超強い先生+@がキヴォトスにやってきたやつ   作:夜叉烏

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 "エリュシオン"の装備は韓国製兵器が大勢を占めていますね。
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合流

 民間軍事組織"エリュシオン"第3航空団第1小隊所属のMi24"スーパーハインド"Mk.Ⅲ/EL 4機は、沸き立つ黒煙を縫うように低空飛行を続け、主戦場の上空へと到達した。

 

「戦闘空域へ到達。これより戦闘に移る」

 

《くれぐれも誤射には気を付けるように》

 

「了解。…だが、総帥なら仮に誤射しても大丈夫だろう?」

 

《それはそうだが、その台詞は聞く奴によっては半殺しにされるぞ?》

 

「冗談だよ。居場所をくれた人だ。間違っても照準を合わせたりはしない」

 

 第1小隊指揮官機である1番機の後席――操縦席に搭乗するウィリアム・エリオットは、本部との軽口交じりのやり取りを終えると、操縦桿を握り直して前席の[[rb:銃手 > ガンナー]]へと話しかける。

 

「ホントに女の子ばっかりだ。それに…美人が多いな」

 

「えぇ。正直、撃つのは気が引けますね」

 

 ウィリアムも銃手も、元はアメリカ軍のヘリパイロット出身だ。どちらも、戦場で墜落し生死の境を彷徨ったところをゼウスらに救われ、"エリュシオン"へと合流を果たしている。

 過去が過去だけに、戦場では見たくないものを大量に見てきた。敵対した少女兵を殺すなんていつものようにやっていることだが、やはり慣れるものではない。

 

《"ケライノー1"、目標を攻撃せよ》

 

「了解、これより敵勢力の掃討を開始する」

 

 "ケライノー"とは、第3航空団第1小隊のコールサインである。

 司令部からの指示を受け、攻撃準備に入った。任務である以上、私情の持ち込みは許されない。

 

「"ケライノー"全機、攻撃を開始せよ。最優先目標は戦車だ」

 

()()()()

 

 司令部からの命令一下、各機の銃手がHMDヘルメット越しに捉えた戦車に対し、搭載している韓国製対戦車ミサイルTA-2K/EL――韓国軍での通称"天剣"を発射する。猛速で白煙が真っ直ぐ突き進み、ロックオンした戦車へと突き刺さる。

 ただでさえ装甲の薄いクルセイダー巡航戦車に対し、マッハ0.6で叩き込まれる最大貫徹力1000ミリのタンデムHEAT弾頭はオーバーキルも良いところだ。最大50ミリ厚の均質圧延鋼装甲を薄紙よりも容易く貫き、弾薬を誘爆させ、砲塔を吹き飛ばす。

 

「"ミノタウロス"の連中も来るらしい。少しは残しておいてやろう。それよりも、歩兵を片付ける」

 

「了解です!ですが、"ミノタウロス"にとってあんな戦車は3時のおやつにもならないのでは?」

 

「ハハハ!言えてるな!」

 

 銃手は、武装をハイドラ70"EL-LOGIR"――韓国軍での名称"飛弓"――へと切り替える。19連装ポッドに収められた70ミリロケット弾が、不良たちの集まりに対して叩き込まれた。

 50メートルの殺傷半径を持つ70ミリロケット弾が炸裂する度、不良たちがギャグマンガめいて吹っ飛んでいく。

 ハイドラ70"EL-LOGIR"は、目標の画像データを入力することで、ロケット弾が勝手に敵を追尾し命中する、所謂"撃ちっぱなし"能力を保持しているため、無駄弾がなく正確に着弾していた。

 

「…五体満足な奴らばっかりだな」

 

「えぇ…」

 

 普通なら、四肢が引き千切られた無残な死体が転がっているところだ。

 しかし、HMD越しに映る地上には、五体満足で横たわる少女たちがばかり。違和感が拭えなかった。

 

「…世界が違うんだ。ここではそれが普通なのかもしれない」

 

「…そういうことにしておきましょう。効きはするようですし、寧ろ惨死体を見ずに済んでありがたいです」

 

 無理やり自身を納得させ、任務へ当たる。

 信じられないが、既に基地毎異世界に飛ばされるという、非科学的な現象が起こっているのだ。ロケット弾の至近弾を五体満足で済ませる程度で、驚いてはいられない。

 

「敵が逃げ始めたな。適当に追い打ちを掛けよう」

 

「了解。機銃に切り替えます」

背中を見せて逃げようとする少女たち。かなり散らばっているため、ハイドラ70の効果は薄いと判断したウィリアムは、機首下部に搭載するM230 30ミリ機関砲での攻撃を指示した。

 HMDヘルメットを被った銃手が顔を向けた方向へターレットが旋回、目標に視線を合わせることでロックオンが行われる。

 

「射撃開始!」

 

 射手の短い報告と共に、機首下部から連射音が聞こえ、機体がほんの僅かに振動する。

 少女たちの周囲に弾着の土煙が沸き、背中へ30ミリ弾が直撃した者は前方へ20メートルほど吹っ飛び、うつ伏せで地面に叩きつけられた。

 

「…直撃したよな?」

「はい。こいつの照準システムは間違いないですからね。ホント、とんでもない世界に呼ばれたものです」

「…まぁ、倒せない敵じゃない。…おっと?」

 

 ガン…ッと、コクピットへドラム缶をハンマーで軽く叩いたかのような音が響き、思わず声が出る。

 どうやら、逃げ出す者ばかりではなかったらしい。勇敢にもヘリへ立ち向かう敵がいたようだ。生憎Mi24を小火器で撃墜するのはほぼ不可能と言っていい。

 また、コクピット周辺には研究開発班の改良により衝撃吸収構造が採用され、さらに機体にも複合装甲パネルが増設されている為、20ミリ以上の機関砲弾にも耐えられる。

 流石にMANPADS(携帯式防空ミサイル)を撃たれたらマズいが、敵にはその装備はないか、いたとしても既に排除されているらしかった。

 

「中々ガッツのある奴だ。お返しをしてやろう」

 

「了解!…あいつか」

 

 ヘリへ命中弾を与えてきた、スナイパーライフルを構えた少女を発見するや、銃手は躊躇わず発射スイッチを押す。

 狙われていると悟った少女は、近場の車の陰に隠れたものの、毎分750発の発射速度で放たれる無数の30ミリ弾は容赦なくボディーを貫通し、彼女の脇腹を撃ち据えた。遮蔽物として利用した自動車もエンジンを破壊されて炎上し、燃料タンクを撃ち抜かれて爆発する。

 爆発は連鎖し、さらに近くに駐車してあった車をも巻き添えにした。

 

「フゥ~~!盛大な花火が打ち上がったな!」

 

 思わず歓声を上げ、ウィリアムは銃手を称賛する。戦場では、この位軽口が飛び交うのが良い。『人を殺した』という罪悪感を、少しでも紛らわせられる。

 …まぁ、実際に死んではいないのだが。

 

 いつの間にか、生き残った少女たちも麾下小隊の機によって追い散らされていた。残るは随伴歩兵のいなくなった戦車のみ。

 

「…大尉!あの戦車です!」

 

「ん?あのハッチが引っぺがされている奴か?」

 

 総帥らしき人物が味方をしているらしい陣営側に近い場所へ、K1ELを見慣れた身にはかなり古臭く思える戦車があった。

 無理やり開けられたらしいハッチからは、太く長い銃身が天に向かって突き出ている。

 

「…あのライフルは、確か…」

 

 独り言ちるウィリアム。直後、戦車のハッチから黒づくめの人影が姿を現し、砲塔の天蓋へ仁王立ちしつつ、自分たちの方を見つめてきた。

 その姿は間違いなく…。

 

「…此方"ケライノー1"。総帥を発見した。間違いなく本人だ」

 

《了解。それは何よりだ。粗方掃討したようだが、敵残存兵力に留意し警戒を続行せよ。"ミノタウロス"の到着まで間もなくだ》

 

「了解」

 

 司令部とのやり取りを終えた直後、前方でカメラの音が聞こえた。銃手がガンカメラを使い、総帥の写真を撮影したらしい。

 

「"総帥の軍神立ち"!…なんてタイトルで高く売れますかね?この写真は」

 

「…まぁ、一定の需要はあるんじゃないか?それよりも、無駄な写真を撮るなってまた怒られるぞ?」

 

 総帥にお熱らしいと噂の刀を持った彼の側近が、この銃手に接触してくることは間違いないだろう…。

 

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「あれは"ケライノー"の連中か。相変わらず、いい腕だ」

 

 未だ安全になったとは言い難い場所だが、そんなことも関わらず、砲塔の天蓋で仁王立ちし部下の奮戦を見つめるゼウス。

 普通なら狙撃手のいい的だが、そんなことは気にしないのがゼウスだ。

 

「お前たちも来い。とっととシャーレの建物とやらを奪還する」

 

《いや、まぁ、それはそうですけど!あのヘリは一体何なんですか!?先生とどういう関係なんですか!?》

 

「端的に言えば俺の仲間だ。少なくとも、敵じゃないのは確実だから安心しろ」

 

 捲し立てるように詰問してくるユウカを適当に宥める。

 

《先生、まだ戦車が残っています!》

 

 スズミが注意を喚起するが、ゼウスは気にしない。あぁ、そういえばいたな…位の認識だ。

 

「安心しろスズミ。確実にあいつ等が…」

 

 言いかけた直後、健在だったクルセイダーの1両が爆発した。慌てふためいたように、対戦車ミサイル攻撃を免れたクルセイダーの残り2両へ、時間差を置いて何かが突っ込んだ。

 ミサイルではない。遥かに速いスピードで、その何かが撃ち込まれたのだ。

 砲塔が吹き飛び、ターレットから火山の噴火を思わせる紅蓮の炎が吹き上がる。砲弾が誘爆したようだ。

 

《前方2.5キロに機甲部隊を発見しました!所属は不明です!》

 

《え!?そんなところから砲撃して!?》

 

「落ち着け。恐らく、俺の仲間だ」

 

 高所からの狙撃を行っていたハスミが、遠くに部隊を見つけたようだ。

 

「…やっぱりお前等か、"ミノタウロス"」

 

 大通りの向こうから、4両の戦車が横一列に並んで接近してくる様を見、ゼウスはそう呟いた。

 クルセイダー巡航戦車など比べ物にならない巨躯と、ゴツゴツした砲塔から突き出る大口径主砲、側面に張り付けられた爆発反応装甲。

 K2EL…『エリュシオン』が採用している主力戦車だ。砲塔の側面には竪琴を花輪で囲ったエンブレムが、車体中央には大きな一つ目の紋章が描かれている。間違いない。

 確かに、K1ELの照準システムなら、2.5キロ先の目標を正確に砲撃するなど容易いだろう。

 

(連邦生徒会長とやらは、俺だけじゃなく組織全体をここへ送ったのか?まぁ、俺としては助かるし心細くないしありがたいが…あいつ等も混乱しただろうな)

 

 十中八九、組織をこの世界に呼んだのは連邦生徒会長に違いない。俺個人を呼ぶだけでは心許なかったのだろうが、本当に強引なクライアントだ…と思わずにはいられなかった。

 違う世界へ突然呼ばれて、大混乱に陥ったことは想像に難くない。迷惑料をもう少し上乗せする必要がありそうだ…。

 

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 クルセイダーなどよりも遥かに強力そうな戦車を含む機甲部隊が突撃してくる様を見、流石に勝ち目がないと判断したのか、不良たちは我先にと逃げて行った。

 とはいえ、ゼウス達が殆ど制圧していたため、逃げおおせたのは10名程度だったが。

 

 ――ゼウスたちの目の前に、ゴツイ戦闘車両が複数停車し、物々しい空気を醸し出していた。

 特に、55口径120ミリ滑降砲を装備する韓国製主力戦車K2A2の"エリュシオン"仕様は、キヴォトス人たちにとって衝撃だったらしく、その威圧感にユウカらは驚いている。

 

「でっか…」

 

ゲヘナ学園(私たちの所)の『ティーガー』よりも大きいですね…」

 

 確かに、1人でも操縦できるキヴォトスの戦車は技術的に素晴らしいものだ。

 だが、クルセイダーもティーガーも所詮は大戦時の戦車。戦後第3.5世代戦車に分類されるK1ELの原型であるK2A2に、攻防走の性能で敵う道理がない。

 

 …とはいうものの、そういった戦車はゼウスらの世界では貴重品。

 

(頼んだら後で操縦させてもらえるか…?)

 

 そんな考えが浮かぶゼウスだった。

 

「――総帥!!」

 

 直後、戦車の車長用ハッチが開かれ、そこからゼウスよりも10センチ程身長の低い男が顔を出し、砲塔から降りてきた。少なくともゼウスより年上のようだが、彼への尋常ではない忠誠心が見て取れる。

 

「ビョンホンか。"ミノタウロス"指揮官が自らお出迎えとはな」

 

「はっ!ご無事で何よりです、総帥!」

 

 『エリュシオン』戦車部隊"ミノタウロス"の総指揮官キム・ビョンホンは、敬愛する総帥が健在だったことが余程嬉しいのか、目尻を震わせながら敬礼した。

 

「総帥!」

 

「信じておりました、総帥!」

 

「もう総帥に会えないものかと…」

 

 戦車や装甲車から兵士がわらわらと降車し、いつしかゼウスは彼らに囲まれてしまった。

 誰もが、彼のカリスマに惹かれて忠を尽くす『エリュシオン』の兵士たちだ。ゼウスもまた、彼らの名前を一人一人呼び、援軍へ来てくれたことへの感謝を伝える。

 

「…」

 

 集まったスタッフたちを掻き分けるようにして、1人の女性がゼウスの元まで歩いていく。先端が赤い黒髪を背中まで伸ばし、黒いノースリーブと同色のレザーのショートパンツ、黒タイツを身に着け、日本刀を左腰に差し、MP5Kを右腰のホルダーに収めている。

 それを認識したスタッフは、直ぐに敬礼しつつ、モーセによって海が割れるかの如く、彼女の道を開けていく。

 

「ご無事で何よりです。ゼウス様が居なくなってしまって以来、私は貴方の御帰還を何よりもお待ちしておりました」

 

「無断で留守にして済まん、"レートー"。頭を上げてくれ」

 

 唐突に跪いたかと思えば、恭しい口調でそう言う。まるで、神を前にしているかのようだ。

 ゼウスもその行動に口を出すことなく、無断でいなくなったことを詫びる。

 『エリュシオン』の兵士たちからすればいつものことなのだが、何も知らないキヴォトス人からすれば異様な光景であり、ギョッとした視線をゼウスへと送っていた。

 

 次いで、金髪をオールバックにし、黒いズボンとカッターシャツ、丸レンズのサングラス、黄金色の派手なネクタイ、ゼウスと同じ革の黒コートを纏った青年がやってきた。

 三度、周りの兵士が敬礼し道を開ける。

 

(((大きい…!?)))

 

 青年は軽く2メートルを超える長身の持ち主。キヴォトスでは獣人やロボを含め、これほどの巨体は初めてだ。生徒たちは青年をポカンとした表情で見上げている。

 

「おうおうおう、我らが総帥さんよ。突然知らない世界に放り出されたってのにドンパチしてるとは、仕事熱心なもんだねぇ」

 

「…ハデス、心配を掛けたな」

 

「全く。短い天下だったぜ、ホントに」

 

 別に帰ってこなくても、寧ろ俺がニューリーダーになれると思ってたのに…とでも言いたげな青年――嘗て最重要機密部隊に属していた頃からの仲であるハデスに、ゼウスも笑みが零れた。

 

「…あぁ、紹介する。俺が経営しているPMCの仲間だ。…十中八九、連邦生徒会長とやらの仕業だろう」

 

「敷地毎異世界へ飛ばすとかその連邦生徒会長…とやらは超能力者か何かかよ?」

 

 中々話に入ってこれないキヴォトス人たちに、ゼウスは仲間たちを紹介した。

 

「は、はぁ…」

 

「え、あ、あぁ…よ、よろしくお願い、します…」

 

「えっと、その、よろしくお願いします…」

 

 ヘイローを持たない外部の大人が集まっている光景は、キヴォトスでは見ることがない。物珍しい光景だったためか、ユウカとスズミ、チナツは戸惑っていた。

 

「よろしくお願いいたします。外の世界では、ヘイローのない方々も銃を持つのですね」

 

 ハスミは案外戸惑ったりはせず、即座に順応して挨拶した。この辺りは、流石は正義実現委員会のNo.2といったところか。

 

(…ヘイローがないのに銃で武装して、大丈夫なのでしょうか…?)

 

 …だがやはり、思うところはあるようだった。1発被弾したら終わりなキヴォトス外部の大人が銃を持っていることに、かなり困惑していた。

 ゼウスがホローポイント弾の直撃でノーダメージだったことは覚えているはずだが、流石に大人全員があのような頑丈な身体を持っているとは思っていないらしい。

 

「…取り敢えず、詳しい話は後だ。"シャーレ"という組織の建物を奪還しなければならないらしくてな。彼女たちと共に戦闘中だった」

 

「は~ん。お前みたいな奴が、こんなカワイ子ちゃんたちを捕まえるとはねぇ~…」

 

「「「か、かわ…?///」」」

 

 ゼウスに劣らず顔が整っているハデスにそう言われたユウカたちは、総じて顔を赤くした。

 ロボットや獣人が大人の大半を占めるこの世界に於いて、男性の人間は極めて貴重な存在であるため、慣れていないのだ。

 

《先生!聞こえていますか!?状況を!》

 

「うん?…リンか。そっちは大丈夫だったか?」

 

 無線が入り、ヘリにいるであろうリンの声が耳に入ってきた。

 携帯式防空ミサイルを持った不良がいたため、後方へ着陸し待機していたはずだ。今はもう不良たちは排除し終えたため、出張ってきたのだろう。

 

《はい、後方で待機していましたから。…その、シャーレビルの裏手に私の知らない建造物が見えるのですが…一応訊いておきたいのですが、先生の?》

 

 どうやら、"エリュシオン"の敷地がキヴォトスへ呼ばれるとは、リンに知らされていなかったらしい。

 

「あぁ、間違いなく俺のPMCの建物だ。俺だけじゃなく、会社と人員毎こっちに寄越してきたな」

 

「おいおいちょっと。俺ゼウスの相棒なんだけどさ、君んとこの連邦生徒会長とやら、随分大胆なことするねぇ~」

 

「引っ込めハデス。…後で依頼料と迷惑料をふんだくってやればいい」

 

 無線に割り込んできた相棒に小声でそう言って退かせる。ハデスはそれもそうかと言った感じで黙った。

 

「敵戦力は排除した。後は中に入ってお前の言う"とある物"を手に入れるだけだ。少しばかり、敵が逃げおおせて行ったが…」

 

《…了解しました。すぐに其方へ向かいますので、少々お待ちください。不良の残党は、連邦生徒会が責任を持って討伐します》

 

 ゼウスにとっては少々物足りなかったが、前哨戦は終了したのだった。




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