キングヘイロー達がラウディー達と接触している同時刻。
君達は、おそらく一般人達にお礼でも言われている辺りだろう。君達自身にも感謝を向けられるとともに、「ライスシャワーさんに『ありがとう』と、お伝えいただければ……」とでも、財布をスラれた人物から言われてるかもしれない
カレンチャン『その感謝してる人から情報を聞き出す事って出来る? 好意的なら聞きやすいだろうし……』
――おぉ、妥当だな。とても良い案だ。では先んじてそちらの処理をやろう。
セイウンスカイ『じゃあ何か役立てそうな物資とかはこっちで考えておくね』
「ねぇ、さっきの不良のウマ娘さんが所属していたグループについてなんだけど……」
「あぁ、聞きたい事があるのかい?
「うん。普段からあんな事やってるの? なんだか、そんな話しぶりだったみたいに聞こえて」
それを聞くと、いくらかの一般人は憤懣遣る方無いといった表情を見せた。
「あぁ、普段からね。しくじったヤツを今回みたいに警察に突き出せる事はあるんだ。一時はそれで止まる。……それでも、しばらくすると別のヤツがスリを仕掛けてくる」
「捕まった人は、グループの仲間の事を話したりとかしないの? 証言してもらえれば、たぶんスリの容疑ありで捕まえられる子は捕まえられるんじゃ……」
それを聞いて、一般人達は黙り込んだ。この区域の担当員であろう、年配の職員の人がその場を代表して話を打ち明けてきた。
「……警察の方々もいくらかその手の話はしたらしいよ。『他にスリを行っている子の事を話せば、罪はいくらか軽くなる』って。でも、一向にその手の話はしない」
「仲間意識が高い?」
「いや、何かに怯えていた様子だった」
カレンチャン『あぁ、"ラウディー(乱暴者)"ってそういう……』
――……。(GM独白:さすがに気づいたか……)
セイウンスカイ『まぁ、気のいい話ではないね。さっきの不良も怯えていたから、おそらく……』
カレンチャン『じゃあ、ますますフォーエナーちゃんを彼女の手元に置いておけないよ。キングさん達の方だと、なんだか妹想いな素振り見せてたけど……』
セイウンスカイ『"妹想い"なのと"乱暴者"なのは矛盾する情報じゃない。妹を庇って喧嘩っ早いなんて想像しやすいでしょ?』
カレンチャン『あぁ、つまり……なんだかなー。アヤベさんがプレイヤーだったら、本気でラウディーちゃんに激怒しそう。私だって、ちょっとモヤモヤする』
――……ハハハ。
セイウンスカイ『キング達の情報と併せると、まずい想像ができちゃったんだけどね』
カレンチャン『うん。カレンも』
キングヘイロー『何よ。二人でまずい想像って?』
セイウンスカイ『……や~ん変態。変態キング♡』
カレンチャン『カレンちゃんはそういう話題NGでお願いします!』
キングヘイロー『ちょっと風評被害!!??!』
セイウンスカイ『冗談はともかく……もうちょっと一般人のお話聞いてから推理固めたい』
カレンチャンが一通り話を終えると、次にセイウンスカイが職員に話しかけた。
「じゃあ明日のカームフェスティバル。絶好のスリの機会なんじゃないですか? だって、屋台目当てのお金を持った人がいっぱい現れる。アクセサリーとか、数千円以上する品物のお店だっていくらでもある。そういうのを複数人のウマ娘が盗みにきたら、対応出来るんです?」
そういうと、若手の職員が自慢げにふんぞり返った。
「なんのなんの! それを踏まえて警備員はいつもの倍以上! 大人のウマ娘の方々だってたくさん協力しています! それに警察の方々だって、普段の被害を考慮してパトロールしてくれている! そんな厳重な警備なのですから、仕掛けてくるというのならそのグループ全員を捕まえてみせられますとも……!」
セイウンスカイ『……うん。とんでもなくまずい状況かもしれない』
――……。
キングヘイロー『……というと?』
セイウンスカイ『たぶん、明日のカームフェスティバルでフォーエナーがスリの企てに一枚噛まされる』
ライスシャワー『で、でも、フォーエナーさん。そんな事をするような子じゃないようって感じるよ?』
セイウンスカイ『ラウディーお姉さんやグループ仲間に「荷物持ってて」なんて言われて、スッた財布持たせるだけでそれは成り立つ。そして、当人にスリを手伝ってる自覚はない』
キングヘイロー『……それって……』
カレンチャン『そしてその一部始終を見かけた警備員や警察さん辺りに「ちょっとキミの荷物見せてくれる?」なんて事情聴取受けたら、もうアウト。状況証拠でスリのお仲間として捕まっちゃう』
ライスシャワー『で、でも……別れ際の言葉から、ラウディーさんは妹想いには思えたよ……?』
カレンチャン『"妹想いだからこそ"じゃないかな』
キングヘイロー『……それってどういう』
カレンチャン『だって、カワイイ妹は憧れのトレセン学園に入学出来たはいいものの、負け続けて精神的にボロボロ。非行を繰り返していた――もしかしたら絶縁状態に近かったかもしれない――姉に対して、たぶん電話辺りで泣きついてたんだと思う。そんなに追い詰められちゃうくらいなら……"いっそ学園をやめたほうがフォーエナーの為なのに"なんて、思っちゃう可能性はあると思うんだ』
キングヘイロー『でも、だからって……スリを働かせる動機には成り得ないわ! トレセン学園をやめるという話には繋がらない!』
セイウンスカイ『…………退学になるよね。スリなんかで捕まったら』
キングヘイロー『え、あ……』
セイウンスカイ『うん、一回くらいのやらかしなら厳重注意で済むかもしれない。私達やトレセン学園の人が庇えば"荷物持ちしてただけ"って主張が運良く通るかもしれない。でもね、たぶん――ラウディー側も、それは予測済みなんだ。この手法については、ちょっと似たような小説読んだ事あるから思いついた受け売りなんだけど』
――……。
セイウンスカイ『ラウディーが非行とかでやらかした罪。全部フォーエナーに引っ被らせて、退学に追い込む。見た目は髪の色や服装が違うだけだからね。グループの奴らに証言させれば、市井の人たちの目撃証言と併せて楽勝っしょ。……そして退学した妹を出迎えて、一緒に暮らす。双子の姉妹は仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし、ハッピーエンド。……それが今回のシナリオにおけるラウディーの狙い。セイちゃんの推理以上』
キングヘイロー『……ただ単に考え過ぎで、違う可能性は……それが正解なら、あまりにも……その……』
セイウンスカイ『エグい?』
ライスシャワー『う、うん……すごく……』
セイウンスカイ『……ここからは単なる経験則なんだけどさ。"人死にとかが出ない範囲"で事件が展開されるのだとしたら、その辺りが"悪役のやろうとしている事の落とし所"なんだと思う。13歳のウマ娘がやれる事なんて、ルールブックに出てくるような神話生物のお力でも借りない限りたかが知れてる。……たかが知れてる、だけど当事者にとっては大真面目な事件……そして"悪役側がその世界観で企てられる範囲での、最大限の悪事"。それを食い止めるのが、主人公としての私達の務め。それがTRPGゲーム』
キングヘイロー『……』
ライスシャワー『……』
ハルウララ『ほえー……ウララ、ちんぷんかんぷんだ……』
セイウンスカイ『――とは格好つけて言っちゃってますが。そもそも当たってるかどうかもわかんないからね。セイちゃんの推測。本当に、ただ単に優しく慰めてるだけって可能性もある。明日になってフォーエナーが抜け出してきて「お姉ちゃんがスリをするのを止めて!」なーんて……ゆるーく姉妹愛を演出する物語の可能性もある。そもそも中盤すら行ってるかどうか怪しい段階なんだ。重要な情報はまだまだ増えるかもしれない。セイちゃんの予測を上回ってくる可能性だってある』
――……。(GM独白:期待が……プレイヤーの期待が重い……!!)
カレンチャン『だよね。だから、皆で協力して進めよう! カレンも、"カワイイ(APP)"を駆使して情報集め頑張っちゃうよ!』
――カワイイ(STR)。
カレンチャン『GM、おはなしする?』
――やだ……このカレンさん物騒……!!
カレンチャン『……えっとね、あと。セイウンスカイさんとは別のお話なんだけど。"みんなが物語に対して一生懸命にちゃんと向き合ってる"から、カレン視点ではすっごい順調にお話が進行してると思うんだ! セイウンスカイさんや私だって、考え過ぎっていう可能性は十分あるの。だから、その時はキングさん、ライスさん、ウララさんの考えを借りたい! だから、ご協力よろしくおねがいしまーす♪』
――まぁ、要は同行PCの推察に気後れせずにという事だな。そもそも、GM視点からすればそれぞれのプレイヤーに長所はあるわけだし。明確に。(GM独白:ぶっちゃけこのPL達全員のロールプレイとプレイヤーの振る舞い、私は大好きだぞ)
キングヘイロー『……分かったわ。考えに囚われず、ね』
ライスシャワー『や、やれるのかなぁ……ライスなんかが……』
ハルウララ『がんばるぞー!』
ひとまず、セイウンスカイとカレンチャンは一般人相手に聞きたい事は聞き終えたようだし、場面を進めよう。
物資調達のターンだ。
セイウンスカイ『うーん、1920sアメリカとかだと銃器とか買い集めても不自然な行動じゃないんだけどね……』
キングヘイロー『買い集めたとしても私達なんかに扱いきれないわよ……』
セイウンスカイ『そりゃそうだ。だから、私達が扱える"最低限身を守れるモノ"を集めておく必要がある。だからナイフ――は、それこそ警察官さんに見つかったら、スリを捕まえるどころじゃないね』
ライスシャワー『ら、ライス……刃物で誰かを傷つけるとかするの、いやだよ……』
――……勝負服の短剣……いや、なんでもないです……。
カレンチャン『うん、カレンもウマ娘である私達が誰かを傷つける為にナイフなんかを持ち歩くのは、"カワイくない"と思う。だからそれはやめておきたい。皆もそうだよね?』
(プレイヤー一同、同意の旨を伝える)
――うむ、もっともな意見だ。
カレンチャン『でも、シナリオの悪役さんが鉄パイプとか、刃物とかで襲いかかってくる可能性は十分有り得る。そうだよね?』
――うむ。その攻撃によってHPが0以下になっても君達は死にしない。それはエネミー側もほとんどの場合は同様だ。しかし気絶か、痛みで動けなくなるくらいの状態にはなるだろう。
カレンチャン『だから、"そういうモノを防げる、なおかつ警察に見つかっても大丈夫な身を守れるモノ"がほしい……何かあるかな?』
――……しばし待たれよ。
(GM、ルールブックを見ながら思考中)
――『バトントワリング』という踊りのような競技で使うバトンを、小さい棍棒(1d6+ダメージボーナス)の武器として扱う事が出来る。これについては君達が持っていても不自然ではないだろう。無論、一般人相手にむやみに振り回して許容されるものでもないが。
カレンチャン『うん、十分! なんたって、カレン好みでカワイイし♪ 元々最低限に身を守る目的だから一般の人を殴ったりになんか使わない。だったら、これで決まりだね☆』
ハルウララ『このまま、ライブの道具としても使えそうだねー! VR内で練習して、ライブの練習の時に皆の前で披露しよっかなー♪』
セイウンスカイ『……なんでだろうね。すっぽぬけて窓割る未来が見える』
ライスシャワー『あはは……』
キングヘイロー『……まぁ、すっぽぬいたりしない程度までVR内で感覚掴んでもらいましょうか……そこは』
セイウンスカイ『GM。私の推論、邪魔だったりしない?』
――どうした急に。
セイウンスカイ『いや、ほらさ。ウララがHO1って話があるしさ』
(※実卓でもセイウンスカイとウララは完全に同卓だったゆえに、完全な初心者プレイヤーであるウララの出番奪わないか逐一気にしていた様子がログから見受けられる)
――キミも参加者なのだ。遠慮せず楽しめ。ウララの方だって、あの振る舞いは強みだろう。
セイウンスカイ『……りょーかいりょーかい』
さて、物資を集め、情報を共有し、君達は合流を終えてから、ひとまずトレセン学園の寮に戻る事になるだろう……。