超強い先生+@がキヴォトスにやってきたやつ   作:夜叉烏

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 ハデス副総帥もレートーも、ブルアカのネームドキャラと対等以上にやり合える程度のフィジカルがあります。
 オリ主その他のイラストをAIに描いてもらってますけど中々丁度いいのが出ない…。一応、ゼウス先生は『銀魂2 掟は破るためにこそある』の河上万斉みたいな感じです。


第二ラウンド開始!

「ゲヘナ風紀委員会の皆様、ご協力感謝いたします!」

 

「ほら、とっとと歩け!」

 

「ひ…っ!?て、抵抗しないから!大人しくするからぁ…!」

 

 ゲヘナ風紀委員の生徒たちが、拘束した不良らを駆け付けたヴァルキューレ警察学校の生徒へと引き渡し、周囲の警戒任務に当たる。

 あれほど強気で銃をぶっ放していた不良たちは、戦意を喪失し恐ろしいほど大人しくなっていた。

 

「美人が多いねぇ」

 

 民間軍事会社"エリュシオン"の副総帥ハデスは、連れていかれる不良たちに目をやりながら、嬉しそうな声音で呟く。

 ゼウスと同様、青年期までを軍の施設で過ごし、最重要機密部隊に入隊させられた男だ。

 寡黙なゼウスとは異なり、女好き・ムードメーカー・陽キャの三拍子が揃う彼は、戦闘は勿論、経営関係も器用にこなし、こと金稼ぎの才能はゼウスをも凌ぐ。

 ゼウス同様、非人道極まる改造手術を受けさせられた結果、人並み外れた身体能力を手に入れてしまっているが、それについてはあまり気にしておらず、ポジティブに捉えている。

 

「副総帥、ナンパはダメですよ?」

 

「うるせぇ。流石の俺もこの状況でやらねぇって」

 

「ですが、副総帥。貴方少し前に危うく女スパイのハニートラップに引っ掛かるところだったじゃないですか」

 

「大丈夫だって。そういう『人の悪意』には敏感だからな」

 

 ドットサイトとフォアグリップを取り付けたDSAR-15P(14.5インチバレル)を持った兵士の言葉に、そう言い返すハデス。

 ハデスは女好きが祟り、ハニートラップの的にされている…のだが、彼も実力者には変わりないため、後々見抜いて仲間に引き込むなどし、地味に"エリュシオン"の戦力向上に寄与している。

 

「それより、しっかり見張っておけよ」

 

 "ケライノー"より送付されたガンカメラ映像から、この珍妙な世界の人間は、機関砲弾が直撃しても五体満足で済み、M134のような重火器を軽々扱うことができる膂力の持ち主だらけということが判明している。

 そんな彼女たちに再び暴れられては、特殊部隊出身の強者だらけな"エリュシオン"の兵士たちとて、無傷では済まない。

 

「…」

 

「「「ひ…っ!」」」

 

「…レートー、そんな怖い顔すんなって。怯えてるだろ」

 

 『ユウカたちと一緒に不良たちの監視をしてくれ』…というゼウスの指示を忠実に守り、不良たちへ鋭い視線をやっているのは、刀を持った女性"レートー"。ゼウスやハデスと同様、本名を捨ててこの名を名乗っている。

 彼らと同様、最重要機密部隊の出身で改造手術を受けさせられた身であり、作戦中にゼウスに命を助けられた経験から、彼へ人一倍忠誠を誓うようになった。

 

「…」

「…相変わらずだねぇ」

 

 無言でジトリと視線を向けるレートー。ゼウスに対する忠誠は相変わらずだ。思わず、ハデスは嘆息する。

 とはいえ、彼女も決して『ゼウス以外のことはどうでもいい』と言うような思想ではなく、新人の面倒見も良いし、他者の指示や助言にもしっかり耳を傾ける。それに加え、ゼウスはあくまで上司として尊敬しているだけで、邪な考えは一切ない。

 

(畜生、何であんな無愛想な奴にばかり女がくっつくんだ!?俺だってゼウス位にはいい男だろ!?)

 

 内心で自身の女運の無さを嘆きつつ、得物であるウィンチェスターM1887――銃床を外し、黄金に塗装された派手仕様――の点検作業に移るのだった。

 確かに、ハデスもゼウスも顔立ちは整っている。

 しかし、不愛想に見えるが面倒見が良く優しい性格である後者のギャップが女性たちにはウケているらしく、見た目通りの陽キャであり、露骨に女性へ色目を使うハデスは、ゼウスほど人気ではないのだ。

 

 M1887を左腰のホルダーに仕舞い、次いでショルダーホルスターのモーゼルC96を手に取る。

 

「…」

「…何だよ?カッコいいだろ!?ロマンだろ!?ちゃんと撃ててしっかり当たるんだからいいだろ!?古いからって滅茶苦茶遠回しに俺の銃をディスってんじゃねぇよ!?」

 

 言外に『相変わらず副総帥は随分とクラシカルな銃がお好きですね』と皮肉交じりに投げかけるレートーに、ハデスは言い返した。

 

「あ、あの…」

 

「ん?」

 

 そんな2人へおずおずと話しかけたのは、長い菫色の髪をツーサイドアップにし、サブマシンガンを2丁携えた少女――早瀬ユウカ。

 

(…)

(太ももふっと。俺より太いんじゃね?)

 

 片や頭上のヘイローに視線を向け、片や太ももの太さに驚く。前者は兎も角、後者は途轍もなく失礼である。

 ついでに言うと、ユウカの後ろにいるハスミとチナツ、スズミにもチラチラ視線をやっていた。

 

「皆様はその…先生のお仲間、とのことですが…あ、初めまして!早瀬ユウカと申します!」

 

「あぁ、そうだぜ。俺はハデス。ゼウスの相棒で"エリュシオン"の副総帥」

 

「…」

 

 ハデスが名前と簡単な立場を教え、レートーは興味無さ気に目線を外す。

 

「"エリュシオン"…」

 

「そそ。ゼウスと俺たちで作ったPMC。大気汚染や争いから隔絶された、兵士たちの楽園だ」

 

 ギリシャ神話における死後の世界であり、神々に祝福された英雄たちの魂が暮らすとされる楽園の名称を借りて、ゼウスは自身の組織を"エリュシオン"と名付けた。

 過酷な戦場に身を置く兵士たちが心身を休める居場所に相応しいネーミングだとして、この名称はすぐに仲間たちへ受け入れられた。

 また、"エリュシオン"の拠点は幸いにも核汚染の影響がなく、周辺では小競り合い以上の大規模戦闘も生起しない、比較的平和な(・ ・ ・)土地に構えられていたため、そういった意味でも『楽園』といえるだろう。

 

「え~っと…ユウカちゃん、だったっけ?後ろの子たちは…」

 

(い、いきなりちゃん付け!?初対面で!?大人って皆そうなの…!?)

 

 唐突にちゃん付けで呼ばれたユウカが顔を赤く染める。それを他所に、後ろの3人も自己紹介した。

 

「ハスミちゃん、チナツちゃん、スズミちゃん…と。うちのゼウスが世話になったようでありがとうね。全く、何であんな朴念仁に限ってこんなに可愛い子たちが寄ってくるんだか」

 

 残り3人も漏れなくちゃん付けで呼び、ついでに苦言を漏らすハデス女好き。レートーはそれを横目で呆れたように見ていた。

 

(か、可愛い…///私が…?///)

 

(え、あ、また、可愛いなんて…///)

 

(め、面と向かってそんな…///)

 

 なお、当の3人にとって効果は抜群であり、スズミはスカートの裾を握り締めながら視線を右往左往させ、チナツは胸に軽く握った拳を当てて頬を赤くしながら目をしばたたかせ、ハスミは必死でポーカーフェイスを作るも、赤面しているため恥ずかしがっているのがバレバレだった。

 

「ご…ゴホンっ!い、いえ!寧ろ此方がお礼を言わせてください。先生には色々と助けていただきましたし…」

 

「は、はい!不安でいっぱいだった私に、激励の御言葉を掛けてくださりまして…」

 

「狙撃手としての心構えを、先生は改めて教えてくださりました。少々、活動的に過ぎる御方…ではありますが」

 

 戦闘の様子を思い返しながら、各々ゼウスへの心情を話す。

 

「はぁ~…。滅茶苦茶教官の仕事してんじゃん。ま、あいつ面倒見が良いからな…」

 

「…」

 

 片や呆れ、片や無表情ではあるが改めて総帥の器量を思い知る。…それも束の間。

 

「……先生?」

 

 生徒たちの言葉に混じっていた単語をハデスが訊き返した、その直後。

 

――ドガァァァァァンッ!!

 

「きゃあぁぁぁッ!?」

 

 破壊音と共に、彼らの背後の外壁がぶち破られ、瓦礫や土煙に混じって人影が吹き飛ばされてきた。

 吹き飛んだその人影は、小銃を抱えながら道路を二転三転し、傷む身体に鞭打って何とか立ち上がる。

 

「な、何!?]

 

「ワカモ…!?」

 

 黒を基調とした和服、狐面、銃剣を取り付けた古風なボルトアクションライフルが特徴的なその少女は、紛れもなく孤坂ワカモ…今回の騒ぎを起こした主犯に間違いない。

 突然の登場に、ユウカたちは得物を手に構える。

 

「うおっ!?ケモ耳美少女だ!写真撮れ!写真!」

 

「副総帥!俺にも撮らせてください!」

 

「頼んだら触らせてくれないかなぁ!?」

 

「…って、何暢気なこと言ってるんですか!?」

 

 "エリュシオン"陣営といえば、副総帥をはじめ男共が軍用端末のカメラ機能で写真撮影。

 自らと彼らの温度差に、思わずユウカが突っ込む。レートーをはじめとした"エリュシオン"女性陣は、無言で銃を構えている。

 

「ユウカちゃん。確か、この子が主犯だって?」

 

「え、あ、はい!代行がそう言ってましたから!」

 

 仕事モードに戻り、端末を懐に仕舞ったハデスが問いかける。

 ワカモへ鼻の下を伸ばしていたときとは違った、真面目そうな彼にギャップを感じつつも、問いかけられたユウカは肯定した。

 

「女の子にはあまり手を上げたくなかったが、しょうがねぇよな…」

 

 左腰のホルダーからM1887を引き抜き、スピンコック。そのまま右手で構え、照準をワカモに合わせた。

 

「待て、ハデス」

 

「あん?」

 

 壁に開いた大穴から声がかかり、その方へ顔を向けるハデス。立ち込める土煙の中から、ゆっくりとゼウスが姿を現した。

 細かい破片を踏みしめながら、ゆっくりとワカモと相対する。

 

「俺がやる。中々、面白い相手だからな」

 

「…全く。相変わらず、お前は頭が回るタイプの戦闘狂だなホント…」

 

 普段無表情なゼウスにしては珍しい、口角を上げながらの言葉に、ハデスは呆れながら銃を降ろして退いた。

 

「はいはい!念のため、全員避難体勢!」

 

「え…先生お一人で戦うつもりですか!?あのワカモは、今回のような事件を何度も起こしている、問題児中の問題児です!先の不良たちとは比較にならない相手なんですよ!?」

 

「いくら先生でも、"災厄の狐"が相手では…!」

 

 ゼウスとワカモを除いた全員に退避を指示するハデスに、ハスミが叫ぶように抗議し、チナツも彼女に同意した。

 不良相手に無双したとはいえ、ワカモはそれらとは一線を画した――それこそ蟻と巨象くらいの差である――凶悪犯。多少身体能力が高くとも、所詮ヘイローのないキヴォトス外部の者に過ぎないゼウスでは勝てない…と、言外に訴えている。

 

「大丈夫だって。君らも見ただろ?ゼウスは負けねぇって。…まぁ、そこまで心配なら、援護射撃の準備位はしといたら?」

 

「え、あ、ちょ…!」

 

「しかし…!」

 

 あれよあれよという間に、ハデスとレートーは生徒たちを下がらせ、周りの兵士もワカモへ銃を向けながら、障害物の後ろへ身を潜める。

 彼らに緊張感はそれほどなく、一部の古株に至っては格闘技の試合でも観戦するかのように振舞っていた。

 そんな周囲の様子を尻目に、両者は向かい合う。

 

「さぁ、"災厄の狐"とやら。…第二ラウンドと行くか」

 

「…本当なら、今すぐにでも逃げたいところですが、そうもいかないようですね…」

 

 IST-15.5を構えたゼウスの言葉に対し、ワカモは仮面の裏で汗を垂らしながら覚悟を決めたように呟き、銃剣の切先を相手に向けるのだった。




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