【書籍化】ダチョウ獣人のはちゃめちゃ無双 ~アホかわいい最強種族のリーダーになりました~   作:サイリウム(夕宙リウム)

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お待たせし大変申し訳ございません。
また最後に、大切なお知らせがございます。



前回までのあらすじ!

獣王国に到着したレイスたち御一行! とりあえず獣王に就任したレイスは来るべき戦、彼女たちが所属する連合国とそれに対応するために結成された包囲網との戦いに備えるため、魔法の修練をしていた! 師であるエルフのアメリアさんと共に練習していたのだが……。

そんなおり、自由時間を楽しんでいたダチョウ。かの「ぽっぽっぷー!」の歌を生み出した群れの音楽家ちゃんが、彼女たちを囲う檻でもあった城壁を叩き壊してしまった! 太鼓みたいに叩いて遊んでたら勝手に壊れたのである! 眼の前に開かれてしまったのは、獣王国の王都。物語は音楽家ちゃんたちが、レイスの元から脱走してしまったところから始まる……。




93:ダチョウの逃避行

 

 

「ないかなー、ないかなー?」

「……いいにおいする!」

「ほんとだ!」

 

 

楽しそうに話しながら町を闊歩する存在。はい、脱走したダチョウちゃんたちです……。

 

幸いなことに3人一緒に行動しているようですが、やはりそれぞれ興味を抱くものは違うようで。音楽家ちゃんは鼻歌を歌いながら新しい世界を楽しみ、初めて聞く素晴らしい音たちに耳を澄ませています。また“初めて見る”他の種族の獣人たちの姿に興味津々な子もいれば、鼻を動かし美味しそうなものの匂いを嗅いでいる子もいたり。

 

このまま放置すれば確実に全員が好き勝手に行動し始めてしまい、それぞれ迷子になってしまうのは確実でしょう。

 

それはとても、とても不味い。なにせダチョウちゃんはおつむはよわよわですが、フィジカルは化け物としか表現できないモノを持っています。ある程度賢くなり自制も少しは出来るようにはなりましたが、自分が何を我慢していたのかを忘れ動き始めてしまうなど容易に想像出来てしまいます。というか3人もいれば町の一つぐらい簡単に落とせそうですし……。

 

と、とにかくバラバラに動くのは不味いのです! 合流! 合流です! ほ、ほら音楽家ちゃん! 後ろ! 後ろ見てください! お仲間置いて行っちゃってますよ!

 

 

「? うしろー? あ! いたー!」

 

 

何とか後ろを見てくれた音楽家ちゃん。さっきまで一緒にいたはずなのに『知らないところで同族、それも多分もともと同じ群れにいたっぽい仲間』と再会できた彼女たちは、『おー!』という声でその驚きを表現しながら挨拶を済ませ、一緒に行動することに決まりました。

 

 

「あっち!」

「いいにおいする!」

「おにく! じゅーじゅーの音!」

 

 

そんなこんなで一斉に動き始めた彼女たち。

 

どうやら少し離れた所に見える焼き串の屋台に狙いを付け、そこに向かい始めたようですね。先ほど破壊した城壁の轟音に引き寄せられ、何人かの衛兵さんたちが飛んできていますが、それとすれ違う様に出発します。なんか遠くからママの悲鳴のようなものが聞こえたような気がしますが、残念ながら聞こえなかったご様子。

 

まぁこんな事件が起きてしまい、とっとこと街中を歩くダチョウちゃんたちがいれば人目を集めるわけで。近くにいた他の獣人さん達の視線を集めます。

 

 

「あ、ねぇアレ見て。獣王様の御子じゃない?」

「ほんとだ。お散歩してるのかな? 可愛い……。手振っちゃお!」

 

「うにゅ? おてて?」

「わかる?」

「わかんない。……おんなじー!」

 

 

何故か道行く人に手を振られたダチョウちゃんたち。幸いその“動いている”存在が『おてて』という部位であることはママから教わったことを覚えていたようですが、“手を振る”という動作の意味までは思い出せなかったご様子。とりあえず同じ動きをみんなでやってみますが、何故か振り返された対象は黄色い歓声を上げながらぶっ倒れてしまいました。

 

まぁ可愛いから仕方ありませんね。

 

ここ、獣王国の王都はすでにダチョウの縄張り。住んでいる人たちもダチョウちゃんと言う種族を認識していますし、レイスが正式に獣王へと就任したことでよっぽど愚かで無謀な人以外は彼女たちに悪さをすることはないでしょう。というか先日獣王様に楯突いた獅子族の族長くんが吹き飛ばされ、獣王様の妹君にどこかに“連れていかれてしまった”と言うのはすでに民たちの間で大きな話題となっています。

 

手を出したら文字通り終わるので、ならもう遠くから眺めて愛でるに限る、ってわけですね。

 

 

「たおれた。」

「……ごはん?」

「ちやう。おこられる。……おにく!」

 

 

でもまぁ本人たちからすれば関係のない話。そもそも噂など聞いてもすぐに忘れてしまうのが彼女たちです。

 

ついぶっ倒れた獣人さんを高原の習いでエモノ判定しそうになってしまいましたが、以前一般人をごはん扱いしてもぐもぐしそうになった時にこっぴどくママに怒られたのは彼女たちの記憶にもしっかりと残っています。よく吹き飛ばされれるダチョウご飯係ことゴハンさん、ならぬナガン王国諜報員のアランさんであればさきっちょくらい齧っても大丈夫かもしれませんが……。やめておいた方が賢明でしょう。

 

そんなこんなで一瞬何をしていたのか忘れた彼女達でしたが、音楽家ちゃんがその優れたお耳でお肉が焼ける音を察知。上手く先ほどまでの行動を思い出した彼女たちは、トコトコと焼き串の屋台まで歩きます。

 

 

「おぉ……!」

「おにく!」

「ごはん!」

 

「っとぉ、いらっしゃい! ってもしかして獣王様のかい!? こりゃめでてぇ! 今日は良い日だ!」

 

 

ダチョウちゃんたちがやって来たのは、獣王国の大通りから少し離れた場所にある焼き串の屋台。大通りと比べ人通りはそこまで多くありませんが、近くにベンチなどがあるため買い食いにはぴったりなスポットに居を構えているご様子。

 

そんなご主人の手元でいい匂いを放つのは、様々な食材たち。お肉はもちろんのこと、獣王国の特産品である穀物を練り上げ丸めた物や、お野菜なども焼かれている様子。特製のタレと一緒に焼き上げているせいか、非常に胃袋への攻撃力が高いお料理と言えるでしょう。……まぁ焼いている獣人さんが牛系の方で、焼かれているお肉がどう見ても牛系な事を考えればちょっとアレですが。

 

 

「どうでいウチの串は! いい匂いで最高だろ? あ、もちろん塩に変えることも出来るし、味付け無しにも出来るぜ。御子様方、食ってくかい?」

 

「うん! ちょうらい!」

「……ごはん? ……ごはん!」

「ちやう!!!」

 

 

ご主人の問いかけに元気よく答えるダチョウちゃんに、焼き串よりも大きな“お肉”であるご主人に目を向けながら口からよだれを垂らすダチョウちゃん。今焼かれているお肉よりも大きなお肉です、すぐさま飛び掛かろうとした彼女でしたが、何とかお隣にいた音楽家ちゃんが止めることに成功します。

 

なにせそれをしてしまえばママのお怒りどころか、とんでもない雷が落っこちて大変なことに成ってしまいます。まぁ脱走した時点である程度のお叱りは確定しているようなものですが、ナイスプレイです、ダチョフィンドールに300点!

 

そんな中、彼女たちの間で結構大変なことが起きていたのにも関わらず。ご主人は気のいい返事を返してくれました。

 

 

「おう! ちょっと待っててな、鳥の獣人さんにも食べやすいように串外して皿に乗せるからよ……。あ、もちろんお代は結構だぜ!」

 

「おだい?」

「わかる?」

「わかんにゃい。」

 

 

てきぱきと作業しながらそう言う牛のご主人。様々な獣人が暮らすが故のサービスなのでしょう。何かしらの葉っぱをお皿に代用した容器を三つ取り出し、そこに何本かの串を取り外しながら放り込んでいきます。獣王の子供へのサービス、という形でお代を免除してくれるという粋なことをしてくれた彼でしたが……、残念ながらダチョウは未だ貨幣経済に適応できていません。というか物々交換ですらちょっと怪しいです。

 

何せ彼女たちからすればこの世に存在するすべてが敵か群れの共有物なのですから。

 

 

「おまちどうさま! 特製スペシャルセットだ! 全メニューちょっとずつ入れといたぜ!」

 

「ありやと!!!」

 

 

でもそんな彼女たちでも、お礼は言えます。

 

とりあえずなんかくれるみたいなので、ママから教わった通りお礼を言いながらお皿を受け取るダチョウちゃんたち。みんな一緒にそのお皿の中身を覗き込んでみます。

 

彼女たち翼に乗せられたのはちょうど人の手に収まるぐらいの大きな器。おそらく風の噂でダチョウたちが大喰らいであることを知っていたご主人はその大きなお皿に一杯に料理の山を築いてくれました。普通の子であれば結構な量。立ち食いするには多く、どこかに座って食べるなど考えるのでしょうが……、彼女たちはダチョウ。速攻で顔を皿に叩き込むのが流儀です。

 

というわけで、頂きます。

 

 

「! おいし!」

「すきー!」

 

「だろう! 気に入ってもらえて何よりだぜ!」

 

「「「おかわり!」」」

 

 

そして、すぐに食べ終わり、おかわりをするのもダチョウの流儀。

 

お口をタレで汚した彼女たちは、器をご主人に渡しながら追加を望みます。もしこの串焼きが微妙なお味ならば食べるだけ食べてそのままご主人を『ばいば~い』としていた可能性もありましたが……。ご主人の努力が実を結んでしまったのでしょう。非常に美味しいお料理であったことは、一口目以降の食事スピードが加速したことから推察できます。

 

おいしければ、もっと食べたくなるのは人の常。

 

それまで“普通”だった彼女たちの眼が、“捕食者”の眼に。

 

スイッチが、入ってしまいました。

 

 

「たべる!」

「もっと!」

「たくさん!」

 

 

彼女たちの本拠地である、ヒード王国のプラークに在籍している料理人の方々なら身をもって理解していることですが……。ダチョウに食事を振舞う際は、彼女たちが満足するだけの量を提供できる食材と人手を十分に用意してから行わなければなりません。

 

何せ少しでも遅れれば、食われるのは自分なのです。

 

 

「え、あの。ちょっと……?」

 

「おかわり!」

 

「い、いや。その……。」

 

「「おかわり!!」」

 

「さ、さすがにお代を頂い」

 

「「「おかわり!!!!!」」」

 

 

地獄へと続く扉が、ほんの少しだけ、開いてしまいました。

 

ママの現着まで残り3分。気のいいご主人は生き残ることが出来るのでしょうか……!!!

 

……いやマジで間に合いますよね? もうスイッチ入っちゃった彼女たち止めるとか無理なんですけど。ほんとに大丈夫ですかこれ? 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ッ! え、なになになに!?!?!?」

 

 

途轍もない轟音、それまで行っていた魔力操作を中断してしまい、その音の元へと顔を向ける。

 

先ほどまで私は、師匠のアメリアさんの指導の元、魔力操作の鍛錬を行っていた。高原から出てきて色々あったおかげで、獣王との戦いによる魔力の目覚めや、死霊術師との戦いによって手に入れた感覚。それによってこの膨大な魔力をある程度扱えるようになったのは確かだけど、やはりまだ粗が大きすぎる。

 

私の魔力こと体内魔王十人衆の皆さまはいくら吹き飛ばそうとも勝手に復活してくれるのは確かだが、より魔力操作を極めれば効率は上がるし、取れる戦術は多くなる。

 

 

(他の特記戦力との戦い、エウラリアのおかげで“不死”になることは可能だけど、死なないだけで今のままで勝てるかどうか解らない。流石に“高原”の上位勢。真の化け物たちよりはマシだろうけど、せめてアイツらと引き分けられるぐらいには強く成っておかないと安心できない……。)

 

 

まぁそんなわけでうんうんと唸りながら頑張っていたんですけどね?

 

急に響き渡る轟音。その音の出所の方向へと顔を向けてみれば、王宮を囲う防壁の一部が完全に崩れてしまっている。ダチョウを囲う檻とも言うべき城壁に、大きな穴が開いてしまった。

 

 

「は???」

 

 

一瞬、思考が完全に止まる。

 

けれど十年近い間、高原で生き抜いてきた経験が私の体を動かしたのだろう。ほぼ反射で周囲を見渡し、群れの全員の姿を確認する。いる、いる、いる…………。いない。

 

 

 

……3人、たりない?

 

 

 

「どこ! どこいった!?」

 

 

 

脳裏に浮かぶ“最悪”。

 

私たちが感知できない存在がこの獣王国へと襲い掛かり、城壁諸共子供たちを“消し飛ばしてしまった”というありえない思考を無理矢理抑え込み、魔力と脚力をもって崩れ落ちた城壁の方角へと、飛ぶ。何かを探すなら空、上空からだ。

 

頭の冷静な部分が蹴りつけた地面を酷くえぐり過ぎてしまったと言うことを私に教えてくれたが、そんなこと気にしている場合じゃない。

 

 

「魔力の残滓、なし。……あの下か!?」

 

 

防壁を構成していたのは、切り揃えられた石材たち。幾つか完全に消滅しているようだが、叩き壊されているのもある。子供たち三人ほどであれば完全に埋まってしまうのも不可能ではないだろう。

 

未だ敵襲の可能性が脳にこびりついているが、次の攻撃が飛んでこない以上排除するしかない。大きく成り続ける不安と焦燥をもう一度押さえつけ、どこかに消えてしまった子供たちの捜索に重きを置く。

 

生き埋めになっているかもしれない、子供たちが瓦礫ぐらいでダメージを受けるとは思えないが、もしものこともある。早急に助けねばならない。

 

体内の魔力を力任せに叩き起こし、掬い上げ、この世から重力という存在を消し飛ばす。

 

 

「『重力操作(アンチグラビティ)ッ!』」

 

 

私の体から魔力がはじき出され、ここ一帯の世界の法則がねじれ曲がる。重力が反転することで起きたのは、一斉に浮かび上がる石材たち。多少土煙が上がるが、視界を遮る邪魔者を翼で大きく風を起こすことで吹き飛ばす。

 

……いない。血の跡も、無い。

 

外。

 

 

「わっ!」

「ういてる! ういてる!」

「ぷかぷか!」

 

「っ! ……来ちゃってたか。」

 

 

即座に外へと飛び出しそうになったが、後ろから聞こえてきた声で、足が止まる。振り返ってみてみれば、子供たちの姿が。消えてしまった子たちではないが、私の大事な大事な子供。おそらく私が動き出したと同時についてきたのだろう。そのせいで先ほどの魔法の効果範囲に入ってしまい、無重力体験をしてしまっている。

 

……あぁ、そうだね。貴方たちの母を名乗るのなら、いやそもそも群れの長であるのならば、衝動的に動いちゃいけない。

 

 

「ごめん、すぐに降ろすね。」

 

「もっと!!!」

「うかぶ! たのしい!」

「やだ!」

 

「また今度やってあげるからね、ちょっと我慢してくれる?」

 

 

そう言いながら大体魔王8人分くらいを対価に引き起こしていた事象を収める。瞬時に起きていた重力の反転が収まり、すべてが元に戻って行くが、私がそのまま何もしないわけがない。

 

魔力から技術。ナガンの赤騎士が使っていた噴式という技術へと意識を切り替え、空気を固め足場に。それを強く蹴ることで落ちゆくすべての子供たちを回収し、地面へと降ろす。多少重いが、なんてことはない。私のせいでケガさせるわけにはいかないからね。この子たちなら十数m程度であれば無傷で着地できるだろうけど、もしもがあってはいけないのだ。

 

 

(……落ち着け、落ち着け私。)

 

 

この子たちの無邪気な様子が私の心に少しだけ落ち着きを与えてくれる。

 

ようやく後ろ。私が飛び出した後のことを把握できたが、どうやら急に私が動き出したことで、群れの子たちは“何かあった”と思ったのだろう。それまで自由に遊んでいた子たちが一斉に私の元へと動き始め、集合開始。城壁の近くにいた子はすぐそばまで到着していたようだった。

 

さっき浮いてたのは、そんな子たちだね。

 

……空に浮かんだ子供たち、無防備な姿を晒したというのに攻撃が飛んでこない。私たちが所属する連合国と敵対している国々が何か刺客を送って来たのかと考えたけど、その可能性は薄そうだ。無重力で浮いているだけの無防備な状態で攻撃を行ってこないのはおかしいしね。それに魔力の起こりや、その残滓は依然として感じられない。まだ完全に拭うことは出来ないけど、さっきまでみたいに無駄に不安だけが大きくなってしまう、と言うことはなさそうだ。

 

 

(最悪を考えなくていいだけで、かなり心が楽になる。……となると、あの子たちが何かのはずみで防壁を壊してしまって、もしくは自然に壊れてしまって、眼の前に真新しい世界が広がっていたから飛び出しちゃった、とかだろうか。それはそれで色々と怖いんだけど……。)

 

 

とりあえず、この獣王国の王都は王宮を囲う防壁だけでなく、王都全体を囲う防壁も存在している。戦時へと移りつつある手前、防壁に詰めている兵士の数は多いと聞いている。それを考えると、子供たちが町の外まで飛び出してしまうことはないはずだ。

 

私達の故郷である高原みたいに、見失ったらもう二度と会うことは出来ないみたいな魔境じゃないし、探すべき範囲は限られてる。そう考えれば、まだ安心だ。

 

空中浮遊が急に終わり、私に「もっとしてほしい!」と要求する子供たちをなだめながら思考を纏めていると、ちょうどデレとアメリアさんがこちらに飛んできてくれた。

 

 

「レイス! 大丈夫!」

 

「うん、私はね。でも子供たちが3人、見当たらない。多分さっきので外に飛び出ちゃった子がいる。ごめんアメリアさん。迎えに行って来るから、この子たちのお守りをお願いしてもいい?」

 

「わ、解ったわ! 防壁から離れて一塊になってじっとしているように指示するわ。」

 

「ありがとう。デレも、アメリアさんの言うことちゃんと聞いて、色々お願いね。」

 

「うん!!!」

 

 

彼女たちの返答を聞き、すぐさま空へ。

 

もっと私が魔力への造詣が深ければ子供たちが持つそれぞれの魔力を探知して、その居場所を探るとかも出来たのだろうけれど、今の私にそんな能力はない。アメリアさんならば出来るだろうが、子供たち全員の特徴を把握できているのは私だけだ。

 

ならば肉眼をもって探すしかない。小回りの利く噴式から再度魔力での飛行へと切り替え、高度を取りながらこの王都全体を見下ろす。

 

 

「音が聞こえてからまだそれほど時間は経ってない。壊れてすぐに飛び出したとしても、それほど遠くには行っていないハズ……。」

 

 

血眼になって、探す。

 

私にとって、あの子たちは掛け替えのない存在。誰一人失って良い存在ではない。もしここが高原であれば最悪を想定しなければならないだろうが、幸いここは人の生活圏。あの子たちの強さであれば“特記戦力”と呼ばれるような存在でもなければそうそう後れをとることはない。魔力の残滓や、追撃が無かったことからそのあたりはまだ安心できるのだが……。もし迷子になって不安な思いをさせてしまっているのならば、すぐに迎えに行ってやらなければならない。

 

あの子たちがそう呼んでくれるからこそ私は母を名乗ってはいるが、極論あの子たちは私がいなくても生きることは出来るのだ。ならば母が出来ることは、全てしてあげないと……。

 

 

「……いたッ! あぁ、よかった……。」

 

 

視界の端、王宮から少し離れた開けた場所に、子供たちの姿を見つける。ありがたいことにいなくなってしまった3人とも同じ場所に固まっている様だった。どうやら何か勝手に食べているようだが……、とりあえず何事も無かったようで酷く安堵してしまう。

 

 

「心配させちゃって……、ふぅ。さ、すぐに迎えに行きましょうね!」

 

 

 

 

 





このたび、カドカワBOOKS様からダチョウちゃんの第2巻を出版させて頂くことになりました。
4/10発売となります。ぜひお買い求めください。
ダチョウ獣人2

また、コミカライズ化が決定いたしました。
鞠助先生、どうかよろしくお願いいたします。
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誤字報告大変ありがとうございます。

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最後になりますが当分の間、隔日更新に戻ります。
次話更新は4/5です。
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