【書籍化】ダチョウ獣人のはちゃめちゃ無双 ~アホかわいい最強種族のリーダーになりました~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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2:ダチョウと狩り

 

 

「お、見えてきた見えてきた……!」

 

 

アレは……、ワーム? いや、土竜かな? 太さが違うもんな。

 

どうやら砂煙をまき散らしながら移動しているのは地中に棲む竜、土竜のようだ。といってもザ・ドラゴンって感じの生物ではない。どちらかと言うと巨大ミミズみたいなもんだ。地中を掘り進みながら生活しているだろう竜で、たまにメシを食うために地上に出てくる個体がいる。いいねぇ! あたりだ! こりゃ楽な狩りになりそうだ。

 

アイツはワーム、ミミズどもと違って群れないので基本一体。しかも地上にいる捕食者から逃げるために地中へと移動したと思われる種族のせいかかなり弱い。やろうと思えば私個人でも討伐が可能な魔物だ。たまにアリ地獄みたいな罠を仕掛けてる奴もいるが、今日の個体は元気に外を走り回っている。図体デカくて攻撃力は高くとも肌が弱けりゃ私らにとって"カモ"よ!

 

 

「お前ら回り込むぞー! こっちー!」

 

「「「こっちー!」」」

 

 

注意点はただ一つ、正面から勝負を仕掛けないこと。奴の口はちょうど豪華な一軒家を丸呑みできるぐらいにはデカい。故に真正面から挑むのはただの阿呆、野生を忘れた阿呆のダチョウがすることだ。賢いダチョウならば迂回して、柔らかい胴体の部分に総攻撃をかける。そこで体をちぎっちまえば即試合終了。

 

ちぎった部分から上下どちらかがトカゲのしっぽ切りみたく逃げ出すかもしれないが、片方だけでも群れの腹は十二分に満たせる。

 

後方に続くダチョウたちに手本を見せるように、羽を広げ右側へ大きく傾く。土煙が大きすぎて未だ何を追いかけているのかはわからないが、周囲には何も障害物はない。このまま直進しかできないだろう。最初同族かと思ったが、それにしては逃げる速度が遅すぎるような気がする、アンブッシュを受けないように土竜討伐後も気を抜かないようにしないとね。

 

相手の土手っ腹をぶち抜けるように方向転換し、相手側速度とこっちの速度のタイミングが重なるタイミングで左折する。

 

よっしゃ後はオート戦闘じゃ!

 

 

「突っ込めェェェ!!!!!」

 

 

「「「わーーー!!!!!」」」

 

 

指揮官先頭に則り、一番前を走りながら土竜に向かって突撃を敢行する。

 

徐々に奴との距離は縮まって行き、私の予測通りこちらが相手と接敵した時には土竜の柔らかい腹肉がそこにある。後は全力でそれを蹴りつけてやれば私の仕事は終了だ。後はウチの阿呆どもに任せておけば大丈夫。さぁって後は土竜の動きの確認をしませんとな。

 

足を蹴り上げた反動で宙を舞い、そのまま後方へと逸れながら眼下で土竜に向かって攻撃を始める彼らを眺める。こいつらは阿呆ではあるが、野生を失ってしまうほどアホではない。敵が目の前にいれば動かなくなるまで攻撃し続けるし、手酷い反撃を受けたのなら自身の判断で撤退し始める。

 

だが誰かが撤退すると他の個体もとりあえず逃げ始めるため、そうなった場合戦線が速攻で崩壊する。なのでこいつらの頭である私はそこら辺のタイミング、引き際を見計らないといけない。

 

アイツらの視界に入らないように群れの背後へと着地し、土竜と群れの両方を視界に入れられる位置まで後退する。

 

 

(基本大丈夫だとは思うけど、反撃が間に合う個体もいるからな……。)

 

 

ダチョウたちの敵胴体を両断する速度と、相手が反撃してくる速度はこっちの方が基本早い。基本スペックと突撃による速度ボーナス、プラスして私たちの数を合わせれば一軒家を丸呑みできる化け物も怖くはない。だが愛すべき阿呆たちが理解できるのは「突撃」か「撤退」の二つのみ。被害が出そうならば即座に撤退して次の策を取らなければいけないんだけど……。

 

 

「お、今回は普通にいけそう。運がいいねぇ~!」

 

 

警戒も杞憂に終わり、目の前には両断された土竜が一匹。今回は下の方が撤退するらしく、大きな土煙を上げながら地面へと潜っていった。っとと、集合の合図出しとかなきゃ逸れちまう。大声を出し後方にいた私の存在に気が付かせ、一旦獲物からこちらへと移動させておく。こうでもしないとまじでどっかに行っちゃう奴がいるからな……。

 

返り血で血まみれになった仲間たちの頑張りを解り易い言葉で伝えながら、何人かの体を軽く撫でてやる。にしてもまぁ激しく汚しちゃって、後で川にでも移動しなきゃな。おうおう、褒められるの嬉しいのは解ったが体擦り付けるな。わかったから飯の後に水浴び行こうな。人間の集団なら別れて行動もできるだろうに、こいつらの場合送り出した瞬間に全て忘れるから……。こういう時に全員で移動しなくちゃならんのは色々手間だよねぇ。

 

 

「ま、お疲れ。次追いかけられてた方を見に行くからー。」

 

 

「ごはん?」

「ごはんは?」

「たべる?」

「おっきいの!」

 

 

「それは後なー! んじゃついてこーい!」

 

 

ということで横たわった巨大な土竜を横目に先ほどまで追いかけられていたであろう先頭へと移動を開始する。こっちからの攻撃のおかげで急ブレーキをかけたであろう土竜、その断面図は斜めに抉られたようになっている。切断面の大きさも程々だし、こっちが攻撃したおかげで追いかけられてた奴はすでに嚙み砕かれてる、ってことはないだろうけど……。

 

 

「っと、距離的にこれぐらいか。とまれー!」

 

 

「とまる?」

「とまる!」

「とまった!」

「えらい?」

 

 

「はいはい、偉い偉い。じゃあなんかいるかもしれんし、探せー!」

 

 

そう叫ぶと、『さがせ?』『さがせ!』『さがす!』と各々に言い始めあたりを見渡し始める彼ら。数秒後に私の命令を忘れてしまうだろうが、覚えている数秒の内に視線を移動させてしまえばそれでいい。何故その方向に目を向けたのかはわからなくても、何か見つけたら声を上げてくれるしね。

 

はてさて何が見つかるかねぇ、できれば美味しい獲物がいいんだけど。こいつらはあんまり気にしてないみたいだが、私にとってこの土竜の肉はそこまで嬉しいお肉じゃない。量が多く、腹を満たせるのは確かなのだが、少々お味がくどいのだ。土の中で生活しているせいであんまりうまいもの食ってないんだろうねぇ……。はぁ、地球のスーパーが恋しいよ。

 

出来ればあの芋虫がいいなぁ、このあたりには生息してないから望み薄だけど。結構アレ肉がクリーミーで美味いのよね。生じゃ無理だけど焼いて上から砕いた岩塩振りかけると結構美味い。まぁ塩自体滅茶苦茶美味いんだけど。あ、ちなみに私らダチョウ獣人、胃腸もクソ強いので基本何食べても消化できるんですよ。ハイパー雑食。まぁそれぐらい出来なきゃここじゃ生き残れないとも言う。

 

 

(団体で狩りが出来てる今はまだマシだけど、昔は結構カツカツだったからなぁ。私ら消費カロリー多いし。)

 

 

そんな風にまだみぬ獲物へと思いを馳せていると、土竜の進行方向を眺めていたダチョウから声が上がる。何かを見つけたようだ、というか結構近いな。普通に探せば見つかるところにいたじゃん、私の目節穴? 少し眺めてみると人間っぽい頭部が見える。複数いるが……、あんまり大きくはない。ダチョウの成人前、ちょっと成長した子供のサイズだ。

 

アレだろうか? ダチョウにしては足が遅いと思って候補から削除していたが、実はまだ子供のダチョウ。親から離れた個体たちが土竜から逃げてた、とか? まぁウチの群れじゃ私が全員の顔把握してるから迷子になることはないけど、他の群れじゃ子供の存在自体を忘れてるところもあるからなぁ。

 

 

「何かの理由で立ち止まってしまって、気が付いたら子供だけ。まーよくある話だね。しゃーねえ、ウチで保護してやりますか。」

 

「なかま?」

 

「おー、よくわかったな。そうそう、新しいお仲間。子供だと思うし仲良くしてあげなさいな。」

 

「はーい!」

 

 

なんか近くに寄ってきたダチョウと会話しながら、子供たちの方へと移動する。どれだけ迷子になってたのかは知らないけど、子供だけで生き残れるほどここの環境はやさしくない。最悪何も食べてないだろうし、肉食わせてやんないと。幼子は飯食わねーとなー、沢山食べてウチの群れの戦力におなり~。

 

 

「なかま! なかま!」

 

「仲間だねぇ。」

 

 

あ~、でもあんまり増やし過ぎるのも駄目なのかねぇ。ここ10年で高原を走り回ったおかげで狩場は調査済み、生態系のバランスを崩さないローテーションを年単位で組める程度には頭に入っている。あと数年はこの情報だけで食べていけるだろうが、いつか賄えない時が来てしまう。順次新しい狩場の開拓はしているのでガチで枯渇することはまぁないだろうが、群れの長ならその可能性も頭に入れておくべきだ。

 

 

(エンゲル係数がすごいことになってるからね……。)

 

 

通常十数人で群れを形成する私たちが一か所に三桁以上集まった場合、繁殖のときもそれ相応のカップルが生まれる。そしてダチョウは一匹に付きだいたい4~5個くらいの卵を産む、私らダチョウ獣人もそれぐらいだ。本来なら親が温めるのを忘れたり、外敵に襲われたりと大分数を減らしてしまうのだが、大所帯で私が指示出しできるこの群れじゃ異常なくらいの孵化率を誇っている。

 

そのため、私の群れは結構な数の子供を抱えている。まぁ子供でも十分戦力になるくらい強いんだけどね? その分飯の用意がなぁ……。今はまだ大丈夫だけど、今の子供たちが繁殖に入った場合群れの数はまたぐんっと増えてしまう。別に悪いことではないのだが、群れを預かる身として全員の腹をいっぱいにしてやる責任が私にはある。

 

ま、こいつらのおつむじゃ気にすることすらないだろうけどね~。

 

 

(とりあえず土竜で大分腹は満たせるだろう、結構大きな音を出しながら動いてたわけだから他の魔物も逃げ出してるはず。新顔の体調を整える時間ぐらいはあるはずだ、そしたらまた次の狩場に移動して……。)

 

「なかま! なかま! なか……、ま?」

 

「お、どうした…………ッ!!!」

 

 

隣にいたダチョウ娘の声が疑問形に変り、ようやく意識を現実へ戻す。

 

私の前で倒れていたのは、翼の代わりに腕を持つ生物。明らかに何かしらの文明の下で制作された衣服や武器を持った、まぎれもなく人間であると判断できる生物が、そこにいた。

 

人間だ、人間。同族以外の、人間。十年間、ずっと探し求めていた!

 

 

 

「いやッ、ほォォォオオオ!!!!! あとなんか耳長いのいるッッッ!!!!!」

 

「ぴゃ!」

 

「あ、ごめん。びっくりしたな、よしよし。」

 

「えへへ~。」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「というわけでお前ら……、人間で、いいんだよな?」

 

 

「は、はい。」

「えぇ。」

「うん……。」

 

 

う~~~、しゃァァァ!!! よし! よし! よし! 文明持ちとの遭遇! しかも使用言語同じ! ヨシ! 私ついてる! 最強! 崇めよ! 我ダチョウの長ぞ? 実質ダチョウの王みたいなもんぞ! 女王ぞ! 最強無敵! キャー!

 

思わず両翼をぐっと握りしめながら飛び上がってしまう、キョトンとする文明人たち。あぁそうだよな! 解らんよな! 土竜に襲われて気絶したと思えば気が付けば川にいて水ぶっかけられたわけだもんな! だがこっちの気持ちも汲んでくれよ! こちとら10年間この阿呆どもの面倒見ながら原始生活だぞ! こんぐらいはしゃいでいいだろ!

 

おいお前ら! 祭だ祭! わざわざ肉確保するために土竜ここまで運んできて疲れただろ! 好きなだけ食え! 酒はねぇが水はある! 飲めや食えやの大騒ぎじゃ! 音立てれば立てるほど他の魔物逃げるしな!!!

 

 

「ごはん?」

「ごはん!」

「ごはん! ごはん!」

 

 

私の声に反応し一斉に土竜の死骸に突撃していく群れの者たち。耳長の女性、おそらくエルフっぽい女性が信じられないものを見る目でウチの者たちを見ているが、勘弁してくだせぇ。手がないから直接齧り付くぐらいしかできないんすよ、火も私しか起こせないし、基本生で食うのが普通なんです。最初は覚悟要りますけど……、慣れれば大丈夫ですよ! 心が何も感じなくなるので!

 

 

「そ、そうなのね……。」

 

 

あ、もしかして腹減ってます? ちょっと待ってくださいね、今切り分けさせ……、無理だわ。こいつらにそんな複雑な指示聞いてる途中に忘れる! おいお前らちょっとどけー! 肉切り分けるから!

 

群がっていた同族たちを少しどかせ、その肩をかりて空中へと飛び上がる。そしてまだ誰も口を付けていない土竜の肉に向かって全力で足を振るう。コツは足先の爪を使うこと。鞭のように撓りながら繰り出されたソレは四本の線を生み出し、普通の人間三人が口にするにはちょっと大きいぐらいの肉塊を切り出す。後はそれをパッと翼で受け止め、彼らの前へとお運びするだけだ。

 

 

「いやすみませんね気が付きませんで! 足でやっちゃったんでちと外側は汚いですが内側はダイジョブなんで! あ、火とか起こした方がいいです? 焼かなきゃ食えないですよね!?」

 

「あ、いや。お構いなく……。」

 

 

保存食があるので、と断られてしまう。あら、そうなの? というか顔色めちゃ悪くなってるのは……、あぁやっぱ文明人はミミズみたいな土竜は食わないのね……。いや異世界だし、これまで文明の痕跡すら見つけられなかったところにわざわざ来るわけだからいけるのかと。

 

いやはや、申し訳ない! ……ん? どうしたウチの愛すべき阿呆ちゃん。あ、これ食べたいの? ええで。

 

 

「わーい!」

 

 

私が許可した瞬間、即座に肉塊に向かって顔ダイブする彼女。周囲に飛び散る血と肉片、私にとってはもう慣れてしまった光景であるが、文明人には少々キツイものだろう。いやマジでゴメンね、私らあなたたちみたいに綺麗なおべべとかいい感じのお道具とか作れるほど頭よくないし、いくら教え込もうとしても阿呆すぎて色々……、ね?

 

 

「あ、いや。ほんと。大丈夫ですので……、そ、それで。あなたは?」

 

「私? この群れで長やってる……」

 

 

この体になってから初めてに近い問。明らかに一つの言葉の中に複数の意味合いが込められている問。あぁ、すごい、文明的なお会話をしている。『ごはん!』とかの単語だけの投げ合いじゃない……! 生まれて初めてちゃんとした質問された! 会話! 会話してるぅ! あ、どうしよ、泣けてきた……。

 

 

「だいじょうぶ?」

「だいじょうぶ?」

「てき?」

 

「違う違う、大丈夫だから。あとこの人たちは仲間、だからね。攻撃しちゃだめだよ。」

 

 

ちょっと感極まり過ぎて泣いてしまったのだが、それを見た同族たちの何人かが心配して寄って来てくれた。ちょっと血の気の多い奴はこのお客人たちを早々に敵認定しようとしてる。違うって、嬉しくて泣いてんの。同族ではないから疑問は残るだろうけど、仲間だから攻撃しちゃだめだよ。

 

 

「なかま!」

「なかま?」

「なか……、ま?」

 

「仲間、仲間。仲良くね。」

 

 

私がそう言うと、さっきまで敵認定しようとしていたことも忘れてお客人にじゃれつきに行っている。というか、さっきまで生肉食ってたせいかお口が真っ赤。あ、ダメ! ソレで頬擦りしちゃ……、あぁ……。

 

私が止めるよりも早く、ウチの群れのメスの一体がエルフの女性に頬ずりを始めてしまう。ダチョウじゃない人間の匂いは珍しいのか、ちょっと気に入ってしまったようだ。えへえへ、と楽しそうに知らない匂いを堪能しながら体を擦り付けている。それだけ聞けば可愛らしい光景なのに。エルフさんのお顔が真っ赤っか……。

 

ご、ごめんなさいね? 私ら基本三歳児よりも頭がアレでして。マジで悪気はないんでお許しを。あぁ、それと嫌でも攻撃とかはしないでくださいね。今は『なんかちょっと違う同族』って感じで味方判定してると思うんですけど、敵対しちゃったら私が止めるまで全員で蹴りにいっちゃうので……。

 

 

「わ、解ったわ……。」

 

「っと、話途切れさせちゃってすいません。改めて、私らはダチョウ。んで私はこの群れで長やってる者です。名前は……、必要がなかったんでないですね。まぁ後々考えます。この群れで唯一会話が成立するダチョウですよ?」

 

「な、なるほど。」

 

 

三人組のリーダーらしき男性がそう返してくれる。どうやら男二人、女一人のお客人のようだ。エルフさんの方は魔法使いみたいな恰好してるし、リーダーの方の男性は剣を持ってて、もう一人の男性は短剣を持っている様子。アレかな、冒険者って奴かな? 異世界あるある職業の一つのアレ!

 

 

「まずは私たちを助けてくれたことに感謝を。」

 

「いーえ、構いませんて! 私たちからすれば普段の狩りに変わりありませんから! お気になさらず~。」

 

 

そう、その点については本当に気にしてもらわなくてもいい。元々魔物同士の争いならば漁夫の利するために近寄ったわけだし、もし同族であれば保護してウチの群れを大きくしようと考えていただけなのでその点は別にいい。確かにさっき考えてたように増えれば増えるほど食料の問題が出てくるが、数が増えることでコレまで狩れなかった獲物を狙えるようになる。

 

この高原は過酷ではあるが、その分豊かな場所だ。新規の狩場を探す必要はあるだろうが、私たちの足なら何の苦でもない。三人程度の保護など軽いものだし、むしろ私にとっては感謝したいぐらいだ。この世界にダチョウ以外の人類種がいたってことを知れたわけだしね! しかも会話が成立する!!! これほど嬉しいことはないだろう。

 

 

「あ! じゃあお礼、になるのか解らないんですけど! おにーさんたちの自己紹介とか! どこから来たとか教えてくれません? このあたりじゃ私らぐらいしか人? 獣人? 鳥人? はいないもんでして! そういうの知りたいんすよ!」

 

 

 







〇増殖するダチョウ

割とシャレにならん問題、現状なんとかなっているがこのまま対策を立てないままでいると色々やばいことになってしまうかもしれない。通常、動植物が生殖活動を行うとき、生じる個体数はその生き物の"強さ"に反比例する。弱い個体ほど種を存続させるために多くのエネルギーを消費し、子を育む。

ダチョウ獣人もその例に漏れず、通常時であればその足りないおつむと外敵の多さから一回の生殖で4~5個の卵を産むことでようやく種として継続することが出来る。故にこの数を産むように進化してきたのが彼らだ。

しかしながら一人のバグによって天才的な(種族比)司令塔を手に入れた彼らは大勢で群れるようになり、また外敵から身を守れるようになった。本来一つの群れで十数程度の卵を温めていたのに対し、現在は三桁近い数を温めているという。卵を狙う外敵を排除したとしても、そのすべてが孵るわけではないが、その孵化率と孵化数はこれまでと比べ驚異的である。

この数値は彼女が死んだ瞬間に失われるものではあるが……、それまでにどれだけ個体が増えるかは未知数。現在子供に当たるダチョウたちが成人し、繁殖に入った時、ヤバいことが起きるのは確かだ。加速度的に数が増加していくのは想像に難くない。

もしこの世界において、彼女が一生他人類を発見できなかった場合。おそらく自分たちを唯一の人類種と仮定し、自身の死後ダチョウたちが生存できるように群れを分けながら個体数の増加に勤めていただろう。そしてその後に待っているのは……、生存のためにダチョウを何とかしようとする人類と、とりあえずご飯が食べたい増えすぎたダチョウによる戦争。エミュー戦争ならぬダチョウ戦争である。

人類も特記戦力と呼べるような個体を数多く保有しているが、平均の高さと数の多さで優るダチョウに軍配が上がる。ダチョウの文明力的に海を渡る方法や道具を作ることが不可能なため、人類種が絶滅まで追い込まれることはないだろうが、最悪一つの大陸がダチョウによって占拠されるという可能性もありえなくはない。


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