【1ターン目】
マロリーボット【HP13⇒9】
ハルウララ【HP13⇒12】
セイウンスカイ【HP10⇒9】
キングヘイロー【HP12⇒11】
カレンチャン【HP10⇒9】
ライスシャワー【HP11⇒10】
カレンチャン『まってまってまってまってまって!!』
キングヘイロー『ちょっと!! ラウディーさんみたいな流れで捕まえる流れだと思ったらいきなり何!?』
ライスシャワー『え、この人……黒幕じゃないの?!」
ハルウララ『なんかHPが凄いみんな減り始めたよ!』
(GM注釈:スカイ以外のプレイヤー陣、素でマロリーボットが2話目のラスボスだと思って畳み掛けにいってた様子)
セイウンスカイ『いやー……親しみ易い雰囲気のシナリオで調査方法とかボス戦の感覚とか教え込んでから、2話目でどんでん返し仕込むとはGMもなかなか……』
――何の事だかわからんな。さて、状況説明をしよう。
マロリーボットの装着したヘッドホンからは異様な爆音が鳴り続けている。このダメージはターン開始時にマロリーボットには【HP4】、ソレ以外には1ずつのダメージが固定で加わるほどの音量だ。
HP0以下になれば、マロリーボットは気絶するだろう。そのまま救急車に運ばれて話を聞く機会などないかもしれない。
君達がどうすればこの事態を解決出来るのか、それについてはこちらから提示はしない。それぞれ好きな通りに動いてほしい。
カレンチャン『戦闘開始前にマロリーちゃんがやたら挑発的だったのは「見捨てるのも決して非道徳な選択肢じゃないよ」ってクッション敷いてくれてるんだろうなぁ……』
――……。
キングヘイロー『実際、見捨てる人はいるでしょうね。アレだと……』
セイウンスカイ『でもさ、みんなプレイヤー視点だと見捨てるつもりないんでしょ?』
キングヘイロー『当然』
カレンチャン『キャラクター視点だと憎悪に満ちてるだろうから、たぶんゲーム内のカレンはマロリーちゃん見捨てたいだろうけど、プレイヤーとしては絶対助けてあげたいよ! 正直、誰かに唆されてたっぽい時点で同情しちゃうし……』
――ホント優しいなこのプレイヤー陣。(作中の描写だけを見ればギスギスしてるように映るけど)
(GM注釈:あんだけマロリーが煽ってたのにプレイヤー会話だと見捨てる事を提案する話が一切出なかった)
カレンチャン『あと"想い"が宣言なしに減ってた事について、理由が想像ついちゃったからカレンはあとで作戦会議しておきたい事がある……けど、まずはマロリーちゃんを助けてあげないとね!』
ライスシャワー『な、なら。ライスはマロリーさんのヘッドホンを外して、まずは助け出してあげたいかな……』
――よろしい。しかし相手は何故かヘッドホンを外そうとする事に抵抗してくる。戦闘処理を適用するから、戦闘マヌーバによる処理をお願いする。
ライスシャワー:CC<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 49 > 49 > レギュラー成功
マロリーボット:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 12 > 12 > イクストリーム成功
⇒ヘッドホンを取り上げようとするが、マロリーボットの抵抗によって失敗。
「ま、マロリーさん!! そのヘッドホンを外し――」
「ボクに、触るな!!」
爆音で声が届いてないのか、ライスシャワーの心配すら受け入れてくれない。
ライスシャワー『う、うう……このままだとマロリーボットさんが……』
ハルウララ『あ、じゃあウララね。"想い"使う』
――判断が早い。……OK。では、1減らして強制成功だ。
セイウンスカイ『未経験者組のプレイヤーって、NPC助けたり話をハッピーエンドに持っていこうとする時にこういう限られたリソース消費を即決で出来るのホント強いよね……』
カレンチャン『うーん……やっぱり強い……』
ハルウララ【想い:2⇒1】
では抵抗するマロリーボットを、落ち着かせようとしたのか母親のウマ娘が抱きしめにかかる。
「マロリーちゃん!」
彼女にとっても耐え難い音量だろうに、そんな事は二の次という様子だった。
ハルウララはその隙に、ヘッドホンを取り上げる。
……だが、しかし。まだ爆音は鳴り響いたままだ。
【2ターン目】
マロリーボット【HP9⇒8】
ハルウララ【HP12⇒11】
セイウンスカイ【HP9⇒8】
キングヘイロー【HP11⇒10】
カレンチャン【HP9⇒8】
ライスシャワー【HP10⇒9】
「う、うわわ……!」
ハルウララは、取り上げたはいいもののコレをどうすればいいのか分からずパニック状態になりかけていた。
目眩がするような爆音が手元で鳴り響いているのだから、当然なのかもしれない。
「ウララさん! こっちへ!」
「え、あ、うん!」
ハルウララからヘッドホンをパスされ、キングヘイローがそのまま踏みつけた。
キングヘイロー:CC<=40 (1D100<=40) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 50 > 50 > 失敗
――人類は思い出した。このキングヘイロー、STRがへっぽこなのだと……。
キングヘイロー『誰がへっぽこよ!?』
セイウンスカイ『これウララにそのまま破壊させてた方がよかったヤツですな?』
――いや、まぁ、未行動の子たちはターン消費してないし破壊行動に出てもOKだ。
ライスシャワー:CC<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 13 > 13 > ハード成功
ライスシャワーは庭に置いてある大きな石を両手で持つと、ヘッドホンへと叩きつけて、それを破壊した。
「あぶぇぁっ!?」
足先に石がかすめて、キングヘイローの喉元から変な声が出たのは余談である。
「ご、ごめんなさい……ライス……必死で……」
「い、いえ。いいのよ。ウララさん……ライスさん……よくやったわ」
事態が収まり、ひとまず状況を確認する。
「う……あ? う……」
マロリーボットは音響外傷……まぁ難聴状態だな。その状況にあるようで、周囲の音がほとんど聞こえない様子だ。
「マロリーちゃん、大丈夫?」
「えっと、大丈夫? マロリーさん……」
ハルウララとライスシャワーが心底から心配した様子で、相手に近づいた。しかし、音が聞こえないせいでマロリーは「自分が叱られる」とでも思い込んでしまったのだろう。大慌てした様子で、身の回りにあるものを手当たり次第にライスシャワーとハルウララに投げつけてきた。
「わ、私に近づかないで!!」
「あいてっ!?」
「う、ウララちゃん! 大丈夫?!」
ハルウララの額に携帯が飛んできた。ライスシャワーが拾い上げるだろう。
何かしら操作中だったのか、スリープ状態になっておらずパスワードを求められる事はなかった。
真っ先に目に入ってきたのは、ただ一つ。
『code_default.exeをダウンロード中です』
「……え?」
カレンチャン『あ、これぜったいダウンロード防がないとダメなヤツ。……黒幕の身元に繋がる情報消そうとしてるのかな?』
セイウンスカイ『うん、たぶんマロリー救わなかったら手に入んなかった情報だね』
ライスシャワー『え、え、え? どうすればダウンロード中止出来るの?』
カレンチャン『とりあえずダウンロード中止ボタンとか……』
ライスシャワーは、反射的にダウンロードを中止した。
……しかし、また通知が入ってくる。
『code_default.exeをダウンロード中です』
「……!!!」
ライスシャワーは、戦慄した。おかしい。ちゃんとダウンロードの中止を実行したはずなのに、またダウンロードが開始された。
「な、なんかよくわからないけど……怪しいソフトが、ダウンロードされ始めてる!!」
そう叫んで、周囲助けを求めた。真っ先にそれに動いたのはカレンチャンだった。
「貸して」
ライスシャワーは、言われるままにカレンに携帯を手渡した。カレンは手慣れた様子で携帯の外装を取り外すと、バッテリーをそのまま引き抜く。
「……これでどうこうしようもないでしょう?」
「え、こ、壊れないのかな?」
「……まぁ、寿命がすごく縮んじゃうだろうから本来はやっちゃダメだよ?」
乾いた笑いが浮かんだ。事態が落ち着いた彼女らは、針状のモノを使ってマロリーボットの携帯から通信に必要なSIMカードを抜き取る作業を始めた。
マロリーボットはウマ娘達に怯えたままで、今にも暴れ出しそうな気配だったが。ここで仲裁が入った。
「私がマロリーを病院に連れて行く。あとは、任せてもいいか?」
マロリーの父親が伴侶に対してそのように申し出た。母親の方も「私もついていきます」と言い出したが。
「だめだ。キミは、その子達の対応をしてあげてくれ。あの大音量があった直後だ。警察が来るかもしれないだろう。ご近所さんにも説明しておかないといけないし……何より、夜に女の子達だけでは危険だから、キミの車で送っていってあげてくれ」
そのように言ってから、父親はマロリーの手を取った。
「大丈夫だよ。マロリー。そんなに怯えなくても、父さんは叱らないさ。さぁ、いこう。後遺症が残ったら大変だ」
…………父親のその態度は耳が聞こえずともなんとなしに伝わったのだろうか。マロリーボットはそれ以上暴れる事なく、車に乗り込んで緊急外来の病院に連れて行かれた。
「………………なによ。ちゃんと良いお父様じゃない」
その一部始終を見ていて、キングヘイローはやるせない気持ちになった。
「キングのお父さんもあんな感じ?」
「……まぁね。だからこそ"似た者同士"って感じたのだけれど」
それだけに、マロリーが「父親が気にかけてくれなかった」と思い込んだ事も一つの動機としてあんな凶行に及んだ事実が無性にやるせなかった。
「……『絶対許せない』って言った手前だけど……いえ、今も許せないけど……」
「……許せないけど、同情はしちゃう?」
「…………えぇ」
セイウンスカイとキングヘイローは、そのように考えながらマロリーボットを見送った。
「………………」
カレンチャンは、怒りと憎悪のやり場を失くしていた。
マロリーボットが、全ての黒幕だと思いこんでいた。ヤツをこらしめれば、ファストヴィクティムの恨みも晴らされると思い込んでいた。
「あのなぁ、何があったのかは知らないが、こんな大人数で堂々と門限破りするのは――」
「そうだね、アマさんの言う通りだ」
帰ってきた皆は、フジキセキとヒシアマゾンから説教を食らっていた。門限破りをしたのだから、当然でしかない。
…………その説教の一部始終を通りがかったウマ娘の誰かに記録されていた気がして、それが今回の事件がまだ終わっていない事の証左に感じざるを得なかった。