加茂家の超エリート術師に転生しました 作:君よ気高くあれ
けたたましく鳴くセミの声が、いたるところでこだましており、夏の暑さと相まってセミの合唱は騒音以外の何物でもない。
山の木々に囲まれた炎天下のグラウンドで、4人と1匹の呪術師がジャージ姿と来る交流戦に向けて修行を行っている。
特に級友の死を無駄にしないためにも、呪術を更に磨くためと、伏黒恵と釘崎野薔薇の気合いの入れようは、彼らの先輩である2人と1匹と比べると相当なものだった。
自身の術式の可能性を探りつつ、体術を鍛える恵と、体力のない野薔薇はパンダに振り回される1日を過ごした。
その翌日、ジャージでグラウンドに集合と声をかけ、寮からそのグラウンドへと向かう2年生たちの1人、否1匹が口を開く。
「あり? 1年ズは?」
「パシッた」
なんの悪気もなく言うメガネをかけたポニーテールの少女に、パンダもネックウォーマーをつける少年も特に意外とは思わず、表情を変えることは無い。
「大丈夫なのか?」
「ガキじゃねぇんだし、おつかいくらい行けるだろ」
心配そうにパンダが凛々しくも高圧さが勝つ禪院真希にそう言うも、彼女はぶっきらぼうに返す。
しかし、パンダが言いたいのはそういうことではなかった。
「今日だろ京都校の学長が来んの」
数週間後に行われる呪術高専姉妹校の交流会の打ち合わせに京都校の校長がやってくるそれだけならパンダが心配することは無い。
けれど、パンダが懸念する理由は、交流会とは関係のない部分にあった。
「特級案件に1年派遣の異常事態。悟とバチバチの上層部が仕組んだって話じゃん。京都の学長もモロその上層部だし、鉢合わせでもしたらさァ」
「ターゲットだった1年……虎杖は死んでるんだ。恵達を今更どうこうするつもりもねぇだろ」
京都のジジイたちだって表立って騒ぎは起こさないだろうと、真希は返すがまたもパンダの危惧している事態とは的をはずれている。
「教員は立場があるけど、生徒はそうでも無いよな」
その一言で真希はパンダの言いたいことを理解する。
「来てるってのか、真依が」
「憶測だよ。打ち合わせに生徒は関係ないからな」
京都校に在籍している真希の双子の妹が来ている。それ自体は別におかしいことでは無い。校長の身を守るための護衛とすれば着いてきていたとしても不自然さはない。
「でもなぁ」
そう呟いて、パンダは困った顔で空を仰いだ。
「アイツら嫌がらせ大好きじゃん」
パンダが思い浮かべるのはパイナップル頭の屈強な男と、ショートヘアのノースリーブタイプの制服を着た美麗な女性。
そしてその2人はパンダの予想通り、自販機にジュースを買いに来た恵と野薔薇の前にいた。
「なんでこっちにいるんですか、禪院先輩」
「あっ、やっぱり?」
現れた2人のうち、どちらとも知己の関係にある恵は先に声をかけてきた女性の方へと問いかける。
その苗字に聞き覚えしかない野薔薇はその女性の纏う雰囲気から先輩の親族じゃないかと察する。
「やめてよ伏黒くんそれじゃあ真希と区別がつかないわ、真依って呼んで」
妖しく微笑む彼女は、顔のパーツこそ真希に似ているが、表情や仕草の一つ一つは違う。
「コイツらが乙骨と三年の代打……ね」
その真依の隣で恵と野薔薇を品定めするかのように見つめて背丈も高く、筋肉質な男が呟く。
「あなた達が心配で学長に着いてきちゃった。同級生が死んだのよね?
辛かった?」
「……?」
質問こそ同じだったが、その質問のやり方は真希とは全く違う。けれども、以前話したことのある際に感じた陰湿さを感じないことに恵は首を傾げた。
「……何が言いたいんですか?」
「ううん。いいのよ。言いづらいことってあるわよね。代わりに言ってあげる」
野薔薇と恵を気遣うように真依はそう微笑み、2人に近づいた。
「“器”なんて聞こえはいいけど、半分呪いの化け物になっちゃって、そんな可哀想な子が人も殺さないうちに死んでくれて良かったって」
慈愛の聖母のような涙を浮かべ始める真依に、野薔薇は困惑し、恵も自分の知る禪院真依とのギャップに再び違和感をおぼえる。
京都に入った見知らぬ新入生が変身の術式で化けているという線もあるが、さらに奇異なのは彼女から感じる呪力量だ。
(少し増えてる……?)
忌み子として呪術界では忌避される双子に生まれた真希と真依。呪力を持たない代わりに常人離れした身体能力を持った姉と、突出した身体能力はないものの術式と呪力を持った妹として生を受けた。
しかし、双子は持って生まれる呪力や術式が分散してしまうため、どちらも半端な能力となっていた。
だから、真依から感じられる呪力は非術師より少し多い程度のはずだが、どういうわけか昨年あった時より増えているように感じた。
それに性格面も悪辣まではいかずとも、他者を煽るような発言をすることが多かった真依だが、この発言には悪意を感じられない。
「真依、どうでもいい話を広げるな」
困惑しきった恵の思考を遮り、男は真依の涙に目もくれず1歩前に出た。
「俺はただコイツらが乙骨の代わり足りうるのかそれが知りたい。伏黒……とか言ったか」
持っていた制服を投げ捨て、襟元を正したその男は恵の顔をよく観察する。
「どんな女がタイプだ」
「は?」
いきなり投げかけられた質問の意味が分からず困惑する恵に男は続ける。
「返答次第では今ここで半殺しにして乙骨……最低でも三年は交流会に引っぱり出す」
ビリビリとシャツを破きながら歯をむき出しにして笑う男に、恵と野薔薇は頭に疑問符を浮かべる。
「因みに俺は身長と尻がデカい女がタイプです!」
「……なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか」
至極真っ当な恵の返答に男はため息をつく。
ムッツリにはハードルが高いとおさめようとする野薔薇に、恵は黙ってろと合図を送り、男へと向き直る。
「京都三年東堂葵、自己紹介終わり。これでお友達だな。早くこたえろ男でもいいぞ」
前屈みになって恵に再度問いかける東堂は、なぜその質問をするかを話し始める。
「性癖にはそいつの全てが反映される。女の趣味がつまらんヤツはソイツ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ」
東堂にとって交流会は血が沸き、肉が踊る魂の独壇場であり、交流会が3年までしか参加出来ないため、東堂にとっては最後の交流会だった。
それで退屈させられたら何をしでかすか分からないと脅す東堂に恵はため息をつく。一瞬過ぎった寝たきりになった姉の言葉、それに基づいて言えば───────好みはなく、揺るがない人間性。そう言おうとしたところで、再び東堂が口を開いた。
「特別に俺の憧れる師匠を超えた俺の家族である男の回答をお前に教えてやろう」
「……は?」
せっかく答える気になった恵の気を削ぐように唐突に東堂の家族の話へと話題が切り替わる。
「その男は強い。俺よりも。そりゃそうだ。あの五条悟にも勝ったことがあるんだから」
「その男って……」
恵から視線を外し、遠くを見つめるように語り出した東堂は、最強と呼ばれた術師の最強を打ち破った男の顔を思い浮かべる。
『なぁ、教えてくれよ! あんたの好みを!』
しつこく問いかける東堂をその男は何度も足蹴にした。しかし、東堂は身体の傷が治れば何度もその男へと問いかけた。何度も、何度も。男の怒りが爆発し、殺されそうになっても、東堂はその問いをやめなかった。
そして、東堂が問いかけてから数ヶ月、答えてくれないから家まで行って家中掻き回して好みを探ると豪語した東堂に男は折れる形で1度だけ自身の好みのタイプを語った。
「その男の好みのタイプは──────物怖じせず胸が大きくて安産型で旦那思いの、芯のある女だ」
素晴らしい。最高の回答だとは思わんかねと涙する東堂。その後ろで恋する乙女のような顔をして自身の胸とお尻を触る真依。
それを見ながら、呆気にとらわれた野薔薇は恵へと言い放つ。
「好みのタイプが胸と尻のデカい女って……なんかもう色々と台無しよね」
その呟きを聞いた東堂がピクリと反応する。
「そこの女……」
東堂が恵から照準を野薔薇へと切り替え、目をギラつかせる。
「お前、俺の家族をバカにしたな……?」
フツフツと湧き上がる怒り。そんな東堂の様子に流石にヤバいと感じた恵と野薔薇はいつでも術式を発動できるように身構える。
「言っておくが、俺は年下や女だからといって手加減はしない」
ハァーッ! と、大きく息を吐き出した東堂は戦闘態勢に入る。
「退屈だよお前ら」
瞬間、恵と野薔薇の体は後ろへと吹き飛ばされた。
オリ主は京都校出身の京都住み。ただし教員免許はとってないので先生では無い。
東堂葵▶︎最高。Soul family。男の歌。敬意。友情。家族愛。アンタも高田ちゃん……好きなんだなと存在しない記憶が溢れ出ている。
ボツネタというか入れるとこ見つからなかった会話
野薔薇「てかこんな呑気に修行……? してていいんすか?」
パンダ「大丈夫大丈夫。誰かさんがやべーやつは軒並み祓ってるから」
野薔薇「私らいる……?」
パンダ「いつまでも いると思うな 最強ズ」
細々としたのは禪院や猪野くん、ナナミンが殺ってる模様。
2日くらい更新しません。またな!
ネタバレの範囲(DBはドラゴンボールの略)
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呪術DB本誌含め全てOK
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呪術DB単行本化してるとこまで
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呪術DBアニメ放映分まで