Suguru May Cry 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
「アラストルの新しい姿…………名付けるなら、アラストル・ネオってところかな?」
「随分と安直なネーミングだな」
「お前には負けるけどな」
アラストルが纏う魔力は雷から炎、風、光、氷と次々へ変わっていく。形も大剣から一対の双剣、籠手と具足、三又に分かれたヌンチャクと元になった魔具達と同じ形へ変化する。
複数の武器の形態と発する魔力の変化という組み合わせ。数多の手札を利点とする呪霊操術の真骨頂のような武器である。
属性を変え、武器を変え、組み合わせを変え、様々なパターンでアーカムに攻め込むが有効な一撃は与えられない。
紛い物とはいえ、アーカムの持つ偽物のスパーダの能力は相当なものである。
「その程度か?」
アーカムが剣をかざすと、傑が何とか視認出来る速度の魔弾が傑目掛けて複数飛んでくる。
避けようと移動するが、魔弾は軌道を変え、傑を追尾する。
なんとか急所を避けて被弾する事が出来た傑。呪力で強化した筈の肉体を易々と貫く威力の魔弾。
「どうした?その程度なら大した問題じゃ無いだろう。私と戦った時のダンテは君と同じくらいの年齢だったが、実力には大きな開きがあるようだな」
「自分の方がダンテの事知ってるアピールか?おっさんの嫉妬ほど醜い物はないね」
肉が焼けたような音を上げながら、貫かれた箇所を治療する傑。
「なるほど、それが反転術式というものか」
「お前と違って私は人間だからね。治療には反転を使わなきゃいけないんだ」
アラストルに心臓を貫かれた時に呪力の核心を掴みかけた傑は、反転術式を会得した。
悪魔由来の生命力を持つダンテとは違い、傑がデビルハンターとして戦っていくにはこの反転術式をマスターする必要があった。
最初こそほぼ無意識下での治療だったが、ダンテを始めとする親しい友人からのスパルタ教育と激しい戦闘経験から傑の反転術式の精度はかなりのレベルにまで到達していた。
「しかし、呪力とやらがかなり減った所を見るに燃費が悪いようだ」
「あぁ、だから呪力が切れない悟が羨ましくてしょうがないよ。だが、私も悟には出来ない事の一つや二つあってね。反転術式もだが…………これはもっと凄いぞ」
アラストル・ネオを地面へと突き刺し、掌印を結ぶ傑。
「領域展開、《神曲地獄界》」
「この気配はケルベロスか……………その程度で私は倒せんぞ」
「それだけじゃないさ。ベオウルフ‼︎」
「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️‼︎」
アーカムの背後から、巨大な獣ような悪魔であるベオウルフがその拳を振り下ろす。
アーカムは分かっていたとばかりに、偽物のスパーダで拳を受け止めようとするが、その拳はまるですり抜けるようにしてアーカムを捉えた。
「アグニ、ルドラ‼︎」
頭の無い人型の悪魔、赤い体のアグニと青い体のルドラがアーカムに襲い掛かる。
防御しようにも、何故か防げない事に困惑するアーカム。
「やれ、ケルベロス‼︎」
「◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️‼︎」
巨大な氷塊がアーカムを押し潰した。本来の強さからかけ離れてるとはいえ、スパーダの力を有する今のアーカムであれば、ここまで一方的に攻撃される事は無い。
「なる、ほど…………これが領域か。展開した領域に術式を付与し、能力の上昇した必中必殺の術式で対象を倒す呪術戦の極地というやつか」
「お前の敗因は二つ。一つはスパーダの力を過信して呪術に対する畏怖を抱かなかった事、もう一つは!?」
袈裟斬りを受けたように大量の血を噴き出す傑。
いつ斬られたのか、傑は分からなかった。
「いやはや…………君の力を侮っていた事を詫びよう、夏油傑。君は間違いなく強い。だが、スパーダに挑むには役不足だったな」
傑が倒れ込むと同時に崩壊していく領域。それを見たアーカムはほくそ笑んだ。
アーカムは協力者から呪術に関する概要を聞いていた。勿論領域展開に関しても知っている。
対策がある事も聞いていたが、そもそも使える術師が少ない技術である事から特に習得の必要が無いと切り捨てた知識だった。
そもそもスパーダの力があれば何も問題は無い。最強のスパーダの力を使いこなせればどのような相手でも負ける事は無いのだから。
「領域展開の使用後は、術式が焼き切れ暫くの間術式が使えなくなるのだろう?そのネオ・アラストルも術式であるからか、消えて閉まっている。つまり……………これから術式が復活するまでの間、君は無防備な状態でスパーダと戦う必要があるという事だ」
「それが…………どうした…………」
反転術式を回そうとするが、アーカムの攻撃により、最低限の応急処置すら危うかった。
「君の敗因はスパーダを相手にした事だ」
「敗、因?まだ………私は生きてるぞ。勝利宣言には早すぎるんじゃないのかい?」
「そうやって、反転術式で傷を治しても呪力は減っていくばかりだ。頼みの魔具も術式の一部である以上、焼き切れた術式が復活するまでスパーダをやり過ごせるとでも?」
「お前の敗因は、呪術に対する畏怖が無い事だって言ったろ?」
「今の君に何が出来る?」
「君を倒せる」
そう言うと、傑は手をかざす。すると、傑が取り込んだ呪霊が現れては一つの塊となっていく。
「なんだと!?術式は焼き切れた筈だ!?何故だ!?」
「私は悟と違って凡才でね。ケルベロス達の協力が無いと領域展開が出来ないんだ。焼き切れたのはあくまでアラストル達の領域。私自身の術式は無事なんだ」
「なんだと!?」
「呪霊操術、〈極の番・うずまき〉アラストル達を除く呪霊や悪魔を一つの塊としてお前にぶつける。何か言い残す事はあるか?」
「騙したのか、この私を!?このスパーダを!?卑怯者が!!」
「本当に失礼な奴だ、騙される方が悪いに決まってるだろ」
傑がアーカムに向け、手を翳すと塊となった呪霊達がアーカムへと襲いかかる。アーカムもスパーダの力を解放して対抗しようとするが、アーカムが制御出来る様に制限した力では呪霊操術という物量には対抗出来ない。
アーカムは次第に呪霊の波へと飲み込まれていった。
呪霊達が消えた後、アーカムだったものだけが残っていた。
「忘れる所だったが、お前のもう一つの敗因は私の前でスパーダを騙った事だ」
複数回による反転術式、魔具を通してとはいえ領域の展開、魔具達の融合、極の番の使用と呪力を使い果たした傑は体力の限界だった。
傑は周囲に敵が居ない事を確認すると、満足そうな笑みを浮かべ、そのまま倒れ込んだ。
その後、暫くして七海が倒れた傑を回収していった。
その様子を離れた場所から眺める男がいた。
「夏油傑………か。五条悟以外にも私の障害になり得る者が現れたとはね。だが、呪霊操術はかなり使える事が分かったし、今回の作戦は成功って事で良いかな。とりあえず、アーカム君を回復させて能力を強化していくか。五条悟に対抗するには戦力も足りないしね。とりあえず10年位は様子見だ」
男はどうやって回収したのか、偽物の魔剣スパーダを肩に担いでいた。
「もう一度アメリカに行ってみるか…………いや、下手に動いてダンテに見つかるのは不味いか。ま、どのみち派手には動けないか」
そのまま男は高専の校舎を一瞥すると小さく笑みを浮かべる。
「また、会いに来るよ………天元」
男がそう呟くと、男の体と偽物のスパーダが砂となって崩れ落ちていく。
そして、そこに吹く一陣の風が崩れ落ちた砂の塊を何処かへと運ぶのだった。
合体アラストルの良い感じのネーミングが思い付かない…………何かありませんかね?考えてくれたら嬉しい
メロンパンも特に言及してなかったっぽいので僕の解釈なんですけど、取り込んだ呪霊の領域展開で傑自身の術式は焼き切れないけど、その呪霊は暫く術式が焼き切れるんじゃね?と。何処かで見たんですけど、傑君は領域展開出来る呪霊を複数取り込んで領域連打すれば五条悟にも勝てるって言われててなるほど!!ってなりました。そりゃ、あの五条悟が強いって言うだけある術式やんね。
最後、高専の結界内に協力者君がいるのにアラートが反応しなかったのは、最高戦力である悟と傑が動けない以上、協力者君を倒す事は出来ない。それに協力者も暴れるつもりは無さそうやん?っていう天元ちゃんの独自判断です。普段の警報はオートアラートですが、今は同化直前で非常事態だったので天元ちゃんが直で監視してました。
天内に関しては次回の話でやります。
今回のDMC講座
ダンテは賭け事が死ぬ程弱いぞ!!けど、やたら自分から賭けをふっかけるぞ!!
例: エンツォの仕事を受けるのが怠い為ふっかける。互いにカードを山札から引いて出た目の小さい方が負け(Aは1扱い)でエンツォが2を引いた後にドヤ顔勝利宣言からAを引く。
パティと服の買い物に関してポーカーで勝負してボロ負け
レディの持ってきた胡散臭い仕事を受けたく無い為、レディがビリヤードで9ボールを入れられなければ受けるという勝負に乗る。案の定負ける。
などです。多分描写が無い所でも沢山負けてる。
でも、デビルハンターの仕事関連の賭けならまず負けません。