加茂家の超エリート術師に転生しました   作:君よ気高くあれ

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日常シーンで時間を稼ぐのは某作品の基本。
てことで


哀愁

 悠仁が目覚めてから翌日のこと、朝方には検診も終わり、復活した悠仁の身体には何の異常もなかった。硝子としては面白みに欠けるものの、死んだと思っていた者が五体満足で生き返るというのは新鮮であり、そして嬉しいことでもある。

 

「はあ……報告書、書き直さなきゃ」

 

 しかし、憂うこともあり、死んだと届け出をした人間が生き返ってしまったのだから、それを修正する必要が出てきてしまう。仕事が増えたなと気だるげな硝子に隣を歩いていた五条が口を開く。

 

「いや、報告書はそのままにしておいてくれる? 上層部に悠仁が生き返った事を知られたくない。記録上は悠仁は死んだことにしといて」

「虎杖がっつり匿うの?」

「いや、交流会までには復学させるよ」

 

 また狙われる前に、最低限の力を付けさせたい五条としては、交流会までがっつり匿うつもりらしい。その胆力に硝子は相変わらずだなと微笑む。

 若人から青春を取り上げることは許されていない。五条がよく口にするようになった言葉で、今の五条を象徴する言葉でもある。

 

「お前は変わったな」

「そう? そうかな? ……そうかもね」

 

 感慨深そうに呟いた硝子に、五条は微笑む。

 その微笑みの裏で五条は思う。別に変わったわけじゃない。隣で子供だった五条悟を支えてくれる大人がいなくなったから。ようやく、大人になっただけ。

 それに……と思ったところで、五条はいつもの戦闘服ではなく背中にBAD MANと書かれたピンク色のシャツを着たもう1人の同級生の後ろ姿を見かけた。

 

「あれ? 篝、帰らなかったの?」

 

 その背中に声をかけると、ズボンのポケットに手を突っ込んだまま篝は振り返りもせず立ち止まった。

 

「ああ……こっちで用があってな」

「へー」

 

 聞いておいてあまり興味がなさそうな五条に、昔であればキレていたであろう篝もそれ以上言葉が来ないとわかると足を進める。

 

「てか、あの服私らが買ってあげたオシャレシャツじゃん」

 

 篝の着ている服にどこか見覚えのあった硝子は五条に「だよね?」と確認するように見上げる。

 

「そうだね。チョイス硝子。お金僕」

 

 なんであげたんだっけと首を傾げる硝子に、五条も記憶を手繰る。

 

「あー、そうそう!」

 

 入学してからというもの、京都校では自分とまともに戦える生徒はおらず、呪力をぶっ飛ばして東京校にやってくる篝は、決まって五条に戦いを挑んだ。

 

「そんときにずーっと同じ服だから、見飽きたとか言って硝子が風呂入ってる間に服取り替えとこうぜって言ったんだよ」

「あー」

 

 そういえば言った気がするなと硝子が頷く。

 選んだ服があのピンクのシャツだった理由は、篝が着たら面白そうだからというもので実際に当時は腹を抱えるくらいには笑った。キレた篝に「命が惜しかったら笑うな!」と言われた硝子だったが、「私になんかしたら二度と治してやんないよー」と言えば「く、クソッタレぇ……!」と憤りながら大人しくなった。

 そのことを思い出し笑いをする硝子に、再び篝は立ち止まると振り返って睨みつける。

 

「ん? どうした?」

「くだらん話しばっかりしやがって……」

「ふん、変な服着やがって……」

 

 からかうように篝の口調を真似て、腕を組みながら鼻を鳴らして笑うと、隣で五条が「ぷふ!」と吹き出す。

 

「こいつら……!」

「てか、なんでその服着てるんだよ」

 

 てっきり捨てたもんだと思ってたと、硝子は不思議そうに首を傾げる。

 

「ああ、それはね……僕が篝のシャワー中に服を入れ替えて置いたからさ!」

 

 煤臭い服でうろつかれるのもアレだし、洗濯はしといたよと、五条は篝がいつも着ている戦闘服を洗濯し、乾燥させ畳んで袋に入れたものを見せる。

 

「お前、服畳めたのか」

「ううん、伊地知にやってもらった」

 

 伊地知に「やって」と畳まれた服の入った袋を渡したところ、震え上がりながら「こ、これをですか?」と服をつまみ、五条に急かされると結局震えながらも綺麗に畳んだ。

 それに五条は褒めてあげた。

 

「あ、そうだ。篝、伊地知から僕の頼み事聞いてる?」

「何の話だ」

 

 思い出したように、五条が篝に問いかけるが篝は怪訝な顔で質問し返す。

 あとで伊地知にマジビンタしよと五条は心の中で呟きながら、再度口を開く。

 

「悠仁……宿儺の器のことなんだけど、生きてること、加茂家や上のおじいちゃんたちには黙っててくんない?」

 

 生きてるのがバレたら面倒だしと軽いノリで話す五条に、篝が顔を顰める。

 

「匿うのか?」

「交流会までに自衛できる程度くらいには力つけさせようかなって」

「指は食わせないのか?」

 

 高専でも保管しているものがあるだろうと問いかける篝に、五条は首を振った。

 

「それじゃ宿儺が力を取り戻すだけで、悠仁の成長にはならないでしょ」

 

 篝的にはそっちの方がいいんだろうけどと肩をすくめた五条に、篝は向けていた顔を背ける。

 

「……いいだろう。あのガキが強くなっても、宿儺が力を取り戻そうと勝つのは俺だ」

 

 そう言って、篝はまた歩みを進めた。

 その背中に「頼もしいね」と五条は微笑む。

 

「じゃ、僕は悠仁のとこに行ってくるよ」

 

 報告書の件と加茂家と上層部への口止めを済ませた五条は、篝と硝子に別れを告げるとその場を後にした。

 

「……寝るか」

 

 急患が来たら起こされるだろうけど、その心配もなさそうだしと、硝子は欠伸をしながら部屋に戻ろうと歩き始めた。

 

「おい、反転術式縛り男」

「……なんだそのあだ名は」

 

 それまで暇つぶしがてら篝をからかってやろうと、硝子は悪ガキのような笑みを浮かべて篝を呼び止める。

 

「術式反転使えるくせに反転術式を使わないやつにはいい名前だろう?」

 

 てか、なんでそんな縛りしてるんだと純粋な疑問をぶつける硝子に、篝は話す理由がないとそっぽを向く。

 どうせ反転術式に使う際の呪力が多いからとか、そんな理由だろうなと硝子は自身の中で結論づけると次の話へと移る。

 

「で、用事って?」

「……やけに話しかけてくるな」

「安心しろよ。あと3分くらいだから」

 

 

 怪訝な顔をする篝に、深夜テンションが朝方に降りてきた硝子はふふんと笑う。そんな硝子に気味が悪いと思いつつも、篝は3分くらいなら話し相手になってやるかと口を開く。

 

「京都校の連中が来るだろう」

「……あぁ、交流戦の打ち合わせか」

 

 そういえばそんな時期かと、硝子は思い出したように呟いた。

 

「その中のガキの1人が、その後少し時間をくれと言うんでな」

 

 京都校の生徒と面識はあるものの、距離的な問題であまり親しくない硝子はこんなのに時間使おうとしてる物好きは誰だろうと思案する。

 

「ここ暫くは手応えのある呪霊や術師もいないんでな。付き合ってやるかと思ってな」

「誰のせいだよ誰の」

 

 誰かが気配を感じ次第呪霊や術師を屠っているおかげで硝子のところに運び込まれてくる術師の数は減り、仕事のない硝子の睡眠時間は確保され、さらに禁煙の効果もあってか健康的になりつつあるのだが。

 

「まぁ一応礼は言っといてやるよ」

「必要ない」

「……言うと思ったよ」

 

 お礼を言われるようなことはしていないと一蹴する篝に、硝子は呆れたように目を閉じる。

 

「にしても、暑いな」

 

 太陽が上り、徐々に気温が上がってきている。ジトッと吹き出る汗に服をぱたぱたとさせて、硝子は鬱陶しそうに顔を顰めた。

 

「夏だからな」

 

 そんな硝子にさも当然というように篝は言葉を返す。髪をかきあげ、襟元に風を入れるようにぱたぱたとさせる硝子に篝は目のやり場に困らせると、そう言えばと口を開く。

 

「髪、なんで伸ばしたんだ?」

「さぁ、なんでだろうね」

 

 高専時代はショートヘアだった髪を、 肩の下まで伸ばしている硝子にこちらも純粋な疑問で尋ねた篝に、そこんところだが私にもよくわからんと硝子は首をすくめる。

 

「だが、綺麗になっただろう?」

「……さぁな」

 

 そう言って微笑む硝子に、篝は「ここまででいいだろう」と彼女が教師となっても今もなお住んでいる寮の前に着くと、会話を切った。

 そのまま無言で別れた篝の背中を見送りながら硝子は呟いた。

 

「変わらないな、お前は」

 

 そう言って、彼女は自室へと戻っていった。





好機でも危機でもベジータムーヴを強いられる代わりに、呪力量が上がる縛り
反転術式を使用できない代わりに術式反転使用時の能力上昇量が上がる縛り
素直に言葉や態度で表せない代わりに超人的なセンスを手に入れる縛り
などなど



ボツネタなんかあったけど忘れちゃったので思い出したら追記しときます

ネタバレの範囲(DBはドラゴンボールの略)

  • 呪術DB本誌含め全てOK
  • 呪術DB単行本化してるとこまで
  • 呪術DBアニメ放映分まで
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