曇らせ好きTS少女の自業自得   作:すっごい性癖

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需要には供給を

スイレンルートも続きです

ただ、モルのその後は結婚して子供を産んで……と順調でつまんないので幼馴染ちゃん視点です

また、他のルートで続きが読みたいものがもしもございましたらお気軽にお声がけください


幼馴染の負け属性は異世界にも輸出済み

あれから、モルとの関係は少し変わった。

 

大きく変わったわけじゃない。

 

一緒に掃除をして、一緒にご飯を食べて、一緒お風呂に入って、夜に分かれてまた朝合流する生活。たまに起きてこないときは起こしに行ったりして。定期的に夜更かししてスイレンさんに喧嘩をふっかけて。またやられて、夜きちんと寝るようになる。

 

周囲の人から良く思われていない彼女は、基本1人で。だから私との時間が多くなっている。

 

それは変わらない。

 

変わらないのだ。

 

……けど。

 

「じゃあ、お休み」

 

「あッ、……うん」

 

そう言ってモルは廊下の奥へと向かっていく。

 

お風呂に入り、血色のいい肌をチラリとうなじから覗かせるモル。なんだか最近、モルが色っぽくなったように見えてならない。それこそ、スイレンさんの部屋から出てきたあの日から。

 

なんだか、嫌な予感がする。

 

それこそ、すべてを間違えたかのような。失ってしまったような。

 

ボー、っと彼女が進んでいく後ろ姿を眺めながらそんなことを考えていると

 

(……っえ)

 

途中、モルは廊下の分かれ道を右に曲がっていったように見えた。

 

おかしい。

 

彼女の部屋は、左のはず。見間違えか?呆然と変なことを考えながら見ていたからかも。

 

でも、それに。

 

モルが角に入っていくとき、白い何かが覗いていたような。

 

遠いココからではよく見えなかったけど、モルの目線ほどの高さに、白いものが角から姿を現していたような気が。

 

それこそ、獣の尻尾のような。

 

瞬間、頭の中によからぬ妄想が過る。

 

(……無い無いっ!)

 

モルとスイレンさが、そんな。……まさか、ね?

 

モルは未だに研究を続けて倒してやるーっ、て意気込んでいるくらいなのだ。負けた日の翌日は恨み節をよく唱えているし。

 

こんなものは悪い妄想だ、きっとあの白いのは見間違い。目の霞か何かだろう。

 

モルも右になんて曲がっておらず、左に行ったのだ。もしくは道を間違えたか。

 

全部、これらは勘違いで全ては杞憂であるはず。

 

そのはず。

 

……そうであるはずなのだ。

 

私はそのまま左の道を進み、自身の部屋を目指した。

 

右に進んで、確認することもできたはずなのに。

 

私は怖くて逃げだしたんだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「う~っ、厠遠いよ~」

 

真冬の寒さの中、長い廊下を進んで目指すのは遠い厠。

 

宿舎近くの裏山沿いにある厠に向かうためには300メートルほど廊下を歩く必要があるのだ。

 

寒い~っ、と両手をこすり合わせて熱を生みだしその熱で首のあたりを温める。

 

真夜中なので当然真っ暗。首にかけている明かりのお守りがなければこうやって最低限の暖すら取れなかっただろう。

 

お守り様様だ。

 

(そう言えばこれって昔、モルがくれたんだっけ?)

 

研究の合間、暇つぶしに作ったからとコレを渡してくれたはずだ。

 

たしかあの頃、彼女は8歳だったはず。それなのに、こんなモノを作れたなんて今思い返すと、やっぱり彼女も天才だと再確認させられる。

 

胸の辺りで光を撒き、ポワっと温めてくれるこのお守り。

 

まるで、モルの温もりで温められているような気分になり、心もつられて明るくなる。

 

すると

 

ドーンっ!!

 

向かう先から大きな音が聞こえ、同時に建物自体が少し揺れた。建てられてからかなり立っているこの建物は、キリキリと悲鳴を上げている。

 

(この音は……そっか)

 

この先、厠の方向。

 

つまりは裏山だが、そこでは今日、モルとスイレンさんが勝負しているのだと思いだす。

 

(何だったっけ?お昼ごろに今日は勝てる!ってモルが言ってたような……。全然言ってる意味が分からなくて覚えてないけど)

 

天才の彼女がいう理論は、私では理解できず覚えることもままならない。

 

聞いてから半日もたっていないというのに、脳内にそれらしい情報は存在していないのだというのだから自身の凡庸さが身に染みる。

 

かちゃり

 

少しずつ近づく爆発音に気おされながら、とうとう厠に着いた。すぐさま戸を開き、席に立つ。

 

寒さで体も委縮し、筋肉も動きが鈍いのか思ったように用を足せない。

 

(……ん?)

 

しばらく体勢を維持していると、先ほどまで聞こえてきた爆音がやんだことに気が付いた。

 

終わったのかな?と考えていると今度は2人分の足音が聞こえてくる。

 

ザっ、ザっ、ザッ、ザッと雪と土を蹴る音。

 

私が歩いてきた廊下は木で出来ており、そんな音は生まれない。

 

ならばきっと、この足音はモルとスイレンさんだ。

 

確かに、裏山から部屋に戻るのなら私が来た道を戻るのが1番早いだろう。2人が勝負している日の帰りなんて、立ち会ったこともないので一緒に帰ってきているなんてことも知らなかった。

 

2人に足音はどんどん大きくなり、次第に話し声も聞こえてくる。

 

「だーっ、くっ舐めプしやがってよぉ!なにが今日は危なかっただ!お前、終始座ってたじゃねえか!!」

 

「そないなことあらへんよ?結構、ギリギリだったで」

 

「嘘コケ!降ってる雪で陣なんか書きやがって!」

 

「んふふ、綺麗だったやろ?結構大変なんやで、アレ」

 

「ギリギリってそう言う意味かよ!!」

 

モルの大きな叫び声と、スイレンさんの落ち着いた声が交互に聞こえてくる。話の内容的に、今日もモルは負けたらしい。それも、今日は負け方が気に食わなかったようだ。

 

「……モルはん、少し待ってくれはる?」

 

「んだよ、厠か?良いけど、なるべく早くしてくれよ」

 

え?

 

キィっ、と軋む音を立てて扉が開いた。

 

コツ、コツ、コツと足音が厠内に響き少しずつこちらに近づいてくる。

 

しばらくすると突然、その足音は止みまた冬の静けさが戻ってくる。

 

だけど、さっきとは違う。

 

感じるのだ。圧倒的な圧を。その、大きな存在を。

 

扉の前に。

 

ゴクリ、と息も自然に止めてしまい唾を飲み込む。

 

1分ほどたったくらいだろうか。私的には何時間にも感じられたが、実際にはそれくらいの経過だと思う。

 

また、足音がなり出し扉の方へと向かっていき、キィ、と再度扉の軋む音がした。

 

ハァッ、ハァッ!

 

蛇に睨まれた蛙のような気分であった。

 

今も、生きている心地がしない。

 

「んだよ、早かったな?」

 

「せやろか?」

 

「さっさと行くぞ。ここは寒すぎる」

 

「人肌恋しいん?ーー部屋ん戻ったら、暑うゆうまで……」

 

「……バカ、部屋戻るまではやめろって」

 

恐怖で頭を真っ白にした私は、その後の2人の会話を聞き取ることもなくその場で震えていた。

 

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「う~、今日も冷える~っ」

 

1月ほどたち、また夜中に厠に向かう。

 

今日もあの日のようにモルはスイレンさんと戦うと意気込んでいたはずなのだが、今日は轟音が聞こえてこない。

 

もう終わってしまったのだろうか?かなり遅いしね。

 

何事もなく厠にたどり着いた私は、キィ、と扉を開く。

 

(……ん?)

 

なんだ、この臭い?

 

扉を開いた瞬間、鼻につくにおいに襲われる。

 

何だろう、この臭い?烏賊?みたいなような。でもこんなところで烏賊なんて。

 

それとも粟か?だれかここで撒いたとか……でも何のために?

 

スンスン、と鼻を聞かせて匂いのもとを探る。厠の奥からしているようだ。

 

奥へと進むと少しずつ臭いが強くなっていき、次第に熱も感じ始める。いや、熱だけではない。振動と……声も微かにだが聞こえているような。

 

一番奥の扉を見ると

 

(閉まっている)

 

臭いの元はおそらく、その扉の中だ。けれども閉じているということは……

 

(……人がいる)

 

何をしているのかはわからないが、よからぬことだろう。あまり近づきたくないな、と一番遠い個室に向かおうと踵を返そうとすると

 

「っ!」

 

そもそも長い距離を歩いてココまで来た私は、もう我慢の限界であったのだ。強い尿意に襲われた私は、一瞬ためらいながらも、臭いの元の横の個室に入る。

 

間に合った。

 

こんな時間に漏らしでもしたら、大変だ。ただでさえ寒いのに洗濯なんてしたくないし、下を脱いだ状態で部屋に戻ったら凍死してしまうかも。

 

「……ん?」

 

ガタっ……ギシッ――

 

隣の個室から、何やら軋む音が聞こえてくる。

 

また、それに合わせて『っふ――、ん』などと浅い息遣いと、なにやら飲み物を吸い上げるような、空気を含んだ音が聞こえてくる。

 

……いったい隣では何をしているのだ?

 

チロチロと自身の用を足しながら、隣から聞こえてくる音の正体を考察する。

 

よく耳を澄ませれば、その息使いの主は2人いる様子。

 

というよりも、かすかに聞こえる小さな声に聞き覚えがあるような。

 

昔から聞き馴染んでいるような……。

 

けれど、小さすぎて特定にまでは至らない。

 

気になった私は、上の隙間から覗き込んでみることにした。

 

陶器製の便器に足を乗せ、踏み外さないようにしっかりと確認してから壁体重をかける。

 

そして、そーッと隣の個室を覗き見ると。

 

(ッ!?)

 

そこにあったのは便器に座る獣耳の巫女と、正面に蹲り顔が覗き見えない黒髪の少女の姿であった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれから部屋に逃げて帰った私は、必死に見たものを否定した。

 

狐耳の巫女。あれは絶対にスイレン様だ。それは否定出来ない。

 

けど、顔の見えないあの黒髪の女の子の正体は!!

 

モルって決まったわけでは……、わけでは。

 

無いはずなのだ。

 

今日の夜、スイレンさんと予定のあるモルではない別の黒髪の女の子、Aちゃん。

 

あの人付き合いを持たないスイレンさんと唯一接点があると言ってもいいモル以外の新しい接点であるBちゃん。

 

狭い個室の中で身をかがめただけでスッポリと隙間に収まる、それこそモルと同様の体形をしていてたまたま髪色まで同じCちゃん。

 

A、B、C。そのどれかなら矛盾はないはずだ。

 

そう、モル以外の、モルと同じ体形で、同じくらい仲が良くて、今日の夜会う約束があるような。そんな子がいるのなら。

 

いる……わけない。

 

「ぁあああああああああッ!!」

 

そして、やっと戻ってきた部屋を早々に飛び出る私。

 

こんな時間帯に叫びながら廊下を走るなんて、迷惑もいいとこだろう。

 

走る廊下の道先を、特に考えることもなく適当に走りぬく。

 

私の行方は、誰にもわからない。

 

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ダダダダッ、と一心不乱に駆け巡る。

 

この道は右、この道は左、と。

 

平常時なら、廊下はこれほど長かっただろうか、なんで誰も起きないと冷静になり足を止めたであろうが、狂乱状態の私の脚が休まることはなかった。

 

延々に、終わりのない廊下を気にも留めず走り続ける。

 

すると、少し先の部屋に明かりの灯った部屋が見えてくる。

 

その部屋のふすまから漏れ出る光が、廊下を照らし、反対側の壁に明かりの玉を生んでいる。

 

突然の暗闇に生まれた明かりに、少し冷静さを取り戻す。

 

こんな時間に、誰だ

 

その部屋は私のような下位の者に与えられる部屋なんかではなく、上位の方々が寝過ごすいくつもの障子が張ってある大きな部屋、

 

それこそ……スイレンさんとか。

 

再度先ほどの悪夢のような光景を思い起こし弱まった速度を更に加速させようとし

 

部屋の障子に影を見た。

 

大きく広がった何本もの尾をもった、陰でもわかる美しい身体の女性と

 

対面する女性より幾らか小さい、少女の影。

 

大きい方の影が、寝ている小さな陰に覆いかぶさり、1つとなって

 

「スイレン、――好きぃ……」

 

襖から漏れ出てくる、甘い嬌声と、別の女を愛している、好きだと囁く声。

 

聞き間違えない。もう、わからないなんて言えるはずもない。

 

この声は

 

「……モ、ル?」

 

私の思い人のモノだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

日が昇り、部屋から出たスイレンが見つけたのは、廊下の隅で鳴き続けているアキレギアの姿。

 

んふ♡

 

思わず漏れ出てしまった笑い声。

 

意地が悪いというか、なんというか。

 

泣いている人を見て漏らすようなものでは無い。けれど

 

「女の嫉妬は怖いもんやねぇ」

 

独占欲、嫉妬、その他もろもろ。

 

執着する彼女の心の一部でも占領している幼馴染の存在。

 

ただそれが煩わしかった。

 

彼女はそれを認めなかった。

 

許せなかったのだ。

 

”モルはんの心はウチだけのもん”

 

その一心で、史上の大天才は凡俗な1人の少女の恋心を叩き潰したのだ。

 

下位者が上位者に盾突けるのはフィクションでのみ。

 

現実では、どんなに理不尽であろうと力の強いものの逆恨みで消される存在も少なくないのだから。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

――モルが、結婚した。

 

披露宴に呼ばれたっけ?たしかモルの育ての親のリーダーは一番泣いていて、それにつられてモルもお祝いの場なのに泣いちゃったんだっけ?

 

白無垢姿のモルは、その黒い髪との対比が美しくて。

 

みんなも幸せにとお祝いムードで、思い人の幸せも喜べない自身の矮小さが嫌いになった。

 

マイナス1点。

 

――モルが妊娠した。

 

お腹を膨らませて、ニコニコとほほ笑んでいたモル。その顔は何年も一緒に居た私でも見たことがないもので、それこそ母の顔とでもいうのだろうか。横に立つスイレンさんに、身を寄せて、幸せそうな表情で。女の顔、人妻の顔、母親の顔。どれも見たことがない。私の知らないモルだった。おなかを撫でてみて、と言われたときに必死に自身を押さえつけていたことを昨日のように思い出せる。

 

私以外との子供を、堕ろしてやると1瞬でも考えた自身のおかしさに反吐が出る。

 

マイナス1。

 

――モルが出産した。

 

元気な女の子が生まれた。天才同士の子供はやはり、天才らしく生まれながらにして纏う呪力の量が普通のソレを凌駕していた。次代の巫女は決定した、今後50年は安泰だと周りが持て囃した。

 

この子が育ったら、私から離れる前のモルのように。私の理想のモルのように育つのかと。そんな悍ましいことを考えてしまった自身に殺意を抱いた。

 

マイナス1点。

 

マイナス1点、マイナス1点、マイナス1点。

 

モルたちに関わるたびに、自身のことが嫌いになっていく。憎くなっていく。

 

 

殺してしまいたくなっていく。

 

 

今もだ。

 

もしも、スイレンさんが死んでしまって。もしくは浮気でもして。

 

泣きはらして、弱っているモルに付け込めば私のモノになってくれるんじゃないかって。

 

私のもとに帰ってきてくれるんじゃないかって。

 

そんなありえないIFを妄想して自身を慰めてしまっている。

 

はぁ、

 

マイナス1点。

 

ドンドン重なる自己評価の負債の山。

 

 

この山が崩れでもしたら、

 

 

 

 

きっと私は命を絶ってしまうのだろう。

 

 

 

 

そしてその日はそう遠くないと、そう思うのだった。




天才モルと大天才スイレン

凡人、引き立て役のアキレギア

切磋琢磨できる、自身よりも上位の存在がモルの攻略には不可欠なので(モルの負けずきらいを刺激するため)幼馴染ちゃんには過ぎた恋だったわけです

理論はわからない、一緒に研究もできない

いっしょにお話ができない、そんな存在に恋心は生まれませんでした。というのが概略ですね。

こっちもR-18も書くと言ってまだ書けてない話があるのに、さらに書きたいものが出てきてしまう

蜘蛛娘に雁字搦めにされて卵を産み続けるモルとか、戦争捕虜になった先で輪姦て捨てられるモルとか、部下に薬で廃人にさせられてペットになったモルとか……

モルというキャラが自分の性癖を詰め込んで生んだキャラなので好きすぎるし、いろいろ酷い目に会ってほしくなってしまう

絵が描ければ私の性癖はこれで、ココはこうで、あそこはこうでと皆さんにお見せしたいのですがいかんせん、絵心ゼロのクリーチャー製造機なもので

早く頭で思い浮かべたものをそのまま描く機械とかAI、生まれませんかね
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