【書籍化】ダチョウ獣人のはちゃめちゃ無双 ~アホかわいい最強種族のリーダーになりました~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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遅刻しました、申し訳ございません。


42:ダチョウとママ

 

 

 

 

 

「う~む。」

 

はてさて、どうしようかねぇ。

 

ヒード王国の王都、たしか……ガルタイバだっけ? そこへの道すがら、軍師から厄介なことを吹き込まれてしまった。いや本人たちからすれば厄介ではなく深刻な話題なのだろうけれど、何故私に話を振って解決させようとするのか理解に苦しむ。いややるけどさ……。

 

私らダチョウだよ? 他にもっと頼れる人とか相談できる人とかいるでしょうに!

 

これは常々感じていることだけど、私たち"ダチョウ"は未だ人間社会において異物だ。溶け込めてないと言ってもいい。デレを筆頭に、昔に比べればウチの子たちは滅茶苦茶賢くなった。高原にいたころが二・三歳児程度だったのが、今じゃおそらく四歳児。頑張れば五歳児くらいの知能を獲得しているように思える。

 

 

(最初の頃は『ごはん!』しか語彙がなかったもんねぇ。)

 

 

それを考えれば大分自分の意志を示せるようになってきたし、朧げだけど群れの中で個々の意志が見て取れる。ダチョウと言う群体の意志を保ちながら、少しずつ個々人の意識と言うか人格みたいなのが出てきたのかもしれない。デレもたまに忘れることがあるけれど、自分の名前が何となく"デレ"ということを理解してきたっぽいし、もうちょっと時間を掛ければ何とかなりそうな気もしてくる。

 

けれど、やはり人間社会に溶け込むには少々幼過ぎる。私が分身することが出来れば一人一人について、色んな所に付いて行ったりお世話してあげたりできるんだろうけれど……。私の体は一つだけ、まだ貨幣経済どころか物々交換の概念すらあやふやなこの子たちに、人間社会は非常に難しい。価値基準の共有とか、交渉の概念すら覚えてないっぽいし……。

 

 

「ま、そんなわけで私たちは人とはちょっと違う存在ってことで、ウチの子たちが賢くなるまである程度距離を取る予定だったんだけど……。なんでこう、みんな色々頼み込んでくるのかなぁ。特に軍師。」

 

 

あいつ私に"貸し"作るの全く厭わずに頼んでくるからな……! 今何個貯まってんの? 五つ分? 前回の赤騎士ちゃんの件で二つ、今回の幼女王の件で三つ? どうやって返すつもりなのやら……、いや、やるよ? やるけどさぁ……。お前踏み倒しとかしないよな? やったら物理的に吹き飛ばすからな? ちゃんと返せよ? ほんとに。

 

 

「はぁ……、しゃあない。覚悟決めよっか。」

 

 

今回私が頼まれたのは、"幼女王"の対処。

 

色々壊れてしまったというか、この厳しい世界に呑まれてしまった子の対処だ。まぁ簡単に言ってしまうと、両親を獣王国との戦争で亡くしたせいで、復讐と死に取りつかれてしまった子をどうにかしてほしい、っていう依頼。私が獣王を倒してしまったせいで、その子は現在私に殺されることを望んでいる。最初はなんで??? と思ったんだけどね。

 

 

『あ、あの。非常に言いにくいのですが……、実はレイス殿。罠にかけられてまして。』

 

『罠?』

 

『えぇ。ルチヤ王はですね、獣王がこちらに向かっているのを確信していたようでして……。』

 

 

私は全然理解してなかったというか、獣王の魔力隠蔽が凄すぎたので誰も発見できなかったと思ってたんだけど、なんでも幼女王ちゃんは獣王に復讐を成すために血眼になりながら彼のことを調査して、理解しようとしたらしい。故にナガンとヒードが同盟を結んで、実質的に国力が二倍になれば獣王自身が攻めてくると踏んでいたそうだ。

 

獣王国の隣に強大な敵が出来て、そいつらが時間経過とともに強くなる、なおかつ私たちという特記戦力が出てきたのならもう絶対獣王自身が来ると、けれど肝心の私は群れの安全が第一だから途中で逃げちゃうかもしれない。そうなると個人では無力な幼女王の復讐ができなくなってしまう、故に私を騙し、獣王にぶつけたそうだ。

 

 

「……思うところがない、と言えば嘘になるんだけどねぇ。」

 

 

確かに、幼女王のせいで私は死にかけたし、子供たちも怪我を負った。そのことについては単純に怒りを覚えるし、殺意も湧く。けれど誰も死んでない上に、全員すでに全快済み。さらに私からすればアレは強化イベントだった、と言ってもいいまである。獣王との戦いを経験しなければ私はまだ魔力を手にしていなかっただろうし、ウチの子たちが一段階賢くなることもなかっただろう。

 

これが良いことか悪いことかはとりあえず置いておくが、とりあえず今の私からすればすでに終わったこととして認識している。つまり今の私の胸中を占めるのは、怒りや殺意ではなく、困惑や同情が多い。10年間ずっと子供のようなウチの子たちを相手してきたせいか、私自身無茶苦茶子供に甘くなっているというのもあるだろうけどね……。

 

 

「だからまぁ、助けてやりたい。」

 

 

私は幼女王のことを、王としての仮面を被った姿しか知らない。けれど軍師は彼女の素をある程度理解しているみたいで、色々と話を聞いた。信用ならない奴ではあるが、その性根は腐っていないように見える。どちらかと言うと善人の部類だ。こいつもコイツで子供が狂っているのを見るのは忍びないのだろう。

 

……まぁ、コイツはそう言った自身の性格すら利用するんだろうけど。

 

 

「ママー?」

 

「ん? あぁ、デレか。どした?」

 

「ママ、うにゃうにゃしてた。」

 

 

うにゃうにゃ? あぁ悩んでた、ってこと? 確かに私たまにそんな擬音使ったりしてたけど、それで覚えちゃったか。うりうり、可愛い奴め、私が変に悩んでて心配になっちゃったの? ありがとうね、お母さん大丈夫だよ。

 

ただ、思いついた解決策がホントにこれでいいのかな、って不安になっちゃっただけ。

 

 

「むー?」

 

「あはは、まぁわかんないよね。」

 

「ん! わかる! ママすごい! だいじょうぶ!」

 

「あらら、ほんとに? じゃあ頑張っちゃおうか。」

 

 

そうだね、私があの子の親代わりに成れるかはわからないけれど、甘えられる大人ってのは大事なはずだ。……確かに、彼女にとって負い目のある私が許してやる、それが大事なのかもね。一回叱ってあげて、あとは思いっきり頑張ったことを褒めてやる。私にできるのはそれくらいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒード王国の王都、ガルタイバを守る防壁の外には現在大規模な設営が行われていた。

 

当初幼女王は相手が怒りに身を任せそのままやって来ると考えていたため、祝勝会の用意など何もしていなかったのだが、さすがにそれは失礼に当たるだろうと彼女の臣下からの進言があった。何とかしてダチョウたちの怒りを収め、最終的に自分の首で満足してもらおうと考えていた宰相もそれに同意し、すでに統治者としての役目を放棄していた幼女は、それを受け入れた。

 

そのため始まったのがこのお祭り騒ぎである。

 

国を挙げて様々な料理の準備を進めるうちに、王都の市民たちも勝手に参加していく。何せ国を救ってくれた英雄たちが帰ってくるのである、しかもその者たちは全て大食漢というではないか。未だレイスの怒気を喰らった衛兵たちはリハビリの最中であるが、逆にソレが悪評を封じる要因となった。

 

王宮の人間も、市民たちも一丸となってダチョウたちを迎える用意を進める。そんな楽しい時間が、彼らの中には流れていた。

 

 

そして、その中に一人。彼らと同じように楽しんではいるが、ベクトルの違う楽しみ方をしている幼女が、一人。

 

 

幼女王は一人、謁見の場として設置された天幕の中。玉座に腰かけながら今か今かとその時を待っていた。

 

 

「父上、母上。もうすぐ、もうすぐですからね……!」

 

 

名を、ルチヤ。

 

彼女は、自身の死が眼前にやってくるのをただひたすらに待っていた。すでに獣王が死したことによる高揚は収まっている。彼女の心に残るのは、ただひたすらにこの世界からの脱却。この肉体に別れを告げることで、父や母の待つ世界に行けるのだという願望。彼女の臣下の前では決して見せない狂気的な笑みを浮かべながら、ただ一人。"レイス"を待ち望んでいた。

 

彼女ははっきりと自覚していないが、幼女王にとっての"レイス"は初めて死の恐怖を感じさせてくれた恩人であり、そして自身を殺してくれるかもしれない思い人でもある。まだ恋心すら理解できない年齢ではあるが、彼女はレイスが激怒した時に纏っていた強烈な魔力、全身に襲い掛かる死という概念に恋焦がれていた。

 

レイスならば確実に自身のことを殺してくれる、消し飛ばしてくれる、両親の元に送ってくれる。幼女王は、そう確信していた。

 

そのために、彼女はレイスを罠に嵌めた。敢えて"軍師"の口車にのり、レイスを死地へと追いやった。そしてレイスは彼女の思惑通り罠にはまり、獣王を殺し、おそらく軍師によって"ネタばらし"をされ、ここに向かってきている。ナガンと同盟を結ぶ際、私が軍師に一つの要求をした。それは私の欲望のために一度だけ動くこと。

 

彼はそれを受け入れ、私は獣王が死したという言葉を聞いた瞬間。その権利を行使した。

 

彼女が、レイスが私の場所に、死を届けにやって来てくれる。

 

 

「(ようやく、ようやく私は。)」

 

 

彼女がそう考えていると、天幕の外から流れてくる民たちの騒ぐ音がより大きくなっていることに気が付く。

 

ダチョウたちが、到着したようだ。

 

幼女王が少し耳を澄ますと、足音が聞こえてくる。人や馬が出せるようなものではない。もっと重く、強い足音。地面を踏みしめ、全てを押しつぶすかのような轟音。椅子に座っているからこそ、全身で感じられる振動は、より強くなっていく。

 

ルチヤの中でその振動が恐怖に変わり、全身が濃厚な死の香りに包まれていく。体が、震える。けれど同時に歓喜する。待ち望んだ死が、ようやく私の元に。それを理解した瞬間、より喜びの感情が爆発する。全身には死の恐怖が駆け巡り震えが止まらず歯が煩いほどにカタカタと鳴る、だがそれ以上に心は歓喜している。彼女の口角が、不気味なほどに、上がる。

 

より早く、死を。幼女王の心が体を無理矢理突き動かし、椅子から転げ落ちるように前へと進みだした瞬間。

 

 

 

 

足音が止まる。

 

 

 

そして、死が、入ってきた。

 

 

 

 

「レイスゥゥゥ!!!」

 

「……やぁ。元気だね、ルチヤちゃん。」

 

 

 

歓喜とも、恐怖とも取れる叫び声を、彼女はあげる。

 

 

 

「早く! 早く私を! 私を!」

 

 

 

濃厚な死の恐怖によって支配され、震えて動けない体を無理矢理心で動かす。地面を這いつくばりながら、彼女は少しずつ、距離を詰める。けれど、レイスの方が早い。幼女王がほんの少し進んだうちに、ダチョウの長はすでに目の前にたどり着いていた。しゃがみ込みながら、彼女は王へと問いかける。

 

 

「どうして、ほしいのかな?」

 

「殺せッ! 私はお前を罠に嵌めた! 契約を反故にした! 最初からお前を獣王に当てるつもりだった! お前がどうなろうとも! 私の知ったことではなかった! さぁ殺せ! お前を殺そうとした! 罠に嵌めようとした私を! 殺せ! 殺して! 殺して!!!」

 

「…………そ、っか。なら。」

 

 

レイスがそう、何か残念そうに。いや哀れむように、呟いた瞬間。幼女王の身が跳ねる。

 

 

魔力だ。

 

 

王の額の先には、レイスの翼の先が、向けられている。

 

 

そこに集まるのは、魔力。ルチヤがあの時、目の前にいるこのダチョウが激怒した時に感じたものと同じ、いやそれ以上のもの。

 

 

濃厚な、死の結晶。

 

 

「ぁあ、あぁ!!!」

 

 

ルチヤの心を満たしていた歓喜が、恐怖に打ち勝つ。

 

 

(ようや、く。)

 

 

指先に集まる魔力が、眩い光を発光し始める。殺される、いや、殺してもらえる。幼女王は、その魔力の球体が確実に自身を殺しうるものであることを本能で理解する。しかし、すでに全身は、歓喜で満ち溢れている。もう、誰も止めるものはいない。

 

 

(ようやく、あの、二人の、ところ、に。)

 

 

 

 

「おしおき、ね?」

 

 

 

 

レイスがそう言った瞬間。

 

 

全てが、解き放たれる。

 

 

全てを包み込む閃光。

 

 

 

 

 

 

額に感じる、痛み。

 

 

「……………あ、れ。」

 

 

(しんで、ない?)

 

 

彼女の体が感じるのは、ほんの少しの痛みだけ。それこそ、デコピンされたかのような、痛み。決して死に至るような痛みではない。そしていつの間にか、自身が感じていた死の元凶である魔力も、掻き消えている。

 

そして。

 

 

「え。」

 

 

目の前の彼女に、レイスに、抱きしめられる。大きくて、温かくて、全てを包み込んでくれそうな、翼に。

 

いつの間にか、"母"の手が、"幼子"の頭を撫でていた。

 

 

「これまでよく、頑張ったね。大丈夫、もう大丈夫だから。」

 

 

すでにもう感じることがないと思っていた、"母"の声。自身に無償の愛を教えてくれる、注いでくれる存在。先ほどまで感じていた濃厚な死、そして掌から零れ落ちた自己の死、何が起きたのか理解できず脳の処理が始まる前に体を包み込む母の愛情。そのすべてが混ざり合っていく。

 

すでに限界を超えていた彼女の脳は、全ての辻褄を合わせるために、急速に、動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、幼女王の脳内に溢れ出した

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

「……こ、ここ、は?」

 

 

先ほどまで天幕の中にいたはずなのに、世界が変わる。……けれど、私はこの場所を知っている。まだ、両親が生きていたころの、王宮の庭園。お母様が趣味でお花を育てていた場所で、ずっと綺麗な花が咲いていた。けれど二人がいなくなってからは、一度も訪れていない。元々お母様が一人で管理していた場所だし、私もその場所に他人が寄り付くのを許せなかった。

 

最後にこの場所を見た時の記憶は、信じられないほどに荒れ果てていた。なのに、何故。

 

 

「あら、ルチヤ。何してるの?」

 

「…………お、お母、様。」

 

 

声がする方を振り返る。やはり、そうだ。

 

私の、私のお母様だ。生きてる、なんで、なんで。しんだはずなのに、なんで、私の目の前に? 目が、熱くなってしまう。

 

 

「ど、どうしたの急に泣いちゃって……。ほ~ら、あなたのお母様はここにちゃんといますよ。ほら、お父様も。」

 

「あぁ、ここにいるとも。ちょっと待ってなさい、今すぐにハンカチを取って来るから。」

 

 

お父様の、声だ。戦に行って、死体になって帰ってきた。もう聞けないはずの声。なんで、どうして。

 

頭が混乱している、けれど心はこれ以上ないほどに喜んでいる。もう一度、会えた。私は、二人に会うことが出来た。目が、熱い。涙が止まらない。どうしよう、泣きたくなんか、無いのに。もっと二人のことを、見ていたいのに。なんで、なんで。

 

そんな、私を見かねたのか。どこからかハンカチを持ってきたお父様が、私の顔を拭いてくれる。けれど、とまらない。止められるわけがない。

 

 

「……ルチヤ、お前に謝らないといけないことがある。」

 

「おとう、さま。」

 

「お前を置いていってしまって、本当に悪かった。ずっと一緒に居たかったが、神様はそれを許してはくれなかったみたいだ。」

 

「私も、ルチヤ。貴女を置いて死んでしまって、本当にごめんなさい。……でもね、決して私たちは貴女に死んでほしいわけじゃないの。」

 

「ずっと、ずっと生きててほしい。死んでしまった私たちが言える事ではないかもしれないが……。私たちは、お前に生きて欲しいんだ。」

 

 

 

「いき、て。」

 

 

 

「あぁ、そうだ。」

 

「そうよルチヤ、貴女がお婆ちゃんになるまでずっと生きてから、こっちにいらっしゃい。そうじゃないとお母様ぷんぷん、よ? たくさん生きて、その思い出をたくさん、聞かせに来てね。お父様が途中で寝ちゃうくらい。」

 

「……おい?」

 

「あら、あなた長い話苦手でしょう?」

 

 

 

お父様と、お母様が、笑っている。私がずっと、欲しかった世界。

 

ずっと、ここに居たい。

 

でも、でも。

 

 

 

「大丈夫だ、ルチヤ。お前は強い子だ。」

 

「けれど、決して一人で頑張っちゃだめよ? 王様ってのはみんなの力を借りるの。」

 

「おとう、さま。おかあ、さま。」

 

 

 

「それに……。」

 

 

二人の視線が、私の後ろに。

 

同じようにそこを見れば、さっき私を抱きしめてくれた"母"が、そこにいた。

 

 

「レイスさんは、悪い人じゃないわ。それに、貴女を導いてくれるはず。"ママ"って言って困らせるぐらいに頼っちゃいなさい。」

 

「この子を、頼みます。」

 

 

両親の言葉に、"ママ"は、ゆっくりと頷く。

 

 

「……もう、時間か。」

 

「おとう、さま。」

 

「……体に、気を付けるのよ。」

 

「おかあ、さま。」

 

 

全身が、光に包まれていく。

 

何か言葉を口にしようとしたが、何故か声が出ない。

 

視界が、全てが、光に包まれていく。

 

 

けれどなぜか、これだけは、しっかりと聞くことが、できた。

 

 

 

 

 

 

 

「「生きて。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……え、今の何?)

 

 

彼女、幼女王を抱きしめ安心させようとした瞬間。何故か意識が飛んでいた。え、何? ほんとに今の何? ちょ、こわいこわいこわい! え、魔力砲撃つわけにもいかんから無理矢理魔力散らして無力化したけどそれがダメだった!? 結果的に周囲に魔力が飛び散って残留するようになったのがダメだった!? というか散らばってた魔力消えてる! 今の何!?

 

いや元々それぐらいならするつもりだったし、邪魔するのもアレだったから頷いちゃったけどアレ何!? 絶対へんなとこに繋がったよね! 困る! 困るよ色々! え、なんか世界に深刻な不具合とか出てないよね! 大丈夫だよね! とりあえず誰か助けて! おいこら軍師! お前賢いんだろ! 今の現象説明しろ! 絶対存在しない記憶とかそういうのじゃないでしょ!

 

 

そんな混乱する私を世界は放って置いてはくれないらしい。抱きしめていた彼女がほんの少しだけ動く、何とか顔を整えながら、ゆっくりとその顔を覗いた。

 

 

「れいす、……ううん、まま。ママ!」

 

「……えっと、なぁに。」

 

「わたし、がんばり、がんまります! お父様や、お母様にちゃんと、お話しできるように!」

 

「……うん、応援するよ。」

 

 

正直何が何だかわからないが、頑張ろうと意志を固めた幼子の頭を撫でてやる。うん、まぁよくわからんけどママって呼ばれてるし、親御さんからお願いされたっぽいし。……まぁこの子が嫌がるまで面倒はみるよ、うん。ただとっても手のかかるお兄ちゃんお姉ちゃんがたくさんいるから、ずっと付きっぱなしってのは出来ないから勘弁してね。

 

 

「そ、それで……。あ、あの、ママ。わ、私の名前、呼んでもらっても……。」

 

「うん、いいよ。……ルチヤ。」

 

「! はい、ママ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~~~~~ッッッ!!!」

 

 

……え、デレ?

 

叫び声が聞こえた方を見ると、デレが天幕の下から首を突っ込んでこちらを見ながら叫び声を上げながらこっちに走ってきた。……、え、どうした? しかもデレに何かあったのかってみんなついて来ちゃった。わ、たくさん。

 

 

「ちやう! ちやう! ママじゃない! う~~~! デレの! デレのママ!」

 

「え?」

 

「ッ! い~え! お姉様! ママはルチヤのママです!」

 

「ちやうもん、ちやうもん! デレの! デレの!」

 

 

「「う~~~ッ!!!」」

 

 

 

 

あ~、はいはい。私はみんなのママですからね、ほらデレも。だっこしてあげるからおいでなさいな。ね? 喧嘩しないの。

 

 

(……なんというか、これから大変なことになりそ。)

 

 

 

 

 

 















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ごめんなさい……、ついやりたくて……
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