超強い先生+@がキヴォトスにやってきたやつ   作:夜叉烏

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夜叉烏です。

ヤマトや他のブルアカ二次の執筆が楽しくて遅れました。


弾薬庫とエンジニア部

「さて…総帥からヴァルカン・アルマード(武装)の使用も許可されたことですし、久しぶりにひと暴れといきましょうかねぇ」

「あぁ?随分な自信じゃねぇか」

 

 セミナー保安部の訓練で使用されるグラウンドにて、2つの人影が睨み合う。

 片方は背丈が150センチもない、メイド服の上からスカジャンを羽織るという奇抜な出で立ちの少女。もう片方は身長190センチを越える紫と白のツートンカラーの長髪と口元の継ぎ接ぎが特徴的な、質のいい黒スーツに身を包んだ男性。

 

「あ、あの、ヴァルさん?本当に実弾ありの模擬戦を…?」

「えぇ、構いません。自分で言うのもなんですが、そこそこ戦えますからね」

 

 心配そうにヴァルカンに訊くノア。しかし、当の本人は余裕綽々といった様子だ。

 

「私は一介の技術者以前に、ゼウス(あの御方)に仕え、御守りする盾。戦闘はやや苦手ですが、あの程度の相手に負けはしません」

 

 ヴァルカンと相対する相手…美甘ネルは、ミレニアムが誇る特殊部隊『Cleaning &Clearing』のリーダーであり、『勝利の象徴』との異名を持つ強者。

 そんな彼女を前に、「あの程度」と言い放ったのである。

 

「…言ってくれるじゃねぇか…!!」

「「ひぃ…!!」」

 

 内容もそうだが、恭しい口調で言われているのも手伝って、元来短気なネルは怒りを露にした。

 その怒気に当てられたエンジニア部所属の1年生猫塚ヒビキ、豊見コトリが顔を青ざめさせる。

 

「…ヴァルさん、悪いことは言わない。貴方は確かに強いけれど、流石にネルは相手が悪すぎるよ」

 

 エンジニア部の部長、白石ウタハが真面目な顔で言う。

 傍らにはヴァルカンが素手で破壊したロボット――人形の金属骨格を持ち、何故か背中に洗濯機を背負ってい、右腕にM134"ミニガン"をマウントしている――を傍に置いている。

 ロボットは上半身と下半身を分断されていた。

 

「まぁまぁ、そう心配せずに。ここで『やっぱりなしで』と言ったら彼方も不完全燃焼になるでしょう」

「わあ、よかったねリーダー!相手してくれるって!」

「うるせぇアスナっ!!アタシは今滅茶苦茶腹立ってんだぞっ!!」

 

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――30分前

 

「ほう…あれは、何ともまあ独創的な…」

 

 ノアの案内でエンジニア部の部室までやってきたヴァルカンは、目の前の光景に感嘆と僅かな驚きを交えた表情を浮かべた。

 

ブォォォォォォッ!!

「ろ、ロボットが洗濯機を背負ってミニガンを乱射してる…」

 

 ヴァルカンの付き添いとして着いてきていた山下ヨツハが呆然と呟く。

 意味が分からないセリフだが、彼女の言う通りの事態が起きていた。

 頑丈そうな全金属製の、人間のそれを模したスケルトン骨格、背後に何故か小型のランドリーを背負い、右腕にM134"ミニガン"をマウントしている二足歩行ロボットが制御不能に陥っている*1。

 毎分3000発の発射速度で7.62ミリ弾をあちこちにばら蒔き、部室の床や壁に数え切れない弾痕を刻んでいた。

 

「うわぁぁぁぁぁっ!!止まって下さいぃぃぃっ!!」

「こら、大人しくして…っ!!」

「うん…これはどうするべきか?お客さんが来るというのに…」

 

 開発者と思われる3人が障害物に隠れて愛銃を射撃してはいるが、ロボットはボディに火花が散るばかりで止まらない。

 

「…あの、エンジニア部の皆さん?あれはなんですか?」

 

 見るからに困惑の表情を浮かべていたノアだが、即座に障害物へ隠れながら3人の方へ近づいてそう問う。

 目元に陰が差しているように見えた。訊かれた方は溜まったものじゃないだろう。

 

「…ふぇ!?あ、えっと、ノア先輩、あれはですね…!」

 

 ノアから放たれる見えざる圧に当てられた豊見コトリが、顔をサッと青ざめさせてどう言い繕うか必死に頭を巡らせる。

 変わりにウタハが応えた。

 

「いやぁ、自走式ランドリーロボット"水心(みずごころ)君"を試作してみたんだけど、ちょっとばかりシステムが暴走してしまってね。やっぱりソフト面はちーちゃんたちに頼むべきだったかな」

 

 ノアの圧力にも動じず、いつもの口調でウタハがそう経緯を説明していた。

 

「ちょっと、こっちの攻撃全然効かないんだけど!?」

 

 ヨツハが障害物の陰から"エリュシオン"の正式採用小銃であるLWRC M6A2を射撃するが、通常よりも貫徹力を高めた強装5.56ミリ弾は悉く跳ね返された。

 

「おっと、君達がお客様だね。こんなお出迎えになってしまって申し訳ない」

「いえいえ、お構いなく。しかし、中々頑丈そうなロボットですねぇ。骨格はチタン合金でしょうか?小火器程度では破壊できないようですね。コンセプトがいまいち理解しかねますが…」

 

 ヴァルカンは後方で技術開発を行うのが主な業務だが、荒事にも慣れている。

 銃弾の豪雨の中、特に隠れることもせずケロリとした態度を保っていた。

 

「貴方が話にあった"エリュシオン"の技術者の人かな?慧眼に痛み入るよ。貴方の言う通り、チタンを多く含有させた超合金でボディを構成しているんだ」

「ケーブルやシリンダーが露出している箇所もありますが、そこも防弾仕様ですか?ウィークポイントだと思いますが、見たところ損傷もしていない」

「はい!そちらも小火器程度なら損傷しない程度に防護しています!主要部の装甲は50口径以上の機関砲乃至対物ライフルを持ち出さなければ破壊できません!」

「アナログだけど信頼性の高い油圧システムを採用してるから、ミニガンみたいな重火器も楽々振り回せるよ」

「そんなドヤって言えることじゃねえよ!!凄いけど!!」

 

 同じ技術者同士、目の前のロボットについて談議を始める一同。

 実のところ、所詮は学生だと内心で下に見ていたヴァルカンは、彼女らが手掛けた自走式ランドリーロボットの斬新さと完成度の高さに感嘆し。

 見ず知らずの大人でありながら、自分たちが手掛けたマシンを短時間で分析するヴァルカンの技術的手腕に敬意を表すエンジニア部。

 しかし、そんなことをしている場合ではないので、ヨツハが怒声を上げて突っ込んでいた。

 

「…どの程度までなら壊してもよろしいでしょうか?」

「うーん…ボディなら替えは効くし、そこまでなら…かな?頭部にはCPUが搭載されてるけど、今回の誤作動について調査したいし、そっちは無傷がいいね」

「でもどうやって破壊するの?小火器は見ての通り通じないし、ここには50口径以上の重機関銃も対物ライフルもないよ?」

「あ!じゃあ、ヒビキの迫撃砲を直射で撃てば…!」

 

 コトリのアイデアは正しい。

 ヒビキが愛用している60ミリ迫撃砲から放たれる榴弾に装甲貫徹力はあまり無いが、榴弾の炸裂に伴う爆圧によって、装甲を貫徹できずとも内部機構にダメージを与えることが可能だ。

 

「それは無理。こんな室内で迫撃砲を使ったら部室が滅茶苦茶になっちゃうし、そもそも迫撃砲を直射なんてできないよ」

「…いえ、私なら腕1本で何とかできます」

 

 ヒビキの言葉を受けたエンジニア部が表情を歪める中、ヴァルカンが淀みない動作で障害物から身を乗り出し、ゆっくりとした足取りでロボットに向かっていく。

 

「…え!?ちょっと、危ないですよ!」

 

 ヘイローが無い大人であるヴァルカン。そんな彼が自分たちよりも前に出ていくのを、コトリが驚いて引き留めようとする。

 ウタハとヒビキもそれに続こうとした瞬間。

 

「いや、ヴァルさんならあんなの…」

バゴォッッ!!

 

 一瞬だった。

 室内を右往左往しミニガンを乱射していたロボットへ瞬く間もなく肉薄したヴァルの右手が、人体骨格を模したロボットのフレームに突き立てられていた。

 チタン合金で構成された、50口径弾に抗堪する外板がいとも簡単にひしゃげ、内部の配線や配管を強引に掻き分けながら機体の中心に挿入されている極太のフレーム…人間でいう腰椎にあたる部分を鷲掴む。

 そのまま握力を強めてやれば、極太のチタン合金で構成されたフレームがあっけなく破断し、ロボットは上半身と下半身が泣き別れ。

 ガシャン…と、重々しい金属音と共に上半身が落下し、暫く置いて機能を停止。人間の目と同じ位置に据えられたカメラアイの赤い輝きが消え、火花を噴き上げながら完全に沈黙した。

 

「「「…え???」」」

「やっぱ凄いなぁ…。あれで『戦闘は苦手』なんて絶対嘘だろ…」

 

 握力だけで、対物ライフルの直撃に耐えるロボットのフレームを素手で握り潰し、真っ二つにしたヴァルカンの後ろ姿を、真円に近い程目を見開いて見つめるエンジニア部。

 ヴァルカンが言っていた言葉を思い出して『そんなことは無いだろうと』独り言ちるヨツハ。

 

「ふむ。動力は水素電池ですか。しかし…ランドリーが小型過ぎて洗濯できる量がやや少ないですねぇ。弾薬パックが容量を喰っているからでしょう。『洗濯』という機能を重視するのであれば、もう少し武装をダウングレードさせてその分のリソースをランドリーの大型化に振り分けるべきでしょう。それに二足歩行に拘らずとも、四足歩行や無限軌道、装輪式にするのも手ではないでしょうか」

 

 火花を上げる残骸からまろび出た内部構造を分析しながら、エンジニア部に対しそうアドバイスを授けるヴァルカン。

 その様は、ある意味ゼウスよりも『先生』らしかった。

*1:
見た目はターミネーターT-600に無理矢理ランドリーを背負わせた感じ




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後でゼウス先生以下、"エリュシオン"のキャラをまとめた回を書こうと思います。
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