Suguru May Cry   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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Mission17 足並みを揃えて

「ウワァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

 

何かを振り払うように、遠ざけるように、叫びながら棘を出して攻撃するシド。

 

しかし、シドの攻撃はアラストルを持った傑に次々に砕かれていく。

 

 

「おいおい、大悪魔なんだろ?こんな棘だけで満足するなよ。モップを振りかぶったパティの方が何倍も怖いよ」

 

 

「死ねェェェェェェェェ‼︎」

 

 

魔力を溜め、ビームとして放つシド。傑はアラストルの魔力を解放しながらガードする事を選択した。

 

アラストルの紫電だけではガードしきれなかったのか、服の一部は焦げ、顔や手には火傷が見られた。

 

煙を立てながら傷を反転術式で治療していく傑。その様子にシドは僅かながら冷静さを取り戻した。

 

 

(何故奴はさっきのビームをガードした?何故避けずに受けた?奴の後ろには女と戦えない人間がいるからだ……………)

 

 

幾ら上級悪魔のケルベロス達で守ってるとはいえ、今の自分は大悪魔アビゲイルの力を持っているのだ。人間ごと殺すなど訳が無い。それ故に防御を選んだという思考に至る。

 

 

(それによぉ…………奴の魔力、羂索の旦那風に言うなら呪力がかなり減ってやがる。弱ってる、弱ってやがる‼︎)

 

 

「どうした。考え事かい?」

 

 

「へへへへへ、やっぱお前はダンテとは違ぇ。さっきの回復といい、悪魔の使役といい……………かなり呪力ってのを使ってるんじゃねぇのか?やっぱり矮小な人間風情に俺が、大悪魔アビゲイルに勝てる訳ねぇんだよぉ‼︎」

 

 

「なるほど、みっともなく喚き散らすしか出来ないと思ったが存外に冷静なんだな」

 

 

「それに加えてよぉ、お前は女と人間を守りながら戦わなきゃいけねぇ。何もビビる必要ねぇなぁ‼︎」

 

 

「驚いた。久しぶりに怖いとすら思ったよ」

 

 

「あぁん⁉︎今更ビビってもお前も、そこの悪魔どもも、女も人間も殺すぅ‼︎」

 

 

「違うよ。私が怖いと思うのは、この程度で私に勝てるとか考えてるその思考にだよ」

 

 

「あぁん⁉︎強がりは辞めとけよぉ‼︎もうお前じゃ勝てねぇ。お前を喰って今度こそダンテの野郎をぶち殺してやるよぉ‼︎」

 

 

自分が今、有利な状況にいると悟ったシドはその大きな腕を振り上げ、傑へと振り下ろす。

 

術式も使えず、頼りの上級悪魔も傑を庇う余裕が無い。傑は詰んでいる筈なのだ。その状況にほくそ笑みながら傑を押し潰そうとするが、腕は空を切った。

傑がアラストルにて、シドの巨腕を切り落としたからだ。

 

痛みに叫ぶシドを見据えながら2丁拳銃、ブシドーとショウグンを構える。

 

 

「トリッシュ、君の技使わせてもらうよ」

 

 

アラストルの紫電をブシドーとショウグンに纏わせる。そこから放たれた弾丸はアラストルの紫電を纏い強化されていた。

 

雷と2丁拳銃を扱う女悪魔にして、ダンテの元相棒であるトリッシュが得意とする技である。

 

雷を纏った弾丸は、シドの両目に着弾。紫電による強化があるとはいえ、ダメージとしては微々たるものである。

 

しかし、傑の狙いはそこでは無かった。シドの視界を奪い隙を作る事だった。

 

傑はアラストルを掲げ、魔力を溜める。

 

 

「アラストル達は基本的に呪霊操術でやりとりしているが、呪霊じゃないからなのか術式を縛っても対象には入らないんだ」

 

 

「何が言いてぇんだヨ⁉︎」

 

 

「術式であって術式でない。私の相棒は本当に優秀だよ」

 

 

呪術は能力の開示によってその効力を強める事が出来る。悪魔の魂の具現化でありながら、呪霊操術の対象として取り込んだ傑の魔具達は呪霊では無い為、呪霊操術の枠組みから外れている。

 

しかし、枠組みからは外れていながらも術式開示の影響は受ける。それによって一時的にアラストル達は能力をより強く発揮する事が出来る。

 

溜められた魔力が紫電へと変換される。そして紫電は強い光を放ち、氷へと変わり、風となり、炎へと変わっていく。

 

 

「チクショォ…………チクショォォォォゥ‼︎」

 

 

シドは目を潰され視認出来ていないが、目の前で渦巻く尋常じゃない魔力の渦に再び敗北を悟る。

 

やけくそになったのか手あり次第にビームや棘を打ち込むがアラストルを中心に渦巻く魔力がそれら全てを悉く破壊していく。

 

 

「Jack pot」

 

 

振り下ろされたアラストルの一撃でシドは真っ二つにされた。

 

断末魔をあげる事も出来ずにその身体はボロボロと砂のように崩れていく。

 

 

「悪かったな、夏油」

 

 

「私が自分で余計な縛りを入れなければ硝子はもっと楽に負傷者の治療にあたれただろう。私の方こそ危険に晒してしまってすまなかった」

 

 

負傷者の処置が終わったのか煙草に火をつけながら謝罪をする硝子。

 

硝子は自分が守る為に受ける必要の無い攻撃を受け、反転術式で大幅に呪力を消耗させてしまった事を悔やんでいた。自分の身を守れるだけの強さがあれば傑はもっと楽に勝てたのではないか、受ける必要の無い攻撃を受ける事も無かったのではないかと悔やんだ。

 

付き合いの長い傑は硝子が何に対して謝っているのか理解していた。だが、傑としても自分から術式を縛っていなければ、硝子はより安全に治療に専念出来ていた事を思うと油断が過ぎたと後悔していた。

 

 

「そういう事じゃない。ただでさえお前らに色々な事を任せっきりなのに、部屋に篭ってるだけの私がお前らの足を引っ張るのは違うだろ」

 

 

煙草を持つ手が震えているからなのか、中々火がつかない。

 

 

「私達と硝子は戦ってる場所が違うだけだろ。私も悟も硝子がいるから安心して戦える。硝子が足を引っ張ってるなんて事は無いさ」

 

 

「自分の戦う場所を見誤る程馬鹿になったつもりは無い。だが、今日の私がお前の足を引っ張った事は否定をさせない。だから私の謝罪は受け入れろ」

 

 

「わかった」

 

 

「私はお前らがどんだけ強くなっても、お前らだけにするつもりは無いからな。お前らが怪物になるのなら私も怪物になってやる。意地でもお前らに着いてくからな」

 

 

火がつかないのを諦めたのか、煙草を携帯灰皿に押しつけながら宣言する硝子。

 

 

「あぁ、分かってる。それはそれとして…………そろそろ警察とか色々来て面倒臭い事になりそうだから撤退しようか」

 

 

「これだけの騒ぎだし、高専も動いてるだろうな」

 

 

「確かに。事後処理は伊地知がなんとかしてくれるだろうし、私達は警察の厄介にならないようにしようか」

 

 

突然の戦闘にホテルは大騒ぎとなっていた。館内では避難客とそれを慌ただしく誘導するスタッフがいた。

 

傑達は避難客に紛れて移動した。

 

ホテルのロビーを出ると、パトカーや救急車が何台も止まっていた。

 

傑が下手に絡まれないうちに硝子を抱えてダッシュでもしようかと考えていると人集りから離れた所に悟が立っているのを見つけた。

 

 

「いや〜、随分とお楽しみだったねお二人さん」

 

 

「人の苦労も知らないでこの馬鹿目隠しは………」

 

 

「うぉっ、硝子何そのドレス⁉︎エロじゃん、ドスケベじゃん‼︎」

 

 

「セクハラで訴えるぞカス」

 

 

「残念、僕最強だから」

 

 

「悟、流石にそれは下品が過ぎるよ」

 

 

「メンゴ、メンゴ。お詫びにこの後の飲み代は僕が持つよ。どうせ、満足にお酒飲めてないでしょ?僕も晩飯まだだから、どっかお店行こうよ」

 

 

「良いね。どうせなら七海や伊地知も誘うかい?」

 

 

「僕は構わないけど、硝子はどう?」

 

 

悟に聞かれた硝子は少し考えるそぶりを見せると、慣れた手つきで煙草を取り出し火をつける。

 

 

「いや、今日の所は三人で飲みたい気分だから七海達には遠慮してもらおう。お前ら、今日は朝まで付き合ってもらうからな」

 

 

「いや、僕下戸なんだけど」

 

 

「悟、諦めた方が良い」

 

 

満面の笑みで煙草を咥えながら歩く硝子の隣を歩く傑と悟。

 

その後三人は馴染みの居酒屋で二次会と洒落込んだ。三人の飲み会は悟が雰囲気と酒気のせいで潰れ、傑が酔い潰れるまで続いた。

 

翌日、三人は事後処理を伊地知に任せっきりにした事と報告をしなかった事で夜蛾に呼び出されたのだが、三人とも二日酔いであまりにもグロッキーだった為流石の夜蛾も怒るに怒れなかった。

 

その後、三人は大量の反省文を書く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傑達が戦っていたホテルの一室。傑の戦いを観戦していた羂索は満足のいく笑みを浮かべていた。

 

 

「いやぁ〜中々面白いものを見た。夏油傑は思ってたよりも強いし、今の身体だと勝つのは厳しそうだな。もっと良いボディがあると良いけど………難しいよな」

 

 

「ふん、あの程度の悪魔に手こずってるようなら底が知れるというものだ」

 

 

散乱するゴミを掃除しながらご機嫌に呟く羂索に対し、呆れたように呟くスキンヘッドの男、アーカム。

 

 

「君からしたらそうかもしれないね。それはそうと、君が欲しがってた乙骨の様子はどうだい?」

 

 

「適当な悪魔を放って折本里香の様子を見たが、あれは素晴らしいものだ。アレがあれば今度こそ私はスパーダに至る…………いや、越えることすら可能かもしれんな」

 

 

「ならそろそろ計画を実行するかい?」

 

 

「まだ乙骨憂太の成長と折本里香の性能の上昇に関連があるかもしれん。もう少し調査しておきたい」

 

 

「今回は君の好きにすると良いさ。私も準備を進めておくとするよ」

 

 

「あぁ、楽しみにしておくと良い」

 

 

不敵な笑み浮かべながら部屋を後にするアーカム。

 

 

「うんうん。計画は順調に進んでるね。でも、駒がちょっと足りないなぁ…………………何人かは計画前倒しで参加してもらうしかないかなぁ」

 

 

ゴミを片付け終えた羂索は荷物を纏め部屋を後にした。

 




傑君が縛りで術式を封印してなくても羂索君が結界張って傑の術式を縛ってました。

なのでどのみち、傑は治療する硝子とパンピーを守りながら色々と制限した戦闘をしなければいけませんでした。


次回からいよいよ乙骨君と絡んで行きます。もうちょいと物語のテンポ上げて劇場版の内容に触れていきたい


次回からのエピソードどうしますか!?

  • 呪術廻戦0、乙骨くん編突入!!
  • デビルメイクライ4編(悟を出すかは未定)
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