(ここらへんがちょうどいい休憩時間だったのでほとんどのプレイヤーはここで休憩に入ったが、ウララだけが追加の場面が提示された)
――ハルウララ。準備はいいか?
ハルウララ『はーい!』
――今回は他プレイヤーの助言も受けられない状態にある。前もって、そういう場面なのだと四人に了承は取っているから、独断で動いて好きなように構わない。それくらい、他のプレイヤーにキミの振る舞いは信頼されてる。
ハルウララ『えへへ、そっか! セイちゃんみたいに推理したり、キングちゃんみたいに格好いい事言って誰かを勇気づけたりは出来なかったけど……でも、ウララはこの場面で二人に追いつけるように頑張るよ!』
――よし、ではHo1専用の追加場面だ。
時刻は八時くらいだろうか? 就寝前。共同風呂を使う時間。キングヘイローが入っている合間、ハルウララの携帯に対して電話が掛かってきた。
着信は――フォーエナーの携帯からだ。
「……!」
ハルウララは目をキラキラと輝かせて、その電話を受け取るだろう。
『ハルウララ先輩……ですか?』
「うん、ウララだよ! エナーちゃんだよね? 心配したんだよ……!」
『はい……ご心配かけました。今、学園の正門前辺りまで帰ってきてて……迎えに来てくれませんか?』
――ウララ。INTダイス振ってくれ。
ハルウララ:CC<=40 (1D100<=40) ボーナス・ペナルティダイス[0] > 25 > 25 > レギュラー成功
――む、成功したか。少し予想外だが……では描写しよう。
ハルウララは、相手の声色に何か違和感に気がついた。声質は全く一緒だが、喋り方がどことなくフォーエナーっぽくない。
そしてキミは直近でこの語調を感じ取った事がある。……そう、電話先の人物は『ラウディー』だ。
ハルウララ『そっか。でも、それでも正門の方に会いにいく! 話したい事があるもの!』
――……本当にそれでいいのかい? 不良のウマ娘にも「一人で接触するな」とは忠告されているが……。
ハルウララ『うん。私は、ラウディーちゃんがそんなに悪い子じゃないって、信じてる!』
――……よろしい。では私も真剣にこの場面を処理しよう!!
ハルウララは、他の人に見つからないようにしながら正門前までやってきた事だろう。その場に居たのは……やはり髪の赤い、ラウディーだった。
「……ザンネンだったねぇ、フォーエナーだと思った?」
「ううん、電話の途中からラウディーちゃんだと思ってた」
その返答に、相手は驚いた顔を見せる。
「……ハッタリをかませる度胸のある子だったんだね」
「ハッタリなんかじゃない。だって、喋り方が違ったんだもの。……そんな事よりも、私は貴女に言いたい事がある」
「…………」
ひとまず、事を進めるのはハルウララの話を聞き終えてからにしようとしているのか、ラウディーは腕を組んでハルウララの言葉を待った。
「あのね。これ以上、スリなんかしたら、いけないよ。お金なくしちゃった人だって悲しんじゃうし、ラウディーちゃん達だって、逮捕されちゃったらきっと牢屋に入れられちゃうんだよ?」
ハルウララの物言いにラウディーは破顔一笑。
「それが、ドウシタノ? 他人が悲しもうがワタシには関係ないし、もしワタシが捕まったのならソレはソレで自業自得! 非行グループを束ねるリーダーが逮捕されて、皆大喜びサ! 誰も悲しむ人なんてイナイイナイ!」
そう言い切るラウディーだったが、ハルウララは首を振る。
「ウララは、悲しい」
「……え……」
「だって、ラウディーちゃんがフォーエナーちゃん……妹を大切に想ってる気持ちは、嘘偽りのない本当のモノだと感じてる。そんな風に考えてる人がスリで捕まっちゃうのはウララは悲しいし、何よりフォーエナーちゃんだって……」
フォーエナーも悲しいだろうという旨を伝えようとした途端、ギリギリと歯ぎしりする音が聞こえた。
「知った風な口を聞くな!! アイツは、エナーはワタシの事を"捨てやがった"んだ! まるでトレセン学園に落第したワタシに軽蔑するような目を向けてからね! それを、なんだい! 追い詰められたカラって……いきなり泣きついてきやがって!!」
ハルウララには、今まで余裕をもっておどけていたラウディーがここで初めて年相応の癇癪を起こしているように映った。
ウララは、まっすぐ相手の顔を見つめながら言う。
「ウララは、エナーちゃんの事を救いたい。これは最初から変わってない。今も変わらない。でもね、ラウディーちゃんのお話を聞いている内に、もう一つの気持ちがあるの」
ラウディーは怒り心頭で肩で息をしながらも、ハルウララの言葉を待った。
「ウララは、ラウディーちゃんの事もどうにかして助けてあげたい。これ以上、罪を重ねさせたくない。それは嘘偽りのない、ウララの本当の気持ち」
それを聞いて、ラウディーはショックを受けたような愕然とした顔色を示す。以前の料理店でリーダーとして振る舞っていた時のおどけた、余裕ぶった彼女の顔はどこにもなかった。
「……アンタの事、人質にでも取ろうとしてたけど、気が変わったから…………帰る」
ラウディーは、そういって後ろを向いて、ふらつくような足取りでその場を立ち去っていった。