Suguru May Cry   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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お久しぶりです。リアルが色々と忙しくて大変でした。




Mission13 決着

傑は自分に流れが来ていると感じていた。呪力切れが無い悟相手に長期戦は無謀であり、それを解決するには領域に引き摺り込まなければいけない。

 

領域展開は必中必殺の奥義であるが、使用後は暫く術式が使えなくなるというデメリットがある。魔具となった悪魔の領域を用いる事でその問題を無理矢理解決した傑。

 

領域が解けた後も問題無く術式の運用が可能であるが、一つだけ問題があった。

 

 

「術式が焼き切れてるんだ。降参するなら今のうちだよ」

 

 

「悪魔の領域使った後、魔具は能力が使えなくなるんだろ⁉︎それで俺に勝てると思ってんのかよ‼︎」

 

 

「だが、術式が使える分私が有利だ」

 

 

悟が指摘した通り、アラストル・ネオを用いた領域を使用した後暫くの間、アラストル・ネオは形態変化こそ可能であるものの、雷を出したり炎や氷を出せなくなる。

 

だが、能力が使えなくても傑には術式がある。術式が使えない悟相手なら物量で押してしまえば勝てる。

 

 

「これで決まりだ。〈極ノ番・うずまき〉」

 

 

多少の怪我は反転が使える悟なら自力で治せる、多少致命傷でも硝子がいれば死ぬ事は無いだろうという理性的な考えがある一方、五条悟相手に手加減をすれば自分が死ぬ事になるという本能からの行動だった。

 

所持している呪霊を纏めて操るという技。傑は二級以下の所持している呪霊を纏めてぶつけた。

 

 

「九綱、偏光、烏と声明、表裏の間」

 

 

あり得ない筈だった。どれだけ悟が呪術師として異端な存在だとしても、呪術師という枠組みの中にいる以上、領域展開直後にある術式の焼き切れは避けられないのだ。

 

だが、悟は掌印を組み、呪詞を唱えている。

普段は呪詞を省略して発動する事で発動までの速度を上げているが、呪詞を組み込む事で性能は格段に上がる。

 

 

「だが、少し遅かったね‼︎悟‼︎」

 

 

傑からすれば、呪詞を唱えどれだけ強い技を放とうとも、この距離で、この状況では自分のうずまきの方が早く当たるのだから、驚きこそすれ臆することはない。

 

 

「〈虚式・茈〉」

 

 

「くっ………!!」

 

 

一瞬の判断というより、本能的な動きだった。攻撃に回したうずまきとは別に防御力に秀でた一級呪霊を数体呼び出していた。

 

 

「術式が焼き切れて使えない筈だろ、何をした悟⁉︎」

 

 

「俺も大概だけど、これだけやって腕一本とかお前もイカれてるぞ、傑」

 

 

うずまきと呪霊のおかげで致命傷は避けられた。しかし、片腕が跡形もなく吹き飛んでいた。

 

しかし、傑は反転術式を扱える。その精度は現段階での悟よりも優れている。

 

失った体の部位を治すのにはより高度な反転術式を必要とするが、傑にとって腕を生やすぐらいはなんて事無かった。

 

 

「領域使って、片腕生やすほどの反転使ってんのに大して呪力が減ってねぇ。さっきの極ノ番で呪霊から呪力吸い上げたか」

 

 

「極ノ番で色々と試すうちに思ったんだ。呪霊を自由自在に操れるなら呪霊の呪力自体も好きに出来るんじゃ無いか?ってね。多分その気になれば術式持ってる呪霊から術式だけ抜く事も出来るだろうね。勿体ないからやってないけど」

 

 

「流石だな」

 

 

「そんな事より、どうやって術式の焼き切れを克服したんだい?」

 

 

「そりゃ反転術式に決まってんだろ。脳みそをぶっ壊してから、反転術式で治した」

 

 

「随分と無茶をするな」

 

 

悟が使う無下限呪術はただでさえ脳に負荷が掛かる。それを解決する為に悟は常に反転術式を回し続ける事で術式の常時発動を可能にした。

 

幾ら脳の治療に慣れているとはいえ、自ら脳を破壊して治療するという事が無茶な事であるのは傑にも分かる事だった。

 

 

「数種類の領域を使う傑対策だ。硝子にも相談して色々と準備してきたんだぜ」

 

 

「そう何度も出来る事じゃないだろ?」

 

 

「今の俺だと2回ぐらいが限度らしい。だから、ここで決める」

 

 

掌印を組む悟。傑は一瞬、判断を迷った。領域展延をするか、攻撃して領域展開を妨害するか。

 

結果的に、傑は領域展開をしながらショーグンとブシドーの引き金を引いた。

 

 

「迷ったな、傑‼︎出力最大、〈術式順転・蒼〉‼︎」

 

 

強力な力で引き寄せられる傑。途轍もない力で押し潰されそうになるのを領域展延で中和するが、それでも最大の出力で放つ蒼を中和しきれなかったのか、体が引き寄せられてしまう。

 

 

「俺の勝ちだ〈極ノ番・黎〉」

 

 

傑の腹に拳を叩き込む悟。

 

瞬間、傑に入り込む無限の情報。それにより傑の時間が止まってしまう。

 

茈が引き寄せる力と押し出す力を掛け合わせる事で仮想の質量をぶつけ、外側から無限をぶつけるのに対し、黎はその無限を対象の体内で爆発させる技。

 

しかし、違うのは質量をぶつけるのではなく、情報である事。

 

 

「茈が外からなら、黎は内側からってな。茈とは違うアプローチをしてみたんだよ…………って言っても聴こえてないだろうけどな」

 

 

今の傑は体内に炸裂した無限の情報を処理しきれずオーバーヒートしている状態なのだ。全てを知覚出来るのに、脳がそれを処理し切れない。

 

勝利宣言した悟だが、黎の効力がどの程度なのかは把握しきれていない。その為、悟はトドメを刺そうと拳をおおきく振りかぶる。

 

しかし、その拳が傑に当たる事は無かった。

 

百足の呪霊が大量に現れて壁となっていたからだ。

 

 

「な⁉︎」

 

 

『ワタシ、キレイ?』

 

 

口裂け女。質問に答えるまでは互いに不可侵とする簡易領域の持ち主。それは悟の無下限呪術であっても適応される。

 

 

「事前に仕込んでたか………やってくれたな傑‼︎」

 

 

傑は事前に幾つかの呪霊に命令を仕込んでいた。自分が動けなくなった時に自身を守る事、動けるようになるまで時間を稼ぐ事を。

 

 

『ワタシ、キレイ?』

 

 

「てめぇなんかお断りだよ、ブスが‼︎」

 

 

質問に答えたことで、口裂け女の攻撃が始まる。しかし、口裂け女の能力を知らない悟からすれば簡易領域とはいえ領域である為、御三家に伝わる領域対策を実行するしか無かった。

 

御三家秘伝〈落下の情〉。必中の術式に対して呪力をカウンターの要領で解放する事で対応する御三家に伝わる技術。

 

 

「勝ち宣言にはまだ早かったようだね、悟」

 

 

「ふざけんな‼︎」

 

 

悟の懐には拳を構え深く沈み込んでいる傑がいた。慌てて無下限呪術を展開しようとするが、それよりも早く傑の拳が悟の顎を捉える。

 

 

「リアルインパクト‼︎」

 

 

低姿勢からかち上げるようにして放つアッパー。まともに顎を打ち抜かれた事で悟の脳が揺れる。どんなに凄い術式を持とうとも、どれだけ肉体が強かろうとも、人間の体であるならばそれは弱点となる。

 

すぐに立て直して反撃しようとするが、悟は並行感覚が乱れてしまっており、脳が揺れている為術式の運用もままならない。

 

 

「俺の……………負けだよ、傑」

 

 

そのまま仰向けに倒れてしまう悟。生まれて初めて敗北したというのに傑の心はこれまでにない程晴れやかだった。

 

悔しいがそれ以上に自分の可能性を見つけられた事、目指す背中がある事の喜びが上回った。

 

 

「いや、君の勝………ち……」

 

 

領域による呪力の消費、茈のダメージ、失った片腕を生やすという大規模な反転術式、悟が放った奥義である黎の影響もあって傑の身体は限界だった。

 

現在の呪術界における頂点を決める戦い、歴史上類を見ない一騎討ちの結果は両者ノックダウンの引き分けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜蛾やその他の術師達が事後処理に追われている時、悟と傑は保健室で硝子の治療を受けていた。

 

2人とも反転術式が使える事もあって、外傷などは殆どなく硝子としても簡単な診察と治療ですんだ。

 

一通りの治療が終わり、煙草に火をつけ一服し始める硝子。

 

 

「ほんと馬鹿だよな、お前らって」

 

 

1人は無下限呪術と六眼の抱き合わせで歴代最強の天才、1人は豊富な戦闘手段と実践経験で最強と並んでいる化け物。

 

それに対して自分は反転術式をアウトプットする以外に出来る事が無い。

 

2人が怪我をすることなんてほとんど無いが、それを治療出来ればそれで良いと思っていた。

 

しかし、2人が反転術式を覚えた事で自分の必要性が薄れてしまったと感じるようになってきていた。

 

現にあれだけ激しい戦闘をしたというのに、殆ど反転術式を必要としないくらいには外傷が目立たなかった。

 

 

「ま、お前ら2人のお蔭で大儲け出来たし、起きたら飯でも奢ってやるか〜」

 

 

硝子は悟と傑と三人でいる空間が好きだった。三人で馬鹿やって、時々後輩や先輩、先生を巻き込んで馬鹿が出来る空間が好きだった。

 

しかし、そんな硝子を置いていくように傑も悟も強くなっていく。最早、2人にとって自分は必要な存在では無くなったと思う程には強くなった。

 

今回の戦いで更に顕著になった。唯一のアイデンティティでさえ、2人はなんて事なく使いこなせるのだ。

 

下手をすれば自分よりも高精度な反転を使えている。

 

 

「私も………………頑張らないと駄目だね…………」

 

 

戦闘力という点において、硝子が2人に追いつく事はあり得ない。どれだけ鍛えようとその差が埋まる事は無い。

 

だが、硝子の戦場は2人が立つ戦場とは違うのだ。

消えかけのの火を消すように灰皿へと煙草を押し付けた硝子は本棚で埃をかぶっていた医学書を手に取る。

 

反転術式はゲームの魔法のように唱えれば勝手に治る便利なものではない。消費する呪力は多いし、繊細なコントロールが必要となる。

 

より精度の高い運用をする為には人体に関する知識も必要だ。

 

 

「殴り合いは出来ないけど、反転術式(コレ)であんたらに負けるのはなんか悔しいしね」

 

 

2人が目覚めるまでの間、硝子は静かに医学書を読んでいた。

 




お待たせいたしました。これにて悟と傑の勝負決着です!!

結果的には引き分けなので、賭けは硝子の1人勝ちです。冥さんは大儲け出来て高笑いが止まりません。

オリジナル要素として、無下限の極ノ番を考えてみました。端的に言うと、黎は簡易的な無量空処みたいなものです。今の悟だと特級相手には1秒から3秒程度動きを完全に停止させる事が出来ます。
成長すればどんどん時間は伸びるでしょう。


硝子ちゃんは2人の戦いの影響で医学の勉強を本格的に始めました。人体への理解度が反転術式の精度に繋がって行く事でしょう。
最強2人に劣等感抱きながらも頑張る硝子ちゃん可愛いね。


次回からに向けてちょっとアンケートします。良かったら投票してください。

次回からのエピソードどうしますか!?

  • 呪術廻戦0、乙骨くん編突入!!
  • デビルメイクライ4編(悟を出すかは未定)
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