凍てつく空気を裂いて1機のACが雪山の上空を駆けていた。
進行方向には解放戦線のMTが6機。機影を察知したMT部隊が応戦を始める。
「敵襲! 独立傭兵! ……企業の犬め!」
「怯むな! ACとはいえ1機だ。囲んで叩け!」
MT部隊の射撃を
続けて右手のチャージされていた
「バカな……⁉︎無名の独立傭兵がここまでやるとは……!」
「まだだ! 灰被りて我らあり!」
4機を瞬殺されたMT部隊は一矢報いるため捨て身の攻勢に出る。
前進しながらの一斉掃射、後に続く者たちのため少しでもダメージを与えようとした攻撃だった。
ACは近くの地形を利用し銃撃をやり過ごし、ミサイルをロック、跳躍により遮蔽を飛び越えて発射した。
新たに炎上する2機のMT、最後の1機はアサルトブーストで地形の隙間を縫い、背後に回ったACが放ったチャージ射撃によって散った。
「先行MT部隊の通信が途切れた。各員、警戒を怠るな」
殲滅したMT部隊の進行方向をを辿って行くとまた解放戦線の部隊と遭遇した。
今度はMT9機に四脚MTが混ざっている。
「敵襲! 独立傭兵!」
「先行部隊はこいつに……クソッ!」
ACに気づくと同時に一斉攻撃を始めるMT部隊。
特に四脚タイプの火力は頭ひとつ抜けており、ACと言えど直撃すればタダでは済まない。
しかしミサイルはMTの弾幕により撃ち落とされてしまった。
数を削らないことにはミサイルは通らないようだ。
ACは再びABを噴かしてMT部隊へと直進する。
「撃て撃て撃て!」
「壁救援の邪魔はさせんぞ。死ね、独立傭兵!」
四脚MTから放たれる拡散バズーカ。まともに当たればACS不可限界を起こし、MT部隊に蜂の巣にされるだろう。
ACはQBを2連続で噴かしで大きく右へ回避して着地。お互い射程範囲に入っていた。
アサルトライフルを連射するMT部隊に対し、ACは緑色の閃光を迸らせ、機体に球体のエネルギーバリアを張り巡らせた。
弾幕は機体に当たる前にパルスアーマーによってかき消されていく。
ACは左手に装備した
炸裂と共に火柱が上がり、四脚の前方にいたMT6機は四方へ吹き飛び煙を上げる。
「おのれ……企業の犬が!」
四脚が前進しながら猛攻を仕掛けてくる。
両腕のガトリングの掃射をパルスアーマーでかき消しつつABで四脚を飛び越えると残った3機にMTを左肩から持ち替えた
限界を迎えたパルスシールドが停止し、ACは右手のリニアライフルを連射しながら前進する。弾丸は装甲に弾かれダメージは少ない、が衝撃は確実に蓄積していく。
ガトリングで圧をかけ拡散バズーカを放つ四脚MT。至近距離で避けきれず、弾頭の1つがACを直撃した。
爆炎の中、出てきたACはマシンガンを掃射しながらABを噴かして急接近し、四脚の頭部を蹴り抜いた。
大きく後ろに仰け反る四脚、すかさずリニアチャージを頭部に打ち込み、更にミサイルで追撃。
蓄積されたの衝撃に耐え切れず遂に四脚の姿勢が崩れた。
ACの左腕には持ち替えたグレネードが構えられ、四脚は爆炎に包まれた。
「化け物め……!」
炎の中崩れ落ちていく四脚MT。部隊の殲滅を確認したACは再び付近の索敵を開始する。
しばらくしてそこへ急行する1機の旧世代型AC。レーダーによる識別はACバーンピカクス、解放戦線の指導者の1人インデックス・ダナムだった。
「独立傭兵……企業の走狗か!」
スクラップと化した解放戦線部隊の傍で銃を構える独立傭兵に右手の
ホバー移動で左右に揺れ、マシンガンで応戦する独立傭兵。
交差する弾丸で互いにダメージを受け、距離が縮む。先に動いたのは独立傭兵だった。
ブーストに力を貯め、ABで一気に近づく独立傭兵。バーストマシンガンの弾が直撃するのも構わずに接近し、バーンピカクスの右肩に積まれたミサイルポットを蹴り飛ばす。
肩の接合部が大きく歪み、横に回転しながら押し出されるダナム。ノックバックから立ち直る前にリニアチャージの追撃が左腕部の装甲が歪めた。
立て直したダナムは左手の
「殺し奪うだけの企業に与し、戦士としての誇りはないのか?」
バーンピカクスの機体がリペアキットを起動し、損傷を塞いでいく。
再び銃撃戦が開始され、ダナムは
その機を逃さず、小型バズーカの一撃が独立傭兵に直撃。熱と衝撃で装甲が軋みを上げて歪む。
『AP残り50%』
COMのアナウンスが流れ、機体の稼働限界が迫っていることを告げる。
リペアキットを起動し、機体を修復した独立傭兵はパルスアーマーを起動。ABで接近しつつフルバーストを放つ。
速度の乗った弾丸はACの装甲に突き刺さり、ミサイルが熱で内部を焼く。ブーストキックが来ると読んだダナムはぶつかる前にQBで横に跳ぶ。
直後、通り抜けたACはクイックターンで反転。隙だらけのバーンピカクスの背中にグレネードを叩き込んだ。
炎に包まれ、ACS不可限界を迎える旧世代型AC。独立傭兵は右肩のミサイルポットをリニアチャージで貫き、マシンガンを浴びせる。
接合部の歪んでいたミサイルポットは加速射出された弾丸に耐え切れず分離し、煙を上げる。
「我々ルビコニアンが臆することはない。灰被りて我らあり!」
2回目のリペアキットを使い、戦闘を続けるダナム。
しかしミサイルを失い、バーストマシンガンと小型バズーカで銃撃戦を制することは出来ず。数分後には再度グレネードを受けたバーンピカクスが炎を上げていた。
「師父ドルマヤン……申し訳……」
その通信を最後に解放戦線の通信は静かになった。
今回、アリーナとトレーニングで機体を戦える状態にした俺は依頼を受けて出撃していた。
ミッションは壁越え支援。内容としてはヴェスパーが壁を攻略中、他所から来る敵性戦力を撃破するというばら撒き依頼だ。
報酬は完全出来高制で増援がいなければ報酬ゼロ。俺以外誰も受けていない。
恐らく誰も引き受けなくても戦略的に問題なく壁は落とせる。
だが先日の解放戦線のストライダーを破壊した正体不明の武装兵器、それが今回も現れて、ヴェスパーのMT部隊に被害が出るかもしれないからカナリアを用意できたらいいなくらいの依頼なのだろう。
結果として解放戦線の増援を阻止し、四脚MTとACを落としたのだからボーナスは弾んでもらいたいところだ。
しばらく待機しているとヴェスパーの担当者が壁越え完了の通信を送ってきた。ミッション完了だ。
弾薬修理を差し引いて10万コームの収入となった。これだけあれば新しい武器くらいは買えるだろう。
さて、壁越えも終わりBAWS第2工廠の強制監査も目前に迫っている。
ここでリリース計画に少しでも関わっておかないとしばらくやることがなくなってしまう。
そのためにも何か工廠に行く口実が必要だ。都合良く解放戦線ACの装備していたバーストマシンガンがBAWS製なので拝借したこの武器でクレームでも付けにいくとしようか。