駅前のカフェにて。エヴァの勧め通りwifiを使って自分達の携帯の大切なデータをバックアップしている最中、MISAGASEへの討ち入り前に皆で作戦会議をする余暇があった。いや、決意表明の場かもしれない。
「……ラウディーさん。ナイフで襲ってきた事、ライスはずっと黒幕さんに命令されてやってたんだと思ってた。でも、エヴァさんの話から考えると……エヴァさんに見限られてグループの皆も、たった一人になってパニックになっちゃって、自分の力だけで妹を退学させるにはどうすればいいかって考えて悩んだ末に、あんな風にやっちゃったのかな……」
ライスシャワーは、そんな事を口にした。
「……今更になって、ますますかわいそうになってくるね。あの子」
セイウンスカイが、思わずそう呟いた。キングヘイローはため息をつく。
「刃物を持ちだしてきたのは擁護出来ないわよ? 当たり所が悪ければそれこそ……」
「まぁ、そりゃそうなんだけど」
今更になって初対面ではあんなに余裕ぶってたラウディーが、ウララの前に現れた時には異様に動揺していた理由が理解出来た。だからといって何かが変わるでもないが。
「だから、誰かを大怪我させるなんてオオゴトになる前に止められてよかったな、って。わたしはやっぱり思うんだ。……うん、やはり私達は正しかった! どん!」
「そうだよねっ、喰い止める為にちょっと怪我しちゃったけど……それでも、大怪我は誰も負わなかったからよかったよねっ」
セイウンスカイは、にやけツラでそんな事を呟くと、ウララもそれに同調した。
ウララの尽力や、他の皆の協力あってこそだから、キングヘイローもそれ以上苦言を呈するのも野暮だと感じて、何も言わず微笑みながら紅茶を嗜む。
一旦それで喉を潤して、落ち着いた声調で皆に問うた。
「それで、どうする? 首尾良く大型サーバーの前まで辿り着けたとして……」
キングヘイローは、そこで言葉を区切る。
手始めに、セイウンスカイはこう答えた。
「破壊する。デリートだ。ゾーイの話からして、社員さん達ともそれで合意出来そうだし」
キングヘイローは、自分の意見を一旦差し止めて、ウララとライスシャワーとカレンの方を見やる。
「……あなた達は、どうする?」
キングヘイローは、三人にそう問いかけた。
ハルウララとカレンチャンとライスシャワーはそれぞれ顔を見合わせる。そして、三人は同時に答えた。
「止める! 破壊せずに」
それを聞いて、キングヘイローは苦笑するような顔でセイウンスカイの方を見た。セイウンスカイも同じような表情だ。
「多数決。決まりね。スカイさんとウララさんの二人相手だけなら、私も破壊する方に鞍替えしたかもしれないけど……」
「え、そうなの?」
スカイが意外そうな顔でキングヘイローの方を見やる。キングヘイローは、神妙な顔で見つめ返しながら、言葉を続けた。
「気持ちとしては当然、エヴァを殺したくない。そもそも誰かを殺す事なんて、このキングの――いいえ、ウマ娘の性に合わない」
それを踏まえて、キングヘイローは己の考えを述べる。
「けれど、トレーナーさんやゾーイ。大の大人を、それも片方は身体能力に秀でた種族であるウマ娘を……易易と病院送りにしてる。そんな相手を、生け捕りにして無力化するなんて……私達に出来るのかしら?」
セイウンスカイ含めた全員に問いかけた。スカイは、肩を竦める。ライスシャワーは怯えたように縮こまり、カレンチャンは考え込んだ。
ただ、この中で一人だけ即答する。
「ウララだけじゃムリかもしれない」
それだけなら気弱な言葉。だがすぐに続くの言葉が紡がれる。
「でも、みんなと一緒なら、きっとできる! だって、ラウディーちゃんの時もそうだったもん!」
その言葉に、キングヘイローや他のウマ娘は思わず笑ってしまう。
「そうね。二人や三人なら生け捕りなんて無謀でしょうけれど。五人なら――もしかしたら」
その少人数で立ち向かった世界線をまるで見てきたような語りぶりをするが……実際そうでなくとも絶望的な戦いになるであろう事は容易く想像がつく。生け捕りなぞ、それこそ不可能に近かろう。
「うん! 五人集まればもんじゃ焼きの知恵!」
「そ、そうだよ。私達だってウマ娘なんだから、五人なら……えっと……も、もんじゃやき……?」
「饅頭の知恵ってボケた方がいい?」
意気込みをみせるハルウララとライスシャワーに、セイウンスカイがツッコミを挟む。
「カレンさん」
そんな愉快な空気の中、キングヘイローはカレンの方へ言葉を投げかけた。
「……うん!」
その道のりがどれほど厳しく困難なものか理解した上で、……覚悟を持って決断するように、カレンは頷いた。
MISAGASEビル周辺では、ちょうどインターネット回線工事を行う工事業者が作業している様子だった。
「あついねぇー」
「せやなぁ……あおいー。お姉ちゃんアイス食べたいねん」
「チョコミントならあるよお姉ちゃん!」
……なんかそういう姉妹が作業してた。
セイウンスカイ『うーん。既視感がある姉妹』
キングヘイロー『わざわざあぁいう描写してるんだから、おそらく情報持ちかしらね?』
――……。(GM独白:情報渡しやすくて助かる)
「すみませーん、ちょっとお話いいですかー?」
カレンチャンが、気さくに話しかける。作業していた姉妹は、一時手を止めるとにこやかに対応してくれた。
「ん、なんやー?」
「何の工事をしているのか気になって……あ、お菓子の差し入れでーす♪」
「や↑ったぜ。何差し入れしにきてくれたん?」
「他には?」
「チョコミントアイスとチョコミントアイスがありまーすっ☆」
「工事中ですか?」
「せやな」
なんでも言う事聞いてくれそうな作業員にキングヘイローが代わりに訊ねた。その作業員は隣にいる妹にチョコミントアイスを横流ししながら、休憩がてらにこう説明する。……一応お菓子の礼のようだ。
「このビル一個全部のをなー。新しい点検工事の――まぁ、インターネットのヤツや。配線。こうやって地面に埋めとるんやでー」
掘削した地面を眺めてそういったのち、MISAGASEのビルを指差す。
「だからなー。嵐とかが来てもびくともせんのや」
「それって、社内は今インターネット繋がってないんですか?」
カレンチャンがわずかに期待したように訊ねたが、作業員は首を振る。
「ん? いやー、つながっとるでー。支障がないようにちゃんとそういうやり方で整備しとるんや。ほら、ビルみいー」
そのまま会社ビルの、地下の方を指をさす。
「あれの地下室になー。全部集まっとるんや。えむでぃーえふしつ……? やったっけ」
[セイウンスカイ:CC<=80 (1D100<=80) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 91 > 91 > 失敗]
[キングヘイロー:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 65 > 65 > 失敗]
[ハルウララ:CC<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 3 > 3 > イクストリーム成功]
――ウララさん……!! げふん。
キングヘイローもセイウンスカイも「えむでぃーえふ」と聞いてすぐにピンと来なかったが、ハルウララはすぐ分かったようだ。
「ビル中のインターネットの回線をひとまとめにして、管理する部屋?」
「え、ウララわかるの?」
「うん。この前ね、グラスちゃんに教わったんだー!」
「…………」
自分たちは「一瞬何の事かわからなかった」とまでは言えないキングヘイローとセイウンスカイ。
「お嬢ちゃん賢いなぁ。そうそう、ビルとかのインターネットの回線をひとまとめにして管理する部屋や。一つ一つの回線から地面にそのまま直結しとったら、故障が出た時とかにこんがらがるやろ? だからひとまとめにして管理しとくんや」
「なるほどなるほど~……」
そして、ウララは考えついた。エヴァを『物理的に逃がさないようにする場合』はそのMDF室に工作する作戦があるのではないかと。
ゾーイの言っていた「マスターデータ」がこちら側の味方をせず、物理的な手段しか残されていない場合はそちらに頼る事になるだろう。
「ねぇねぇ、MDF室って誰が管理してるの? ビルの社員さん?」
「ン? んー、不動産のビルオーナーが……確かすぐ近くの、あの建物のなぁ……」
[キングヘイロー:CC<=60 (1D100<=60) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 23 > 23 > ハード成功]
「……!! う、ウララさん。カレンさんっ。そろそろ、行きましょうか」
「? はーい、キングちゃん」
「は~い♪ それじゃあ、工事頑張ってくださいねーっ!」
「おー、またなー。……あおいー。携帯ぽちぽち弄って何しとるんやー?」
「……んー、なんでもないよーお姉ちゃん」
キングがさっと皆を路地裏の方へ連れて行った。
「ど、どうしたの? キングさん」
ライスシャワーが不思議そうにキングに問いかける。するとキングは少し青褪めた顔で周囲を警戒するように見回してから、こう答えた。
「…………撮られてた」
「何を」
セイウンスカイが聞き返し、キングヘイローは噴き出しそうな不安を抑えつつ、皆に説明する。
「私達を、よ。……忘れたの? エヴァはマロリーさんの経歴を理解する為に協力してくれたのでしょうけれど、そもそも私達はエヴァと和解したわけでもなんでもなく……むしろ、相手と邂逅寸前まで追い詰めている立場ではなくて?」
ライスシャワーは「ういぃぃっ!?」と、どこぞのアンドロイドに逃げ腰を責められた時のように怯えた声をあげ、セイウンスカイがキングの指摘とライスの怖がりように硬直する。
「……う、うん。手心加えるどころか、追い込みかけてきても不思議じゃないよね。急ごう」
「こんにちは。ご用件をどうぞ」
……なんか見覚えのある雰囲気の受付に阻まれた。
「あ、アポ無しなんですけど……見学いいですか?」
「アポイントがなければ通して、あげません!!!!!」
セイウンスカイ『何故だろう。ここに居ないはずの同期の気配を感じる』
キングヘイロー『……奇遇ね。私もよ』
「……じゃあ、今からアポ取ったら許可が出るのはいつになりますか?」
カレンチャンがおとなしくそう訊ねても、大声で返される。
「数日間はもらいます!! 皆さん取材とかで予定埋まってるので!!!」
「……数日じゃ間に合わないかも……」
カレンチャンが小さな声でぼやく。他の者達も思い悩む。しかしキングヘイローが、一歩前へ歩み出て、アリババが扉を開ける呪文を唱えるかのように凛々しい声色でこう言った。
「ゾーイさんからのお願いで、『社長室で待っているお子さん』をお迎えに来たの」
「あげま――――………………」
持ちネタを一旦控え、考え込む。そのまま五秒ほど黙ってから、こう呟いた。
「分かりました。こちらへ」
君たちは、応接間らしき部屋まで無理矢理連れていかれる。
「いいですか!! ”30分お待ちください!! その場から絶対動かないでくださいね!"」
そう言いつけると、受付は見学者である事を首さげカードを人数分置いてすぐにその場を立ち去って行った。
「よし、30分待てばいいんだねっ!」
「そ、そうだねっ。30分後にエヴァちゃんと会わせてもらえそうだねっ」
「素直かいっ!?」
セイウンスカイが突っ込みつつ、こほんと咳払い。
「いや、逆だろうね。『30分だけ誤魔化しが利くから、その間に完遂しろ』って意味の」
「そ、そっか……」
「セイちゃん、頭いい~っ!」
「…………ライスさんとウララさんのパーティーだけでここに辿り着いたとしたら、どうなってたのかしら、これ……」
頭を抱えるキングヘイローにセイウンスカイ。そして、ややあって。カレンチャンが首さげカードを身につける。
「行きましょう」
頼もしい態度でそう口にするカレンチャン。皆もまたそれに続いた。
あなたがプレイヤーとして参加した場合、EVEやマロリーボットを許せるかどうか。(リプレイ内容不変。両方許せるが無かった事に気づいたので取り直し)
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マロリーは許せないしEVEも許さない
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マロリーは許せるがEVEは許さない
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マロリーは許せないがEVEは許せる
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マロリーもEVEも許せる
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ラウディー姉貴不憫可愛い(結果だけ見る)