平日は頑張らないつもりだったのですが、今朝見たらルーキー日間一位という身に余りすぎる結果を頂きましたので、頑張ってみました。
夢だったかもしれません。
お気に入り登録、感想、評価してくださった皆様本当にありがとうございます。
ただ、本当にクオリティは据え置きで、皆様の暇つぶし程度にしかなり得ない小説ですので過度な期待はしないでください。
「やーと帰ってきた」
ぽつぽつと魔石灯の明かりが照り始める薄暮れ時。
ダンジョンの入り口を塞ぐ蓋として建設されたバベルからぞろぞろと隊列をなして出てくる三十人規模の一団があった。
ロキ・ファミリアだ。
彼らは久しぶりの空に思い思いの表情を浮かべながら、自然と周りの冒険者たちに譲られて出来る道を悠然と進んでいく。
恐れられている、という状況にティオナが若干ぶーたれているが、ナズナとしてはそんなことどうでもいいからさっさと家に帰って寝たかった。
───あのあと、自爆攻撃をしたナズナはしこたま説教された。
別にあのモンスターを倒すだけなら別に自爆は必要なかった。
だけど、派手に爆発してスッキリしたかった。
別に反省もしてない。
と、口答えしたナズナに対する説教はさらに激しさを増した。
自業自得である。
だが、ほっぺをつままれ、うにょんうにょん引っ張られるナズナはとても嬉しそうだった。
それ以降は特になにもなく、強いて言うならミノタウロスが上層へと逃げ出したが、実に順調な帰還と言えるだろう。
敗走だということに目をつぶるのなら。
「ミノタウロスの件は普通に大事件ですよ…」
「怪我人ゼロだろ?むしろ上で燻ってるやつらにはいい刺激になったんじゃねーの」
『あ、逃げた』
『お、おいっ!?てめえ等、モンスターだろ!?』
『追え、お前たち!』
『遠征の帰りだってのに!?』
『あのあの、私、白兵戦は苦手で…!?』
『杖で殴り殺せんだろ!殺れっ!』
『は、はいぃぃ…!』
『───ほわああああああああああああ!?』
遠征終わりに必死の追いかけっこに参加させられたレフィーヤの疲れた声に、ナズナの返事はひどくあっさりしたものだった。
罪悪感がなければ、疲れもない。
これはレベル差による体力の問題とかではなく、単にナズナがサポーターたちの護衛と言う建前で追跡に参加していないからだ。
もちろんデコイスキルの使用という形で多少は働いた。
基本的にナズナは上層や下層の通常時ではデコイスキルを使わない。
それはもはや上層で仲間を守る必要がないからであり、同時に、便利なタンクに頼りっぱなしにされて緊張感を忘れられては困るからというフィンの指示でもある。
ナズナとしてはサボれるし、精神力の消費も無くなるし使わないことに異論はない。
だからといってそのような異常事態を目の前にして何もしないのかと言われれば、もちろん使う。
だが、ナズナのデコイスキルは敵意のある相手を引き付けるのであって、背を向けて逃げる相手など想定していない。
番犬時代に求められたのも、地の果てまで侵入者を追いたてることではなく、侵入者が森や同胞を傷つけないようにひたすらに注意を引いて的になることだったのだから。
『逃げるな!逃げるな卑怯者ぉぉぉおおおおお!』
と、叫んだところで逃げるやつは逃げる。
だから結局ナズナが出来たのは被害にあった冒険者諸君に、ドンマイドンマイ、そういうこともあるさ。明日からまたがんばれ♡がんばれ♡と労ってやることくらいなものだったのだ。
『優しさが恐ろしすぎて吐き気がしてきた』
『言葉が軽薄すぎて誠意を感じられない』
『ミノタウロスよりも異常事態』
『なんでわざわざ男を狙ってやるんだよバカ!』
『うわああ!俺はノーマル!ノーマルなんだぁ!』と、非難轟々だったけど。
可哀想(他人事)。
そんな雑談しているうちに、都市北部にあるロキ・ファミリアの本拠地、黄昏の館へとたどり着く。
「あー、疲れた。お肉たくさん頬張りたーい」
「私は早くシャワーを浴びたいわね」
家が見えて安心したのか、それともティオナの言葉に反応したのか。
何人かの腹が鳴る。
「今帰った、門を開けてくれ」
それを聞かなかった振りをして敬礼する門番の団員が、フィンの言葉を受け開門する。
「おっかえりぃぃぃぃぃいいい!」
そして、脚を踏み入れた瞬間、それを待っていたと言わんばかりの勢いで飛び込んでくる一人の女性が現れた。
彼女の名前はロキ。
年を取らず衰えない、全知全能を封印した超越存在。
「みんな無事やったかーっ!?うおーっ、寂しかったー!」
崇拝されてしかるべき都市最大派閥として名高いファミリアの主神の彼女は、両手を突き出した姿勢のまま、ひょいひょいと躱されていく。
どこかぞんざいな扱いを受けるロキは、結局誰もその両手で抱き締めることは出来ず、最後尾にいたナズナに抱き止められた。
「んふぅー、このサイズ感!たまらんなぁー」
「相変わらず胸がないなぁうちの主神は」
「こらー!誰が無乳や!」
戯れる二人に、フィンが声をかける。
「ロキ、今回の犠牲者はなしだ。到達階層も増やせなかったけどね。詳細は追って報告させてもらうよ」
「んんぅー、了解や。おかえりぃ、フィン」
「ああ。ただいまロキ」
ロキは、にへらっと心の底から自分の子達の息災を喜ぶ笑みを浮かべる。
その笑顔に、自分の家に帰ってきたのだと、誰もが疲労の滲む表情を自然と緩めるのだった。
●
全員が順繰りに風呂に入り、ロキの方針のもと全員が集まった食堂はかなりごった返している。
遠征直後というのもあって騒ぐ元気はないが、待望の酒食をむさぼる団員たちは絶えず賑やかだ。
「それで自分は新種に殺されかけて…」
「殺…!?」
居残り組に語る武勇伝なのか失敗談なのかよくわからない土産話など、とにかく会話のネタに困らない夕餉を皆楽しんでいた。
「くぅ~うめぇ!やっぱりお肉、油、お酒!からだに悪いものは美味しい!」
「うーむ真理じゃ。どうじゃ?久しぶりに飲み比べでもせんか」
「いいなぁそれ。待ってろガレス、確か厨房の棚の奥にロキ秘蔵の酒が…」
かくいうナズナもまた、久しぶりの肉と酒の旨味を存分に楽しんでいた。
ガレスと肩を組んでゲラゲラ笑う姿に品性の欠片もない。
お前ほんとにエルフ?みたいな姿を晒したところで、今さら何かをいってくるような者はファミリアにはいない。
多かれ少なかれナズナに助けられているのもあるし、どうせ言っても聞かないからだ。
「忘れとった。今日中に【ステイタス】更新したい子おったらうちの部屋まで来てなー。明日とかいっぺんにやるのも疲れるし。そうやなー、今晩は先着十人で!」
晩酌途中に思いだし、無計画に決める気まぐれな神のいい加減な連絡にも、今さら文句は上がらない。
これがロキ・ファミリアの日常だった。
「ガレスはどうする?」
「んー、ワシはどうせ大して伸びとらんじゃろうし、明日か明後日か。適当なタイミングにするかのう」
「あーまぁ、俺も別にランクアップはさすがにしてねーと思うけどよ」
珍しく言葉を濁すナズナに、ガレスは目を向けた。
「なんじゃ?気になることでもあるのか?」
「やー、うん。ロキに金借りようかと」
「む?」
●
夕食も終わった夜。
とうに夕焼けは消え、蒼い夜空に浮かぶ月が町を照らしている。
微かに街の方から聞こえてくる弦楽器の音色を、窓を開けた部屋で楽しんでいたナズナは、おもむろに体を持ち上げる。
「さすがにそろそろアイズとか他の連中の更新も終わっただろ」
誰よりも強さを求める少女。
詳しいことはさておき、その身に流れる血の成り立ちが近しい者同士、ナズナはちょっとだけ気にかけていた。
まぁ、気にかけているだけで、特にブレーキの代わりも親の代わりもなにもしていないのだが。
ナズナの気遣いなどその程度だ。
ナズナは軽く伸びをしたあと、寝心地に拘りに拘った寝具(リヴェリアの部屋から強奪した上等なやつ)から体を持ち上げ、棚も兼ねたサイドテーブルに置いていた水を飲む。
サイドテーブルにはコップと水瓶だけでなく、シンプルながら上品なアロマランプが置いてある。
これはナズナの趣味ではなく、レフィーヤに誕生日プレゼントとして押し付けられたものだ。
他にも座布団や鉢植え、羽ペン等々彼の趣味ではないものが数多く置いてあるが、どれもこれも貰い物だ。
口の悪さに反して、人からもらったものは大事にする。
そんなギャップが密かに受け、女性団員たちからプレゼントが定期的に送られていることを本人だけが知らない。
尚、ナズナの好みだけで部屋を彩った場合、先述した布団と冷蔵庫という魔石技術の産物、アコーディオン、自分の武装とその整備道具がおいてあるだけの無造作な部屋になる。
まあ趣味でなくても、家族からのプレゼントに囲まれている部屋ならナズナは満足だ。
────私たちがお前に痛みを強いるのは、家族だからだ。分かってくれるな?
「さて、いきますかね」
ランプの明かりを消したナズナは、窓の施錠を確認して部屋を出る。
頭によぎったかつての
最後まで読んでくださって誠にありがとうございます。
正直こんなクソガキをたくさんの人にお見せしていいのか?と震えております。
いつか低評価の嵐になるのでは、などと考える一方で、高評価をくださっている皆様やお気に入り登録してくださっている皆様を見てニヤニヤしています。
これからも頑張ります。
心に優しい感想や評価して頂けるととても嬉しいです。