Suguru May Cry 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
傑が目を覚ますと、そこは高専の医務室だった。
「やっと起きたか。随分と苦戦したみたいだな」
最初に声をかけたのは悟だった。起きたばかりで状況がよく掴めていない傑だったが、目の前の悟を見てその異質さに気付く。
「強くなったみたいだね、悟」
「黒閃決めたお陰で掴んだよ、呪力の核心。これでようやく追いつけたぞ、傑」
黒閃を経験し、呪力の核心に近付いたおかげで悟の術師としての才能は覚醒していた。六眼など無くても分かる程に悟から発せられる呪力が、圧力が増していたのだ。
悟としては自分よりも術師として上のステージにいる傑にようやく追いつけた。やっと同じステージに立てたと喜びに満ちていた。
「冗談はよしてくれ」
「は?何言ってんだよ」
「今回の任務で手持ちの呪霊と悪魔をかなり使ってしまった。黒閃を決めた君と私では術師としてのレベルが違う。今は君の方が強いよ、悟」
悟は困惑していた。生まれて初めて尊敬した男が、常に強者としての余裕と自身に満ちていた筈の傑がそこら辺にいる雑魚と同じ顔をしていたからだ。
「スパーダの誇りだとかデビルハンターとしてのプライドとか言っておきながら、私はあのハゲに負けていた」
「いや、勝ったから今こうして生きてるんだろ⁉︎何言ってんだよ⁉︎さっきから変だぞ?」
「私が勝てたのはたまたまだ。相手が私を舐めていたからだ。アラストル達の領域を私の領域と勘違いしなかったら負けていたのは私だ。実際殺しきれなかった事を考えると次は勝てないかもな」
傑が意識を失う前、記憶にあるのはアーカムだった何か。実質悪魔となっていたアーカムを本当に殺せたなら、死体は消えてなくなっていた筈なのだ。
それが残っていたのなら殺しきれなかったという事になる。
アーカムが与えられた能力は傑の呪霊操術と似たものだった。呪術に関しての知識と相手が油断していた事を逆手にとった一度きりの作戦だった。
「ふざけんなよ……………」
「悟、君は間違い無く最強だ。多分、ダンテでも君に勝つのは難しいかもしれない」
「おい…………」
「君はこれからもっともっと強くなっていく。私の利点だった経験値の差も埋まっていく。そのうち君に守ってもらわなくちゃ行けなくなるかもね」
「ふっざけんなよ‼︎お前が戦った相手がどれだけ強かったか知らないけどな‼︎こうしてお前は生きてるだろ‼︎喧嘩は最後まで立ってた奴が勝ちって言ったのはお前だろ、傑‼︎」
「悟……………」
傑の胸ぐらを掴み、怒りをぶつける悟。その様子に困惑している様子の傑だったが、悟にしてみればそんな事はどうでも良かった。
唯一自分と並ぶ筈の男が、そこら辺の雑魚のように勝手に諦めようとしているのだ。悟としては許せる訳が無かった。
「お前は初めて心の底から勝ちたいって思えた奴なんだよ‼︎追いつきたい、隣に立っていたいって思ったんだ‼︎俺に媚び諂う雑魚みたいな事言うなよ‼︎俺だけが最強じゃ駄目なんだよ。俺とお前で最強だから意味があるんだよ‼︎」
「悟、人の話は最後まで聞くべきだよ」
「あぁ⁉︎」
「それなりに長い付き合いだというのに、まるで私を分かっていない。私は負けず嫌いなんだ。いつまでも君に負けてるままなんてごめんだ。私は、強くなる。君にも負けない術師になるよ」
「お、おう」
「やる事は山積みだよ……………というか、理子ちゃん達はどうなった?」
「生きてるよ、冥さんの伝手で今は海外だ。行き先とかは冥さん曰くエンツォって奴の所にいるってよ」
「冥さんもエンツォと知り合いだったのか………世間は狭いな」
傑から依頼され関わる事になったとはいえ、本来であれば冥冥は天元の元まで天内を送り届ける事が任務だった。
素直に上層部に従うのは面白くないという考えと、傑から天内が拒否した場合は2人を安全なところへ逃してほしいと頼まれた為天内と黒井を海外へ逃亡させた。
「冥さんからの伝言だけど、依頼料にプラスして掛かった経費も請求するからヨロシクって」
「呪霊のストックだけじゃなくて貯金までスッカラカンになりそうだ」
「そんなに消耗するってあのハゲそんなに強かったのか?」
「まぁね、また呪霊も一から集め直しだ。折角使えるようになった極ノ番も色々実験したい事があるし、やる事は山積みだ」
「なぁ、傑」
「どうしたんだい、悟」
「ガチの勝負しようぜ。術式、領域、なんでもありのガチ勝負だ」
悟は試してみたかった。反転術式を習得し、呪力の核心に迫れた今なら、唯一自分よりも強いと言える傑相手にも勝てるのではないかと好奇心が抑えきれないのだ。
万全の傑相手に自分の全てをぶつけてみたい、そうすればもっと先の自分に進めると確信している。
「いいね、どうせなら何か賭けてやろうか」
術師として強くなる為に、今度こそアーカムを殺しきる為にはもっと強くならなければいけない。生半可な壁ではより高く飛ぶ事は出来ない。
「乗った。俺が負けたら冥さんに支払った金額丸々補填してやるよ。傑が負けたら次に書かされる反省文代筆しろよ」
「良いね。リハビリと呪霊集めも含めて………一ヶ月後とかでどうだい?日程の調整は夜蛾先生を通してお願いしておくよ」
術師は等級が高くなればなる程、任務の危険度も量も増えていく。
傑も悟も等級が高い為、休みを合わせるのも一苦労するのだ。
その後、夜蛾や上層部との面談を終えた傑は手当たり次第任務を受ける事になるのだった。
とある山奥にある、廃工場。
アーカムはそこで目を覚ました。
「や、目が覚めたようだね」
「おぉ、我が友よ。どうやら私は負けてしまったらしいな」
アーカムが態とらしく呟く。その視線の先には額に縫合した後がある男がいた。
「いやいや、あの戦いは君と夏油傑の呪術に対する理解度の差ぐらいで実質君の勝ちのようなものさ」
「私をこうして生かしているという事は、まだ私には利用価値があるという事なのかな?」
「私のメインとサブ両方のプランの為にも君にはまだ生きていて貰わないと困るんだ」
「流石は史上最悪の呪術師と呼ばれているだけはある。私も君の悪辣さには参るよ、Mr.羂索」
「よせよ、照れるじゃないか」
「それでどうする?また高専に攻め入るのか?それとも上層部を操って五条悟と夏油傑の抹殺命令でも出すのか?」
羂索の演技のような振る舞いを無視して話を進めるアーカム。羂索が自分を利用しているのは知っていた。
かくいうアーカム自身も羂索の技術力や知識を使って自身の理想を叶えようと利用しているのだ。文句は無い。
「いや、下手に彼らを刺激するのは良くない。無理に六眼を排除して上手くいった試しが無いしね。先ずは戦力の補充かな」
「戦力といっても私と君がいるだろう。そこまでなのか、五条悟という男は」
アーカムは羂索の能力を認めていた。呪術というものへの理解度と技術においてこれほどの人間はいないのではないかと思う程に。
「君ならある程度勝負になるかもしれないが、勝てない。五条悟ってのはそういう生き物だと思った方が良い。兎も角、君も回復するのに時間がかかるし、その間は五条悟に関わるのは辞めようとって事さ」
そうやって語る羂索を見ていたらかつてのダンテを思い出すアーカム。
忌々しい限りではあるが納得した。羂索が五条悟と戦いたくないのは自分にとってのダンテと同じなのだと。
「まぁ良い。具体的には何をする?」
「フォルトゥナって街にスパーダを信仰する宗教団体があってね。そいつらを使って悪魔を集めるんだ。ダンテ達に気付かれないようにね」
「かつてスパーダが領主を務めていた街だったか……………選択肢としては悪くない」
「ある程度戦力を集めるか、ダンテに気付かれそうになったら退散するって感じでいこう。そうなったら日本で呪霊を集める」
「そこら辺の仕込みも既に終わらせているのだろう。さっさと向かうとしよう」
「久しぶりに海外へ行くよ。ファーストクラスでチケット取っちゃおう」
ウキウキした様子で荷物を纏め始める羂索にため息を吐くアーカム。何処から何処までが演技なのか、胡散臭いというのはコイツのためにある言葉なのではないかと感じていた。
羂索はダンテと会うのを頑なに避けているが、アーカムとしても嫌な事ではあるが、その一方で今度は勝てるという確信めいた気持ちもあった。
最悪の場合、ダンテとまた戦う事になるかもしれない。兄弟2人で銃弾をぶち込んだ時の顔がフラッシュバックするだけで動悸が激しくなる。
しかし、それと同時にあのムカつく顔を真っ二つにするだけの力が自分にはあるとも思っている。
浮かれている素振りを見せる羂索に言えた事ではないが、アーカムもリベンジの可能性に僅かばかりだが心がおどっていた。
オリジナル設定というかアレですが、魔剣教団に対して羂索はがっつり関わってます。多分DMC4の根本の原因は羂索です。色々と唆してました。自分の痕跡だけはしっかり消している感じです。なのでこの作品時空でDMC4が始まってもダンテは羂索という存在を知る事はありません。
とりあえず、一区切りついたと言う事で、今回はこの作品における夏油傑くんのプロフィール!!
夏油傑
術式: 呪霊操術
武器: ハンドガン「ショーグン」「ブシドー」複合魔剣「アラストル・ネオ」(アラストル以外の悪魔達は気にしてないが、アラストル自身はこのネーミングは不服)
趣味: 格闘技、銃の手入れ
好きな食べ物: ストロベリーサンデー、ハンバーガー、ピザ
尊敬する人物: モリソン(夏油自身絶対認めないが、スパーダに対して激重感情抱いてる事は周囲にバレてる)
好きな異性のタイプ: 可愛くて素直な子(ぶっちゃけおっぱいが大きければそれで良い)
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