追放された錬金屋さん、しっかり貰ってた転生チートで神器量産中~村に置いてきた習作が【成長】して村人全員S級冒険者になってました…え?俺も?~   作:好芥春日

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11:手をついて詫び――

「ただの一般人? ふざけてんのか、てめぇ……。許可証見せろ、許可証」

 

 錬金術師の男は、面倒くさそうにそう言ってきた。

 

「ほら、これこれ」

 

 言われた通り、首から下げたカードを見せびらかす。基地な入る前にラーシアから渡されていたものだ。

 男は目を細めて、顔を突き出し、それからため息を付いた。

 

「見えねぇよバカが。こっちにこい。ちゃんと確認させろ」

 

 なんだこいつ。いやに律儀だな。

 まあでも工房に入ってもいいなら願ったり叶ったりだ。

 お邪魔しますと、薄暗い室内へと入場。んー、インクと薬品と、鉄のにおい。人様の錬金工房はワクワクしますな。

 おっと、寄り道して、怒ってる人をさらに怒らせるのは得策じゃない。

 素直に男の前にやってきて、また許可証を提示する。

 

「ふーん、あっそ」

 

 どれどれ。とカードを手に取って確かめる男……。

 そして、男は唐突に、カードを両手で持って、ビリっと破いてしまった。

 

「……んん?」

 

 余りにも意味が分からな過ぎて、変な声が出た。

 すると男は、隣にたたずむ弱気な憲兵に一言。

 

「おい、不法侵入者だぞ。とっ捕まえろ」

 

「はい?」

 

 弱気な憲兵も変な声を出していた。

 だが実際、この状況で、一番変な奴は、俺たちじゃない。

 このちょっとサイコパスじみた錬金術師の男だ。こっわ。

 男は俺たちの反応が不服だったようで、眉根をひそめて、大声を出した。

 

「おい! 俺が捕まえろって言ってるだろうが! 許可証もなしに憲兵団の基地を歩く不届き者だ! 早くしろ!」

 

「え……許可証、ありました……よね? ラルフ殿が破いてしまいましたが……」

 

「俺が破いた? は? 証拠あんの? 今現在、許可証もなく基地内に一般人がいることの方が紛れもない事実じゃないんですかぁ!?」

 

 この男はラルフというようだが……イカレてらぁ。

 自分で俺の許可証許可証を破いておきながら、俺が許可証を不所持だから捕まえろだなんて、頭のネジがぶっ飛んでんな……。

 こんな奴がどうして、のうのうと憲兵団の仕事任されてんだ……。

 

「あーウゼェな! なんで俺の言うこと聞かねぇんだお前! バカなのか!? もういい……こいつの処罰は俺がする! 基地内不法侵入は殺されたって文句は言えねえんだからな! 手をついて詫びれば殺しはしないでおいてやってもいいが!?」

 

 ラルフはさっき自分が仕上げた剣を憲兵から奪い、俺に突き立ててきた。

 もう何でもありだなこいつ。

 殺される前に、手をついて詫びてもいいが……。

 いや、それはだめだな。ある程度のプライドを維持しとかないと、アナに怒られる。

 

 なので俺は、ゆっくりと、床に手をついた。

 

「ははははは! 無様だなお前! さあ詫びろ! 命乞いをしろ! この俺を崇め敬え! はーっはははははは!」

 

 俺は、頭上から降ってくるやかましい雑音をぐっとこらえて、口を開く。

 

「【修復《リペア》】」

 

「は?」

 

 途端に弾ける稲妻のような錬成光。

 二人はいきなりの発光に驚いて数歩下がったようだが、その頃には、既に【修復《リペア》】は完了して、辺りはこれまで通りの景色となっていた。

 

「はい、許可証。これがあればいいんだろ?」

 

「な……っ! お前、錬金術師だったのか!」

 

 俺が直したのは、床に散らばった許可証の残骸だ。ご丁寧に紙ふぶき大にまで千切ってくれたものだから全部引っ付けるのは面倒だったが、まあ例えるなら、ベッドに入って十分後くらいの尿意くらいの面倒くささだ。

 難しいわけじゃない。

 

 ついでに、錬金術師だってバレたし、こいつムカツクから遠慮はしないが……こいつが【修復《リペア》】した剣の、なんてひどい仕上がりなことだ。

 錬成陣の解析をするまでもなく、まるで教科書通りの錬金術だと分かる。

 

 錬金術はアドリブが命。

 【修復《リペア》】にしたって、武器毎に症状は変わってくる。教科書に書いてある通りだからって、何にでも併用できると思ったら大間違いだ。ほら、遠目からでも刃こぼれが目立っているぞ。

 

 あと、錬成陣の繋がりが弱い。

 ぱっと見は奇麗に帰結しているが、各所に綻びが生じている。集中力が足りない証拠だな。ちょっとつついてやればすぐに反転錬金術でボロ錆にしてやれる。

 あと……ああ、そういえば【アップデート】もしといたと言っていたな。

 

 ……これに関しては、まあ、気にしなくていい程度の些細な変化しか起こしていないな。

 ちょっと他の剣よりも刀身が『ひんやり』しているだけ。夏場にこれを持って訓練に出た奴はラッキーって感じかな。

 

「ラルフくん。君、学生? 筋はいいけど、ちょっと雑だなー。単純作業を繰り返して集中力を鍛えるといいぞ」

 

「……だっ……」

 

「だ?」

 

「誰に向かってモノ言ってんだ貴様あああああああっ!」

 

 やべ。錬金術師の先輩として、上から目線でついつい指導しちゃった。

 そしたらプライドを傷つけたみたいで、ラルフは血管切れそうなほどブチギレた。

 手に持つ剣で、力任せに俺に斬りかかってくるので、俺もやむを得ず……。

 

「反転錬金術」

 

 剣の錬成陣を書き換えて、ボロ錆にしてやった。

 剣は俺に当たる前にポキっと折れて、ラルフが掴む柄すらボロボロに崩れて、ぐしゃっと床に零れ落ちた。

 

「はああああああああああ!? なんじゃこりゃああああああ!?」

 

 ラルフ君の悲鳴が、薄暗い工房に響き渡った。

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