追放された錬金屋さん、しっかり貰ってた転生チートで神器量産中~村に置いてきた習作が【成長】して村人全員S級冒険者になってました…え?俺も?~   作:好芥春日

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4:これってもしかして→転生チート?

「ダイアお兄ちゃんが帰ってきたってホント!?」

 

 しばらく母さんと話をしていたら、急にドアを開け放ちつつ大声で俺を探す声がした。

 姿を確認するまでもなく、誰だかわかった。六年前から変わらない元気少女。

 玄関を振り向けば案の定……。

 

 いや、だいぶ、大きくなったな……。

 当時十歳。ちっちゃい赤毛のツインテール少女は、身長はすっかり年相応に、体つきは、かなり大人びて……赤毛のツインテールはそのままに、すっかり、美人になった近所の女の子がそこにはいた。

 ルイジアナ。みんなからはアナと呼ばれている。

 

「アナ。ずいぶんとまあ、大きくなったな……」

 

「あー! いた! ダイアお兄ちゃん! 死んだかと思ってたのにー!」

 

 本当にもう、その件につきましてはマジでごめん。

 体は大きくなっても、俺にべったりだった六年前と同じように、泣きべそをかきながら抱き着いてくるかわいい妹分だ。あの頃と変わらず俺を受け入れてくれて、嬉しさ半分。とまどい半分。

 女っぽさが際立って、なんか照れくさい。

 

「もー! 生きてるなら、みんなだって外に飛び出したりしなかったと思うんだけどなー!」

 

「みんな? そういえば、この村出身のみんなは冒険者になったりいろいろ活躍してるって聞いたぞ」

 

「そう! ピピとかナージャとか、みんな大活躍! 誰かさんと違って、こまめにお手紙くれるもんねー!」

 

 アナは俺の背におぶさるような姿勢で……それ、楽か? まあ嬉しそうな様子で俺に絡みつつ、チクリと言葉を投げつつ、リーベ村出身の活躍を話してくれた。

 まるで自分のことのように、アナは無邪気に笑って報告してくれた。

 

「みんな、手紙の最後の方じゃいつも言ってるよ。ダイアお兄ちゃんが残してくれた武器のおかげだって。いつもお兄ちゃんが守ってくれているんだって!」

 

 そう。母さんの話もアナの話も、口裏を合わせたかのように同じことを言ってのけるのだ。

 つまり、俺の武器が【成長】して、最強クラスまで進化していったと。

 

 あの日本刀だけじゃない。

 俺が【アップデート】してこの村に残していった武器の全てが、同じように変化していったのだという。

 

「いやいや、みんなの才能が開花しただけさ。でも、俺のおかげと言ってくれるなら嬉しいけどね」

 

 職人冥利につきる言葉だ。

 自分で勝手に成長していく武器なんて確かに最高だ。俺が求める究極の武器の形に近しい。

 だが、その性能を最大限に発揮するのは、やはり使い手次第。

 俺はそんな才能の背中を少し押してやったくらいのお力添えだ。勝手に高みに上ったのは、彼女たちだ。

 

「ちなみに、私の剣も進化してるんだからね!」

 

「ええ……マジでどうなってんだよ……どれ、見せてみろ」

 

 アナにも武器をくれてやったことはあるが、それだってもう、十年くらい前か? 小さな獲物を捕らえる用に仕上げたナイフだったと記憶している。もし一人で危なくなっても身を守れるように、スタンガンのような電流も流れる【アップデート】を施したものだ。

 

「はいこれ」

 

 出してきたのは、一対の双剣。

 一本どっから生えてきた?

 

「使ってるうちになんか分裂したの!」

 

 そうかそうか。分裂したのか。

 分裂して、元々ナイフだったものが、刃渡りも長くなって、赤と青のデザインになって、あとやはり、めちゃくちゃに複雑な錬成陣が絡まりあって構築されている。

 

 こんな錬金術、俺は知らない。

 いや成長していく武器だ。錬成陣もそれに合わせて、自動で構築されていくのだろう。知らんけど。

 

 —―これ、もしかして、あれか?

 こんなとんでもない能力は見たことも聞いたこともない。俺は母さんから教わった錬金術しか知らないというのに、なぜか俺が【アップデート】した武器だけが【成長】するという謎現象。

 

 あれか?

 俺が転生者だからか――?

 俺を、この世界に転生させた何者かが干渉して、俺にこのチートみたいな能力を授けた……?

 

「私もね。本当は、この『ノーザンサウス』と一緒に、冒険者になろうかなって、思ったこともあるんだよ」

 

 なんて? ……ああ、武器の名前か。愛でるように刀身を撫でながらそう言うので、たぶんそうだろう。

 でも確かに、こんな強そうな武器を手にしたら、試したくなる気持ちもわかる。

 それをアナは、どうしてしなかったんだろう。

 

「今、めちゃくちゃ凄いこと言うよ? いい? 絶対に驚くからね?」

 

「おう、なんだ」

 

 もったいぶってニヤニヤと、可愛らしく笑うアナ。

 俺までつられて、笑っちまう。

 

「えへへ……! なんとなく、ダイアお兄ちゃんが、帰ってくるような気がしてたんだよね! だから、それまで、待っていようと思ってたんだー! そしたら! なんとお兄ちゃん、本当に帰ってきちゃった!」

 

 えへへ! すごいでしょ!? 死んだって思ってたのに、なんだか帰ってくる気がしたんだよ!?

 

 言った本人が大興奮で、顔を真っ赤にして飛び跳ねていた。

 本当に……心配かけたよ。すまん。

 俺が生きてるってだけで、こんなにも喜んでくれる子がいる。本気で叱ってくれる母がいる……。

 なんだよ、仲間に裏切られたくらいで落ち込んで……。

 

 普通に俺、幸せモノじゃねえか。

 

「ま、ダイアお兄ちゃんが生きてて、晴れて戻ってきてくれたわけだし? 私も意地になるの、もうやめよっかなー」

 

 ふと、アナは急に神妙に言葉尻をすぼながら言った。

 

「実はね。ずっとナージャから誘われてるんだよね。……王女様の護衛騎士にならないかって」

 

「え、マジか! 凄いじゃないか! てかナージャの奴、外部から人を引き入れられるほどの立場なのか……」

 

「うん。だから、行こうかなって、思うんだよね……」

 

 そうか……。そうだよな。

 アナは、アナ自信の人生を、きちんと歩むべきだ。俺なんかにかまけてないで……。今までだって、俺なんかを信じて、六年も無駄に足踏みしていたのだ。

 もう、俺という枷をはずして、飛び立つべきだ。

 

「だからさ! ダイアお兄ちゃんも一緒に行こうよ! 久しぶりに、ナージャにもきちんと顔を見せてあげてよ! あの子、本当にお兄ちゃんのこと心配してたんだからね!」

 

「え!? 俺も一緒に行くの!?」

 

「うん! それでさ……王都でお店開いちゃおうよ! 最強の武器を量産する錬金屋さん!」

 

 いやいやいや……。なんだその突飛な発想は……。

 

 めちゃくちゃそそられるじゃねえか!




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