[(Ho1専用ターン。他のプレイヤーよりも少し早めに集まってもらい、話を展開した)]
カレンチャン『お、おねえちゃんがー! お姉ちゃんが~!!』
――ふふふふ。
カレンチャン『うう、お酒を買いに行ったばっかりに……』
――いやたぶんお酒なの関係ないアレ。……ともかく、カレンだけは休みなので朝起きてから行動開始だ。大学病院が開くまで少し時間がある。何か準備するモノはあるかい?
カレンチャン『んー……野球バットとか集めるのどうだろう? トワリングバトンより威力高いよね。一応、遊び道具だって素振りでカレンが持ってても誤魔化せそうだし……』
――前回はちゃんと「ウマ娘らしく」「暴力はNG」「リンチはやりたくない」とかしきりに言ってたのに今回は殺意高ぇなオイ。(野球バット:1d8+ダメージボーナス)
カレンチャン『うふふ♡』
――よし、では野球バットとその専用バッグは問題なく購入出来た事にしよう。スポーツ用品店でカワイイカラーリングのバット買った辺りかな? ちゃんと専用バッグに収納しておいて公に振るう素振りを見せなければアクセサリーの一環か、あるいは「これから野球の練習にいきますよー」とみなされる程度に済むだろう。
カレンチャン『はーい! カレン、悪役を倒す為には使うけど一般人を脅す為には絶対使わないよ! 約束するっ!』
――スチール缶握りつぶすだけで十分だもんな。さて、他にやる事はあるかい?
カレンチャン『あ、まだ時間余ってるんだ。うーん、そうだなぁ……ラウディーさんの事件の時みたいに若いウマ娘に面会したいな? 何か情報もらえるかもしれないし……』
――成る程。では処理しよう。
警察署にやってきた。
「お、カレンチャンさんじゃないッスか」
前回面倒を見てくれたイトノコ刑事再来。事件解決に尽力してくれたウマ娘相手だから、相変わらず好意的だ。
「お久しぶりでーす☆」
カレンチャンは、茶目っ気たっぷりのカワイイ素振りでイトノコに警察式の敬礼を返す。イトノコもそれに応じてビシッと敬礼。
「ふふ……カレン、イトノコさんみたいな愛想良くしてくれる人好きだよ♡ だって、こういうの楽しいんだもん♪」
「へへ、そうっすか? カレンチャンさんみたいな大人気ウマ娘さんにそう言われると、照れちゃうッスね」
後ろ頭を掻くイトノコ。周囲で立ち聞きしていたウマ娘含めた婦警さん達から「ヒソヒソ。ライスシャワーさんに手を出してクセに……」「カレンチャンまで毒牙にかけて……」とか話が聞こえてきた。
イトノコ【??:1⇒2】(※ジョーク処理です)
カレンチャン『ふふふ、トレセン学園のウマ娘に手を出す刑事さんって周囲に勘違いされちゃってる?』
――まぁ、実際は手出さないとは思うけどこの流れだと勘違いはされるだろうねぇ。前回が前回だし。
カレンチャン『実際接してて楽しいからカレン、イトノコさんみたいな人好きなんだけどなぁ。悪い人じゃ絶対ないし……』
――このシナリオだと息詰まるから『絶対悪い人じゃない』ってだけで気持ち楽になるのは分かる……。
「そうだ。カレン、イトノコさんにお願いがあって来たんだ」
「おぉ、なんっすか? 自分、カレンチャンさんの為ならなんでもやらせていただくッス。なんでも」
カレンチャン『イトノコさん♡ 有能な検察官連れてきて♡』(※イトノコの出てくる版権作品に「御剣怜侍」という有能な検察官がいる)
――あかんマロリー詰むゥ!!!
「……この前、ファストヴィクティムって子の治療中に病院に不審なウマ娘が踏み込もうとした件、伝わってます?」
「あ? あぁ、それッスか。えぇ。伝わってますよ。なんたって、えらく若いウマ娘だったので……やった事が悪質なので、48時間は反省してもらうッス」
「48時間?」
「あ、知らないッスか? 検察に送らない場合、48時間以上は拘束出来ないんッス。やった事は悪質ッスが、えらく若いしあぁいう事やらかしたのは初めてだったみたいで……まぁ、厳重注意という形で」
「……」
カレンは若干複雑な気持ちだった。目の前の刑事が言う事も理解出来るが、あれだけの行動をやらかされて「はいそうですか」と見過ごすのは個人感情で納得はいかない。せめて、謝罪や情報の一つでも聞き出しておかねばならなかった。
「面会できますか? スリ犯捕まえたライスさんの時みたいに。カレンも、彼女に聞きたい事があるの」
そう聞くと、イトノコは不甲斐なさそうに顔を顰めた。
「申し訳ないッスけど、それはたぶん――いや、絶対無理ッスね」
カレンチャンの期待に、イトノコは首を横に振る。
「どうして!?」
ライスシャワーの時はよくて、自分の時はだめなのが納得がいかない。焦りからか、カレンチャンらしくない声を発した。
……しかし、会わせてもらえない理由はイトノコの言葉ですぐにわかった。
頭をハンマーで殴りつけられたような、強いショックがカレンの脳髄に襲い掛かる。
「……それって……ウララさんが……『不良さんの事を善意で安心させていた』から、面会求められて、不良さんの方も会いたい、て、応じられたって事……?」
「まぁ、今振り返ればそれが一番強い要因ッスよね。元々リーダーに対して食い止めたい気持ちもあったのかもしれないッスが……」
「じゃあ……」
カレンは泣きそうに潤んだ瞳と声で、まるでとんでもない間違いを犯していた事に今更気づいたかの様子で呟いた。
『自分や少数派の主張をさ。声高に"皆"って付け加えてあたかも『大多数がそう思ってる、そう主張してる』って印象づけようとする手法。SNSで飽きるほど眺めてきたよ』
『だけど、この場にいる貴方以外の人達は、ファストヴィクティムちゃんを死んで当然の子だとは1ミクロンたりとも思ってない。その時点で、貴方の言う『皆が言ってる。私は悪くない』って理論は破綻してるって気づかないの?』
「……『カレンが会えないのは、悪意を若いウマ娘さんに向けた』せい……?」
「いや、そういうわけじゃないと思うッスが……話聞いてた限りだと、アレに怒るなっていう方が無理な話で――」
イトノコがどう言い繕おうが、前回の事件でハルウララが『分け隔てる事なく、多くの他者を救えた』というのに、カレンは……そうではなかった。
――カレンは、ウララさんに勝てない。カワイイでも、ウマ娘としての器の大きさでも。……誰も救えていない……それどころか……EVEを挑発した挙げ句……お姉ちゃんまで巻き込んで……。
そう自覚してしまって、涙が一筋流れ落ちる。涙一粒こぼれてしまえばそれが呼び水になって、ボロボロと大粒の涙が流れ出して止まらなくなった。
「う、うううう……!!」
「カレンチャンさん!? ど、どうしたっすか!! 自分、何か至らぬ事言ったッスか!?」
「ちょっと、イトノコさんひどーい!!」
「二股かけるからですよ!!!! サイテー!!!!」
……警察署は誤解によっていよいよ大騒ぎになり、カレンは涙を流しながらその場を撤収して病院に向かうしかなかった。
※事実上検察官に身柄を送られ起訴が決定した以後でしか面会は不可能なのだが、1話も2話も検察官へ身柄移送後まで日数が持たない為、ある程度はフィーリング。