機械チートだけど周りのケモ達がデカすぎる   作:蓮太郎

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第十五話 初めての気絶

 

 頭が、いや顔が痛い。

 

 何があったっけ?ぼんやりと意識が戻ってきている感じだ。

 

 そうだ、思い出した。俺天井に顔をぶつけたんだ。

 

 後ろから抱き上げられたと思ったら、そのまますっぽ抜けて天井まで投げ飛ばされたんだった。

 

 いや、おかしいだろ。軽量パワードスーツの重量を合わせても124.8kgある重さをさ?彼らの身長から換算して5m以上ある天井まで冗談のつもりで軽く投げ飛ばしたんだぞ?

 

 馬鹿力め、俺はお前たちより弱いんだぞ!

 

 …………口に出してないが言ってて悲しくなる。

 

『ケイジ様、おはようございます。14分23秒の間、意識を失っていました』

 

「いつつ、顔になんか塗ってあるな」

 

『ケイジ様、成分を解析中です。ですがデータベースに存在しない物質を使っていますので時間はかかります』

 

「何を塗られたんだ俺は???」

 

 待ってくれ、現時点で由来不明の薬塗られてるのか?アレルギーとか大丈夫か?

 

 まだ鼻あたりが痛むが、横になっているベッドから起き上がりゴーグルを探す。

 

「いや、ゴーグル付けてないのにどこから話しかけてるんだ?」

 

『万が一に備えてスーツの振動で音を直接骨から鼓膜に伝達させています』

 

「俺の技術か、それ。俺の技術だわ」

 

『ケイジ様、あなたの技術です』

 

 よく考えたら作ってたわ。そりゃゴーグルが壊れた時にAIや友軍との会話ができなかったら詰みだからスーツで機密通信するよう作ったわ。

 

 じゃあゴーグルはどこだ?そして俺が寝ていたクソデカベッドは何だこれ、何人横になれるんだよ。

 

「おや?目覚めたかい?うるさいのは一旦外に追い出したけど、気分は悪くないかい?」

 

 横から大きな影が俺の身体を這ってきたので、横を見たら黄色と茶色のまだらな体毛、そして長い首でこちらを見下ろすケモノがそこにいた。

 

「まったく困ったものだねぇ。子供と遊ぶ加減を間違えて天井にぶつけて、しかも気絶させるとは」

 

「大人…………いや、体格は小さいから仕方ないけれど」

 

『ケイジ様、いつもの否定はどうされましたか?』

 

 でっけえ、見上げ続けていたら首が痛くなるくらいでかいとしか言えないキリンの顔があるんだ。

 

 身長は他の皆よりも大きい。3、いや4mはある。

 

 こんな身長があるケモノが居たら施設の高さも合わせて設計されるよねって話だ。

 

 身長が2mくらいある他のケモノ達ですらやや高いんじゃないかと思った天井も、この人のことを考えたらギリギリだったのかもしれない。

 

「どうだい?気分が悪いとかは無いかい?頭が痛い、視界がぶれるとかは?」

 

「無い。顔が少し痛むくらいだ」

 

「鼻血が出てたからね。今はしっかり止まってるけど、喉が詰まった感覚は?」

 

「無い。やっぱり医者で間違い無いよな?」

 

「もちろんだとも。この医務室を管理してるからね」

 

 よく見たら白衣を着ている。ただし、前開きで下には何も着ておらず、短い毛並み越しでも分かる筋肉をしている。

 

 見せつけか?と思ったがよく考えたら首を入れるタイプの服を着るのに苦労する首の長さをしてるのだからある意味当然ではあるか。

 

「よっと、よし。特に動きも問題ない」

 

「それはなにより。それよりもその服、脱がせられなかったけどどうなってるんだい?」

 

 遥か上から見下ろす医者が、純粋な疑問を持って俺のパワードスーツに目を向けている。

 

 あー、確かにこれは外から脱がせられないからな。金属製で、間違っても素手で破けるようなものではない…………よね?

 

 彼らケモ達ならやりかねないが、ここまで丈夫な衣類を彼らは知らないだろう。

 

 大獣と呼ばれた怪獣が他にもいるみたいだから、それを素材にした服がどうかは置いておき、俺の傑作の一つを簡単に壊されてたまるかという気持ちもある。

 

「大事な鎧だから丈夫なんですよ」

 

「鎧だって?いや、確かに爪で叩いた感じは金属だったけど、こんな薄いので護れるのかい?」

 

「ちょっと時代が違えば大活躍だったんだけどなぁ」

 

 その時代のことを覚えてないんだけどな。記憶喪失も実際にかかると厄介だな。

 

 軽量は、この時代においてあまり役に立たないかもしれない。強いて言うなら彼らにとっての下着のようなものじゃないかと思ってたりする。

 

 今の俺はパワードスーツを着てケモ達の子供レベル、なければ赤子同然の存在だ。

 

 本格的に強強度のスーツか武装を持ち込むべきか?

 

「考え事をしてるところ悪いけど、外がそろそろ凄いことになりそうなの気付いてるかい?」

 

「気づくどころか扉の隙間から目がいくつも覗いてるぞ」

 

「何やってるんだ…………」

 

 医者は既に頭が天井に近いのに、天井を見上げて割と自分勝手な同僚に呆れているようだ。

 

 それよりも扉の隙間からじっと見つめてくる複数の目が怖い。

 

 それぞれの種族特有の目がやや暗めな医務室でキラリと光り続けている。

 

 コタツからペットを覗きこんだような感じだぞ。目の大きさに合わせてすっごい光ってる。

 

『ケイジ様、ゴーグルを装着して集音機能の使用を推奨します』

 

 AIの言う通りにゴーグルを装着する。キュインという音と共にゴーグル内に俺のデータが読み込まれて視界のサポートと共に集音機能により骨伝導で俺の耳に直接声が入ってくる。

 

『起きてるよな?先生と話してるし?』

 

『けっこう勢いよくぶつかったもんな。でもそれだけでああなるか?』

 

『馬鹿、子供だぞ?』

 

『あれで気絶するならもっと優しく触らないといけないのかなぁ?』

 

『お前来ていいのかよ?副長達にボコボコにされただろ』

 

『わ、わだじだっで、ああなるどおもっでながっだんだもん!』

 

『顔がボコボコすぎて喋るのも辛いんだな………』

 

 閃光手榴弾があれば投げ込んでたかもしれないが、流石に室内では非武装だ。

 

 幸いにも友好的な種族だから考えなくてもいいと思うが、万が一に備えて何か仕込んでおくべきか?

 

 彼らからしたら俺が知る手で持てる武器は基本的にオモチャに過ぎないとは言え、小さなブロックオモチャを踏めば大人だって悶絶するもの、悪いことはないはずだ。

 

「もう少しここで休んでおくかい?必要なら追い払うよ」

 

「…………まあ、もう少し痛みが引いてから出たい。何か知らない間に賭けの景品にされてたし少なくとも昼休みいっぱいは」

 

「なるほどね、分かった、ちょっと待っててね」

 

 医者はそう言うと俺から離れ、全体を観察して分かったが足も普通に長い、扉の前まで行く。

 

 そして思いっきり扉を蹴り飛ばし覗き見していた奴らを巻き込んで吹き飛ばした。

 

「手前ら、いい加減にしやがれ!ガキ相手に怪我させてんじゃねえぞ!それに見せもんじゃないし賭けの景品でもないんだぞ!文句がある奴は前に出ろ!叩き殺してやる!」

 

 さっきの優しい姿はどこに行った?

 

 声が年季が入ってドスの効いたヤクザみたいになってるし、しれっとドア壊してるし、その後も思いっきり野次馬を蹴り飛ばしてる。

 

 怖、人の豹変ってあれくらいあるんだ。

 

「いっでえ!見てただけだろ!?」

 

「怪我したんだから心配して当然でしょう!?」

 

「だったら堂々入ってきやがれ!何を臆して覗き見で済ませてるんだ!投げ飛ばして吹き飛ばすぞ!」

 

『ケイジ様、もう少し休息をとりますか?』

 

「…………そうする」

 

 もう少し外が落ち着いてから出よう。そう思った俺はドカバキと暴力の音を聞こえないふりしつつベッドに横になり時間が過ぎるのを待つのであった。

 




続くとケモ達もっと出せるかもしれないので感想よろしくお願いします。
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