Suguru May Cry 作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)
襲撃者を撃退した後、ホテルの一室にて。
セーラー服の少女と悟が互いに睨み合っていた。ガルルルという唸り声すら聞こえてくるような状態だ。
これでは話が進まないと、傑は隣に控えていたメイド服の女性に自己紹介を始めた。
「私は夏油傑、こっちが五条悟。天元様との同化まで理子ちゃんを護衛させてもらいます」
「ご丁寧にどうも。こちらは天内理子様。私はお嬢様のお世話係をしている黒井と申します」
セーラー服の少女の名は天内理子。ぱっと見は何処にでもいる女学生で呪術とは無関係そうな雰囲気のお嬢様だ。
「黒井、妾はまだ信用しとらんからな‼︎このグラサンとか怪しいのじゃ‼︎」
「あぁん⁉︎てめぇこそ、のじゃとか変な語尾付けてるの変だぞ‼︎そんなんだと友達いねぇだろお前‼︎」
「いるもん‼︎学校じゃ普通に喋ってるもんって………黒井、学校‼︎今何時じゃ⁉︎」
「おめぇ、護衛対象だっていう自覚あんのか⁉︎このまま高専行った方が安全だろうが‼︎」
天内の安全を考えるのなら、結界が貼ってあり、呪術師にとってアドバンテージの大きい高専内で保護した方が確実なのだ。
「悟、理子ちゃんの希望には可能な限り答えないと駄目だよ」
「クソガキめ」
天元から指令は刻限までは、可能な限り星漿体である天内の希望に答えろとある。
これは、天内が天元と同化してしまえば自我すら残らなくなってしまい、生きた屍のようなものになってしまうからだ。
せめて、残り僅かな時であるが人らしい生き方をしてほしいという天元なりの温情なのだろう。
「黒井さん、私の術式で護衛用と監視用の呪霊を幾つか放っておきます。なので理子ちゃんには今からでも登校してもらいましょう」
「お、前髪は話が分かる奴じゃの‼︎黒井、車回して‼︎」
「は、はぁ……………分かりました」
黒井と天内が部屋を出ていく間際に呪霊を呼び出し、護衛につかせる傑。
慌ただしく飛び出していった2人の背中を見て悟が呟く。
「傑、良かったのか?」
「冥さん程応用は効かないが、低級の呪霊なら視覚共有が出来るし、護衛につけた奴も私達が駆けつける迄に時間を稼げる奴をつけた。問題は無いさ」
「そうじゃねぇよ。最期に友達に会ったりしたら返って辛くなったりしねぇのかって事だよ。もし同化するのが嫌になったらどうすんだ」
悟の問い掛けに笑みをこぼす傑。傍若無人の擬人化とまで言われた男が他人の感情の機微にまで気を遣っている事に対しての笑み、そして親友らしからぬ心配をした事に対する笑みだ。
「らしくないじゃないか、悟。我々は最強なんだろ?彼女1人……….いや、まぁ黒井さんもだけど、女2人を逃がす位訳無いさ」
天内理子の同化の拒否。それは単に任務の失敗には留まらない。場合によっては天元が暴走する危険性もあり、それを危惧する連中からしたら同化拒否を幇助する事は呪術界に対する裏切りとする者もいるかもしれない。
呪詛師認定され、日本中の呪術師と戦う事になるかもしれないのだ。しかし、傑と悟は2人揃って最強なのだ。
今の日本に2人を相手取って戦える戦力がどれだけあるか。お互いの実力を把握しているからこその絶対的な自信。
「それもそうか。さて、俺らも学校とやらに向かうか」
余裕綽々といった具合に部屋に備え付けてあるポットで紅茶を飲む傑に笑みを浮かべる悟。
「そうだね。あ、でもせめて茶菓子だけは食べさせてくれないか」
「おっ、これ結構美味いな」
この現場を夜蛾に見られたら間違い無く、説教&反省文コースだが、現場に出てしまえばこちらのもの。任務さえ達成すれば文句無いだろの精神でいる傑。
自分1人でも余裕だが、傑が居れば万に一つも失敗はあり得ない為、尚更余裕じゃんとなっている悟。
実際、傑の呪霊が天内と黒井の側に付いている為、2人の安全は確保されている。
「2時間か3時間もすれば、モリソンから情報が届く。それまでは敵の出方を見るしか無いからね」
「Qの連中は潰したから………敵って事は盤星教だよな。そんな警戒する程か?非術師相手なら勝負にもならんだろ」
「信者の数も多いし、資金力はQなんかと比べるまでも無い位ある。特に、今回は彼らにとっての御神体に関わる事件だ。拗らせた思想を持ってる奴は何してくる分からない、だから警戒し過ぎな位で丁度良い」
盤星教としては、星漿体を殺せるなら何でも良かった。それ故にQが殺せると自信満々であった事もあって、邪魔はしないようにしていたが、彼らは悟と傑に挑むには余りにも弱すぎた。
自力で悟と傑を突破して天内を殺す力が無い盤星教は不本意とはいえ追い込まれてしまった事になる。
非術師の集団ではあるが、宗教団体である事もあって盤星教の資金力はそれなりのものがある。
であれば金に物を言わせて兎に角強い奴をぶつければ良いと危険な奴を呼び込みかねないのだ。
「世界は広いんだ。私が悟に対して対抗策があるように、対抗するだけの何かを持った奴が現れてもおかしくな…………………悟、監視用の呪霊が見つけたみたいだ」
「数は?」
「2人だ…………今、1匹払われたみたいだ。護衛用がいるかは多少は大丈夫だろう。早く行こうか」
「よっしゃ楽しくなってきた」
術式をフル活用した高速移動で数十秒で学校に到着する2人。
校門には黒井が待機しており、傑が状況を説明する。
天内と合流する必要があるが、音楽の授業で音楽室か礼拝堂か教師の都合で変わるとの事。
「悟は礼拝堂、黒井さんは音楽室で。私は呪詛師を叩く。黒井さん、護衛は付けますが、無理はなさらないように」
「大丈夫です。お嬢様の手前、無茶は出来ませんので」
「よし、作戦開始‼︎」
悟の号令で走り出す3人。傑は呪霊が祓われた方へと走り出す。
暫く走ると、誰もいない廊下に出た。目の前には消えていく呪霊とナイフを持った老人。
「爺さん、盤星教?無いとは思うけどQのメンバーだったりする?」
「高専の制服…………白髪じゃ無いという事は五条悟では無いのか」
傑の姿を確認すると、二体の式神を自身の前後に配置する老人。廊下という空間に置いて挟撃を回避する為の策を流れるように行っている事から、老人は明らかに実戦に慣れていた。
「夏油傑。よろしくしなくても良いよ」
呪霊を展開しながら半歩引き、身構える傑。その様子を見た老人はほくそ笑んだ。
「無下限相手では厳しいと思っておったが、呪霊操術ならまだ勝ち目があるわい」
年の功から呪霊操術の存在を知っていた老人。術式の内容は凄まじいものだが、老人の目から見た傑は戦闘を呪霊に任せる典型的な式神使いだ。
武器持ちの自分に対して半歩引いて身構えている辺り、近接戦闘が苦手なのだろうと分析した老人。
「無駄に長生きしてるだけあって、物知りじゃないか」
「生意気が過ぎるぞ、小童め」
「そんな玩具でビビらそうなんて品が無さすぎる。怒った時のパティの方が、まだ怖い」
「何を訳のわからん事を!!」
傑の反応と、呪力探知で挟撃は無いと判断した老人は、自身の後方に控えさせていた式神を前方に移動させ、二体の式神と同時に傑へと突撃する。
老人が使う式神は紙を媒体にしている為、脆い。似たタイプの術式として、性能は圧倒的に呪霊操術が上である。
しかし、老人としてはそれで良かった。近接戦闘が苦手であろう傑に近づければ良いのだから。式神には呪霊が横槍を入れられないよう邪魔をしてもらい、その隙に術者である傑を殺す算段なのだ。
ナイフを傑の心臓へと突き立てる老人。傑は特に抵抗する事無く、それを受け入れた。
「反応すら出来んとは……………最近の術師は弛んどるの…………」
ニヤニヤと笑みを浮かべる老人。しかし、違和感に気づく。心臓を突き刺したというのに、血が流れていないのだ。そもそも、刺した感触すら怪しいものだった。
確かにナイフは刺さった筈だと、刺し口を見たらナイフは刺さって居なかった。
「しまっ」
危険を察知したが遅かった。既に傑が老人に銃を突きつけていた。
「バン‼︎」
老人が死を覚悟した瞬間、傑は引き金を引いていた。しかし、弾は発射されず、ただの空砲だった。
だが、何の備えもなく、不意をつかれる形で引き金を引かれたのだ。あまりのダメージに耳を押さえ倒れ込んでしまった。
「ガフッ」
地に伏せる寸前に老人の顔をサッカーボールをけるように、綺麗なフォームで蹴り上げる傑。老人は壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなってしまった。
「全く、日本じゃこれを使うのに気を使わないといけないから疲れる。ダンテやレディに日本で仕事させるのは無理そうだね」
ところ構わず銃をぶっ放す友人達を思い浮かべながら、白銀の銃《ブシドー》を懐に仕舞う傑。
念の為に動けない老人を縛り上げ、もう一つの気配を追って駆け出す傑であった。
とある事情(心臓を貫かれる)でとある技術を会得した傑君なら、呪霊との視覚共有くらい訳無いでしょう。あと、ナイフ程度で傑君マッスルを貫ける訳無いんだよなぁ!!ナナミンもゴリラパワーで斬撃防いでたしセーフ。
という訳でDMCのキャラ説明です。
ダンテ……………DMCというシリーズを代表する主人公。ズボラ、体の殆どがストロベリーサンデーとピザで構成されている伝説のデビルハンター。借金の額は本人も把握してない。金と女うんに恵まれておらず、知り合う女性は大体やべぇ奴。言動の1〜10全てがスタイリッシュになるスタイリッシュな化身。
今作の傑との関係: たまたま知り合った。色々あったけど落ち着いて良かったなクソガキめ。傑が真面目なお陰で傑がいる間は電気や水道が止められる事は無かった。ダンテとしては可愛い弟分か息子みたいな感じ。
「楽しくやってんならそれで良い」
パティ………………パティ・ロウエル。とある依頼をきっかけにダンテ達と知り合った孤児院の少女。暴力を用いずダンテを辟易とさせる事の出来る数少ない人物。肝っ玉が座ってるし、世話焼き体質でダンテの天敵とも言える存在。
今作における傑との関係:自分をお姫様扱いしてくるのは悪くないが、色々と丸め込もうとしてる感がひしひしと伝わってくる。友人としては良いが、彼氏には絶対にしたくないと思っている。ポーカーでは普通にやったら負けないが、傑がイカサマを使うので戦績は割とトントン。いつか勝ち越したいと思ってる。
「今度は騙されたりしないんだから‼︎勝負よ、スグル‼︎」
レディ………………とある事件でダンテと知り合った女性デビルハンター。ダンテは彼女に対してかなりの額の借金をしている。デビルハント中なら街中でも平気でロケットランチャーをぶっ放す系の女子。ゲームで言うとシリーズ三作目に登場。アニメシリーズにも登場するし、アニメ4話では中々可愛いリアクションで活躍してくれる。
今作における傑との関係: ビジネスパートナーの1人で、友人。無駄に顔が良く、程良く女の扱いを心得てる感じが逆に胡散臭い為彼氏にはしたくない。買い物に行く時は荷物持ち兼ナンパ避けの置物にしてやっても良いとは思ってる。ブラックジャックもポーカーも傑に負ける事はない。
「日本かぁ……………銃をぶっ放せない仕事って大変そうね。私はごめんだわ」