ヨコシマなヒーロー   作:ソウクイ

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第8話

 

轟、八百万、峰田組VS横島、切島組の模擬戦終了。全員の予想を覆し横島組の完全勝利。

 

五人が他のクラスメイトが居る所に戻ると誰もが…色んな意味で予想しなかった勝利に貢献した横島、戻ると女子の皆さんが近寄ってきたのでチヤホヤされる!と期待したテープで拘束されたままの横島!

 

戻ってきて女子に囲まれる…

 

そして!!チヤホヤ!

 

なんてあるわけない。

 

 

戻ると速やかに女子たちに連行されグルグルに拘束されたまま正座をさせられる横島。

 

 

「なんでや!?」

 

 

 

 

 

 

「は、なにも可笑しくないでしょ」

 

「おかしーやないか!!?ここはキャーー!スゴーイ!格好いい!とかそういう感じで女の子が出迎えてくれるんと違うんか !?違うんか!なんでテープでグルグルにされて連行からの正座!?」

 

「なにいってんの??」

 

「マジであの模擬戦の何処にカッコいいなんて要素があると思ったの」

 

「キャーーーって声は上がったよ!悲鳴でね!!」

 

「何で悲鳴!?」

 

「八百万にセクハラしたからにきまってるでしょ!!」

 

「せ、セクハラ!?ほ、ほんの少し八百万さんの足にくっついただけやないか!?それから普通に拘束しようとしただけで」

 

「だけ!?」

 

「ほんの少し??嘘つくな!ガッツりくっついてたでしょ!!」

 

「普通に!?絶対普通じゃなかったよ!!襲う寸前だったよね!!」

 

「あれセクハラだよ!」

 

「いやセクハラどころじゃないでしょ」

 

「痴漢、猥褻行為、未遂!」

 

「うんうん!そう言うのだよね!私がされたらトラウマになるよ!」

 

「……服を着てない葉隠ちゃんにくっつく?」

 

「いやぁあ!!想像しないでよ!!?」

 

「八百万、大丈夫?」

「え、ええ突然足にくっつかれたり、倒れた後に拘束されそうになって、驚きましたが大丈夫です。あ、あの横島さんも模擬戦で真面目に戦われただけですし…そんなに責めなくても」

 

「甘過ぎるよ!絶対下心ありでやったんだよ!」

 

「凄くスケベな顔をしてたもんね!」

 

「真面目はない」

 

「八百万さん襲われる間近にしか見えへんかったよ!?」

 

「……君達!さっきの模擬戦の評価をしたいから集まってね!横島少年を怒るのはその後でね!」

 

「「「…はーい」」」

 

「ふーー助かった…あれ?後で?」

 

オールマイトから言われて横島を渋々と言った様子で解放する女子達。立ち上がった横島の隣には疲れたような切島がいる。横島が正座してるときは巻き込まれないように空気でいた。

 

「怒られたの納得いかーーん!…セクハラ、セクハラって、あれぐらいセーフやんな切島?敵なら足にくっつくぐらいするよな。拘束しようとするのも普通やんな」

 

「………あーー…それは…」

 

女子の視線が向くなか物凄く答え難い質問だった。

 

『主にしては相当に自重していたんだがな。あの程度でも不味いのか?今回はヒーロー役ではなくヴィラン役、敵ならもっと酷いことをしてくるだろう。実戦を想定した訓練ではないのか』

 

心眼は敢えてこの場の空気を無視してそう言う。困ったようにオールマイトが答えた。

 

「うん、まぁヴィランが女性ヒーローにはもっとアレな事をする場合はあるとは聞くよ………訓練で慣れたりした方が良いんだろうけど……ほら、初めの授業だし、倫理的な問題もあるからね」

 

「オールマイト…それって女性ヒーローだとさっきの横島くんより、酷い何かされる場合があるんですよね」

 

「どの様な事をしてくるのでしょうか…」

 

さらに答えにくい質問にオールマイトはちょっぴり冷や汗をかいた。

 

「んーーゴメン!男の私だと教えるのは……ちょっと…ね!だからヴィランが女性ヒーローに何をしてくるか知りたいなら、ミッドナイト先生に聞いてほしい!女性のヒーローに聞いた方が詳しく聞けると思う!」

 

新人教師として先輩教師(ヒーローとしては遥か後輩)に矛先を逸らす。通称丸投げ。

 

ミッドナイト、この学校の教師だが……18禁ヒーローと呼ばれるぐらいいけない格好をした女性ヒーロー。全身タイツな格好に女王さまの様に鞭を装備として使う。更に個性を使うのに肌を露出させる必要がありタイツを自分から破く。素手で破ける様なタイツで戦う三十路女性………

 

関係ないが八百万も個性を使うのに肌を露出させる必要がある。今回個性を横島の前で使うタイミングが無かったが、使えばどうなっていたか…。

「「判りました!」」

 

「…なんで横島少年と峰田少年が返事をするの?」

 

 

 

 

 

 

 

「では改めて、さっきの試合…試合についてだ!MVPは!…うん、色々言いたい事は有るだろうけど横島少年かな!」

 

そのオールマイトの発言にクラスメイトは抗議はないが、あまり思わしくない空気だ

 

「横島がMVP……」

 

「……横島かぁ」

 

「理解は出きるんだけど、スッキリしないよなぁ」

 

「MVPの理由は後から話すとして、先ずは良かった点を!横島少年やヴィランチームには幾つか良かった点がある。まず一つ目は自分達にとって有利な筈の建物の中に居る事に固執しなかった事だ!」

 

「ケロ…あのまま建物の中に居たら轟ちゃんの氷で即負けだったものね」

 

「外に出るの切島、それか横島が提案したの?」

 

「オレと横島じゃなくて心眼が建物を凍らせる可能性を指摘してくれた」

 

「へーー心眼って優秀なんだ」

 

『建物を凍られる可能性については主が思い付いたことだ。私は言葉として出しただけで褒められるようなモノではない』

 

「思い付いたことを…ってことは心眼は横島の思考が読めるのか……」

 

「君が作戦を立てたと思ってたんだけど、作戦を考えたのも横島少年なのかい?」

 

『最初に言ったが私がやるのはサポートだけだ。今回の場合は主が考えてる範囲以上の事は何も言ってない』

 

「あの作戦立てたの横島だったんだ」

 

「横島って成績悪かったのに頭脳派なのかよ」

 

「あれ相当博打要素がある作戦じゃなかったか。頭脳派か?」

 

「考えたと言えば、考えたような?……こう、適当に考えてたのを心眼が悪辣な作戦にしてくれてたな」

 

「悪辣…」

 

『殆どそのまま言っただけだが……』

 

「考えたことをまとめて作戦にしてくれるって、その心眼スゴい!欲しい!」

 

「……心眼を宿した横島の師匠どんな人か凄く気になる。プロヒーロー?」

 

「心眼みたいなのを作れるプロヒーローなんて聞いたことないけど……いや個性の応用で出来るプロヒーローが居るのかな」ブツブツ

 

「…あの八百万の捕獲のしかたも決まってたの?」

 

『特には決めていない』

 

「……捕獲の仕方については横島の独壇なのね。やっぱギルティ」

 

「あのさ、建物の外に出てたの轟達が普通にさっさと入って行ったら不味かったんじゃない。二人とも外で核の守りが無いんだし。轟くんが確実に凍らせるみたいな確信あったの?」

 

『いや確信はない。もし何もせずに入ろうとした場合は入る前に後ろから強襲する予定だった』

 

「建物の中で戦うのは避けようとしてた?」

 

『人質が居ない場合はまだ建物の中で戦うよりは有利だからな』

 

「考えてみたら轟の昨日のテストで出してた氷を覚えてたら、逃げ場が少ない建物の中とか厳しいと思うよな……氷なら核を巻き込んで攻撃出きるし」

 

「轟だけでなくて八百万の個性もわりと建物の中の方が厄介じゃね。最後の方に投げてたフラッシュみたいな鎮圧用の道具とか造られるし」

 

「…それなら峰田も、頭のボールに粘着性がありくっつける事が出きるんだよな。建物の中で使われる方が面倒そうだ」

 

「外で戦うのが当然って今話してると思うわね」

 

「建物内で核の防衛に徹するのダメか」

 

「外で戦うのが当然だと思うなら逆に言えば!轟少年の事を知っている相手なら外に出ている事も想定ができた!ヒーロー側三人のミスは相手が二人とも建物の外に出ていると想定しなかった事だね。中に居ると思わせる細工もあったから難しいけどね」

 

「外が見えないように板が張られてたあれね」

 

「あんな板を貼られてたら居ると思うよね…」

 

「正直に言いますと…其れがなくても此までのヴィラン役が大体建物の中で待ち構えて居たので、籠城すると思い込んでいましたわ…建物のなかで籠城する方が有利ですし」

 

「まぁ中に居るって思い込むよな」

 

「そう思い込みでの油断は今回みたいに致命的なミスにも繋がる!他のみんなも他人事じゃないよ!今回のヒーロー組の立場で相手が中に居ると考えないか!轟少年が建物を凍結させた後にも勝ったと油断しないと自信を持って言えるかい?」

 

「それは…言えない…です」

 

「同じく。轟のあの凍結を見た後に勝ったと思うと思います」

 

「結果的に油断のせいで峰田少年が捕まった。これについては油断だけでなくて、三人の意識の隙間をついて動いた横島少年が見事とも言えるけどね。

 

あ、そうだ。君達は判ってそうだけど一応言うよ。観戦していた時に人質が反則でないかなんて抗議があったけど、実戦でヴィランが人質を取らない何て方がありえない。反則なんて事にはならないよ」

 

「わかってます。直ぐ近くで人質を取られた俺達が間抜けだっただけだ…」

 

「…あのオールマイト…」

 

「なんだい八百万少女」

「人質にされたあと…拉致された峰田さんを、横島さんと建物の中に向かったと判断しましたが、その前に見捨てる判断をしました。これは……良かったのでしょうか」

 

「…うん、それは、ダメとはいわないよ。今回みたいな核の脅威がある設定の状況だと……核の危険を放置して仲間を優先しろ!なんてことも言えないかな。人質が一般人なら無理をしてでも助けないといけないけど」

 

「そう…ですか」

「ヒーローなら仲間も助けるべきじゃ」

「理想を言えばそうだね。状況にもよるけど、別に助けに行くことは否定はしない。けど助けない事も否定もできない。どちらも救おうとするヒーローもいる。逆にリスク、危険を少なくする為に苦渋の決断で見捨てる事を選ぶヒーローもいる。私からはどちらのヒーローが良いとも悪いとも言えないかな。」

 

「正解はないんですか」

 

「状況にもよるからね。厳しいけど何が正解か不正解かは自分自身で決めなければいけない。その場その場で自分で選んで行動するしかない!だからヒーロー組二人の核を優先する決断は間違いとは言わない。ヒーロー失格とは思わないよ」

 

「はい」

 

「ただ、二人は仲間を見捨てる判断をしたけど、模擬戦だからアッサリ見捨てることも出来たんじゃないかな。本番の実戦でも同じ事が起きたら同じ判断をできたと思うかい?」

 

「それは…………本当に仲間が拉致されたとしたら、また違った判断をするかもしれません」

 

「………誘拐したヴィランがどんな奴かで変わると思います。今回みたいな相手だったら同様に後回しにします。命までは取られないと判断して」

 

「模擬戦というのは実戦で戦うための予行練習だ。模擬戦と実戦の時の判断が違ったら意味がない。それと轟少年の言う通り相手によって違う判断をする場合もあるね。他のみんなもだけど!模擬戦でやった事を実戦でも同じようにできるか、相手や状況次第で自分ならどう行動するかも考えてみてね!」

 

「「「はい!」」」

 

『そもそも実戦を想定すれば核の対処をヒーロー二人ではやらないのでは』

 

「そういうツッコミは勘弁してね!さて、話を戻して…八百万少女達は峰田少年が拐われたのは人質だと予想をしたんだよね」

 

「え、ええはい…時間稼ぎか、切島さんを救出する時に建物ごと凍結させられないよう盾にしたんだと……」

 

「二人は横島少年が峰田少年と建物の中に入ったと判断した。少し違うけど実際に横島少年と切島少年も加えて建物の中に入っていったから完全には間違ってない。ヴィラン組みはヒーロー組に入ったと予想される事は予定には入っていたのだろ。後の罠とかの事を考えれば」

 

『確かに入ったと思われるのは想定内だ』

 

「なら人質ごと攻撃する事になるから二回目の凍結は避けたけど、峰田少年ごと凍結をしてくる場合は想定しなかったのかな」

 

『仲間ごと攻撃してくる可能性は少ないと思ったが、確実に仲間ごと攻撃されないとは考えてはいない』

 

「攻撃された場合は?」

 

『仮に攻撃された場合でも問題はなかった。主なら対処はできた』

 

「本人がおもいっきり首を振ってるけど?」

 

『主は自分を過少評価しているからな』

 

「…横島少年の実力が気になるけど、話を進めるね。次は建物の中での話だ。あの罠についてだね」

 

「罠てかイタズラだよな」

 

「あのビー玉やネズミ取りなどはどの様な意味があったんでしょうか」

 

「嫌がらせ?」

『嫌がらせでも意図としてはあっている。相手の位置を確認する為と集中力を削ぐために用意していた』

 

「わたしく達の位置を…確かに音が出るものが多かったですね。特に猿など、今考えると横島さんが気付いてない様子を見せてたのは不自然でしたね…」

 

『位置についてはおまけで本命としては集中力を削ぐことだ』

 

「…あぁ確かに集中力は多少削がれたな。最期の為の仕込みか。……よくあんなに用意できたな。仕掛ける時間あったか」

 

「轟少年たちは知らないだろうけど、屋上とかにも用意されていたんだよ」

 

「私たちが何処から侵入しても罠でわかったと……轟さんもおっしゃいましたがそんなに罠をはる時間ありましたか?」

 

「………横島の個性は罠を作るのに適していたのか?」

 

その言葉に映像で見ていた生徒達は何故か曖昧な顔をしている。なんと言えば良いのか言葉に迷ってる様子だ。

 

「あーいやーー…横島は個性使ってるようにみえなかったな」

 

「うん、切島も手伝ってたけど…ほとんどは横島が凄く手際よく用意してただけ」

 

「…凄かったよ!」

 

「凄かったけどキモかったよね」

 

「いったいどんな動きしてたんだよ…」

 

「動きも凄いけど、よくあんなに物を持ってたよな。あれ個性?」

 

『別に個性は使っていない』

 

「横島て四次◯ポケット持ってたりする」

 

「ヨコシマエモン…」

 

「四◯元ポケットとかないわい!そこら辺にあったの持ち込んだだけだ!…四次◯ポケットとかあったら石ころ帽子欲しいなぁ」

 

「なんでそれをちょいすした!?」

 

「犯罪の臭いしかしない!」

 

「ん?そこら辺にあったのビー玉」

 

「猿のオモチャも?」

 

「ネズミとりはあっても変でないけど…他のも?」

 

「いやネズミ取りあるのも…校長的に良いの?」

 

「まぁ何処から調達したかは気になるけど次の話だ!わざわざ核のある部屋で二人を待ち伏せていたのも意図はあるのかな」

 

『核は勝利条件ではあるが相手の思考を狭め相手の行動を制限する枷でもあるからな。轟の凍結の様な例外もあるが核を巻き込んだ攻撃ができない。攻撃の選択の幅が狭くなる。それと触るだけで勝てるモノなら優先的に狙うだろう』

 

「なるほどデメリットをメリットと見たか」

 

『単純に核を守るためという理由もあるがな』

 

「だいぶ距離が近付かれてたけど、彼処から轟に仲間ごと凍結されても対処できたの?」

 

「峰田が核と横島の近くの床に転がされてたから無理だろ。あの体勢で凍結に巻き添えになったら口と鼻が塞がれる」

 

「あれ適当に転がされてたんじゃなくてちゃんと意図があったのか!」

 

『いや主が雑に扱ってただけだぞ」

 

「おぃい!横島テメェ!!純粋にオイラを雑に扱ってだけなのかよ!!モノすげー地面が冷たかったんだぞ!!」

 

「轟達が予想外の事をしたらやばかったんじゃないの。例えば緑谷みたいに床をくり貫くとか。八百万の個性なら何とかいけそうだろ」

 

『推薦者二人とも相当に不利でも無ければ、予想ができる正攻法で攻めてくるタイプと予想した。峰田はそう言う意味では不安要素ではあったので人質に狙った』

 

「一番狙い易かったからじゃなかったの」

 

「一番狙い易かったのも正解だろ。轟は反撃しそうだし。八百万は横島だと…ほら」

 

「事件になるわね」

 

「正攻法で来ると、つまり…私たちは思考に柔軟さが無いと思われたのですか…」

 

「は!もしや、組み合わせ発表の時に挑発してたのも、ヒーロー組の性格から行動を予想するため」

 

『そう言う目的があったことは否定しない。事実、主の参考の材料には成っていた』

 

「そうだったのか…」

 

「あの時の反応で行動を予想できたの?」

 

『予想はしたが確実に予想通りの行動をすると考えた訳でもない。しかし最初に予想した通りの行動だけをされた。できれば予想外な事をされた方が良かった。その対処が主の良い経験になったのだが』

 

「そ、そうなんだ」

 

『峰田を人質にした辺りでの主の演技でバレると思ったんだがな』

 

「「……」」

 

「あー、うん!いや!わりと良い感じの演技だったと思うよ!横島少年はリアルに下っぱヴィランにしかみえなかった!それと初めての訓練なんだから上手く行くなんて事は少ない!気にしすぎたらダメだよ!さて!峰田少年が人質に成っていたから、轟少年が交渉するフリをして接近して八百万女子がスタングレネードを投げた。悪くない手段だ!」

 

「けどアレの後に負けたのよね」

 

「アレ、横島スタングレネード喰らって無かったのか?」

 

「喰らってなかったんだろ。今から考えると峰田が轟にぶつかったの偶然にしては可笑しいよな」

 

確かに偶然ではない。イケメンに対しての嫌がらせ行為は一級の横島である。

 

「それに八百万の所にも一直線に転がってた。目がとか叫んでたのに」

 

美少女の気配に向かって転がっただけだ。

横島は変質者としてと超一級である。

 

「切島、本当に予想どおりだったのか?」

 

「あーー……八百万達二人が救出に動くとか、轟が気を引く囮になるとか、八百万がガスとかフラッシュで救出に使える道具を使うとかは予定どおりだった。横島が食らったフリをして八百万の方を狙うとかも」

 

切島の発言で完璧に予定通りに動いてたと轟と八百万はズズンと気落ちした。

 

「横島少年がMVPな理由だね…次にベストだったのは切島少年だ!」

 

「オレ!?」

 

「切島なんですか」

 

「あの、切島は最後の最後までなにもしていないですよね」

 

「うん、言い方は酷いけど最後に後ろから押し倒しただけ」

 

「そうだね。ぶっちゃけ彼には活躍の場がなかった!正確には活躍した様には見えてない。けど、彼はちゃんと勝利の為の重要な役割は果たしていた」

 

「…ケロ、切島ちゃんが最後まで動けないフリをしていたからこそあった勝利よね」

 

「気遣ってくれてありがとう」

 

「気遣いじゃないわよ?」

 

「切島少年!君は最期まで動かない事を承知の上で横島少年の作戦に乗ったんだよね」

 

「はい…作戦も心眼と横島が作ったのに乗っただけです」

 

「いやいや!悪い意味じゃないよ!君は勝てる作戦だと思ったから横島少年の作戦に乗った。自分が目立って活躍しない事を承知の上で!」

 

「それは…オレが他に勝てる作戦とか思い付かなかったんで、作戦の案も出せないのに活躍出来ないからって文句を言うのは男らしくないですし」

 

「うん、勝つために自分が活躍しない事を受け入れられるのはわりと素晴らしい事だと思うよ!」

 

「…そうなんすかね」

 

評価された側の切島が煮え切らない様子…それ以下の評価の負けた側はどういう気持ちになるか。

 

「「……」」

 

「そ、そんな落ち込むなよ。二人なんかマシだろ。開幕拐われて最後に味方のお邪魔虫に使われたオイラなんてどうなるんだよ」

 

 

 

戦闘訓練の翌日。

 

「……昨日の戦闘訓練は見せて貰った。初の戦闘訓練だ。当然だが満点だったと言えるやつは居ない。良くなかった部分があったと自覚した上で、次の訓練までに其々自分の何処が問題で最善の行動が何だったか考えろよ。特に緑谷に爆豪、お前らは喧嘩がしたいのか。違うなら目的と手段で手段の方を優先するな」

 

「…はい」

 

「っす…」

 

相澤は次に横島を見た。

 

「それと横島………」

 

「え、なんすか!?オレも何かダメやった!?まさか!また限界までマラソン!?一人マラソンとかはもういややぁ!!」

 

「落ち着け違う。作戦を立てて倒すのは良かったが、ただ今度は真っ向から勝負をしてみろと言いたかっただけだ。昨日の模擬戦では戦闘が発生してなかったろう」

 

「……え、真っ向勝負…真っ向から戦う必要ってあるんすか?」

 

相澤は堂々と言えることに呆れもしたが感心もした。

 

「…………実戦で真っ向から戦えとは言わないが訓練ではやっておけ。場合によっては真っ向から戦う事が避けられない時もある」

 

「そうなんすか」

 

「…露骨に嫌そうな顔をするな。そんなに真っ向から戦うのが嫌なのか」

 

「オレって正面から戦えるほど強くないですし」

 

作戦通りとしても推薦組二人+一人に勝ったのにこの自信の無さ。卑屈すぎないか?

 

「……」

 

「え、なんすか」

 

相澤は横島のバンダナを見る。

 

「……オールマイトから聞いたが横島のそのバンダナには心眼ってやつが宿っているんだよな?聞こえてるなら答えてくれるか」

 

『うむ何か御用か。』

 

バンダナに瞳が現れる。

 

「心眼ちゃん居たのね」

 

「顔、じゃなくて目が出てないから別のバンダナだと思ってた 」

 

『不必要に出ていると生活の邪魔になるからな』

 

「気遣いの紳士」

 

「…お前が心眼か。質問なんだが横島は真っ向からの戦闘は出来ないのか」

 

「なんで本人でなくて心眼に聞くんすかね」

 

『別に出来ない訳でもない。ただ格上との戦闘ばかりを体験していて真っ向から戦わない手段だけを磨いていた。正面から戦うのには慣れてはいないな』

 

「………格上、お前を産んだ師匠か?」

 

『そうだな。他にも居るが』

 

「…どういう相手と修行してたか気になるが今は聞くことでもないか……横島、今の戦闘スタイルを変えろとは言わないが、今度の模擬戦がある時は一時的にでも今のスタイルを止めて一度真っ向から戦ってみろ。格上でなく格下相手なら練習相手にちょうど良いだろう」

 

格下という部分に生徒たちは反応した。

 

「ちょ!?挑発すんなやオッサン!!」

 

相澤は横島の抗議はスルーして火種だけ残して本題を話すことにした。

 

「さて、今日はこのクラスの委員長を決めて貰う」

 

「「「おお!学校ぽいのきた!!」」」

 

反応が大袈裟過ぎる。いや担任が入学式にすら参加させなかったせいか。

 

「オレ、委員長やる!」

 

「うちもやりたい!」

 

「リーダーなりたい!」

「ボクのためにあるやつ☆」

 

「オイラが委員長に成った時のマニフェストは女子のスカートは膝上30センチ!」

 

「なに!そう言うのもありなんか!なら!ワイが委員長になった時のマニフェストは!女子の制服を…ふごぁ!?」

 

バンダナが横島の口に移動して塞いでいた。

 

『止めろ主、その後の発言は発禁だ』

 

「静粛にしたまえ!多を牽引する重大な仕事だ!……やりたいからと言ってできるものでもない!周囲からの信頼があって務まる聖務!真のリーダーを決めるなら民主主義にのっとり……投票によって決めるべき議案!!」

 

「手ぇおもくそ上げてる!」

 

「そびえ立ってんじゃねーか!なんで発案した!?」

 

「なんでも良い。早く決めろ」

平和に選挙に似た形式で投票による委員長決めが行われた。

 

クラスの全員が一人一人其々委員長となる為に自己アピールをした。 この自己アピール、担任が他生徒との交流を軽視するので、軽い人物紹介、いや自己紹介の様なモノも兼ねていて丁度良かったのかも知れない。

 

公正な選挙の結果!

大体が自分に投票し極少数の生徒が他者に投票。

 

委員長は緑谷、副委員長は八百万と決定。

 

「私が…選ばれたからには全力でやりますわ!」

 

副委員長は問題ない。問題ないとして

 

「ぼ、ぼく!!?」

 

委員長が…これまでのテストや訓練ではあった狂気は成りを潜め、人前に出ることに慣れてない様子でオドオドした様子。どう見ても…相澤と種類は違うがコミュニケーション能力がない。

 

 

 

 

 

尚、誰がトチ狂って投票したのか八百万と同じ二票だった横島、問答無用で落選となる。女子からは冷たい目で見られ反省文を書くことも求められた。

 

 

「なんでワイはシバかれた上に反省文書かんとアカンのや!!!不正したってなんや!不正なんてしてへんぞ!」

 

『……いや不正に関係なく反省文は書かされるだろう…一度止めた口に出すのもダメな卑猥なマニフェストを何故言った』

 

 

 

 

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