ラウディー:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 2 > 2 > イクストリーム成功
⇒防げなかった場合の小型ナイフ 1d4+1d4(ダメージボーナス)かつ刃物の為、ダメージは12で確定。
⇒ハルウララは応戦の場合はSTRで1を出せば迎撃成功、あるいはDEXでイクストリーム成功を出せば回避成功、あるいは……。
ハルウララに刃が向いた瞬間、ノボジャックが肩でラウディーに対して体当たりした。
「……!!!」
とっさ、完璧な動作に隙が生じる。その隙を晒した彼女は、ハルウララはそのまま……
――ハルウララ。応戦の場合は小さな棍棒で手を殴った辺りで1d6+1d4のダメージが与えられる。どうする?
ハルウララ『ううん、攻撃しない』
――……よろしいのかね?
セイウンスカイ『えーっと。応戦の場合はダイスが難しいって事情があるけど、今回はダイス成功してるから応戦――』
ハルウララ『応戦しない』
キングヘイロー『……ウララさん……』
――……なるほど。では描写を続けよう。
隙を晒した彼女を、堂々とした姿勢で見つめ続ける。
その仕草にあっけにとられたラウディーは体当たりしてきたノボジャックの事は敵意を向けるまでに至らず、そのままハルウララに問うた。
「……逃げないの? 今の一瞬で、十分逃げられたでしょう」
「ウララは逃げない」
「……刃物相手に、エナーも守り通すつもり?」
「エナーちゃんも、ジャックちゃんも守る」
それを聞いたラウディーは「そういう事か」と言わんばかりにくっくっくと嗤った。
「あぁ、アンタ。やっぱ見込み通りの凄い子だ。だったら、このまま目論見通りワタシをのしてみせ――」
「ううん、ラウディーちゃんも傷つけたりしない」
ハルウララは、ラウディーにそう言ってファイティングポーズを取る。
ラウディーは、面食らったかのように動きが固まってしまう。
「誰も傷つけず、誰も傷つけさせず、もちろんウララも大怪我なんてせずに……みんながハッピーエンドで。このお話を終わらせてみせるよ」
そういって、受けて立つ――もとい、「あなたの怒りという感情も、わたしが全部受け入れてみせる」と言わんばかりにハルウララは構えを取った。落ちかけた日の光が、彼女の姿を鮮やかに映し出す。
その容姿や言動とは似つかわしくないその黄金の精神力に、ラウディーは目を見開いた。
セイウンスカイ『これ"ウララちゃん"じゃなくて"ウララさん"だァーッッ!!?』
――(GM、セイウンスカイの表現にしばし爆笑) TRPG初めてのプレイヤーのロールプレイの姿か……これが……?
キングヘイロー『……ウマ娘として素晴らしい考えだけど、実際問題どうすればいいのよ……』
ハルウララ『えへへへ! 考えてなかったや! どうしよう!』
カレンチャン『数的不利と戦闘マヌーバ』
ライスシャワー『?』
カレンチャン『えっとね。戦える人がその場に多くいると、ボーナスダイスやペナルティダイスが多い状況があって、それで戦闘マヌーバは相手を押さえつけたり武器を奪ったりとか出来るの』
セイウンスカイ『……つまりはー、まぁ、ウララがどれだけ耐えて。セイちゃん達がどれだけの速さで辿り着けるかですなー。飛び出したには飛び出したけど』
――1ターンと1~3のランダムターンで辿り着ける。
ライスシャワー『……じゃ、じゃあライス達がウララちゃん助けに行くのが要なんだね!!』
カレンチャン『それじゃあ、ねぇねぇGM。万全に戦える人が三人以上組み抑える事に成功すれば無傷で無力化した事ってどうかな? それか床に転ばせた後に、取り押さえか……いずれにせよ。5対1だと、勝ちは見えてるし……リンチで殴りつけるのは"カワイイ"からかけ離れてるからカレン的にはナシにしたいな~?』
――同意だ。良い案だ。他のプレイヤーがこいつを殴り潰してやりたいという気持ちでなければ、採用しよう。
(プレイヤー一同、決して傷つけずにラウディーを無力化する事に同意。カレンチャンのプレイヤーさんがフリー配布の音楽やyoutubeの公式配信系のBGMなどに詳しく、しばし場面に適った音楽談義で盛り上がる。特に話題にあがったBGM*1がプレイヤー複数の琴線に触れた様子で、幾人かはバッググラウンドでラウディー戦ずっとそれを掛けていた様子)
――戦闘処理開始――
1+1d3 (1+1D3) > 1+3[3] > 4
――おわァー!!!
ライスシャワー『さ、最大値……!?』
――しゃーない! 受け入れてもらおう! このターン含め1ターン。つまり4ターン目始まり時には皆が辿り着く事が出来る!
ライスシャワー『そ、そうだ警察官さんもついでに声かけを! あの、婦警さんとか、イトノコさんとか……!!』
――うん、たぶん事情聴取完了しただろうから婦警さんとかの応援で居そうだねイトノコ。所属違うかもだけど。それでも居そう。
セイウンスカイ『検察官の人に給料減らされてそうだなー』
――ハハハハハ。まぁ悪い人じゃないんだ。うん。とりあえずプレイヤーが無力化完了後にたどり着いて、彼らが移送する扱いにしよう。いかがだろうか? 無論、無傷で。
ライスシャワー『は、はい!!』
ハルウララはラウディーの武器を取り上げようとした。
ハルウララ:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 41 > 41 > レギュラー成功
ラウディー:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 70 > 70 > 回避失敗
セイウンスカイ『ホントに"ウララさん"だコレェー!!?』
――ダイスが完璧すぎる。
カレンチャン『頭でGIRLS' LEGEND Uが流れてる……』(GM注釈:ウマ娘の曲。作中のオーケストラアレンジ版の話らしい?)
「刃物なんて、使っちゃだめだよ」
もう使われないように、ハルウララはどこか遠くに投げ捨てた。
「……そのままワタシを脅すのにでも使えばいいのに。ホント、バカ正直だねアンタ……」
――2ターン目――
このターン、ラウディーはハルウララと同じようにファイティングポーズを取る。
「どっちかっていうと、こっちの方が好きなんだ。ナイフなんて危なっかしいモノ、性に合わなくて仕方がなくてさ!」
意気揚々、ラウディーはハルウララを相手取って近接戦を楽しみ始める。
ラウディー:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 60 > 60 > レギュラー成功
ハルウララ:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 47 > 47 > レギュラー成功
⇒ウララ、回避重視の為、回避成功。
ハルウララは戦闘マヌーバによって相手を怪我をさせず転倒させるような行動を選ぶ。
ハルウララ:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 61 > 61 > レギュラー成功
ラウディー:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 74 > 74 > 失敗
⇒ラウディー、ウララが回避の際にバランスを崩して地面に転倒をしたという扱いになる。
「大丈夫?!」
「ハッハッハ……舐めんナッ!! 自分の心配をシロ!」
――3ターン目――
このターン、ラウディーは立ち上がるのにターンを要する。ウララは攻撃権を放棄する代わり、相手に対話を要求。
ラウディーが立ち上がるさなか、遠くから幾数人もの救援が駆けつけてくる声が聞こえた。
「ラウディーちゃん……逃げるなら、今が最後のチャンスだよ。このままだと捕まっちゃう。逮捕されちゃうんだよ?」
それは、どこか逃走を促しているように聞こえたのだろう。ラウディーはその言葉を耳に入れた後――ボロボロと涙を流して怯えているフォーエナー、そして痛みをこらえて腕をおさえているノボジャックの方をチラリと見る……。
「イヤァ~、悪役ってのは諦めが悪くッテサ! でも、今からでもエナーの足を踏みつけにして怪我させて、走れなくするっていう最後の芽も……」
「ムリに、悪役ぶらなくていいんだよ……酷い事しちゃったから、みんなに恨まれて終わりたいのかもしれないけど」
「…………ぶってないよ……元々……私は悪役なんだ……」
救援が到着する直前。ラウディーはハルウララに対話を持ちかけてくる。
「ハルウララ。私、やっぱりあなたの事が好きだよ。あなただけは、他と違ってどうしても嫌いになれない。それは本当の本心」
「えへへ~、ありがとう! ラウディーちゃん! 私もラウディーちゃんとお友達になりたいから、そう言ってくれて嬉しい!」
ラウディーはその言葉に、ぎこちない笑みを浮かべた。
「……もっとあなたと早く知り合いたかった……そしたら……」
「そしたら?」
それについてはそれ以上何も言わなかった。そして、他のモノ達が到着寸前の最後。ハルウララに対してこう一言言い残す。
「……エナーの事、どうか宜しくお願いします……機会があれば……カームフェスティバルみたいな。楽しいお祭りにジャックと一緒に連れていってあげてください……」
ハルウララは首を縦に振る。
「うん! その時はラウディーちゃんも一緒に行こうね! ジャックちゃんも! 他のみんなも!!」
――4ターン目――
プレイヤー達の増援到着。
「ハーッハッハ! トレセン学園の皆々様、雁首揃えてきヤガッタ!」
「うん、してやられたけど。これで逆転だ」
ラウディーは高笑いをし、セイウンスカイはひとまずノボジャックの腕の様態をうかがった上で……誰も大怪我といえるモノを負ってない事に安堵する。
キングヘイローは、皆より一歩前に歩み出て腕を組んで仁王立ちする。
「降参、するつもりはないのね? ……捕まるにしたって、ちゃんとエナーさんやジャックさんと話し合う時間くらい持てると思うわよ」
そのように言いのけるが、ラウディーのおどけて傲慢な調子は収まる様子もない。
「ハッ! むしろ全員倒してしまっても構わんのダロウ? かかってきな! その高くて整った鼻っ面へし折ってやる!!」
DEX順に処理していく。
ライスシャワー:CC-1<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 90, 20 > 90 > 失敗
ラウディー:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 27 > 27 > ハード成功
⇒ラウディー、応戦成功。ライスシャワーにダメージ
⇒1d3+1d4 (1D3+1D4) > 1[1]+2[2] > 3
ライスシャワー【HP11⇒8】
「きゃあ!?」
取り押さえる為に、いち早く飛びかかってきたライスシャワーを受け止めた後、アスファルトに叩きつける。
「サァ、きな! 温室育ちチャンドモ!」
一瞬倒れ込んだライスシャワーにストンピングで追撃を加えてくるでもない、カンフー映画のように手のひらを「くい」と引いて挑発してきた。
それはまるで、あくまでプロレスかなにかの延長戦の楽しんでる様子だった。
ハルウララ:CC1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[1] > 30, 30 > 30 > ハード成功
ラウディー:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 23 > 23 > ハード成功
⇒数的不利適用。応戦を選択したため、ラウディーは同成功値だが迎撃失敗。
「ら、ライスちゃんに怪我させちゃだめーっ!」
そう言ってハルウララは必死になって飛びかかり、相手の腕を取り押さえた。
キングヘイロー:CC1<=40 (1D100<=40) ボーナス・ペナルティダイス[1] > 96, 26 > 26 > レギュラー成功
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 16, 6 > 16 > イクストリーム成功
⇒もう片方の腕を取り押さえようとしたキングヘイローを迎撃成功。イクストリームの為、ダメージ処理は7で確定。
⇒最大HPの半分が一気に減った為、キングヘイローは昏倒判定。(本来は死に関わってくる重傷処理入るが、暴力色が強くなるのでこの卓では省略)
キングヘイロー:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 48 > 48 > レギュラー成功
キングヘイロー【HP13⇒6】
「や、やるわね……」
頬をさすりながら、一旦下がるキングヘイロー。
キングヘイロー『ラウディーさん急に強くなってない!!? ボーナスペナルティダイスの差があってアレよ!?』
セイウンスカイ『いや、まぁ。80って本来そういう数値ですから……』
カレンチャン『絶対、逆境に強いタイプだね☆』
ライスシャワー『か、片腕取り押さえられてるのに……』
ハルウララ『み、みんな大怪我だけはしないようにね!?』
セイウンスカイ:CC1<=40 (1D100<=40) ボーナス・ペナルティダイス[1] > 94, 84 > 84 > 失敗
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 44, 74 > 74 > レギュラー成功
⇒もう片方の腕を取り押さえようとしたセイウンスカイを迎撃成功。
⇒1d3+1d4 (1D3+1D4) > 3[3]+1[1] > 4
セイウンスカイ【HP10⇒6】
「この状況でそこまで抗うなんて……思ってたより、ずっとすごい相手だね。ラウディー……」
セイウンスカイ『いや、本当に賞賛するしかないよコレ。前半の流れが嘘みたいだ』
――確率は、収束する……。
カレンチャン:CC1<=70 (1D100<=70) ボーナス・ペナルティダイス[1] > 33, 63 > 33 > ハード成功
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 16, 6 > 16 > イクストリーム成功
――ペナルティダイス一つ受けてイクストリーム発動とかうそやん!!?
カレンチャン『やーん、傷ができちゃった~……プッシュって戦闘中は……』
――できない、ねぇ……ルールブックの仕様に則るならば……。
⇒もう片方の腕を取り押さえようとしたカレンチャンを迎撃成功。イクストリームの為、ダメージ処理は7で確定。
⇒最大HPの半分が一気に減った為、カレンチャンは昏倒判定。
⇒CC<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 59 > 59 > 失敗
カレンチャン:【HP10⇒3】
カレンチャン:【気絶!!】
「きゅ、きゅう……」
カレンチャンは弾き飛ばされ、コンクリートの壁に叩きつけられる。そのまま目を回しながら気を失った。
セイウンスカイ『これは、高を括りすぎたね……GM、そういえばラウディーの手番……』
――うっわ。忘れてた。巻き戻し――は、いいか。相手が余裕ぶって手番遅らせてた事にしよう。
ラウディーはハルウララを引き剥がそうとした。
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 90, 70 > 90 > 失敗
⇒ハルウララに戦闘マヌーバ。失敗。(ハルウララ側は傷つけるくらいしか選択肢がない為、応戦放棄)
――5ターン目――
セイウンスカイ『……えっ、ちょっとまって。全滅あり得るくらい今の状況やばいよ!?』
キングヘイロー『な、なんで追い込まれたら逆に強くなるのよ……』
カレンチャン『ウララちゃん相手だからきっと手加減してたんだよ。ぶーぶー』
――というより80と80がバーサスしてたからこその流れだったのかもしれん。40だとちとボーナスペナルティ込み込みでも抗う可能性はままある。
ライスシャワー『そ、それじゃあ……ライスがどうしても成功させなきゃ……えぇっと』
ライスシャワー:CC<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 83 > 83 > 失敗
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 99, 49 > 99 > 失敗
⇒両者失敗の為そのまま。また、ラウディーはこのターンまた数的不利を受ける。
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 18, 58 > 58 > レギュラー成功
ハルウララ:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 67 > 67 > レギュラー成功
⇒ハルウララは回避選択の為、振り払う戦闘マヌーバ失敗。
「この、離れヤガレッ!!」
「やだっ! だって他の人怪我させ続けてるもん!」
ハルウララ:CC1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[1] > 14, 4 > 4 > イクストリーム成功
ラウディー:CC-1<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[-1] > 29, 89 > 89 > 失敗
⇒もう片方の腕を後ろ手で抱きしめて更に厳重に拘束。ペナルティダイス-2。
――ペナルティ-3になると圧倒的な差だろう。そうなったら無力化成功という事にする。
キングヘイロー『やりたい事があるんだけど、一つ相談いいかしら』
セイウンスカイ『これ以上怪我は嫌だから石投げに徹する?』
キングヘイロー『ちょっと。そんな卑怯なマネしないわよ! 合理的だけど……いや、そうじゃなくて。"想い"って消費すると私達以外の力を借りて、判定を成功させてる形よね? これ』
セイウンスカイ『今までの描写見るに、そうだね』
キングヘイロー『じゃあ……GMさん。使うのを前提に、一つ確認したいのだけれど』
――なんだい?
キングヘイロー『フォーエナーさんに取り押さえてもらう流れを要望する事は可能かしら。…………"強制成功"よね?』
――なるほど………………なるほど……可能だ。やるかい?
キングヘイロー『……えぇ、もちろん』
キングヘイロー【想い1⇒0】
「どうした! まだワタシは完全に取り押さえられてナイヨ!!」
ラウディーはまだ君達に食ってかかろうとしているさなか、フォーエナーがよろよろと立ち上がろうとする。それをキングヘイローが手助けする形で、ラウディーとフォーエナーは対面した。
「姉さん……」
「……え、エナー……」
ナイフや踏みつけで足を負傷させると息巻いていたラウディーだったが、他のウマ娘達相手とは違って応戦する気配がなかった。
「ナンダイ。恨み言の一つでもぶつけようってのかい? ソ・レ・ト・モ、絶縁状代わりにビンタァ~??? イイヨ、きなよ! お姉ちゃんがエナーのやるせない感情受け止めてや――」
挑発じみたふざけた言動を繰り返すラウディーに対して、エナーは真正面から抱きしめた。
「……ハ?」
ラウディーは、妹の行動に正気を疑うような声が出た。何故、濡れ衣を着せようとしていた人物に対して……何故、自分の足に大怪我をさせようとした人物に対して……このように優しく抱きしめられるのか理解が全く出来なかったのだ。
「……姉さん。もう、やめよう……」
「なに、言ってんだい。アンタ……もう、走りたくないって……」
「……私、やっぱり、走りたい……負け続けてもいい……勝てないのは、悔しいけど、悲しいけど……それ以上に、やっぱり、トレセン学園の皆と一緒に居たいんだ……」
「……ハァ? なに、言ってんのエナー。ナンデ。どうしてそんな事言うんだい。アンタ……負けてばっかりで! 今まで見た事ないくらいボロボロ泣いてるのに! 今もこうやって泣いてる! アンタがそんなんじゃぁ――」
その台詞を放ったラウディーに対して、キングヘイローは厳しい顔で一喝した。
「今泣いてるのは、ほかでもないラウディーさん! あなたのせいよ!! この状況で泣くなっていうほうがムリな話だわ!!」
「か、カレンも……兄弟か姉妹に、そんな事されたら、わんわん泣いちゃう自信ある……」
意識を取り戻したカレン含めて、皆もそれに頷く。ひどく表情を崩すラウディー。そんな彼女に対して、エナーはボロボロ泣きながらもほほえみを保とうと必死に向き合う。
「あのね、お姉ちゃん……トリプルティアラ……私なんかじゃ一つも取る事ムリかもしれない……けれど、もう一つ、夢が出来たんだ……」
当たり散らかさず、ラウディーはその話を黙って聞く。
「私、負け続けても、明るく、みんなに……お姉ちゃんにも、夢を、届けてあげたい。あなた達も、"愛されてる"って伝えてあげたい……こんな弱虫の私でも、日の当たる世界があるんだ、って……ハルウララ先輩みたいに強くなって……それで、みんなに……優しい世界を想い描いてほしい……」
ハルウララ『GMー』
――なんだい?
ハルウララ『ウララ、両腕拘束してるよね?』
――うんそうだね。
ハルウララ『……両腕の拘束といちゃったら、またラウディーちゃん、暴れる?』
――…………暴れない。
ハルウララ『よし、じゃあ拘束解除する! いいよね?!』
(一同、承諾)
ハルウララがそっと両腕の戒めを解く。腕を解放されたラウディーはエナーを殴りつけるでも、はたまた他の誰を殴るでもなく。わなわなと震える腕で、ただただエナーの体を、抱きしめた。
「……ラウディーちゃん。皆が来る前にね。ウララにだけ、教えてくれたんだ。『エナーの事、どうか宜しくお願いします……機会があれば……カームフェスティバルみたいな。楽しいお祭りにジャックと一緒に連れていってあげください』って」
ラウディーが少し怯えたようにビクリと震えた。ジャックも驚いたような顔をする。
「ごめんね。ラウディーちゃんはヒミツにしておきたかったんだよね。でも、ウララはちゃんと伝えないといけないって思うんだ。ラウディーちゃんは、"私はこのゲームの一番悪い悪役だ"って演技をしてるけど、ウララは違うと思う。ナイフとかでジャックちゃんを傷つけた事や他の子を手で押したりして怪我させたのは、もちろん悪い事だけど……」
それからハルウララはまっすぐ、ラウディーの目を見つめて言った。
「私は、エナーちゃんやジャックちゃんはもちろん、ラウディーちゃんも助けたい。だから、もう」
一旦言葉を区切ったハルウララは、エナーとサンドイッチする形でラウディーの背中をハグする。
「もう悪役ぶらなくていいの! だって、エナーちゃんはもう大丈夫だもの! ウララ達も、みんなでエナーちゃんの事応援して、見守っていくから、だから、きっと!」
……キングヘイロー、ライスシャワー、セイウンスカイ、カレンチャンは彼女の言葉に頷いた。
それを見聞きして、ラウディーはボロボロと泣き始める。
「だから、嫌いナンダヨ……御人好しドモめ……!!!」
その慟哭を最後に、もう悪意に満ちた声色は聞こえなくなった……そして警察が到着するまでの合間、ずっと三人は抱擁しあっていた。