曇らせ好きTS少女の自業自得   作:すっごい性癖

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前回、純愛モノの話を書いたことによって私の純愛欲求が満たされたので今回はこのお話

最近、血が出なさ過ぎているな

平穏すぎる、精神的苦痛すぎる、肉体的苦痛がなさすぎる

そういう訳での原点回帰です




原点回帰 自由恋愛

自由とはいったい何なのであろうか。

 

その定義は人それぞれだと思う。

 

自由とは何かと問えば精神的な話をする人もいれば、物理的な話、もしくは人間関係などを用いて説明する人もいるだろう。

 

ならば、問いを自由とは、からコレは自由なのかというモノに変えてみよう。

 

檻の中に入れられること。

 

鉄製の牢獄にブチ込まれ、鍵を閉められ出ることができない状況。例えば囚人、例えば捕虜、例えば奴隷。

 

おそらく多くの人間がそれは自由とは呼べない状態であると答えるであろう。

 

ならばこれはどうだろうか。

 

束縛の強い恋人の存在。

 

いかなる時でも傍に侍ろうとし、一旦離れようともすればヒステリを起こすような恋人だ。人間関係の把握、時には知人との関係断絶の強要。そんなことをしてくる思い人。

 

これも人によるだろうが、自由ではないと考える人が多いのではないかと考える。

 

次はこれ。

 

病人、けが人として寝たきりを強いられる状態。

 

それが症状故なのか、動くことは可能でも心配している人を困らせないがための休養なのかは問わない。ただただその異常が回復するまで、ベッドの上からの移動を禁じられること。

 

これは……、まぁ不自由だと思う人が多いかな。

 

再度質問を変えてみよう。

 

以上の質問、物理的、精神的、人間関係的での不自由状態。

 

それらが一切存在していないとき、人はそれを確実に自由と言えるのだろうか。

 

自身の脚で広野を走り回れる状態。人にもモノにも束縛されず、意志さえあればどこにだって行ける状態。

 

それらの要素を持つ人間は必ず自由であると言えるのであろうか。それとも言えないのか。

 

逆にそれらすべてを持っている人間は、絶対的に自由なのか?

 

……もしも明確な答えを持つ人がいるのなら。どうか、オレにその答えを教えてほしい。

 

 

オレは、はたして自由なのか?

 

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「……」

 

夢を見ていたようだ。夢の内容は覚えていない。

 

辺りを見渡せばいつもの自室。日はまだ登り切っておらず、部屋の中は真っ暗だ。

 

汗を大量にかいたのか、寒気がする。

 

「……ッ」

 

特に理由もないのに、なんだかとても恐ろしい。

 

「なんなんだよ、毎朝毎朝っ!」

 

ここ1年ほど、毎朝感じる恐怖。

 

それはまるで首輪をかけられ、独房に閉じ込められたかのような閉塞感。

 

それはまるで、四肢をもぎ取られ、身体中をナイフで刺されまくったかのような強い痛み。

 

それはまるで、どこにも逃がさないと誰かの手中に収められたかのような束縛感。

 

これらが同時にオレに押しより、背筋に氷を着けられたかのような恐怖心を生んでくる。

 

首輪も檻も、欠損も傷も、オレを束縛する人間もどこにもいないのに。

 

自由をすべて、人権をすべて奪い取られているような感覚。

 

「っうう!」

 

身体の震えが収まらない。歯がカチカチと音を立て、涙が両の瞳から零れ落ちる。

 

オレはベッドの上で、自身の身体を必死に抱きしめた。

 

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「もっちん、元気ぃ~?」

 

朝学校に着くと、隣の席のフラネがそう聞いてきた。

 

「……うん、おはよ」

 

若干遅れた返事を返してしまった。

 

毎朝のことだが、彼女に声をかけられるとどうも緊張してしまう。

 

ドキドキと早打つ心臓を何とか抑え、何でもないかのように話を続ける。

 

「最近寒いよなぁ」

 

「だねぇ~。そろそろ雪も降り出しそうだし、ますます冷え込みそう~」

 

うーっ、と唸りながら寒いぞーと身振りで表現するフラネ。そうする姿はどこか子供っぽくて、かわいらしい。

 

フラネはこの学校に入学したときからの付き合いで、今年で2年目。綺麗な白髪を肩ほどで切りそろえており、まるで雪の様。今の話題にぴったりな少女だ。

 

「ん~」

 

そう唸りながらオレの腹部に顔をぐりぐりと押し付けてくるフラネ。

 

なんだかくすぐったい。

 

「っ!?」

 

ズキンっ!!と腹部にまるでナイフを突き立てられたかのような痛みに襲われ、次いで酷い頭痛に見舞われる。

 

頭をハンマーで思い切り叩かれたかのような衝撃。

 

痛みに耐えながら腹部を見ても、当然怪我なんて存在しない。

 

あるのは、そう。押し付けられたフラネの頭部のみ。

 

「もっちん、だいじょうぶ~?」

 

上目でオレの顔を覗き込みながら、そう心配してくるフラネ。

 

腹部の痛みはすでにないが、頭痛は未だに健在。

 

しかし、そんなものも彼女の顔を見ればスー、と引いていき

 

「大丈夫、大丈夫。ただの貧血だから」

 

何事もなかったかのように元に戻った。

 

オレの返答を聞いたフラネは良かった~、と胸を撫で下ろしている。

 

ああ、幸せだな。

 

 

恋焦がれている少女に心配してもらえて。

 

 

大好きなあの子に思ってもらえて心の底から喜びの感情が沸き起こる。

 

こんな優しい子、他には知らない。

 

(……けど)

 

 

いつオレが恋に落ちたのか。

 

それは全く思い出せない。

 

思い出せ……

 

「もっちん♪」

 

ぎゅむっ、と両の手で頬を揉まれ餅のようにこねられる。

 

ああ、そうだっけ?

 

オレはこの子のこういう、気さくなところに惚れたんだった。

 

惚れたん……だったよな。うん、きっとそうだ。

 

大好きな彼女とのふれあい。

 

心は温かく熱を帯びだす。

 

ブルっ!!

 

「……?」

 

だけれども、なぜだかわからないがトンデモナイ化け物に睨まれたような。蛇に睨まれた蛇のような。冷や水を掛けられたかのような。

 

そんな風な冷たい恐怖心。

 

そんなものが湧き上がってくるのはなんでなんだろう。

 

涙が自然にこぼれてしまった。

 

 

 

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そしてまた日は沈む。

 

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意識が目覚める感覚、まるで泥水から起き上がるような。身体にまとわりつくものを振り切っていくような。そんな感覚。

 

(……この記憶があるということは)

 

こちら側か。

 

日中のオレでは知りえない、ココでの記憶。

 

これまで、1年の記憶。

 

ああ、イヤだ。目を開けたくない。

 

だけど無駄だ。彼女はきっとオレの覚醒に気づいている。

 

だから、目を開けるしかない。

 

開ける、開ける。開ける。

 

見たくもない惨状が広がっているのだろうが、覚悟するしかない。どうせ見なきゃいけないのは変わらない。

 

「…スーっ、――ハーっ」

 

よし。

 

パチリ。

 

眼を開いたオレに飛び込んできた情景は。

 

無機質な、だけれども鮮烈な赤い色がこびりついている天井。

 

ご丁寧に鏡まで付いており、オレの今の姿を映している。

 

裸に向かれ、首に輪を掛け、鎖で壁につながれている姿。

 

四肢は中途で途切れ、骨の白みが露になっている。右腕、右脚は限界までなくなりその関節の骨が、左腕は5割、左足は7割ほどの欠損。どこも無理矢理ちぎられたような、刃物で切り落した時には生まれない傷がついている。

 

身体全体からは血が流れ出ており、至る所が赤黒くなっている。全身にわたる裂傷、刺し傷からはあり得ないほどの血液がすでに漏れ出ており、地には血だまり。だれがどう見たって、出血多量で死んでしまうような量だ。

 

まあ、死ぬわけがないが。

 

ジクジクとした痛み、ジンジンとした痛み、ズキズキとした痛み。ありとあらゆる外傷から生まれる痛みを感じる。

 

動けない、苦しい、痛い、いつもの感覚。

 

そしてそろそろ。

 

カツン、カツン。

 

(来たか)

 

思った通り。この惨状を創り上げた張本人の足音だ。

 

当然オレにとっては、絶望以外の何物でもない。また、酷い目に逢わされるんだ。

 

だけど

 

(アイツが、来る。来てくれ……違う!何を考えている!)

 

足音の主の登場を恋焦がれている自身がいることが嫌になる。

 

早く来ないか、来てほしい、早く!とまるでデートの待ち時間中のように、期待してしまっているのだ。

 

ああ、本当に死にたいくらい、イヤな気分だ。

 

「おはよう、もっちん。それともお休みかな?」

 

「……フラネ」

 

オレたちの蜜月が始まる。

 

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「っ!!ぁああ゛あ゛あ゛っ!!!!い゛た゛ッ!!ム゛っ!!んああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

辺りに響くオレの叫び声。

 

 

 

ピチャピチャと犬がミルクを吸うような音がかき消される。

 

 

ザッ、ザッ、と刃物を無理矢理突き立てているような音がかき消される。

 

 

アイツの執着心に塗れた愛の囁きがかき消される。

 

 

「あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!」

 

1年経っても一向に慣れる気配がないこの痛み。

 

肉体だけでなく、オレの魂ごと引き裂く痛み。

 

 

彼女はオレに遺された左腕に自身の口を密着させ、大事そうに、その小さな口で少しずつ削り取り、よく噛んで飲み込んでいる。

 

ありていに言って、オレの身体を食べているのだ。

 

ピチャピチャ、くちゃくちゃとはしたない音を立てながら少しずつ齧り取りその肉片一つ一つを愛おしそうに食べている。

 

時には流れ出る血を血管の断面に口をつけ、ジュゾゾゾと吸い上げその度に鈍い痛みが脳を駆け巡る。

 

肉を齧り取る、血を吸い上げる、むき出しの骨をしゃぶり味を確かめる、神経を舐めあげる。

 

その行為のすべてがオレの身体にとてつもない痛みを生みだしている。

 

しかし、それだけではない。

 

 

四肢、今は取り立てて右腕に強い痛みを感じるが、もう一か所。

 

 

腹部、胸部に感じる痛み。

 

ザッ、ザッ!!

 

「ッカハッ!!い゛たッ゛!!!!ん゛ん゛っ!!!!!!!!」

 

リズミカルにオレの胴体に落とされるナイフ。その先は真っ赤、塚の方は赤黒い。鮮血を今も浴び続けている剣先は鮮やかな赤。そして赤黒い塚の方にこびりついている血の色は、オレのココでの拷問がどれだけの年月行われているのかを悠々に示している。

 

勢いよく落されるナイフ。その為に強く押しつぶされるオレの内臓。

 

呼吸もままならず、延々と涙が零れ落ちる。

 

1年繰り返された胸部への打撃は、見えないがオレの胸骨、ろっ骨をすべて叩き潰しているのだろう。ぐにぃ、ぐにぃっとナイフが何の抵抗もなく奥に、奥にと刺されていくのだから。

 

当然、オレの四肢を貪っているフラネにオレの正面なんか見えてはいない。

 

そのせいで、おとされるナイフの位置はランダムだ。

 

今は胸が刺され、そして次は腹がさされる。その次に刺されるのはいったいどこなのだろう。

 

痛みを感じる箇所も予測できないせいで、その衝撃をモロに食らってしまう。

 

ほんとうに、痛い。

 

いたいよ。

 

 

でも。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

オレがこの夢を見始る様になったちょうど今から1年前。

 

オレはこの場所でフラネに告げられたのだ。

 

 

曰く、この夢は彼女の行った恋のおまじないによるもので。

 

 

曰く、この行為はオレの意識を魂レベルで別のモノに置換するための行為で。

 

 

曰く、なぜこんな残虐な行為であるのかは彼女の趣味なのだとかで。

 

 

 

いろいろと言われたが、要はまとめるとこんな話。

 

 

 

オレと両想いになるために行った恋のおまじないとやらの結果がこの夢で。

 

彼女がオレに刃を突き立て、食べ進めるのは彼女の性癖で。

 

そして、オレの身体の食べられた部分は、彼女の用意した別の身体に魂ごと変えられる。

 

 

少しずつ、彼女のことが好きになる。

 

彼女に恋する自分に交換される。

 

当然憤慨したさ。オレは彼女に文句を言った。

 

だけど無意味であった。

 

結局のところ、こっちは被捕食者。彼女は捕食者。

 

ココでのオレは無力そのもの。

 

一瞬にして鎖で身体の自由を奪われ牢に入れられたオレは。

 

その日、左の薬指を捕食された。

 

 

なんでも、ココを1番に取りたかったそう。こんなことするような狂人のくせして、理由が結婚にあこがれる幼女みたいだ。

 

 

一晩で1本の指を少しずつ齧り取られ、胴体に大量の刺し傷を携えた虫の息のオレ。

 

 

そんなオレを恍惚の表情で見つめたフラネの顔を最後に眼を覚ましたオレは、その夢での内容を忘れた状態で目を覚まし。

 

 

そのまま学校に行き、フラネの顔を見て鼓動が早くなった。

 

 

指1本分の恋心を彼女に対し、持ったわけだ。

 

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「っがぁ゛あああああ゛!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

ジタバタ動こうにも、右側の脚と腕を失ったオレに大した抵抗は出来ない。

 

そして、何よりも恐ろしいのは。

 

(こんな事されているのに!!少しずつッ!!少しずつコイツのことが!!!!)

 

 

愛おしくなってしまう!!

 

 

最初は鼓動が早くなる程度、ちょっと気になる程度の恋心であったものが。

 

今では恋人に向けるもの以上に膨れ上がっている。

 

それこそ、今すぐにでも愛の言葉を叫び、告白でもしてしまいそうなほど。

 

 

一切コイツに対する恨みを抱けない。

 

 

今のオレが、デリートされていく。新しい、コイツに恋する自分に上書きされていく。

 

そして、そんなことを心の奥で喜んでしまっている。

 

……もっと食べてほしい、オレを生まれ変わらせて欲しいと願ってしまっている。

 

 

オレの身体が全て食べきられるまで、あと何年だろうか?

 

終わりの訪れを恐れ、しかし期待してしまっている。

 

 

「ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

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「っ!!」

 

目に飛び込むのはいつもの天井。

 

汗を大量にかき、体の震えが止まらない。

 

可笑しくなってしまったのか、オレは?どこか、頭の、脳のどこかが壊れたんじゃ……。

 

昨日のような閉塞感、昨日よりも増した束縛感、日に日に増してく胸の痛み。

 

小さいころ、考えたことがある。いや、妄想したことがある。

 

もしかして、人は寝る度に記憶を受け継いだだけの、別の人格に変化しているのではないか?朝起きたら昨日の自分はどこにもいなくて、今の自分は今朝生まれたもので……。

 

外から見たらまったく一緒でも、中身は全く違うモノ。

 

そう考えると震えが止まらなくて、今の自分も寝たら消えてしまうんじゃないかって――。泣いてしまったかもしれない。

 

そんな妄想も成長するごとに忘れていったが。

 

だけど今更になってその妄言は正しかったのではないかと思えてしまう。

 

昨日のオレは、もうどこにもいない気がしてならない。

 

本当の自分はとうの昔にどこか遠くに消え去ってしまい、今のオレは劣化コピー、もしくは上書きされた代替品なのでは?

 

悲しくもないのに、涙が止まらない。

 

不安感、束縛感、痛み。いつもの日常。

 

だけど悪いモノだけが心を満たしているわけでもない。

 

朝が来た。来たんだ。来たぞ!

 

それなら朝ごはん、パンが良いかな?それに果物、飲み物はミルクが良い。全部、美味しい朝食の代名詞。

 

それから学校の制服に着替えて……、最近身に着けた化粧もちょっとして。

 

頬に朱をさし、目に影を着けて、唇に紅を引くだけの簡単なものだけど。

 

それで学校に行って。いつものように、アイツに会って――。

 

可愛いって言ってくれるかな?

 

そう考えるだけで胸が躍ってしまう。それだけで、もっと可愛くなりたいと考えてしまう。

 

――そんなの、オレのキャラではないような。だけど、昔からオレはこんな人間であっただろう。

 

好きな人に会える、会話ができる、褒めてもらえるかも

 

そう考えるだけで、心が弾む。多幸感で満たされる。

 

なんだかとても、息苦しい。




新作書きたい、こっちの続き書きたい、R-18ももっと書きたい

身体が5つくらいに増えてほしい今日この頃

前回のキャラよりよっぽどオカルティックなフラネ、なんで前回カルトって名前使っちゃたんだろ
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