ウマ娘がTRPGを遊ぶだけのはずだった。   作:稗田之蛙

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零:プレイ開始前
0.導入『ルールブック発見』


「ん……」

 チームスピカに所属する名もなきウマ娘の一人が、部室の隅っこでホコリを被ってた本に気がついた。

「なんだこれ。鈍器か? ……いや、辞書か?」

 スピカに遊びにきていた《キングヘイロー》《ハルウララ》《ライスシャワー》《セイウンスカイ》《カレンチャン》は、分厚い本をぶんぶん振っている彼女の様子を覗き込みにきた。

「どうしたの?」

「なになに?」

 名もなきウマ娘は、表紙を見て五人に説明する。

「えーっと……てぃーあーるぴーじー? こーるおぶ…… なんちゃら。不気味な緑のタコが描いてあるヤツ」

「テーブルトークロールプレイングゲーム、ってヤツだね。卓を囲んで遊ぶやつ」

 一同が首を傾げる中、セイウンスカイがTRPGの意味を説明する。

「ほら、ゲーム機でロールプレイングゲームってあるでしょ? 戦闘とか、イベントとかはコンピューターが処理してくれる……それをダイスや紙とペン、人力で処理して遊ぶの。キャラクターの役割になりきりながらね。だから『テーブルトークロールプレイング』。ロールプレイングゲームってジャンルのご先祖様」

 それを聞いたウララは、目を輝かせた。ライスやカレンチャンもその楽しげな振る舞いに、気持ちを引っ張られる。

「ウララ、やってみたい!! たのしそ~♪」

「ら、ライスも……興味があるから遊んでみたい、かな……」

「そうだねっ、せっかくこうやって集まったんだしみんなでやってみよっか♪」

 だがセイウンスカイは……何か危惧するところがあるのか、難色を示すような態度を示した。

「え、いや、でもこういうのってルール難しいから覚えるのが……それにクトゥルフ神話はウララとかには……」

 名もなきウマ娘と一緒に本の整理をしていたキングヘイローは、薄い本を取り出す。

「……『クイックスタート』? あと、シナリオの台本かしら……」

「あぁ……シナリオの方は内容がだいぶ単純そうだな? えぇっと、オカルトとか気持ち悪いお化けの話、じゃない……?」

 シナリオをぺらぺらと読み進める名もなきウマ娘――彼女は「これならば私がゲームマスターをやろう」と五人に打ち明けた。

「どうする、他の三人は乗り気みたいだし……息抜きとしてはちょうどいいんじゃないか。ロールプレイだって、演劇が入るタイプの歌唱の練習に使えるしな」

 キングとスカイは、楽しそうにしているカレンとライスとウララの方を見やった。

 致し方なし、ため息をつくセイウンスカイ。

「はぁ。クリッチャーとか怖いお化けの描写がなくてもR-15やR-18の描写が入りそうになったら一旦ストップかけるからね。いい?」

「え!? テーブルトークロールプレイングゲームってそんなゲームなの!!?」

 キングヘイローは青褪めた顔で、セイウンスカイをぎょっとした目で見つめる。

「いや、えーっと……そういうのもあるってだけの話……」

 

「……スカイさん、なんでそういうの知ってるの?」

「も、もしかしてセイウンスカイさん……そういうのやった事が……?」

「セイウンスカイさん、おっとなー……」

「? ねぇねぇ、なんの話ー?」

 他四人がヒソヒソ話し合っている内に、「セイちゃん横になりますね……」と落ち込みかけるのを、手でパンパンと注意を引いて差し止める名もなきウマ娘。

 

「えぇっと、要は【グロとかエロとか描写は最小限にする。内容は――戦闘とかはあるからちょっとした他人と格闘とか武器を使った戦いが生じる要素はあるかもしれない。でも、暴力的に描写はしない】……それでOK?」

 

 五人はそれで合意した。

 それではルール確認と次は参ろう……。

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