オールマインド介護日記   作:湯呑みサーモン

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偽装

 炎上するテスターACと近くに佇む一機の独立傭兵。

 センサーにより撃墜を確認した傭兵は傷一つない機体を翻し、彼方へと飛び去っていく。

 それを少し離れた建物から見守る男。

 

「上手くいった……のか?」

 

 その男はついさっき撃墜されたテスターACのパイロットだった。

 本来ならば機体とともに葬られるはずの男がその光景を眺めていた理由。

 それは3日前のことだ。

 

 死んで気がついたらレッドガン部隊のテスターACパイロットだった。

 何を言っているか分からないと思うが俺にもわけが分からない。

 まさかのAC世界で6のルビコンでベイラム所属で訓練生。チートなどなく前世でACシリーズをプレイした知識くらいしか持ち合わせるものはない。

 そしてAC輸送日は3日後。転生したその日に死刑宣告である。

 100%独立傭兵に襲撃されて死ぬことが分かっている。勝ち目はないだろう。

 というわけで死なないために死ぬことにしたのである。

 ACが動いていてパイロットが話していてそれが撃墜されれば死んだように見えるはず、と思い立ち2日かけて遠隔操縦用のモジュールをこっそりテスターACに搭載した。

 出来ることはぎこちないホバー移動と当てる気のない攻撃程度だが、高性能な誘導ミサイルもあることだし戦っているようには見えるだろう。

 そして輸送日当日、ACから途中でそそくさと抜け出し遠隔操縦できてかつ戦闘の余波が届かなそうな建物に隠れた。

 

 その数十分後のこと、ソレはやってきた。

 赤い軌跡を残しながら飛来したその機械はテスターACの上空で減速し、ルビコンの重力を利用して降下。両腕に装備された物騒な大型散弾銃が向けられる。

 テスターACのOF-HD-08 TIAN-QIANG(ヘッドパーツ)に内蔵されたセンサーが接近する機影の正体を捉える。

 独立傭兵Rb23レイヴン。殺戮者のエントリーだ。

 

「てっ、敵襲⁉︎」

 

 遠隔操縦で右手に装備したMA-J-201RANSETSU-AR(バーストアサルトライフル)を方向だけ合わせて乱射しながらブーストで左右に揺れる。

 そんな攻撃、当たる訳もなく独立傭兵は近距離にも関わらずアサルトブーストを噴かして急接近。そのまま蹴り飛ばした。

 ヘリポートで待機していた輸送ヘリに叩きつけられた哀れな機体に襲撃者は容赦なく両手のSG-027 ZIMMERMAN(大型ショットガン)を浴びせる。

 轟音が鳴り、衝撃で輸送ヘリに機体がめり込む。

 

「解放戦線……いや……独立傭兵か!」

 

 ACの回線越しにあたかも攻撃を受けたかのように喋りつつ右手のHI-32 BU-TT/A(パルスブレード)を振るう。

 この至近距離ならばどうやっても当たるだろう。そう考えての攻撃をだったがレイヴンはこれをクイックブーストで余裕の回避。

 更にブーストを噴かし真上を取ったACは赤い光を纏い、エネルギーを炸裂させた。

 凄まじい衝撃に輸送ヘリは吹き飛び、辺りの建造物が蒸発する。

 アサルトアーマーを受けたテスターACは大きく体制を崩し、動くことができない。

 

「やってや——」

 

 ACS不可限界を迎えた機体に向けレイヴンは両肩のVE-60SNA(スタンニードルランチャー)を斉射。それは容易くDF-BD-08 TIAN-QIANG(コアパーツ)を貫くと放電を行い機体内部に焼いた。

 流れ作業のように今度は両手のSG-027 ZIMMERMAN(大型ショットガン)を脆くなったテスターACの腹部に2度叩き込む。

 散弾の衝撃に耐えきれず上半身と下半身のユニットが千切れるように別れ、爆発。

 戦闘、というより蹂躙は終了した。

 あまりの瞬殺に左肩のミサイルは出番がなかった。

 

「あぁ……俺も……コールサインが欲しかったなぁ……」

 

 無念の撃墜を演出しつつ、遠巻きに様子を見ているとレイヴンは遠くへと飛び去っていった。

 

「上手くいった……のか?」

 

 どうやら死亡イベントは回避できたようだ。

 レイヴンの飛び去った方向を見続けながら俺は次にどうするか考えていた。

 今後最終的に俺がどうなるかというと可能性は大きく3つ。エンドの数と同じだ。

 1つ目は星ごと丸焼きになる未来。たとえ違う惑星に逃げようがレイヴンの火からは逃げられないだろう。太陽系レベルで燃える訳だし。

 2つ目はルビコン解放後にコッソリ別の星に逃げて生活していく未来。惑星封鎖も解かれてルビコニアンが立ち上がれば別の星への移動は出来そうではあるが、行きていける保証はなく。なにより自分はベイラム所属の訓練生で今日死んだはずの人間だ。まともな生活は送れないだろう。

 3つ目は世界中にレイヴンとエアがいる世界で生きていく未来。無理ゲー。

 つまりほぼ詰んでいると言っていいだろう。普通の生活は送れそうにない。

 となると少しやってみたいことがある。

 実はAC6クリア後に常々考えていたことがあった。

 オールマインド君ポンコツすぎでは……? 

 リリース計画があまりにもガバガバすぎるし、協力者にはことごとく裏切られてるし、計画に1番貢献した傭兵をイレギュラー認定しちゃうしどうしちゃったのあの子。

 オールマインドが世界中にリリースされた世界なら割とガバガバなんじゃないかな? と考えていた。

 だからオールマインド全力で介護してコーラルリリース達成してやろう。

 

 思い立ち、先立ってACが必要になった。

 オールマインドは傭兵支援システムであり、接触するには傭兵になる必要がある。

 この体は訓練生とはいえ強化人間である。これを活かさない手はない。

 さっそく数日後にベイラムの訓練場からトレーナーACをパクリ逃走。

 レッドガンのAC乗りがダム襲撃に出撃したタイミングを狙ったため、追手はMTのみだった。

 難なく逃れ、ついにオールマインドと接触することになった。

 そこでふと思った。オールマインドは基本的にいらんことをするタイプのポンコツであるため無闇に情報を与えてしまうとかえってリリースから遠ざかるのでは? 

 むしろリリースについて知ってるとここで言っちゃうと普通に俺消されない? 情報搾り取るだけ搾って切り捨てられない? 

 陰ながら協力して信頼を得ることができたら明かすことにしよう。得られる日は来ないと思うけど。

 

「戦闘支援システムオールマインドへようこそ」

 

 トレーナーACと言えどACはAC、傭兵登録は通りシステムは利用可能になった。

 今は時系列的に多重ダム襲撃直後であるため、リリース計画にレイヴンが関わってくるまで少し時間がある。

 今のうちに資金集めと武装の強化を行い、最低限オールマインドをサポート出来る布陣を整えたいところだ。

 なにしろこのトレーナーACには逃げる途中に拝借したLR-036 CURTIS(速射型リニアライフル)MG-014 LUDLOW(マシンガン)しか装備されていない。

 最低限肩にミサイルでも積まないと四脚MTにも撃墜されかねない。

 そういう訳でトレーニングとアリーナで金稼ぎとトレーニングだ。




アセンはレイヴン→誉アセン
    トレーナー→プリセット通り
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