サーバーダウンで焦って投稿したので、納得いっていない最後の方をカットしました。
次の話にはちゃんと入ります。
短くて申し訳ありません。
その日、空は晴れ渡っていた。
抜けるような青空が都市の上に広がっている。
快晴だ。
「暑いー暑すぎるよぉー」
「うっさいわね…次暑いって言ってら殺すわよ」
「暑い暑い暑いあーつーいー!」
「あんたねぇ!」
「ま、まぁまぁティオネさん。そうかっかしてると余計熱くなっちゃいますよ…」
「そうそう。むしろ我慢するほうが身体に毒だってこの暑さはさぁ…アイズもそう思うでしょ?」
「うん…さすがに暑い…じゃがまるくん食べたい」
「ジャガ丸くん関係あります…?」
「いい、レフィーヤ。ジャガ丸君は塩分も取れて美味しい。しかも手軽に食べれてリーズナブル。片手で食べれるから戦闘中でも食べれる。オラリオ内にいくつも屋台があるから、すぐに手に入る。だから…夏バテ対策に最適。わかる?」
「う、うーん…言われてみるとたしかに…そんな気も…?」
快晴なのはいいが、初夏も過ぎたオラリオはいささか暑い。
ロキ・ファミリアの面々は、大粒の汗を流しながら、ついでに頭の悪い会話を続けながら、朝からフィンの主導で改めてダイダロス通りを調べ直していた。
先日の一件で、イシュタル・ファミリアのフリュネからの情報で間違いなく人工のダンジョンがあることを知り、覚えている限りの入口を聞き出した。
鍵はナズナとオッタルのせいで見つけられなかったが、少なくともその入口を直接調査しないことには話が始まらない。
ちなみにナズナはいない。
現在ギルドからのペナルティで、単独でダンジョンの18階層までの掃除をさせられている。
掃除といっても箒やちりとりを使う一般的な掃除ではなく、モンスター退治だ。
ギルドが発行している公式マップの正規ルート以外のモンスターの間引き。
正規ルート以外の脇道は当然、ほとんどの冒険者が通らないためにモンスターが増えやすい。
だが、そのまま放置しておくと大量発生などの異常事態を引き起こす。
だからギルドは定期的に各派閥に依頼を出すのだが、今回はペナルティとしてナズナ一人で行うことになっていた。
調査とはいえ、穏やかな1日。
誰もが、都市崩壊の計画が進行していることを知ったロキ・ファミリアの面々すらこの日常がこのまま続いていくんじゃないかと錯覚しそうになるほど穏やかな午後。
ガラァン、ガラァン!!と。
それを打ち破る、鐘楼の鐘が轟いた。
『───緊急警報、緊急警報!!オラリオに所属する全【ファミリア】はギルドの指揮下に入ってください!』
次いで、魔石製品の大型拡声器が動乱の足音を鳴らす。
『ギルドは、強制任務を発令します!!18階層リヴィラが武装したモンスターにより壊滅!!伴ってモンスターの大移動を確認!!至急、ギルドは冒険者を編成しモンスターの討伐を───えっ?そ、そんなことが…あの人は…!』
だが、その拡声器から聞こえる声の雰囲気が変わったことで怯えていた街の住民や、緊張感を走らせていた冒険者たちは『ん?』となる。
『リヴィラはローレライに任せて大丈夫だそうです!…え?というか居たならなんでこんなことに?ギャンブル?なんなら酔っ払ったナズナさんのほうが街を壊してる?何やってるんですかあの人は!あの人こないだ歓楽街破壊して今ペナルティ受けてるとこですよね!?まったく反省してないじゃないですか!…あ、おほん。失礼しました。ただ、モンスターは現在も移動中とのことです!え、それも酔っ払ったナズナさんが追いかけてるからそれも大丈夫?え、じゃあこれは誤報?…状況が不透明すぎるからとにかく緊急事態なのには変わりない?いや、えぇ…』
「いいぞローレライ!ボールスの店も壊しちまえ!あのぼったくりがよぉ!」
「リヴィラじゃぼられる方が悪いんだよバーカ」
「おうおうおう、やんのかこらぁ!」
「いいよ、こいよ!」
どこかの冒険者が囃し立て。
「またローレライかぁ。次はリヴィラだってよ」
「まぁあそこよく壊れるし大丈夫でしょ。今何代目だっけ?」
「336代目とかじゃなかった?ほら、ラビットフットがリトルルーキーだった頃に1回」
「いや、あの時が334代目だったから335代目でしょ今は」
あるいは雑談のネタにして。
「おいやべーって!あそこの屋台ジャガ丸君半額だよ!行こーぜ!」
「それでは私の歌を聞いてください。タイトルは、おっぱいは世界を救う」
「おい姉ちゃん!酒が足りねえぞ!」
「はいただいまお持ちしますね〜」
そしてあっという間に、街は日常を取り戻す。
ナズナがいるならなんとかなるだろ、という信頼と、また歓楽街のときみたいな厄介事に巻き込まれたくないという冒険者たちの本音がギルドの放送が伝える危機感を遠ざける。
というか、放送事態に緊張感がすでにない。
『と、とりあえず市民、及び全冒険者のダンジョンの侵入を禁止します!各ファミリアはギルドの指示があるまでホームですぐに出撃できるように待機していてください!繰り返します───』
「なにやってんだあいつ…」
「いつも通りすぎて笑えてくるね、本当に」
それをダイダロス通りで聞いていたロキ・ファミリアの面々もまた肩の力を抜く。
でもそれは、彼らを油断に誘うようなものではない。
とりあえず状況はわからないが、何かが起ころうとしている。
そして、ナズナは現在酔っ払いながら一人で戦っているらしい。
なら、自分たちも負けてられない。
自分たちは自分たちでやるべきことをやらなくては。
「開いてる…」
そう決意する彼らはやがて、オリハルコン製の扉へとたどり着いた。
おそらくその奥に、何かを隠していた大袈裟なその扉は、しかし。
全員の予想に反して、開け放たれていた。
あるいは、すでに敵が穴蔵を決め込んでいると判断できる情報が揃っていて、敵の狙いがそっくりそのまま判明していたら、フィンは鍵が手に入るのを待っただろう。
だが、彼らにとって目の前の人工ダンジョンはまだ一度も足を踏み入れたことのない未知の領域で、敵の狙いも解明できていない。
そんな状況で、手をこまねく理由はフィンになかった。
それに親指も疼かない。
これは敵も想定していない偶発的な奇跡だ、と理論も理性も飛び越えてフィンの勘が告げている。
(君なのかい?ナズナ)
こんな状況であってもなぜか帰ってこない一人のバカを思い返し、フィンは笑った。
───一方その頃、当のナズナは。
「お、これか?いやちげーな。どれだ?これか?やっぱ違うのか?」
「おいやめろ!私の理想を詰め込んだクノッソスにベタベタ触れるな!」
「うるせーぞ負け犬!負けたやつはそのまま這いつくばってろ!もう良いかぁこれで!」
「よくない!それは自爆すい───」
男二人は閃光に塗りつぶされた。
そして、心臓部が消し飛んだクノッソスはそのほとんどの機能を停止した。
「うん、大当たりって感じだな」
「理不尽の化身め…!」
「なんだよ守ってやっただろ?」
心臓部が消し飛んだ人工ダンジョンの中心で、無傷のナズナと踏みつけるような形で爆発から守られているバルカが煙の中から現れる。
「とりあえずこれでこの地下を拠点にした都市崩壊計画は阻止したな、ヨシ!」
「ふざけろ!」
叫んだところで、ダイダロスの血が積み上げてきたものが砂のように崩れていく手遅れな状況は変わらない。
なぜこうなったか。
それを説明するためにはそれなりに時間を巻き戻す必要がある。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
異端児編、オラトリアの10-12巻。
すべて歪みます。
続きをハーメルンに出せるかはわかりませんが、もしここが終わったらpixivに投下しようと思います。
…でもpixivのアカウントは作者の性癖が出まくったやべーアカウントなので、最悪なろうとかになるかもです。
気が向いたらTwitterを貼っときます。