転生者様、只今実力至上主義の教室にて在学中   作:バナナマフィン

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人気があれば続けていきたいと思います。


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 突然変な事を聞くが、皆様は皆さんは『転生』という言葉をご存知だろうか。

 

転生―――それは、肉体が生物学的な死を迎えた後には、魂は違った形態や肉体を得て新しい生活を送るという、哲学的、宗教的な概念。新生や生まれ変わりとも呼ばれ、数多くの宗教の教義としても取り挙げられている事。

 

 良く世界の物理学者や頭の良い人はこういった事は信じないだろう。だが『転生』は実在する。

 

 何故なら俺は一度死んでそれを経験している、所謂『転生者』だからだ。

 

 死んだ時の記憶は未だに覚えている。そう…仕事終わり、会社から疲れて車で帰ろうとしていた時、正面から暴走していたトラックが突っ込んで来たのだ。疲れていた事もあって、不注意だった俺は避ける事も何も出来ず、そのままトラックと正面衝突。即死だった。

 

だがその後、俺が目にしたのは天国でも地獄でもなく。どこぞのダンブルドアの様な一人の爺さんだった。

 

 そして、その後ラノベとかで有る展開の通り、俺は爺さんから『生まれ変わるか』『天国に行くか』の選択を与えられた。24歳そこらで死んでしまった俺は、生への未練もあり、「再び生きられるなら」と転生する事を選んだ訳だ。だが今思えばその決断は少し軽率だったのかもしれない。

 

 転生なんて数々の物語で使い古された非常にありふれた陳腐な設定。俗に言うテンプレと言うモノ。その証拠に小説サイトを漁って見れば殆ど作品いコレが使われているジャンルだったりする。だけどやっぱり転生と言うのは夢とロマンに溢れる物であり、俺も何かしらの事で死んだら異世界転生したいと半分冗談でボヤいた事もあった。

 

 だが実際に転生させられ、赤子の状態で自意識があるというのは非常に苦痛だ。考えてもみてほしい。一人で歩くことも出来ず、言語も発せず、ただ泣きわめいて食事や糞尿の処理を他人にしてもらう日々を。

 

 あの時会ったどこぞのダンブルドアの様なジジイは「来世で幸せに」と言っていたが、今現在は非常に幸せではない。

 

 ああ、また今日三度目のオムツ交換だ····恨むぞカミサマ····。

 

 そんな呪怨を天に祈ってから15年が経った、いやはや前世と合わせるとすっかりアラサーになってしまった。いやここまで本当に大変だった、赤子の頃も大変だったけど、幼稚園での幼児ノリとかもう完全に黒歴史だ。二度とやりたくない、思い出すだけでも死にたくなる。

 

 それはさておき、この世界は前世とほとんど変わりはなかった。中世的な異世界ではないし、ロボットが当たり前にいるような未来の世界でもない。

 

 しかも、自分が生まれたのが日本かつ前世と同じ地域だったので、もしや自分が生きていた世界と同じでは?と、自分が住んでいた家があった場所まで行ってみたが、そこには立派な学校が建設されていたので、あくまで並行世界みたいな感じなんだと思う。

 

 しかし、この世界に生れ落ちてから彼是15年、本当に色々な事が有ったものだ。転生して解った事だが、どうやら俺は前世よりハイスペックになっている様だ。転生した時に神様が俺に加護の様なモノを与えたのか、詳しい事は解らない。だが学校での運動会や体育の授業では常に1番を取っており、視力も3.0とマサイ族並み、学校のテストなどの勉強に関しても、前世の記憶が合わさってか、存外苦労しなかったし、一度見たものは瞬間的に記憶できるのだ。

 

 こんな新しい人生に、前とは全く違うスペックをした自分。最初こそは特になにも思うことなく、前世より少しいい生活をしてそのまま生涯を終えようとも考えた。だが人間とは案外調子にのるもので、いつの日か俺は自分の力を使って、自分の人生を前世より楽しく、日々を面白可笑しく生きていこうと考えた。

 

 思えばこのチートスペックで色々滅茶苦茶な事をしたものだ。中学1年の頃にはまだ空手初めて1か月くらいなのに、負け知らずで有名な黒帯の男子をぶっ飛ばして空手の全国大会にも優勝して新聞にも載ったっけ。

 

 中学2年の頃なんか世直しがてら近隣地域を縄張りにしている暴走族とかヤクザのアジトにカチコミしに行ったりしていたし、ホントあの時は破天荒な事をしてたな……でもその分楽しかった。

 

 だけど中学3年になると受験という事もあって、周りがピリ付き始め、それほどハジケられる空気は無くなって来る。俺も前世ではあまり勉強ができる方じゃなかったし、この頭脳を活かしてできるだけ良い高校に進学したいと思い、真面目に高校受験に取り組んでいた。

 

 と言ってもそれ程大した努力はしていない。チート頭脳なので一流の国立学校に行くだけの学力もあったし、むしろ何処の高校に進学するか選り好みできた程だ。だが志望校を探すに当たって各地の高校を見て回っていた時、俺は一冊のパンフレットを見て雷に撃たれた。

 

 高度育成高等学校

 

 かつて前世で読んでいたライトノベル、『ようこそ実力至上主義の教室へ』の舞台となる学校。それが国立高校として現実世界に存在していたのだ。案の定パンフレットなどの資料には設備や簡単な説明だけでSシステムなど重要な事は書いてない、だが制服や学校の外観など全てライトノベルで見たモノと同じであり、間違いなく自分の知っている本物だ。この時になって今更かもしれないが、俺はきっと二次創作などで見られるタイプの転生をしたのだと気が付いた。

 

 『ようこそ実力至上主義の教室へ』この作品は外界から完全に遮断された全寮制の国立高校と言う世界で繰り広げられる物語であり、俗に言う学園モノの作品だ。

 

 この物語のあらすじを簡単に説明すると、この作品の舞台となる高度育成高等学校では入学した生徒は入学時、学力や素行、身体能力などを学校側からAからDまでのクラスに序列をつけられて評価され、その4つのクラスは様々な試験などを通して互いの実力を競い合うと言うものだ。

 

 そしてこの物語の主人公である綾小路清隆も『不良品』と揶揄されるDクラスで、Aクラスへの下克上を狙う事になるのだが、実はこの綾小路清隆は主人公なのに中々のサイコパスで、彼は正体は天才を人工的に創り出す『ホワイトルーム』という非人道的な施設で育ち、その施設の最高傑作と呼ばれる存在なのである。それ故か最後に自分が勝つことだけを目標とし、人を道具としか認識しておらず利用し使えなくなれば平気で切り捨てる。俗に言うラスボス系主人公なのだ。

 

 しかも面倒な事に曲者なのは主人公だけではない、坂柳有栖や龍園翔など、この綾小路の他にも平気でヤバい奴ら学校内ではウジャウジャ居る。そのせいか物語の中ではやはり実力至上主義の学校と言う事も有り、実力が無いものは淘汰され、不憫な扱いを受けたり、最悪の場合は退学してしまうキャラも存在する。

 

 前世で読者としての立場ではそう言ったキャラを見てもフィクションの1つとして割り切っていたし、それなりに楽しむ事は出来ていた。だが今は違う、かつて読んでいた物語は現実で、登場していたキャラは血の通った生身の人間なのだ。同じ世界で、しかも手の届くのに放っておくなんて、到底できない。

 

 じゃあ俺は何をするべきか、そんな事『ようこそ実力至上主義の教室』の世界に転生した事を知った時から、ずっと解っている。

 

 前世で培った原作知識と、この優れたスペックを使って、この物語を少しでも自分の納得できる展開に変えていく。

 

 この世界でこれから先、報われず、不憫な思いをするだろうキャラを救済し、身勝手で報いを受けるべきキャラには天罰を下す。合理的で冷徹な事を求められる学校で有っても、俺だけは道徳と人情を忘れないで行動して『ようこそ実力至上主義の教室』の世界を少しだけでも変えて見せる。これは思い上がりかも知れないが、もしかしたら神様はこのために俺を転生させたのかもしれない。きっと天命とはこういう事を言うのだろう。

 

 高度育成高等学校には無事合格した。いよいよ明日は入学式だ。遂に明日から本格的に物語が始まる。正直不安だ。今の俺でも助けられないキャラが居るかもしれない、そもそもコレは単純な俺のエゴだ。利己的で身勝手で独善的な自分が暴走してしまうかもしれない。だけど精一杯やろう。それに折角の二度目の高校生活なのだ、今度こそ前世の様にやり残したことがない様に、悔いの残らない様に思いっきり楽しもう。

 

 俺は強い決意と少しの不安を胸に抱きながら、眼を閉じて深呼吸し、熱くなる胸をどうにか宥める。今から数時間後には既に物語が始まり、俺はそこに介入する。やばいな……なんかそう考えたら緊張してきた。

 

 大丈夫、今の俺なら上手くやれる。

 

 緊張を散らす為にそう自分に言い聞かせ、ベッドの上に転がり込む。時刻は現在午後11時、俺はこれから先の期待と不安を感じながらも明日に備えるために眼を瞑り、少しの間の眠りに就くのだった。

 




申し訳ございません、誤って削除してしまったらしいので再投稿します。

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