機械チートだけど周りのケモ達がデカすぎる   作:蓮太郎

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第十四話 事故は油断から

 

「どこに居たんだ?って、この匂いは紙か?」

 

「図書館に居たんだよ。思ったよりも本は豊富なんだな」

 

「あー…………私たちはあまり行かないからね」

 

 食堂に戻って、今度はサラダを頼んでみたケイジだ。

 

 サラダを所望したら食堂のおばちゃん(声で判断した)に『え、マジで言ってるの?』って顔をされた。

 

 何故表情が分かるのかって?彼らの表情は分かりづらい。

 

 だがカパッと口を開いて停止したらそう思うだろ?周りも『えっ?』ていう顔をしていた。

 

「おい、本当にいいのか?昨日と朝は肉を美味そうに食ってたじゃないか」

 

「油の食べ過ぎは良くないからな。というか、何で毎日あの量を提供できるんだよ、サラダのような食用のもだ」

 

「肉は狩ればいくらでも手に入るし、草は一日で生えてくるだろ?」

 

「普通は生えない筈なんだが…………」

 

『ケイジ様、土壌が変化している可能性を提示します』

 

 AIが言う通り、土壌に何らかの絡繰りがあるから植物も一日で生えまくったりするというのか?

 

 燃料だって樹木を切り倒して作った薪を使っているのも食堂から確認できるし、もしかして燃料が実質無限だったりするのか?

 

 そうなったら革命ものだぞ。電力よりは劣るが絶えず使える火力発電とか、木炭に加工して列車だって作れてしまう。

 

 いや、鉄の方が目処が立っていない。彼らも鎧や刃物に金属を使っているんだ、鉱山がない限り金属も貴重な物のはず。

 

 やっぱり宇宙からの資源回収は継続だな。

 

 もっしゃもっしゃと、恐らくレタスらしい青い味のする葉っぱを食べ続けていたが、やはり味に飽きが来るな。

 

 塩胡椒はあるが、胡椒は苦手だからな…………ドレッシングでも開発してみるか?

 

「ねえねえ、あの子って朝は肉食べてたよね?」

 

「歯並びからしたら肉食っぽいが、草を食べていいのか?」

 

「おなか壊さない?」

 

「草食べるんだ、今度一緒にご飯できないかな?」

 

「ハムハムしてるの尊い…………」

 

 外野が何か言っているが、意外と雑食性の新人類はいないのか。

 

 戦闘能力はどちらが上か分からないが共存している以上、肉食と草食の垣根はとっくの昔に超えているだろう。

 

「っかー!なんであそこで負けたんだ俺ぇ!」

 

「ふははは!残念だったな、お前が弱いからだよ!」

 

「隙を突いただけだって。次の模擬戦でお前秒殺されたじゃん」

 

「それを言うな!」

 

「あいたたた、まだぶっとんでいった歯が痛い…………」

 

「歯の痛みくらい何よ、すぐ生えてくるんだから我慢しなさい」

 

「流石に目がつぶれたのはまずったな…………薬貰いに行くか」

 

 そしてあそこに居る大怪我包帯集団はなんだ?さっき広場で見た連中で間違いないが、それにしてもボロボロすぎる。

 

 明らかに大怪我とかいうレベルじゃない。全身包帯巻はともかく、片目を隠していたり骨折したように腕を釣っていたり、歯が欠けていたり、ケモ耳が欠損してないかあれは…………?

 

 とにかく簡単に治らない大怪我ばかりしてるが?

 

 歯は最悪入れ歯や差し歯で代用はできるだろうが、耳とか目はだめだろうが!

 

 待ってくれ、それほどまでして俺と遊ぶ権利が欲しかったのか?体の一部を潰すくらいの勢いで???

 

 怖い、しかも簡単に治るみたいなことを言ってるし、代用技術か?それとも何らかの魔法的な手段でも存在するのか?

 

『ケイジ様、名称「廃都」に彼らを完全に治療できる施設があります』

 

「…………いや、様子を見る」

 

 人によっては絶望して人生を諦めるほどの大怪我、だが彼らは諦めるどころか何も考えていない。

 

 まるで完全に治せるような雰囲気だ。怪我などものともせず、明日のために英気を養っているような…………いや、なんで昼間から酒飲んでるんだよ。

 

「なあ、アレって治るのか?」

 

「ん?ああ、あいつらのことは気にしなくていい。医務室に言ったら一晩で治る」

 

「普通は治らないが?」

 

『ケイジ様、細胞を採取して培養してみますか?』

 

 やめておけ、下手に解析成功したら大変なことになる。そして暴走した結果、世界が大変なことに!なんてよくある映画の始まり方が起こってしまうだろ!

 

 それに医務室の方が俺は気になる。大体の大怪我を直せる手段は非常に限られているんだ。

 

 俺の所の治し方と言ったら機械で代用するか、細胞を採取して培養臓器を作るかだ。

 

 倫理観を無視すればクローンを臓器提供者にする方法もあるが、流石に俺はそんな事を命じられない。

 

 何処かチグハグだ。技術力が低いようで実際高いというか、知能の割に高度なことをしてると言うか…………

 

「しかしアレだな、本当に草も食えるんだな?」

 

「何が言いたいんだ?雑食がそんなに珍しいか」

 

「いやぁ、肉も草もどっちも食べれる奴は中々いないからな」

 

「好みもあるだろうけど、単純に食べやすいとか体質とか、あと歯が関係してるだろうな」

 

 肉食動物と草食動物の歯はだいぶ違う。肉を噛みちぎることに特化した歯が野菜を食べるのは不便で、野菜をすり潰し食べやすくする歯は肉を噛みちぎるには不便だ。

 

 そこら辺も進化が関わってるのだろう。元の骨格ベースは人間だがケモノの要素が無理矢理追加されてファンタジックが加速している、と予想を立ててみる。

 

 それを解き明かすのも俺の仕事かねぇ?

 

「ま、確かにな。俺も草を食べるのは苦手だし。それよりも本当にその量でいいのか?少なくないか?」

 

「私のお肉いる?」

 

「もっと食べろって!元気が出なくなるぞ!」

 

「やかましい!これが俺の適量なの!乗せるな、盛るな!」

 

 肉食草食問わず俺の皿に食べ物を盛ってくるのをやめてくれ!カロリーオーバーしちゃう!成人男性の1日に必要なエネルギー摂取量を軽く超えちゃう!

 

「ガキは食べて遊んで疲れて寝るのが仕事だ。しっかり食わないと大きくならないぞ」

 

「もう縦に大きくならないんだよ、これ全部食べても横にしか大きくならないんだよ」

 

 やっぱり体格差で舐められてるな。舐められているというより保護欲が出てるというか、構ってやりたい感じだ。

 

 困る、食べても食べても肉と野菜を次々と乗せられて困る。

 

 食べきれないよこれ。今さ、俺は絶対死んだような目をして食べ続けてるけど無理だって。

 

 もう本当に食べるのをやめようと思ったその時だった

 

「そんな事いってるけどさぁ?だってほら!」

 

「うおっ!?」

 

「こんな、軽っ!?あっ!」

 

 手を止めてもう食べれないアピールのようにじっと焼肉と野菜を盛られた皿を見ていたら、背後から急に持ち上げられた。

 

 誰かは確認できていない。多分、模擬戦に居た女性の誰かだろうがそこはどうでもいい。

 

 柔らかな毛皮を纏った手で持ち上げようとしたのはいい。ただ、勢いよく持ち上げた上で手を滑らせたのが俺を持ち上げた女性の不幸だった。

 

 不意を突かれたことで即座に抵抗できず、またAIも予測していなかったのか対応が遅れたことが拍車をかける。

 

 彼女からしたら俺は予想よりも軽く、結果的に勢いよく天井になかば飛ばす形になった。

 

 油断し切っていた俺はそのまま天井に顔から突っ込み、ごっ、という音と共に衝突した。

 

『ケイジ様!顔面の損傷を確認、頚椎に負傷なし、脳震盪発生。意識を保ってください、ケイジ様、ケイジ様!』

 

 無茶言うな、もう視界がブラックアウトなりかけなんだぞ。

 

 薄れていく思考とAIの焦る合成音声、そして周囲が一瞬で静まり返った事のみ認識できた俺は重力に従ってそのまま落ちる。

 

 机にぶつかり床に落ちるかと思ったが、誰かが支えてくれたようだ。

 

「おい!怪我はしてないか!?しっかりしろ!おい…………!」

 

 心配してくれてるようだ。だけど流石にもう無理、顔が痛いし頭がくらくらするし胃の中も気持ち悪い。

 

 先ほどの静けさから爆発するような騒ぎに変わるのを消えゆく意識で確認し、俺は今度こそ意識を失った。

 




続くとケモ達もっと出せるかもしれないので感想よろしくお願いします。
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