ウマ娘がTRPGを遊ぶだけのはずだった。   作:稗田之蛙

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6.一致協力、遂行完了!

寮に戻った君達を出迎えたのは、ノボジャックだった。

「フォーエナーは見つかりましたか?」

 一同は静かに首を振る。

「……それでは、引き続き捜索をお願いします」

 ノボジャックは、まるで関心のない素振りで自分の部屋まで引き下がろうとした。

「ちょっと、待ちなさいよ」

 それを引き止めたのはキングヘイローだ。ノボジャックは「何か?」と言わんばかりに振り返り、キングの顔をまっすぐ見つめてくる。

 

キングヘイロー『……これはどこまで指摘していいものかしら?』

ライスシャワー『でもジャックさんは悪い人じゃないと、ライスは思う……』

セイウンスカイ『まず「大人達に伝えなかった」という約束は果たした。これは真っ先に伝えても問題ないと思う。それ以外にもあるけど、反応を見てから考えよう』

 

「大人達に伝えないように、という約束は果たしているわ。でも、やっぱり不安よ。私達だけじゃ……」

 ノボジャックは静かに頷いた。

「……ありがたい事です。私としても大事にはしたくない案件ですゆえ」

 

カレンチャン『これ、ノボジャックが黒幕だったり裏で糸引いてたりしない……?』

セイウンスカイ『シナリオ的にはそれはそれで面白そうだねぇ。ふふふ』

 ――……ハハハ。(GM独白:……そっちを疑われるのも折込済みなシナリオではあるけど)

キングヘイロー『少しずつ、当たり障りのない部分から詰めていくべきかしら?』

セイウンスカイ『そうだね。やってみよう』

 

「その大事にしたくないのは、理解出来るわ。なんたって、フォーエナーを連れ去ったのは非行に走っているグループにして、そのリーダー。生真面目な貴女にとっては、関わりたくもない存在でしょうけれど……」

 キングヘイローがそう指摘すると、ノボジャックは多少驚いた顔を返してきた。

「たった半日足らずでそこまで辿り着きましたか……」

「えぇ、でも辿り着けたのはそこまで。フォーエナーさんの居場所までは把握出来なかった。だから、彼女を救う為に貴女にも本心から向き合ってほしい」

「…………」

 

 ――以上の口上で説得を試みる形かな?

キングヘイロー『えぇ、他の人たちが問題なければ』

(一同、キングヘイローの行動を支持する)

 ――うむ。大人達に話さないなど約束を果たし尚且つ情報を出し渋るのを責めない形で、ノボジャックに対して真摯に向き合った。だから彼女は君達に対してかなり好印象を抱いている。ボーナスダイス+2もらってAPP判定どうぞ。

 

キングヘイロー:CC(2)<=50 (1D100<=50) ボーナス・ペナルティダイス[2] > 46, 36, 56 > 36 > レギュラー成功

 

 ――成功。ノボジャックはキングヘイローの説得に快く頷いた。

 

「……了解致しました。もはや、『関わり合いになりたくない』などとワガママを言ってる場合ではないようです。私がやれる事ならば、出来る限りの事は協力致します」

「ありがとう」

「念の為の確認なのですが、何処まで把握してます? 私や、フォーエナー、ラウディーの事」

 

キングヘイロー『……どこまで話せばいい? なんだか、セイウンスカイさんとカレンさんが色々言っていたけど……』

セイウンスカイ『うーん、証拠が薄い推察まみれな部分多いからねぇ……一つずつ確認してみる? グループに所属していたかどうかとかは、聞いても大丈夫だろうし』

 

「まず、フォーエナーと貴女の関係性について。ラウディーとも」

 キングヘイローの質問を聞いて、ノボジャックは考え込むようにしばし俯いた。

「幼馴染です。二人とも小学生の頃からの付き合い。ポニークラブとかで練習したりもしてました。もちろん、ラウディーとも」

「意外ね。ラウディーさん、あんまりそういうクラブとか興味なさそうなタイプだったけど……」

「いえ、むしろクラブ活動やトレセン学園に関心が強かったのはラウディーの方でした。『"双子のウマ娘は走らない"なんてデタラメをワタシ達が払拭してやる!』だなんて息巻いて」

 

カレンチャン『……ちょっと、アヤベさんがこのシナリオいたら激怒したり落ち込んだりとか繰り返したかも……カレンも、ちょっと心がざわざわする』

セイウンスカイ『うーん、姉妹や兄弟持ちのウマ娘にはなかなかキツいかもね……』

 

「……トレセン学園に落第してから、彼女や同学年のウマ娘達はおかしくなっていきました。他年代の子も、彼女たちに影響を受けたという子は少なからずいます」

「………成る程。それがあのグループの成り立ち」

「無論、グループに所属していた全てのウマ娘が全員影響を受けて非行に走ったわけではありません。私や、フォーエナーのように彼女たちと袂を分かったウマ娘も多くいます。なのに……エナーは……」

 その話を聞いて悲しげな表情をするライスシャワーは、一歩前に歩み出てノボジャックに話しかけた。

「もしかして、フォーエナーさんがヤケになって非行に走る為にお姉ちゃんの元へ行ったって……そう、ノボジャックさんは考えてる?」

「えぇ、そうです。でなければ、私や、そうでなくとも先輩や友人に悩みを打ち明ける事だって……」

 ライスシャワーは首を横に振る。

「それは……フォーエナーさんの視点に立つと、ムリだよ。だって、ライス達はなんだかんだでレースに勝ってるし、相談し辛いのかもしれない。他の友人にだってそれは同じ。……たとえ同じ未勝利の子相手だったら、お互いに辛い気持ちに負担掛け合っちゃうだけだから、ライスなら、そんな状態だと周囲に打ち明けられず、苦しくて、辛くて……電話とかで、家族に頼っちゃうと思う……」

 ノボジャックはそれを聞いて、ハッとさせられたような顔を見せてきた。

「ノボジャックさんがフォーエナーさんを非行に走ったって判断してしまう理由には、ジャックさんにとって『なんで自分を頼ってくれなかったのか』っていう感情もあるのかもしれない。……でもね、大事な友人だからこそ、打ち明けられないって悩みもあると、ライスは思うの……」

 しんみりとした語り口でジャックを諭した。ライスシャワーが述べた『なんで自分を頼ってくれなかったのか』という感情をジャックが抱いていたという指摘は、正しかったのだろう。

「……悔恨の極みです……」

 ノボジャックは沈鬱な表情で俯いて、そう呟いた。

「フォーエナーは昔からの友人です。彼女には、いつも笑顔でいてほしかった……私は彼女の事をずっと見守っていたはずなのに、なんで気づけなかったのか……」

「……ずっと見守っていたなら、"ヤケになって非行に走った"か"双子の姉に泣きつきたくなるほど追い詰められてた"かの判断、つくでしょう?」

 キングヘイローが優しい声色でそう諭した。ノボジャックは、ゆっくりと頷く。

「おそらくは、ラウディーに対する嫉妬で判断力が曇っていたのかもしれません。貴方達の言、そしてフォーエナーの事を、何よりも信じる事に致します」

 ノボジャックは改めて、君達に協力の姿勢を示した。とても君達を信頼しているようだ。よほどの事でもなければ、大抵の要求は聞き入れてくれそうな気配まである。

 

カレンチャン『さんそだ! さんそもってこーい!』

キングヘイロー『序盤のネタ引きずってくるのね……』

セイウンスカイ『これは、私とカレンの推測を打ち明けても相談してもいいかな?」

カレンチャン『そうだねぇ。GMさん。長くなりそうだから、さっきの場面でカレンとスカイさんが考えてた事をカクカクシカジカって省略で伝えても大丈夫そう?』

 ――大丈夫だ。プレイヤー会話で話していた事を考慮しつつ、ノボジャックの視点から考えを打ち明けよう。

 

 カレンチャンはカクカクシカジカ、コレコレウマウマ。そうやって自分たちの『フォーエナーがスリに加担させられるのではないか』との推測を打ち明ける。

「……なる、ほど……十分にありえ、ますね……」

 一瞬は考え過ぎだと否定しようと考えていた様子のノボジャックだったが、推理内容を全て聞き終えるとむしろ肯定するように頷き始めた。

「ラウディーのエナーに対する愛情やトレセン学園全体に対する憎悪は、正直なところかなり歪んでいました。トレセン学園に落第する以前は、ただ気の強いけど不器用なだけのお姉ちゃんでしたが……落第してからは、まるで人が変わったように……だからこそ、そのような事をしてでも『妹を手元に取り戻したい』という考えに至るのは十二分に有り得る」

 

セイウンスカイ『うわー……全面的に協力が打ち明けられたNPCからこの反応が返ってきたから……当たってるっぽいかなこれは……』

キングヘイロー『なんというか……胃がキリキリしてきたわ……』

ライスシャワー『せ、責任重大……』

ハルウララ『が、がんばって助けないと……!!』

カレンチャン『………………』

 

 ノボジャックは更に頷いて、君達と向き合う。

「私は、まだグループと連絡を取れる立場にあります。何かの作戦で使える時にはそれもお使いください。また、明日からは私も同行する形で全面的に協力させていただきます」

 そのように打ち明けられた。キングヘイローは、力強く頷く。

「……私達全員としても、現役の在学生から逮捕者が出るだなんて事態は避けたい。トレセン学園への少なからずの批難は免れないでしょう。それ以上に、大切な後輩を失いたくはない。だから、私もエナーさんを取り戻す為に全力で協力するわ」

 そういってノボジャックとキングヘイローはお互いに手を差し出し、取り合った。

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