超強い先生+@がキヴォトスにやってきたやつ   作:夜叉烏

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 ゼウス先生の体重結構迷ったけど『ター○ネー○ー3』のT-850と同じ900キロです。基本椅子とかは特注品、体重を床に伝えにくい身体操作や歩法を修得し常時使っているため、多少足元に気を付けないといけませんが意外と普通に過ごせてます。
 一応言っときますけど、ゼウス先生マジで人外ですから。「もうお前1人でいいよ」とかいうレベルじゃないですから。この後の話で人外エピソード更新していきますから。


第19話

「お仕置きの時間ですよぉ~~☆」

「「「ぎゃあぁぁぁぁぁッ!?!?」」」

 

 M134(リトルマシンガンV)の掃射が、背を見せてアジトから逃亡を図るヘルメット団員を薙ぎ払い、流れ弾が車両や物資の梱包を穴だらけにし、ズタズタに引き裂いた。

 ニコニコしながら重機関銃を乱射するノノミは、ホラー映画に出演する敵キャラに見えてしまう。

 

 ヘルメット団は、大多数が戦意を喪失し、丸腰のまま工場出入口に殺到している。

 ごく一部が、ただではやられぬとばかりに小銃を向けるが、ノノミは彼女たちの反撃をいち早く察知して障害物の陰に身を潜め、迅速に新たな射撃位置を見つけて掃射を繰り返し、被弾を最小限にとどめていた。

 こんな芸当ができるのも、シッテムの箱の恩恵である。

 

 被弾によるダメージも、アヤネが適切なタイミングで医療物資を送り届け、回復させている。仲間のことをよく見ている彼女の目の広さには、ゼウスも関心するほどだった。

 

――ドドドドドドドドドッ!!

 

「んぎッ!?」

「ほげッ!?」

 

 当の彼は、ブルーシャーク装甲車の銃座に取り付けられたM2重機関銃の銃把を握り、50口径弾を次々と送り込んでいる。

 近代化改修を施された型式とて、原型の正式採用が100年以上前という歴史ある重機関銃だが、そんな老兵とは思え

ない力強い銃声と共に放たれる巨弾が、団員の胴体や頭を打ち据える。

 銃撃では死なないとて、ただの人間に直撃すれば木っ端微塵になる威力だ。キヴォトス人基準でも、絶対に食らいたくない弾丸の1つに数えられる。

 壁を盾にすれば…と安心していた団員が諸共に貫かれて意識を飛ばした。頑丈そうに見えるが分厚い装甲を施されているわけではない重機がひとたまりもなく爆発・炎上し、巻き込まれた者が吹き飛んでいく。

 

「…よし、裏の敵は片付いたな。後は目の前だけか」

 

 排出された薬莢が天板に降り注ぐ金属的な音を聞きながら、傍らのシッテムの箱に目を移して戦況を把握。

 ホシノたちが裏の敵を制圧し、広場への加勢に向かっている情報を受け、ゼウスは無線を通じて全員へ呼びかける。

 

「全員聞け。狩りの仕上げに掛かるぞ。もう一方の出入り口に敵を追い込む」

 

 この廃工場の出入り口は2か所。うち1つはブルーシャークが突っ込んで破壊・封鎖しているため、逃亡を図るヘルメット団は残った逃げ道に殺到することになる。

 また、工場の敷地は高さ5メートルのコンクリート壁で囲われているため、よじ登って逃げる真似もできない。

 

「アヤネ。俺は降りて向かうが…お前はどうする?」

「え…先生もですか?私も降りようかと思いますが…」

「よし、俺が護衛する。離れるなよ…セリカ、そこの建物裏から生き残りの車両だ。吹き飛ばせ」

《うえ!?わ、分かったわ!》

 

 セリカに指示を送った直後、SMAWロケットランチャーの発射音と爆発音が響く。

 銃座から顔を出すと、炎に包まれた装輪装甲車――ラーテル装甲車に似ている六輪タイプ――が擱座している様が映る。

 

「上出来じゃないか、セリカ。良い腕だ」

《ふん!これ位余裕よ!》

 

 ゼウスの指示があったとはいえ、建物から飛び出してきた瞬間の高速で走る車両に直撃させたセリカの腕前は並ではない。ゼウスは素直に彼女を誉める。

 当のセリカは空のランチャーを担ぎながら強がるが、若干声色が上がっていた。

 

「(…調子に乗らないか心配だな)…じゃあアヤネ、降りるぞ。セリカも着いてこい」

 

 心中で呟くゼウスだが、ひとまず目先の敵の排除を優先する。

 天井に置いていた愛銃IST-15.5を右手で構え、銃座から身を乗り出すと、直接地面に降り立った。

 

――ズドォ…ッ!!

 

 柳の幹を思わせる長身痩躯っぷりなゼウスだが、体重は脅威の900キロ(・・・・・)。大きめの軽トラックに匹敵するのだ。

 その超重量が降り立った衝撃が、着地点周囲の砂塵を撒き上がらせた。

 

(え…!?何その音!?先生太ってないし全然重くなさそうだけど!?)

 

 超重量の物体が高所から落下した轟音に、着地の瞬間を目撃していたセリカは目を剝く。

 

「行くぞ。俺の見立てが正しければ、連中はもうここから出られないはずだ」

 

「え、それはどういう…?」

 

――ドォンッ!!

 

 アヤネの疑問は、IST-15.5の巨大な銃声に書き消された。

 一瞬未満で愛銃を構えたゼウスの銃撃――当然の如く片手撃ち――により放たれた15.5ミリ弾が、セリカの顔の真横スレスレを通過し、物陰から狙っていた団員の頭を穿つ。

 口径15.5ミリの徹甲炸裂焼夷弾(HEIAP)はヘルメットを容易く撃ち抜き、額へ直撃して炸裂。被弾箇所に痛々しい青アザと滲んだ血液を残し、顔面を黒く煤けさせた彼女は、10メートル程後ろへ吹き飛んだ。

 

「セリカ、油断は死を招くぞ」

「え、あ、う…うるさいわねっ!死ぬとか大げさなのよ!」

(え、今片手で撃ちました!?その大きさの対物ライフルを!?しかも、あの距離で寸分の狂いなく命中させて…!?)

 

 自身を窘める声にセリカはムッとして言い返しながらそっぽを向き、アヤネは軽々と2メートル超のライフルを片手で担ぎ上げるゼウスを化け物を見るかのように見つめていた。

 なお、先ほど倒した団員との距離は凡そ200メートル。遠いわけではないが、ぱっと周りを見渡すだけで発見するのは勿論、反動の激しいライフルの片手早撃ちで仕留めるなど、思いもよらない。

 

「相変わらず元気がいいな。…ノノミ、もう片方の出口に向かって敵を追い詰める。お前は動かずに待機、直ぐに合流しよう」

《了解です~☆》

 

 自身に遠慮なく言い返してくるセリカに口角を上げながらノノミに指示を送ると、ブザーのような発射音と共に彼女ののほほんとした応答が聞こえてくる。

 M134の発射速度は毎分3000発。発射音が繋がって聞こえるのも当然だ。

 

「さぁ、ノノミと合流して最後の仕上げだ。ホシノたちも裏の敵を片付けたようだし、直ぐに終わるだろうな」

 

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 程なくノノミと合流し、ヘルメット団が殺到しているであろうもう一方の出口を視界に収めたとき、ゼウスは自身の策が成功したと悟った。

 

「先生、煙突に爆弾を仕掛けるよう指示したのは、これを狙って…?」

「若干運の要素もあったがな。上手く倒れてくれて何よりだ」

 

 先行して爆弾を仕掛けに行ったジオルジョとシロコへの指示――ガスタンク保管所と煙突への爆弾の設置指示の理由を察したアヤネの問いかけに応える。

 

「おい、早く登れって!」

「そ、そんなに急かすなよぉ…!」

 

 C4爆薬の炸裂で根元を吹っ飛ばされた煙突が倒壊し、出入口を塞いでいるのだ。

 倒れた煙突の高さは約3メートル程で、小柄な少女たちは乗り越えるのに難儀している。

 とはいえ、敷地は高さ5メートルのコンクリート壁で囲まれているため、少しでも乗り越え易いここから出るしかないのだ。

 

「ノノミ、やれ」

「は~い、全弾発射です~☆」

 

 ゼウスの指示一下、ノノミが機銃掃射。

 M134による、薙ぎ払うような面制圧である。

 

「ひぎゃあっ!?」

「んぎっ!?」

「だぁっ!?!?」

 

 煙突の残骸を登ろうと張り付いていた者、先客に向け早く行けと急かす者、こちらに気付いて銃を向けようとした者――皆纏めて、ノノミの神秘が込められた7.62ミリ弾の奔流が呑み込む。

 伏せるなり障害物に身を潜めるなりで逃れた一部を除き、彼女たちは弾幕に打ちのめされて地に這った。

 

「狩りの仕上げにかかる。セリカ、撃ちまくれ」

「分かってる!」

 

 被弾を恐れることなく仁王立ちしているゼウスの指示へ強気に返し、愛銃に発射炎を閃かせるセリカ。

 いつもならフルオートで叩き込んでいるところだろうが、何を考えたのか、1発ずつの精度を重視した射撃を行っている。

 

「…弾はいくらでもある。ケチらずにいつも通りでいいぞ?」

「う…うっさいわね!節約よ節約!」

 

 チビチビとした慣れない射撃を続けるセリカにゼウスが声をかけるものの、彼女は強がるように言い返した。

 

「糞がぁッ!!じゃあそこの先生を潰してやr…ッ!?!?!」

「ふむ。不良にしては悪くない判断だな」

 

 司令塔であるゼウスに銃を向ける団員に対しては、彼自らIST-15.5にて凶弾を送った。超至近距離からの大口径対物ライフルの直射は流石に堪えたらしく、先の団員と同様眉間を撃ち抜かれて後ろへ吹っ飛び、隣にいた仲間が同志を襲った攻撃の強烈さに震えた。

 

「こ、これならどうだぁッ!!」

――パシュゥゥゥ…ッ!

 

 ロケットランチャー(RPG-7)を向けて発射してくる。弾頭の種類が何であれ、隠れたとしても障害物毎吹き飛んでしまうだろう。

 

「せ、先生!危ないです!」

 

 ノノミが後方を振り向いて叫ぶ。しかし、ゼウスは一切慌てない。

 

「全く。RPGそれは子供が持つには過ぎる代物なんだぞ…普通なら」

 

 アヤネが隠れるコンテナに直撃する寸前だった弾頭を、ゼウスは腕を真横に伸ばし、素手でキャッチした・・・・・・・・・。肉体で受けなかったのは、炸裂時の爆炎に護衛対象のアヤネを巻き込ませないためだろう。

 

「「「……え???」」」

 

 サンクトゥムタワー奪還作戦時にて、ホローポイント弾の直撃をものともしなかったゼウスを見たユウカ・スズミ・チナツ・ハスミ(チュートリアル組)と同じ反応が、この場を支配する。

 RPG-7の弾頭の飛翔速度は最大で秒速295メートル…時速にして1062キロだ。弾頭の直径は40ミリに過ぎず、掴むのは勿論、反応することすら常人には不可能。

 ゲヘナの風紀委員長やトリニティの戦略兵器…キヴォトスに於ける上澄みも上澄みの生徒なら、当たっても無傷なり容易く避けるなりで済むだろうが、弾頭を掴んで止めるとなると話が変わってくる。

 それを、ヘイローのない貧弱…なはずの大人がやってのけた。しかも目線を真正面から外さず、手元を全く見ない状態で、握り潰すことなく。

 

「砂漠で喉が渇いただろう。恵みの雨だ」

 

 冗談めかしてそう言うと、野球のスローイングの要領で大きく振りかぶると、斜め上方に向けて思い切り弾頭を放り投げた。

 発射筒から放たれた時よりもずっと早い速度で飛翔した弾頭の行く先は、地上20メートルの高さに設置された給水タンクの根本だ。

 

――ドオォォンッ!!

 

 正確極まる軌道を描きながら飛翔し直撃した弾頭が炸裂、引き千切られた支柱の弾片が飛び散る。残った支柱のみでは、水で満たされたタンクの重量を支えることができず、金属的な叫喚と共に傾き始めた。

 程なく完全に倒壊をはじめ、支えを失ったタンクが真っ逆さまに落下する。

 

――バッシャアァァァァッ!!

「「「うわあぁぁぁぁぁッ!?!?」」」

 

 地面に落ちたタンクが、まるで水風船のように弾ける。中の膨大な水が津波のように襲い掛かり、ヘルメット団たちを押し流した。

 恵みの雨…にしてはありがた迷惑すぎる量である。

 ともあれ、これで敵は完全に崩れた…と確信した直後。

 

――ドゴォォォォォォォォンッ!!

「ひいッ!?!?今度は何だよぉッ!?!?」

 

 廃工場の壁がぶち抜かれ、煙と共に巨大な物体が広場に躍り出た。

 

「うぇっほげほっ!シロコちゃん!?壁に突っ込む時は言ってよぉ~~!」

「ごめん、ホシノ先輩。言ったけど聞こえてなかったみたい」

「オッサン、榴弾込めといたぜ!」

「砲を撃つほど敵もいないだろう…不経済だ、そのまま轢き潰せ」

「ん。分かった」

「ジオルジョさん!?」

 

 ヘルメット団から分捕ったルーイカット装甲車が突っ込んできた。車長用キューポラからはホシノ(車長)が顔を覗かせており、壁を突き破った時の砂塵を吸って咳き込み、ジオルジョ(砲手)とシロコ(操縦手)の物騒な会話にツッコみを入れている。

 

「ひ…!ま、待っtぶべあッ!?!?」

 

 濡れ鼠になっていた団員の1人が、重量30トンの巨体に撥ね飛ばされた。一切の躊躇がない轢きっぷりだった。

 

「ひいぃぃぃッ!!!早くッ!早く逃げんだよぉッ!!」

「勝てるわけないッ!!アタシ降りるからぁッ!!」

 

 突っ込んでくる8輪の巨体を目の当たりにし恐慌状態に陥ったヘルメット団は完全に戦意喪失。武器を投げ出して煙突でふさがれた出入口に再び集まり始める。

 砲撃で纏めて吹き飛ばしやすくなった。

 

「…ジオルジョ。引導を渡してやれ」

《了解》

 

 ゼウスの指示に、ジオルジョはごく短く返答しながら砲塔を旋回させる。76ミリ砲の細く長い砲身がヘルメット団を指向した。

 

「よ~し、発射ぁ~!」

――ドォンッ!!

 

「「「ぃぎゃああああぁぁぁぁッ!!!!」」」

 

 ホシノの号令と共に放たれた76ミリ砲の砲声と榴弾の炸裂音、そして断末魔。それがヘルメット団追撃戦終了の合図となった。




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