ガソリン満タンになったので走り切ります。
今回はナズナの出生編というより、スカジ編です。
今回ダンまちキャラは一人も登場しません。
必要とはいえそれなら興味ねえわって方は次回、さらには次次回までお待ち下さい。
次回に軽いあらすじ載せときます。
これは、ナズナという冒険者が生まれるまでのストーリー。
彼が生まれる前、スカジの一族をずっとそばで見守り続けた存在がいた。
『ソレ』は、ある日唐突に生まれた。
ソレに存在意義はなく、始まりに意識もなく、ソレにはただ漂うだけしか能がなかった。
だからこそ観測者足り得たわけだが、残念ながら名前をつけると存在が消し飛ぶくらい儚いせいで、全ては予定調和的に進んでいく。
“…どこだここ。というか俺は誰?誰というかなに…?”
精霊。
その自覚もないほどにちっぽけな存在は、アールヴの神聖な森の魔力がなんとか形になった羽虫に等しかった。
「君は…」
だが、そんな光って喋るおもちゃみたいな性能をした羽虫にも出会いはあった。
“へー、精霊っていうんですね俺みたいなの”
「うん、自覚がないほどに希薄な存在は初めて見たけどね」
“にしても俺とあなたって全然似てないんですね。頭はちょっと似てるけど”
「今僕のことをハゲっていったか?」
“ハゲ?いや、俺と同じで眩しいなと…”
その男の名前はアラン・スカディ。
少しおでこの広い、ハゲを気にしてるだけの穏やかな笑みがよく似合う美少年エルフだった。
“なんであなたたちは逆らわないんですか?強いですよね俺なんかよりも遥かに”
「それは、うん。たしかに不思議だろうけどね。僕たちは逆らえないんだよ、この血の定めに」
“つまり…ハゲは遺伝…ってことですか?”
「好きだねそのいじり。ちなみに僕は嫌いだよ」
“気にしてるならなんで額にハゲって書いてるんですかね、悪質な罠ですよそれは!”
「はっはっは、面白いだろう?」
“いえ全然”
その彼が属する種族はエルフと呼ばれる見目麗しい存在で、だが彼らは見た目ほど綺麗なだけの存在ではなかった。
エルフの中でそう呼ばれる彼らの親族は、王家に取り入ろうとしたバカなエルフ一族の失墜の巻き込み事故という理不尽な理由で虐げられていた。
彼らは呪いにも蝕まれていたが、これが差別を加速させていたというのもあるのだろう。
もっとも、羽虫が出会った頃にはもはやその差別に理由はなくなっていて、習慣化した謂れなき嫌悪感という見えない悪意がエルフには根付いていた。
───始まりは、数千年前。
喜劇が始まったとされる太古の頃。
そんな激動の時代に、ノームとエルフのハーフの子どもが生まれた。
本来亜人のハーフは人間としか生まれないとされているが、精霊という自然に近しい存在は自然の中で生きる魔法種族のエルフと相性が良かったなどという野暮な話はしなくて良いだろう。
「やだ!小生やだ!」
「なんで?やだっていってもやるんだよ!お前がパパになるのよ!あははは!」
愛は時に理屈を超える。
底抜けの善人だったそのエルフは、愛(?)によって精霊との子をなしたのだ。
少なくともその後の結婚生活に不満はなかった。
嫁さんは美人だったし、ご飯も美味しかったし、底抜けの善人の子もまた底抜けの善人だったし、何より互いのことを愛していたから。
「ねぇママー」
「なぁに坊や」
「息子の前で盛るのやめてくれない?」
「ワタシセイレイ。リンリカントカワカラナイワ」
「ママー。カタカナで喋るときは短いほうがわかりやすいよ」
「やだうちの息子ったら天才ね」
「ママー。それよりパパが泡吹いてる」
「あら」
だが、幸せは長く続かない。
普通に寿命で先に逝った父親と、彼と一緒に自らを封じて永い眠りについた両親なきあとに息子は生贄として王家へと捧げられた。
表向きの理由は、エルフ同士の戦争を止めるため。
本当の理由はエルフとノームの子というレアな存在を捧げることで、王家とお近づきになろうという野心。
善人だとしても、馬鹿ではなかったその男は当然その野心に気付いていて、それでも善人だからそれを許した。
「なぜ貴様が我々王家に差し出されたかわかっておるのだろう?」
「それはまぁ。でも別に、それで本当に戦争が終わるならそれでいいかなって。ほら、今エルフ同士で闘ってる暇はないでしょう?世間的にほら、モンスターとか」
「……その覚悟に報いよう。だが、悪いが信用はしていない。そんな底抜けな善人であることより、間者である可能性のほうが高いのでな」
「…なら、この血に呪いを。それを持って誠を示しましょう」
「近くへ。名前を授けることで、呪いを刻もう。スカディと」
「意味は?」
「影。その名に相応しい活躍を期待する。お前は今日から影に潜み森を守る守護者なのだから」
そしてその男は逆らわないように逃げ出されないように呪いを掛けられ、王家の森の
その呪いは、虚弱体質と服従。
使える魔法は体を岩に変える魔法。
約束した王が死に、男を差し出した一族の失態に巻き込まれ彼らは差別されるようになった。
スカディの意味も歪められ、「傷つける者」と忌み嫌われるようになる。
すぐに滅びるだろうと思われていたその血筋は、底抜けの優しさに恋をするエルフが何度も現れたことで紡がれてきた。
「やあ、羽虫君じゃないかなにしてるのかなこんなところで?暇なら一緒に覗きしていかない?というか最近森の外に良い風俗が出来てんだよね。ロリっ娘ドキドキクラブっていうんだけど、桃源郷はあそこにあったんだなって」
“犯罪者──────!!!!!”
「ちょ、チクるの早すぎ!これはあくまで男の浪漫で!普段エルフに虐げられてる我々の当然の権利なんだよ!」
「ひぃ…助けてお母さん…!いや、違う…!お母さんはもういない…!私が、やるんだ!この手で!───死ね、女の敵!」
「ぎゃー!…ふ、ふふ────お嬢さん。素敵な夜ですね?魔法も覚悟も痺れるような鋭さがあってたまりません。胸の平らさも、背の低さもベネ。何より幼いのが良い。どうか私と結婚してください」
「やだこの人血まみれの全裸でプロポーズしてきた…素敵…」
“え、なにそれは…”
ちなみにこいつらは1年後結婚する。
彼と彼女はとても幸せそうにみえて、同時に羽虫にとって家族というものがより尊い存在として刻まれるようになる。
夫婦生活はまぁ、ノーコメントで。
女にだらしない男と、魔法で自分の成長止めて相手の好みでいる努力を惜しまないヤンデレ合法ロリの生活は、しょっちゅう流血沙汰になった、とだけ書いておこう。
「お前の言葉なんか固いんだよな。もっと砕けてこうぜ」
“砕ける…?”
「そうそう。まずはクソとカスと死ね。リピートアフタミー?」
“死ねクソカス。そんなだから行き遅れるんですよばばあ”
「よし良いぞその調子だ!最初からアレンジ出来るなんてお前才能あるよ!」
“すごく嬉しくない!俺は絶対こんな汚い言葉使わないですからね!”
「いいや予言してやる。お前はすぐ周囲の影響を受けるから知らず知らずに私の真似をするようになるんだ。けけけけ、将来お前を好きになるやつは私の手垢まみれのこいつを好きになるってことだな!最高だ!」
“悪魔の発想!”
「ま、お前自身が使わなくてもさ。いつかお前が言葉を教えてやる事があったりしたときに、この言葉を教えてやってほしいんだ」
“カラさん…”
「ふぅ…よし緊張ほぐれた。脅しの練習がてらあの死にかけの男のとこ行くぞ!傷癒して金をせびる!」
“…変な茶番してないで素直に心配だから助けに行くって言えばいいのに…”
「そ、そんなわけねーだろ!おま、このっ、馬鹿か!?私はあくまで将来結婚したときのための貯金のために仕方なくだな…その金持ちそうな男に恩を売ろうと…!」
“そんなことより早くしないと死んじゃいますよあの人”
「わあああー!やばいやばい!罠の調整ミスった!?いやなんで重症なんだよもう!えっと、えっと薬草がこれで魔法はあれで───!」
「……?あなたは…?とても綺麗だ…もしかして、女神様のお迎ごももももも!?」
“ちょ、薬草詰めすぎ詰めすぎ!”
「だってこいつが急に変なこと言ってくるから!」
“初心すぎません?”
「だってだって!結婚とか急に言われても…!」
“そんなことは一言も言ってなかったですけど…”
「…けっ、結婚も、あり…ぐふ…」
“そうなんだ良かったねお似合いだよクソ!”
「口の悪さ百点満点花丸!」
ちなみにこいつらは半年後結婚する。
この2人の夫婦生活はかなり平和だった。
だが、その子どもがかなりの問題児で、アランと一緒に面倒を見るように頼まれていた羽虫はかなり振り回された。
「きゃー!やりましたわぁぁぁぁぁ!大穴!大穴でしてよ!ねぇ見ました!?すごくない!?羽虫ちゃん、私やっぱり才能あるかもしれませんわ!」
“そう言って借金何十万だよ。あの初心エセ口悪ツンデレ女からなんでこれが生まれてくる?というか親に払わせてはしこたま怒られてんのになんで懲りねーんだよ”
「羽虫ちゃんってたまに口悪いですわよね。そういうの私の教育によくないと思うんですの」
“くっ、あの初心女の影響が知らず知らずに……。というか六歳でギャンブルしてる子どもに悪影響与える教育ってなんですか?もう手遅れですよね”
「さぁ、知りませんわ。神様なら知ってるんじゃありません?無乳関西弁糸目キャラの神様とか」
“そんな神様いるわけないでしょ…”
「いるかも知れないでしょう?私たちは可能性を諦めない獣!ユニコーン!!!……ほら、そこのあなたもエルフならうずくまってないで前を向きなさいな!ギャンブルなんて借金すればチャラ!誇り高い我々エルフは決して臆さないのが美点でしてよ!」
「女神…」
「きったねえ顔ですわね!!!!このハンカチを使いなさいな!ギャンブル女!あと私は
“ソンナコトナイヨ”
「おぎゃあ!私六歳!難しいことは大穴に全掛けしてから考えますわ!」
「お供します女神様!ついてて可愛い最高やったぁ!」
“駄目だこりゃ”
ちなみにこいつ等は十年後に───。
彼らには個性があった。
物語で背景のように並べられる、ただの記号的な『底抜けの善人一族』ではない温かみがあった。
「うひひ、羽虫ちゃん私といいことしない?」
“うわ酒臭い!それ何本目ですか!?というか絡みうざ!”
「なんだよぉ、いいだろぉ!夫が浮気したんだぁ!今日くらい飲ませろぉ!」
“え…あなた独身…です、よね?あれ、違いましたか?”
「違わなーい!あはは!私独身女!妄想でヤケ酒してまーす!!いえーい!!!!」
“ひぇ…”
「羽虫ちゃん!ちゃんと風俗行って男女のことを知るんだぞ!」
“うるせぇババアクソして寝てろ!風俗で異性しった気になるやつは一生結婚できねえよ!”
「あははは!急に口悪ー!」
だからこそ、彼らはある意味自分たちの虚弱体質を愛していた。
なぜならそれは、呪いを超えて愛を育んできた証なのだから。
ちなみに年齢とともに徐々に後退戦を強いられているアランの頭は別に呪いは関係ない。
シンプルに遺伝子への敗北だった。
出会って70年。
見た目詐欺種族らしくアランはおでこが若干後退している以外は美青年で、そんなアランは、妄想ヤケ酒女と結婚した。
アランは禿げ始めていたがイケメンで、金も有った。
だが、優しすぎて駄目な人間を甘やかすのが好きという悪癖が有った。
あと巨乳が好きだった。
妄想ヤケ酒女は根は善良だったが基本的にクズで堕落的で、人に寄生するのが上手だった。
そして、巨乳だった。
この二人は出会った次の日に結婚していた。
アランが誘惑に負けて家に連れ込まれ1晩中食われ、妄想ヤケ酒女なしでは生きてけない身体にされたからだ。
彼は幸せそうだった。
年の差100歳(アランが年下)の爛れたカップルだったけど。
「君にお願いしたいんだ。これまで君がスカジの一族を見守ってきたように、この子を助けて上げてほしい」
“や、俺魔法とかまともに使えないですよ?身体もないですし”
「はは、そうじゃなくてね。教えてあげてほしいんだ。この子は愛されていたんだって。愛されていていいんだって」
“自分で伝えてください、そんな大事なこと”
「…ま、そうだね。でもこういう意味深ムーブはすればするほどお得だと思わないかな?」
“頭スカジか?”
「僕たちスカジは夢を見るのさ。いつかきっと、世界が良くなりますようにって。そのついでに愛しの家族がいれば最高だし、お酒が美味しいとなお良いし、友人と笑えたら超楽しい。名前をつけたら逆に消えかねないほど儚い友人とか、ね」
“…ついでが多いなぁ”
「人生荷物が多いほうが楽しいよ」
繰り返すようだが彼らは善人だったが、馬鹿ではなかった。
だから、自分たちを滅ぼそうとする動きも察していた。
「いた!スカジだ!殺せ!」
「森の怒りを思い知れ!」
「どうせコイツラ逆らえねえんだやっちまえ!」
“…くそ…クソ、くそくそくそくそクソっ!なんで…!なんでだ…!なんで俺はこうも弱い!こんなに何もできないならなんで俺は生まれてきた!?”
羽虫は結局羽虫。
羽虫にできたのは託された赤子を土で隠すだけ。
羽虫はただ仲良くしていた人たちが無残に血を流す姿を見てるしかできなかった。
だが羽虫は赤子を守りきった。
アランとしたたった一つの約束だけが、羽虫の
だからこそ、悲劇は繰り返す。
◆
登場人物紹介。
・ペリナ
善性だけで精霊を落とした男。ついでに種付けした男。
享年346歳。
・エルナ・グノーメン
エルフに脳を焼かれて人生を捧げた精霊。
土属性。重い。
享年????
・ゴルランド・スカディ。
最初のスカジ。
おねショタされて子孫繁栄した。
享年313歳。
・アラン・スカディ
ハゲかけ美少年。
羽虫とスカジを引き合わせた。
巨乳好き。
一番最期まで戦い抜いた。羽虫に自分の子供を託した男。
享年92歳。
・パルラン・スカディ。
ロリコン。ロリなら誰でもいいと公言していたが、最期は嫁を死んでも離さなかった。
その剣の冴えは、妻を害する敵を許さない。最期は妻もろとも魔法で貫かれたが、投擲した剣はそのエルフを串刺しにした。
享年149歳。
・サナリア・スカディ。
親を亡くして傷心中にまんまとつけ込まれて落とされた幼女。
パルランにずっと好きでいてもらうために成長を止める魔法を自分にかけた。
嫉妬で暴走すると包丁を振り回す。
最期はパルランの胸の中で。
享年永遠の10歳。
・カラ・スカディ
エセ口悪ツンデレ初心女。
実はずっと旦那に一目惚れしていて話しかける機会を付け狙っていた。旦那が怪我してたのもこいつが仕掛けた罠のせい。思ったより重症になった。
実はロリコンと同い年。
息子と旦那を庇って真っ先に命を落とした。
享年149歳。
・タルコフ・スカディ
婿入した男。一見マッチポンプに引っかかった哀れな男だが、カラのストーカーだったこの男は、罠にわざと引っかかって命に関わる怪我を負った。
妻を殺されたその男は、エルフ達によって達磨にされたが、妻の仇の首を噛みちぎった。
享年163歳。
・マーロ・スカディ。
エセお嬢様言葉口悪ギャンブルカス女装男。
こいつが一番問題児。
だがこいつが仕掛けた罠によって200人規模のエルフが命を奪われた。
キルリーダー。
享年52歳。
・ハンナ・スカディ。
妻というよりも信者。女装お嬢様言葉の男に、普段と違って素の口調の低い声で命令されるのが好き。
エルフのくせに競馬にハマり酒に溺れ、一人でカイジみたいなことをしていたダメ女。夫婦そろって借金まみれだったが、この夫婦は最期まで笑顔だった。
こんなんでも弓の名手なのでマーロの次にキルスコアを飾っている。
享年83歳。
・ソフィア・スカディ。
巨乳。だらしない、でも人をその気にさせて寄生するのが得意。アランのことは幼少期から付け狙っていて、アランが人を甘やかすのが好きなのも巨乳好きなのも全部近所のお姉さんポジのこいつが歪めたから。
アランを落とした決め手はゲロチュー。
享年192歳。
・ニーナ・スカディ。
アランに羽虫が託された赤子。
この赤子が後の運命を左右する。
・羽虫。
キルレ0。ゴミ。こいつに力があったらスカジの一族はもう少し生き残ったかもしれない。
予定調和の化身。名前すらつけられない雑魚。
土属性。
・ナズナ。
口悪くてギャンブルカスで酒に溺れて女にだらしないメスガキショタで家族大好きとかいうスカジ最終形態みたいなやつ。
生まれてない。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
ダンまちのキャラが一人も登場しなくてすいません。
これきっと第一章の最終四話くらい人気でないだろうなと思いながら、生み出した者としての責任によって書き連ねています。
自己満小説ですいません。
あなたはどのスカジが好き?
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ゴルランド(最初のスカジ)
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アラン(ハゲかけ美少年)
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パルラン(ロリコン)
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サナリア(合法ヤンデレロリ)
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カラ(ツンデレ初心女)
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タルコフ(ストーカー)
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マーロ(女装ギャンブルカスお嬢様)
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ハンナ(ギャンブルカス信者)
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ソフィア(酒カスゲロチュー女)
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ニーナ(呪言女)
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エリシマ(最後のスカジ)