BAWS第2工廠。その名の通りバースト武器を中心に実弾銃器の開発、製造を手掛ける企業、BELIUS APPLIED WEAPON SYSTEMSの第2工廠だ。
表向きは取引先を選ばず、星外企業であるベイラムやアーキバスとルビコニアンである解放戦線のどちらにも武器を下ろしているが裏ではルビコニアンのために資金援助などで手を回している。最奥にある貯水槽にて湧き出すコーラルの井戸は解放戦線の主な食料源たるミールワームの飼育に必須であり、ストライダーが破壊されコーラルを採掘できなくなった解放戦線にとって貴重なライフラインである。
しかしコーラルリリースを目指すオールマインドにとって勝手にコーラルを飯の種に変えて消費してしまう解放戦線は邪魔者でしかない。まず大量のコーラルを現在進行形で採掘していたストライダーをC兵器で消し、僅かとはいえ日々消費される工廠の井戸も抑えるためゴースト部隊を送り込み制圧。再び井戸が取り返されないよう部隊が侵入者を待ち伏せしていた。
現在第2工廠は不気味な静寂に満ちている。
壁越え支援から数日後の昼、左手の
目的はオールマインドに自分がリリース計画に利用できる価値があると示すことだ。レイヴンと敵対しないよう共闘の意思を見せる意図もあるが、独立傭兵という立場上どこで敵になるか分からないためそれはおまけだ。
BAWSにクレームを付けに来たが偶然監査に巻き込まれて応戦、共闘して利用価値を証明する。かなりクソみたいな作戦だがやるしかない。
ベリウス北部に広がる湖を渡り、橋を越えて工廠の壁をブーストで乗り越える。
レーダーでも目視でも敵機は確認できない。不自然なほど静かだ。監査部隊はまだ到着していないのだろうか。それにしてもBAWSの作業MTが1機もいないのはおかしいだろう。
嫌な予感がする。工廠の輸送道路を飛び越えさらに奥へ進む。
「…………」
回線にノイズが走り、直後に前方から青い閃光が右腕を貫いた。エネルギー兵器特有の残光を辿るが狙撃者は目視できない。
再び青い閃光が瞬く。今度はチャージが見えていた。QBで右に避け、距離を詰める。狙撃地点に近づくと見えなかった敵機が姿を現した。円盤状の頭部にピザカッターのようなエネルギーライフル。間違いなくゴーストだ。
近づかれたゴーストはステップで距離を取りながらモニタージャミングパルスを放ち姿を消す。消えたように見えるがモニターに映らないだけでレーダーには探知されている。
移動が終わったのかまたも飛んでくるライフル弾。弾速こそ恐ろしく速いが、偏差がないからQBで簡単に避けられる。2発、3発とやり過ごせばオーバーヒートしてしばらく攻撃はできない。
もう一度距離を詰めて今度は逃げられる前にキックで工廠の内壁へ叩きつける。リニアチャージで頭部に並ぶ3つのユニットの1つを撃ち抜き、マシンガンを残りの2つに浴びせる。それだけでゴーストは簡単にスクラップに変わった。
呆気ないがこのゴーストは最低限の武装しか積んでいない。おおかた見張り役なのだろう。
ゴースト右腕のエネルギーライフルをもぎ取り、工廠内を進んでいく。この感じだとまだいそうだ。
「…………」
予想通りのようでまたエネルギーライフルで狙撃を受けた。今回はレーダーを注視していたため、初撃をさっき取ったエネルギーライフルを盾にして受け、距離を詰める。
迷彩の効力が消え、ゴーストの姿が明らかになったところに溶けかけたライフルを投げつけて姿勢を崩す。追い討ちのリニアを構えたが、それは急に後ろから飛んできたエネルギーの鞭によって右腕を打たれ阻まれた。ゴーストがもう1機いたようだ。
壁を背にし、2機が一方向に収まるよう距離を取る。姿は見えなくなったが、位置はレーダーで把握できる。
まずは鞭ゴーストを倒すため、前に出る。ロック可能になると同時にミサイルを放った。直撃するのも構わず鞭を振るうゴースト。縦に振られたエネルギーの曲線はACが直前にいた地点を切り、叩きつけられた地面から青い余波を撒き散らす。QBで鞭を回避したACの硬直に狙撃が炸裂。暗号通信による厄介な連携攻撃だ。
今度は手元でしならせ、下から打ち出すように鞭を振るうゴースト。発生の早い一撃はACの頭部を捉え装甲を焼く。追撃のライフルはQBで躱し、バーストマシンガンで鞭持ちに反撃。ミサイルの衝撃もあり、スタッガーに陥ったゴーストの顔面にリニアチャージをぶち込む。
『AP残り50%』
リニアチャージの後隙を狙撃でキレイに撃ち抜かれ、COMが被害を伝えてくる。エネルギーライフルは結構痛い。が3発撃ったはずだ。爆発する鞭持ちを通り過ぎ、狙撃地点にABを噴かして残ったライフル持ちが逃げる前にグレネードで吹き飛ばす。好き勝手撃ってくれやがって。レーダーを見たところこの付近のゴーストは今の2機だけのようだ。先に進むとしよう。
しばらく進むと貯水槽へ続くゲートに辿り着いた。アクセスすれば扉は開くだろうが、レーダーに新しい反応が3つ現れる。ゴーストだ。
クイックターンで反転すると青い光が左右からこちらを狙っていた。前にQBを行い遮蔽に入る。一瞬後に着弾音が鳴る。初弾はやり過ごせた。
安心している場合ではない。鞭持ちが遮蔽から引きずり出そうと肩からビットを出しエネルギーパルスを炸裂させた。エネルギー干渉を受けて装甲が軋む。面倒な武装を積みおって。
数を減らすため近い方のライフル持ちへABで迫る。途中エネルギー弾が2方向から飛んでくるが、2連QBで避けて迷彩のなくなったゴーストにリニアとBMGをお見舞いする。あと2機。
残ったライフル持ちに向け、再度AB。オーバーヒートを起こしていたのかエネルギー弾は飛んでこない。グレネードで吹き飛ばし、鞭持ちに近付く。もう攻撃パターンは大体分かったため、ブーストキックでノックバックしたところにリニアチャージとミサイルを撃ち込んで終わらせた。
貯水槽へのゲートを開き、内部に入る。本来ならここにレイヴンがいるはずなのだが、その姿はなかった。なんとなく分かってはいたが。
ゲートは二重になっており、もう一度奥でアクセスして貯水槽への扉を開く。眼下に広がる巨大なコーラルの井戸。コレがあのミールワームを育てる飼料になっているのか。
「…………」
貯水槽に降下すると同時に4つの反応が現れた。青い光が3方向から飛んでくるのが見え、QBで前に跳ぶ。
『AP残り30%』
若干タイミングをずらして放たれたエネルギー弾の3発目が機体を直撃し、COMのアナウンスを聞きながらリペアキットを起動した。いやらしい攻撃してきやがって。
4機目の鞭持ちはシールドを貼っているため後に回し、1番近いライフル持ちをターゲットに接近する。その間にもエネルギー弾が飛んでくるからパルスアーマーを起動して強行突破。壁に張り付いているゴーストをグレネードで貯水槽に落としてやる。レーダーの反応消失を確認して次のライフル持ちへブースト。途中でパルスアーマーが消えるが、構わず突撃してリニアとBMGを叩き込んだ。2機目が落ちると同時にブーストのエネルギーが切れた。貯水槽に着地と同時に鞭が機体を横から打ち、APが削られる。今までの鞭持ちより武装が多い。万全の状態で相手したいところだ。
エネルギーが回復したことを確認して3機目のライフル持ちを落としにいく。迷彩の切れたところにミサイルとリニアチャージをお見舞いし、スクラップが落ちる。後はボスだけだ。
シールドを貼っている鞭持ちに上から近づいてグレネードを撃ち下ろす。地面に着弾し、爆炎が鞭持ちを包むがシールドは健在だ。空中あら両手の銃を連射しながらシールドを削る。すると降りてこないACに向かってゴーストは右手に装備されたプラズマライフルを撃ち込んできた。
紫色のエネルギーが機体を捉え、バランスを崩したACは貯水槽へ落ちる。跳躍しながら大きく鞭を振り下ろした追撃がACの左肩を打ち抜く。スタッガーから機体が立ち直るともう一度グレネードをゴーストへ撃ち込んだ。
シールドが限界を迎え、緑色の障壁が消える。ここぞとばかりにBMGとミサイルで追撃を仕掛ける。衝撃を与えることに特化したBMGをワンマガジン受けて直撃を想定していないシールド搭載ゴーストはあっという間にACS不可限界を迎え、リニアチャージがそこを撃ち抜いた。
発射音の残響が貯水槽に木霊し、最後のゴーストが機能停止する。どうやら終わったようだ。
現状を整理してみよう。
まずインデックス・ダナムが生きていたことからガリア多重ダムにおいてレイヴンは解放戦線側に寝返りレッドガンを迎撃したことが分かる。
次にアーキバスの壁越え支援のミッション、アレはストライダーがオールマインドの放ったC兵器によって破壊されたため発生した依頼だった。つまり[武装採掘艦護衛]のミッションをレイヴンが受けたのだろう。
そして今回のBAWS第2工廠、てっきり封鎖機構のSGがオールマインドのリークを受けてひしめいているものだと思っていたが、ゴースト部隊のみだった。となるとオールマインドが情報をリークしておらず、レイヴンに[強制監査妨害]のミッションが行かない世界線ということになる。
それはオールマインドからレイヴンにコーラルリリース計画の協力を要請する依頼が軒並み飛んでいかないことを意味する。
コーラルリリース計画に必要な要素は3つ。
宇宙空間に蓄積された大量のコーラル。
致死量のコーラルに耐えられる強化人間。
トリガーとなるCパルス変異波形。
1つ目の条件は後々アーキバスがバスキュラープラントを用意してくれるため問題ないが、残る2つを満たすレイヴンの協力が得られないのはマズイ。
オールマインドがレイヴンを手中に収める手段で最も有力なのはミッション[失踪]において行った
そうなるとレイヴンを正面から倒してオールマインドに取り込むか、致死量のコーラルを浴びせてCパルス変異波形と交信可能になった強化人間の代わりを見つけ協力してもらうかの2択になる。
レイヴン撃破を取るならば正々堂々戦って勝てる相手ではないため、ミッション[脱出]の際の旧世代型ACに乗っている時が狙い目だ。かなり先のことだから今はあまり考えなくていいだろう。
もう一つの代役を立てる方向でしばらくは考えていこう。
候補としてはウォッチポイント襲撃に現れるオールマインドのトリガー候補者の独立傭兵スッラか既に変異波形との交信に成功している解放戦線の師父サム・ドルマヤン辺りだが、ドルマヤンはリリース反対派のため除外。
スッラに致死量のコーラルを浴びてもらう方針で動いていくことにしよう。それで変異波形と交信可能になるかは分からないがやってみる価値はある。そのためには直近に行われるレイヴンの[ウォッチポイント襲撃]においてスッラが撃破されるのを防ぐ必要がある。
どうしたものか……。
「……621。1つ助言を送ろう。不測の事態を予測しろ」
解放戦線の依頼を受け、ハンドラーによって送り出された独立傭兵レイヴン。依頼内容はBAWS第2工廠調査。解放戦線に支援を送っている工廠が数日前から急に連絡の取れなくなったため、原因を調査せよというものだ。
赤い残光を残しながら工廠内をブーストで飛ばすレイヴン。内部は不自然に静かで何もいなかった。レーダーにも何も映らない。何事も起こらないまま最奥にある貯水槽に辿り着き、そこがコーラルの井戸であることを知る。そして何も起こらないまま帰投した。見回りして18万コーム丸儲けである。
一方オールマインドはゴーストが撃墜前に暗号通信で受け取った情報から独立傭兵が依頼を受けてもいないのに工廠に侵入し、ゴースト部隊を殲滅。コーラルの井戸を発見し、企業に情報を売るでもなく帰っていったことを知る。なぜ工廠へ踏み入ったのか情報を集めると、手に入れたBAWS製バーストマシンガンについてクレームを入れにいったのだと言う。意味不明すぎる独立傭兵の存在にオールマインドは困惑していた。