希はそう思っていた。しかし、真希の知らないうちに真依の中で劇的な変化が起きている。
言葉を交わしただけで、術式や呪力を感じ取ったわけではない。しかし、双子だからこそ分かる。
「……お前、何があった」
「さぁ? 家を出てった他人には教える必要ないんじゃない?」
その笑みには真希とは違う、自信に満ち溢れた真依がいた。
「まぁ、でも、私も真希と同じで禪院を捨てるわけだし、そこは同じかもね」
「……お前、それどういう事だよ」
真依の含みのある発言に、真希は最悪のケースを想定した。禪院家ならありうる、倫理観や道徳を無視した妹への仕打ち。しかし、真依の表情からはこの世への絶望や諦観は感じ取れない。
今回ばかりは真依の言葉の真意が汲み取れない真希は木製の棒を握る手を強めて問いかけた。
「そのままの意味よ」
「ふざけんな! お前、それで……それでいいのかよ!」
激昂する真希に、キョトンとした表情を浮かべる真依。
「いいのって何が? 私が家を出ることが、真希に何か関係あるわけ?」
「……っ!」
呪術師の家で、術式も呪力も大したことのない女の扱いなんて決まっている。
「真依、まさか」
真希は嫌な予感を拭うように真依へと問いかけた。だが、それがいけなかった。
「えぇ、家を捨てるの。私……好きな人が出来たから」
「………………はい?」
恍惚の表情を浮かべながらそう宣う妹に真希は絶句する。まさか、自分が家を出ている間に妹に春が来ているとは。いや、驚いたのはそんなことでは無い。
「私、その人と結婚するわ。今は無理でも、3、4年もしたらあの人の理想の見た目になってみせる」
真希は真依が好きになったという男を考えた。真依の男の趣味など知る由もない真希だが、京都校の面々では無いことは容易くわかった。
東堂は論外。加茂家の次男も堅苦しいだけで、真依とはズレがある。メカ丸は実際の顔次第だが、真依の感覚だとからかいがいのあるおもちゃ程度の認識だろう。
(真依が惚れるほどの相手……。そんなの、いるのか……?)
五条は確実にない。1級術師に七海という男がいるが、京都校の真依では面識はないはず。他に考えられるのは……と、真希は京都校の面々と関わりのある術師の中で唯一、思い当たる人物がいた。だが、それは真希が真依だとしたらが結婚の相手に選ぶとはとても思えなかった。
「お前……あんなのが好きなのか……?」
「……は?」
「お前の選んだ男って、あの、加茂篝だろ……?」
信じられないという顔で問いかける真希に、あんなのという言葉が引っかかった真依は穏やかな顔で頷いた。
「……そうよ」
「正気か? 真依」
「私はいつだって正気よ。知ってるでしょ?」
カチャリと懐からリボルバー式の拳銃を取り出し、銃口を真希へと向ける真依。その行動に真希は目を見開いた。
「お前……!」
「アンタの罪は2つ。1つ、私を置いて家を出てったこと。2つ目は私の好きな人をあんなの呼ばわりしたこと。以上よ」
そう告げると真依は躊躇いもなく、その引鉄を弾いた。
京都校の面々はオリ主に大体が激重感情持ってます。罪な男やね。
書きかけてたのを完成させただけで、次はめちゃくちゃ飛んで渋谷事変になります。飛びすぎだろって? でぇじょうぶだ。ドラゴンボールも時系列の飛び方すごい時あるから。
なお省く関係で書けないであろう京都校面々のオリ主評価。
東堂▶︎マイファミリー。高田ちゃん同担。なお、オリ主にとっての東堂はナッパくらい。
真衣▶︎クソみたいな家から引っ張ってくれた人なので恩義を感じている。「構築術式」の可能性を拡げてくれた上に、俺の役に立てという俺様ムーブに惹かれたらしい。ちなみにオリ主は真衣に呪力渡して仙豆もどきを作らせている。
三輪ちゃん▶︎特級術師やっべー! つえー! このまま蔓延る呪霊全員ぶっ殺してください! くらいには思ってるけど、そうされると仕事無くなるので弟たちを養えないと思ってたら「(使わないから)やる」と大金を貰った。オリ主的には危ないからそんな理由ならこれで術師やめれるだろくらいの気持ちだった。
メカ丸▶︎三輪を術師から遠ざけようとしてくれたので恩義を感じてる。ちなみにオリ主に、呪霊側と内通してることは交流会後にすぐにバレる(京都校が指定している場所からいなくなってるため)オリ主からの評価は人造人間。
加茂憲紀▶︎兄さん! 闇雲に出かけるのは危険です!もっと情報を集めてからでも! オリ主からの評価は臆病者は着いてこなくていい!
桃▶︎強くてプライドの高い人。女の呪術師が完璧じゃなくてもよくなった(誰かが強いのは勝手に倒してくれるので) オリ主からの評価は竹箒以外にもピンク色の柱とか操れないのかくらい(あんまり関わりがない)
歌姫▶︎生意気な後輩。女の趣味が具体的で自分か冥冥だと思ってたら違って恥ずかしかった。誰かさんのおかげで顔に傷がない。オリ主からの評価はいちいち癪に障る女らしい。
楽巌寺▶︎任務にしてないのに勝手に呪霊倒してくるし、呪詛師ボコってくるで手を焼いていたが流石に10年も付き合ってるので慣れて、最近は「おーそうか」くらいで済ませるようになってきた。五条はムカつくけど、オリ主は「困ったもんじゃわい」くらい。オリ主からは保守派の人間なこともあって良くは思われてないが、腐ってもないので普通くらい。
新田くんは省きました。(京都校唯一特級ということで憧れてはいるらしい)
ネタバレの範囲(DBはドラゴンボールの略)
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呪術DB本誌含め全てOK
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呪術DB単行本化してるとこまで
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呪術DBアニメ放映分まで