機械チートだけど周りのケモ達がデカすぎる   作:蓮太郎

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第二十一話 僕は街の人気者

 

「ひゃっほーい!久しぶりの楽しい休日だー!」

 

「ケイジくんはどこから見て…………ケイジくん?」

 

 危なかった、今にも吐きそうだがなんとか飲み込めたぞ!

 

 マジで抱っこされたまま道端で嘔吐するなんて醜態を晒さなくてよかった!

 

 それはそれとして普通に気持ち悪いのは続いている。

 

 後頭部にもふもふの毛並みが当たっていることだけが癒し、頭を押しつけてみたら思っている以上にめり込んでいく。

 

「見ろよ、俺に甘えてるぜ」

 

「いいな~、俺も胸毛に埋まってほしいぜ」

 

 何かを勘違いしているようだが、俺は単純にもたれかかっているだけだ。他の意は一切ない。

 

 ちくしょうめ、体格差から分かる通り子供と認識されているせいで甘やかそうとしてくる。

 

 確かに肉体自体は彼等に比べると遥かに弱い。天井に頭をぶつけて失神するくらいなんだから普通に俺は…………弱い…………!

 

 だが科学技術は他の追従を許さない。それだけは誇りなんだ。

 

「なんか急にきりっとした顔になった気がする」

 

「いいじゃん、可愛いじゃん」

 

「キラキラお目目が良いね…………舐めていい?」

 

「えい」

 

「あたしの目があああ!?」

 

 防衛手段として隠し持っていた胡椒をぶっかけて変質者を撃退しておいた。

 

 おかしいな、なんだかこの獣人達って女性の方が変質者が多い気がする。

 

 図書室のコリンは普通に接してくれたのに、いや、可愛がられはあったが度が過ぎるような真似はしていない。

 

 顔を押さえてのたうち回る馬鹿猫獣人は放置しておいて、周囲の視線を独り占めしている現実に向き合うとしよう。

 

 まず、街の住人は誰一人として俺の様な人間は居ない。皆、顔に毛が生えた獣人だ。

 

 よく見たらゾウの獣人も居るので全員がマズル持ちではないみたいだ。

 

「何だろ、あの人?」

 

「もしかして噂になってる新人じゃないか?」

 

「小さいわね、子供じゃないの」

 

「ママー、あれなにー?」

 

「うちの子より可愛い…………」

 

「おいババア」

 

 見える範囲の毛が頭部しかない人型生物を見るのは初めてなんだろう、不思議な視線を向けられている。

 

 幸か不幸か、肌で感じるような悪意や侮蔑は感じられない。ただし、自分の親をババア呼ばわりした子がノールックで拳骨をくらっていたため嫉妬されている気がする。

 

 頭につけていたゴーグルを眼まで降ろして観察したら鼻に皺が寄ってるもん。めっちゃ威嚇するように歯がむき出しになってるもん。

 

 そんな哀れな子供は見て見ぬふりをしてやり過ごし、建物に目を向けてみる。

 

『ケイジ様、ステルスドローンで偵察した通りの街姿です』

 

 AIが新鮮さを失わせるような発言をしてくるが無視しよう。

 

 現代から転生してきた俺にとって古そうな石造りの建物にしか見えないが、ずさんに積んでいるわけではない。

 

 驚くべきことに、寸分の狂いなく計量され均等に積み上がった建物が目の前に並んでいる。

 

 よく見ると側溝も存在しており、少し穴の開いた石の蓋で覆われて目立たないようになっていた。

 

 今更ながら、街の地面が土でない事も驚きであるが雨天時の排水処理もしっかりと考えられている設計だ。

 

 過去にそういった事案があったのだろうか、そこは気になるがいつまで経っても猫の様な抱えられ方では示しがつかない。

 

「自分で歩くから降ろしてくれ。脇腹が痛くなりそうだ」

 

「お、そうか?悪い悪い」

 

 流石に降ろしてくれるだろう、そう思っていたのが俺の身体は下に落ちるどころか急に上昇した。

 

「これなら逃げられないだろ」

 

 ふわりと浮遊感を感じた瞬間、股が俺を抱えていたオス山羊獣人の首に当たる。

 

 そう、これは言わる肩車と言うやつだ。

 

「うおっと!?あ、やべ」

 

「はっはっはっ、俺の角をしっかりと持っておけよ。弟たちで鍛えられた首は伊達じゃないぞ!」

 

 乗った衝撃でバランスを崩しかけ、とっさに彼の頭に生えていた角を掴んでしまった。

 

 しかし彼は歴戦の獣人。軽量パワードスーツを含んで124.8㎏もの重さがある俺が引っ張ったところでびくともしていない。

 

 軽量とはいえパワードスーツ、やる時は本来の10倍以上もの力を発揮できるとはいえぐいぐい引っ張ろうと大木を相手にしているような安定感がある…………!

 

 これは本格的に重量パワードスーツを取り寄せるタイミングを考えないといけないな。

 

「お、あれ見ろよ!珍しくトカゲ焼きやってるぜ!」

 

「いい匂いがするよねぇ、目が痛いけど分かるよぉ」

 

「匂い?どこにあるんだ?」

 

『ケイジ様。前方105mに屋台があります』

 

 しれっとそこそこ距離がある場所を特定するAIは自慢の子であると同時に俺には一切知覚できない場所の話をするのはやめて欲しいと思うところもある。

 

 肉眼で確認できる限界はある、俺の視力は裸眼だと1.5なんだ。

 

「ねえねえ、何でそんなにつるつるなの?病気なの?」

 

「こら!」

 

 純粋無垢な質問が横から突然飛んできた。

 

 気になる事に関して猪突猛進なのはどの世界の子供も一緒だ。特に、天真爛漫に育ってそうな身体と瞳を持つ子供はまっすぐなんだろう。

 

 …………いや、子供も十分にデカいな?

 

 俺の身長が170㎝ちょっとで大人の獣人、俺を肩車している山羊獣人の胸の高さに届かない程度だ。

 

 保護者らしいコーギー系獣人と山羊獣人が同じくらいの身長に対し、無邪気に質問を投げかけてきた子供が保護者の胸と同じくらいの身長である。

 

 先ほどの幼そうな言動から俺が見た目から考えている年齢よりも若い?

 

「元々、毛が生えにくい種族なんだよ。体温調節は分かるかな?」

 

「わかんない!」

 

「うん、身体が熱くなったら熱を冷ますための力が弱いからあったかい毛皮は必要ないんだ」

 

「そーなんだ!」

 

「そうそう、だから飛び乗ろうとするのはやめようね」

 

 軽量パワードスーツに興味があるのか、はたまた毛が生えていない顔面を触りたいのか山羊獣人の下でぴょんぴょんと跳ねて俺を捕まえようとするけなげな姿。

 

 絶対手加減とか出来なさそうだから一回落ち着いてくれ。俺の足が危ない。

 

「あらー、どこから来たの?」

 

「うっひょー!一目見たかったんだよな!」

 

「アクセサリーを付ける場所が少なすぎる…………尻尾はないのか?」

 

「お耳がよこにあるー!」

 

 休日に買い物するという予定だったはずが周囲に獣人達が集まって進むに進めない状況が出来つつある。

 

 どうしてこうなった、いや分かりきってたことだろ!

 

「あわわわ、やっべ、騒ぎになった!」

 

「串焼き、トカゲ焼きを口移ししないといけないのに!」

 

「待て、なんだその計画」

 

 確かに食事をする際に口移しでものを食べさせる動物は居るが、それを実践するべきじゃないだろ!?

 

 というかそれやるの鳥類の話じゃなかったのか?それとも俺が知らないだけでそういった文化があるのか?

 

 そしてそれを言ってるのがヒョウのオス獣人であることが非常に怖い所なんだけど。

 

 あと感染症の危険もあるのでやめていただきたい。

 

 大騒ぎになり始め、そして注目が集まったということで俺たちが店に近づかなくとも屋台の方が近づいてくるという現象が起き始めるまで10分もかからなかった。

 

 




続くとケモ達もっと出せるかもしれないので感想よろしくお願いします。
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