ウマ娘がTRPGを遊ぶだけのはずだった。   作:稗田之蛙

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2.名探偵セイウンスカイ

 

 さて、授業を終えて中央トレセン学園を出発する際……午後五時頃くらいだろうか?

 今日は花丸金曜日。明日は休日という事もあって、往来を行かんとする者は活気が良い。

「ら、ライスは……出発する前に不良さんの特徴を改めて聞いておきたい……かな」

 

 ――む、そうだな。誘拐犯については「いかにも不良」以上に詳しい描写がなかったか。然り、このままでは不良どうこうよりもフォーエナーを基点に彼女自身を探さねばならないだろう。ではノボジャックに再度接触して聞けた事にしよう。

 

「容姿……で、すか?」

「う、うん。そういえば聞いてなかったな、って」

 相手を責める形にならないように弱々しい声音で聞き出そうとするライスシャワー。

 これについては……半分の値でAPPを振ってくれ。

 

ライスシャワー『え、誘拐犯さんの容姿訊ねるのがそんなに難しいの……!?』

ハルウララ『がんばれ、ライスちゃんならきっとできるよ!』

ライスシャワー『う、う……し、しっぱいしちゃったら、ライスのせい……』

 

ライスシャワー⇒92 失敗

 

ライスシャワー『…………うう……ライス……やっぱり、みんなを不幸に……』

 ――待って、ライスの姉さん。待って。大丈夫だから! 判定一つ失敗しただけだから!!

カレンチャン『これ、カレンも手助けできる?』

 ――……うん、いける。どうぞ

 

カレンチャン⇒36 成功

 

 ――半分だから、カレンチャンでしか成功しない値だったな。さすがだ。

カレンチャン『やったっ♪』

セイウンスカイ『おぉ、おめでとう――で、今の判定から推測出来た事があるんだけど』

キングヘイロー『なぁに?』

セイウンスカイ『いや、情報聞いてから話すよ』

 ――ではカレンチャンには聞き出すロールプレイをお願いする。

 

「ねぇねぇ、いいでしょう? だって、その情報もなしに探す事なんて……」

 ライスシャワーと一緒になって、困った素振りで振る舞うカレンチャン。その仕草を眺めていたジャックは「ウッ」と良心の呵責に苛まれたようで……口を開いた。

「……ウマ娘。ダサい龍のフードをつけた特徴的なパーカーをつけてます。そしてミドルくらいの赤髪。目の色は赤。年齢はおそらく……13歳くらい……背丈は、そう、エナーと一緒くらい。150センチくらいです」

 そう話してくれた。カレンチャンはカワイイ仕草でガッツポーズをするようにぐっと拳を握る。

「ありがとう。絶対探し出してみせるね!」

「あ、ありがとう。カレンさん……」

 

セイウンスカイ『今みたいにお互いの長所短所を補い合ったり出来るから、一人の失敗で落ち込む事はないですよ』

ライスシャワー『……で、でも。今のが大事な場面だったら……すっごく難しい判定みたいだったし……』

ハルウララ『きっと、手に入れなきゃ絶対クリア出来ないとっても重要な情報だったんだよ!!』

 ――……。

キングヘイロー『……で、さっきのセイウンスカイさんが言いかけた事って?』

セイウンスカイ『そのエナー連れ去った不良って人、たぶんノボジャック知り合い』

 ――……。

キングヘイロー『……根拠は?』

セイウンスカイ『まず人探しをするなら教えてくれて当然の情報なのに、判定が難しかったのはおそらくノボジャックにとって言いたくない情報だった証左。"それ自体がすでに情報"。教えてくれた情報はところどころあやふやを装ってるけど、要領を得ている』

キングヘイロー『記憶力が良いって可能性もあるわよ? 生真面目で利発そうな子だし』

セイウンスカイ『生真面目な子が、赤の他人の服装を「ダサい」なんて言い切ると思う?』

キングヘイロー『……』

 ――……。(GMの内心:たまにいるんだよな。こういうすさまじく推察力高いプレイヤー……)

セイウンスカイ『もちろん、私が単に考え過ぎっていう線もある。でもね、カレンのお陰で得られた情報で非常に気になった点がある』

ハルウララ『え、どこどこ?!』

セイウンスカイ『"13歳"。年齢。高校生くらいなら別にお話として自然なんだけど。誘拐犯の人物像としては、不自然に若すぎる』

 ――……。(GMの内心:……バレるとしたら、資料で予定していたよりあまりにも早い……な……)

セイウンスカイ『フォーエナーもノボジャックもたぶん12か13歳でしょ? 同い年生まれ。だから昔の知り合い……ううん、知り合い以上の関係だった人物』

ハルウララ『あ、ウララわかった。フォーエナーちゃんの双子のお姉ちゃんか妹だ!』

キングヘイロー『え!?』

 ――……。(GMの内心:……あぁいう名探偵プレイヤーの発想が呼び水になっちゃうんだよなぁ……TRPGって……)

セイウンスカイ『うん、ウララの考えが聞きたい』

ハルウララ『うんっとね! 家族についていったならジャックちゃんが大げさにしたくない理由になるかなって!』

ライスシャワー『あ、そっか……エナーさんの身内なら、警察沙汰にしたくない理由になるよね……』

カレンチャン『ウララさん、それだよそれ! すごくナイスな考え☆』

ハルウララ『えへへへ!』

セイウンスカイ『うんうん、私もウララと同意見』

 ――……。(GMの内心:…………なんというか、上手いな……)

キングヘイロー『でも、それならそれでなんで大人達に言わないの? 家族に連れ去られたなら、それを説明したってなんにも……そりゃあ、エナーさんは叱られるかもしれないけど……』

ハルウララ『あ。そっか。じゃあもしかして違う?』

セイウンスカイ『それこそ警察沙汰になるからじゃないかな』

 ――………………。

キングヘイロー『……どういう事?』

セイウンスカイ『不良。本当にエナーのお姉ちゃんだとしたら、たぶんかなり悪いヤツ。歴とした犯罪をやらかしてるくらいには。生真面目な子が表向きは関わり合いになりたくない理由にはなる』

 ――セイウンスカイ、続けて。私もその推理を清聴したい。

セイウンスカイ『え? うん、さっき野良レースの辺りで犯罪どうこうって話があったから。たぶんその辺りなんじゃないかな。って。だから関わり合いになりたくない。でも本当は助けたい。双子のお姉ちゃんっていう推測を前提にすれば、たぶん姉妹であるっていう事を知ってるくらいには付き合いがある。――昔馴染みの友人くらい?』

キングヘイロー『そ、そうだ。ゲームマスター。フォーエナーさんの髪色は?』

 ――茶髪。

キングヘイロー『あぁ、じゃあ、さっき挙げられた不良の髪色と違うわね。もしかしたら姉妹じゃなくて友人同士っていう線も……』

カレンチャン『目の色は?』

 ――……。

カレンチャン『髪色は、気分で変えちゃう時もあるもんね♪ カレンも、他の人の髪色が綺麗に思える時あるし、カツラだって使うのは簡単! ……不良さん側が"偶然"赤のカラーコンタクトを使ってる可能性ももちろんあるけど……エナーちゃんは? それなりの付き合いがあったのならエナーちゃんがカラーコンタクトを使ってる可能性にも気づけていたかもしれない。……それとも、ここでサイコロの判定要る?』

 ――赤だ。フォーエナーは赤目。カラーコンタクトも使っていた痕跡はない。

キングヘイロー『……』

ライスシャワー『な、なんかアメリカの刑事ドラマを目の前にしてる気分……』

ハルウララ『う、うーん。考えるの、難しい……何が正解?!』

 ――すまん、正解はまだ言えない。

 

 ともかく、君達はジャックから情報を聞き終えたわけだが。

 

セイウンスカイ『……ごめん、GM。時間取らせちゃうけど、先生か誰か。信頼出来る人からフォーエナーの家族情報聞ける? 聞けないならスルーでいい』

 ――……しばらく待ってくれ。処理を考える。

 

 

 

 ――学園を発つ前にフォーエナーの担当教師に出会う為にPOW(幸運)判定後。成功した者だけAPP判定で聞ける。

 

キングヘイロー⇒51 成功

セイウンスカイ⇒31 成功

ハルウララ⇒32 成功

ライスシャワー⇒63 失敗

カレンチャン⇒41  失敗

 

キングヘイロー⇒79 失敗

セイウンスカイ⇒47 成功

ハルウララ⇒16 成功

 

 セイウンスカイとハルウララは、フォーエナーの担当教師と出会いノボジャックから頼まれた話題を避けつつフォーエナーの家族情報を聞き出せた。

「エナーさんのご家族の事ですか?」

「はい、家族が心配してるんじゃないかな……って、気になって」

「そうそう! ハルウララも、おねえちゃんだから心配だよ!」

 ――そういえばエナーより2つ年上だねキミ。ハハハ。

 一応個人情報だが、あくまで友人として心配しているという体だったからか軽い雑談の一つとして聞かせてくれた。

「そうね。彼女も双子のお姉さんが居たからおそらく心配しているはず……」

 

セイウンスカイ『ゲームマスター』

 ――……はい。

セイウンスカイ『その双子の姉、トレセン学園で会った事ある?』

 

(GM、しばらく頭抱え無言)

 

 ――無い。

セイウンスカイ『うん、だいたいわかった。ありがとう』

キングヘイロー『……何がわかったの?』

 

 

セイウンスカイ『犯人像』




GMの独白:なんでこの時点で双子バレしてんです?(最序盤の実録)
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