追放された錬金屋さん、しっかり貰ってた転生チートで神器量産中~村に置いてきた習作が【成長】して村人全員S級冒険者になってました…え?俺も?~   作:好芥春日

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12:安請け合い

「貴様ああああああ! 何しやがった! どうして剣が!?」

 

「何って……錬金術に決まってるだろ」

 

「いやだから! 錬金術で! どうやって……!?」

 

 ラルフ君は本気で意味がわからないらしく、頭にハテナを浮かべたまま、現状に驚愕と焦燥を浮かべていた。

 マジで理解できないのか? こんなの田舎錬金術師の母さんに教えてもらえるくらい、錬金術にとって常識的なことだぞ。

 

「創造は破壊から生まれ、破壊へと向かう」

 

「な、なんだよそれ……急に、意味わかんねぇこと言いやがって!」

 

 錬金術師を志す者が一番最初に訓えられる錬金術の理念だよ。

 こいつ本当に錬金術師か?

 

「知らないなら、これを期に覚えときな。錬金術師にとって、破壊こそ心理だ。むしろ破壊の過程に、創造という奇跡が生まれるに過ぎない。錬金術を真に追い求めたければ、直す以上に壊すことだな」

 

「ぐっ! せ、説教をしろと言った覚えはないぞ貴様……!」

 

 おっと、またおせっかい。

 だがラルフ君はこれ以上、俺に対する成す術がなく、現状を受け入れて、歯噛みするしかなくなっていた。

 そこへ、工房のドアを勢いよく開く音が聞こえ、俺もラルフ君もそちらに目を向ける。

 

「ダイア様! ご無事ですか!」

 

 多少の逆光で輪郭しかわからないが、声でラーシアであることがわかる。ああ、俺がこの工房に入ってきたときに、ラルフ君が許可証の有無を判断できなかったってのは本当のようだなと、心の中で独りごちた。

 

 彼女の隣にはもう一つの影。そういえば、さっきまでここにいた憲兵がいない。きっと彼がラーシアを呼びに行ってくれたのだ。

 

「ラーシア第三隊長か! どういうことか説明しろ! こいつは何者だァ!」

 

 ラルフ君が近くで怒鳴るので、たまらず耳を押さえた。

 ラーシアは、輪郭だけでも、深いため息をついていた。つかつかとこちらに歩み寄り、ようやく顔を認識できる距離まで来ると、その表情にはあからさまな侮蔑の意思が感じ取れる。

 

 まず発した言葉は、俺の安否の確認だった。

 それに問題ないことを告げると、彼女はほっと胸をなでおろす。それからすぐに、目じりを吊り上げてラルフ君を睨んだ。

 

「ラルフ様、此度の客人に対する無礼、流石に許容できません。しかるべき報いがあるとお考え下さい」

 

「そんなことはどうでもいい! それより、こいつは何者だ! 答えろ!」

 

 しかるべき報い。そんな言葉を憲兵団の隊長に言われて、平然としてのけるか。

 ラルフ君の胆力がなせる業か、それとも、その言質をもみ消すことができるほどの権力を持っているのか……。

 ラーシアのため息からは、それらを考察するまでには至らない。

 

「……このお方は、護衛騎士ナージャ様が【神器】である『ノックスハート』の製造者です」

 

「な、なんだって……?」

 

 ラーシアの言葉を聞いた瞬間、ラルフ君は真顔になった。

 俺もそんなにやすやすと広められたくないので、真顔になって焦る。

 

「いや、どう考えたって嘘くさいだろ! 騙されてるぞ、ラーシア第三隊長!」

 

「ごもっとも」

 

 ラルフ君のあまりに正当な判断すぎて、同意してしまった。

 ラーシアが「茶化すな」と目で訴えてくるので、怖いのですぐに黙る。

 

「ラルフ様、これは大問題ですよ。もし、まかり間違ってダイア様を死傷たらしめたとすれば、この国における大損失。その重責は、到底ラルフ様一人に背負いきれるものではありません。わかっておられますか?」

 

 淡々と状況を説明するラーシアの圧力と、言葉の内容自体の重さに、ラルフ君はたじろいだ。しかし、すぐにまた強気な姿勢に戻った。

 

「ふん! もしこいつが本物の【神器】の製造者なら、貴様の言うこともわかるぞ、ラーシア第三隊長! だがそんなことあるわけがない! こいつは詐欺師だ! 貴様、詐欺師の言葉を信じて俺を責めたな! 父上にはしっかりと報告させてもらうからな!」

 

 父上に報告ときたか。なかなかに小物感が出てきたが、実際に権力者の息子はそれがあるから強い。

 それに、現状、俺が【神器】を作ったという明確な証拠がないため、その言い分はむしろ正しいんだよな……。

 

「それとも、そこまで言うんだ。何か証拠でもあるっていうのか?」

 

「ふむ。確かに証拠はありませんね……」

 

「だろう!? ほら見ろ詐欺師だ! 違うと言うなら今すぐ【神器】を造ってみせろ! それができたら信じてやるぞ!」

 

 こいつ、自分の形成が良さそうだと判断すると急に余裕ぶった態度になるのな。嫌な奴だなあ。

 ラーシアは毅然と答えるのみである。

 

「それは無理でしょう。【神器】は使用と共に成長していく武器です。ダイア様が武器と【アップデート】したからといって、初めから【神器】となることではないでしょう」

 

「いいや、ここで押し問答していてもらちが明かない! おい貴様! 【神器】を造ってみせろ! さあ早く! どうした! できないか! できないよな!」

 

 できるかできないか。そう聞かれれば、まあ……。

 やってみなくちゃわからないというのが実状なのである。

 ……やってみるか?

 

「わかった。その代わり、一週間待ってもらうが、それでもいいなら、造ってやってもいいぞ」

 

「くくく……一週間だな? いいぞ。俺は寛容だからな! だが、その時が貴様の最後だ! おーっと、逃げられないよう、お前には監視をつけさせてもらう! ラーシア第三隊長! 貴様も首を洗って待っていろよ!」

 

 ラルフ君が吠えて、こうして俺は【神器】の製造をすることとなった。

 まあ一週間。まず無理だ。俺が村で【アップデート】した武器も現在、それくらいの時間は経ったが、まだ全然変化が見られない。

 

 だけど一週間後には、ナージャがくる。

 ナージャに状況を説明して貰えば、全て解決するさ。

 

 ……来るよね?

 ナージャ……。そういえば、ラーシアは全然教えてくれなかったけど……?




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