吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

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初投稿です。


吾輩はアトラル・カ。生贄よりも吾輩はチーズの方が欲しいのである。料理に使えるし。

 

 

 

 

 

 

「ピギャアアアアアア(これで治療は終わりであるな。ベリオロス亜種、特にお前はしばらくは安静にしてろ…って飛び回るんじゃねえ!脚もげるぞ!)」

 

折れた骨には添え木をし、龍気に抉られた傷跡には秘薬を染み込ませた包帯を巻く。

 

満点の星空が、静まり返った砂漠を照らす。月明かりに照らされた砂が、ぼうっと白く光る。

治療行為をされていることを理解しているのだろう。三体の竜は、抵抗することもなく女王にされるがままになっていた。女王はフルフルの素材で作ったナースっぽい外装を装備しているが特に意味はない。

 

落ち着けお前、とでも言うようにディアブロスが吠えると渋々といった様子でベリオロス亜種が地面に降りてくる。セルレギオスは、女王に分けて貰った古龍の肉をひたすら齧っている。

数刻前、古龍と言う災害が暴れていたのが嘘のように静まり返った砂漠だが、彼らを見守る星々は識っている。彼らが、不可能を成し遂げた英雄であると。

 

「グルル」

 

着いてこい、とでも言うようにディアブロスが翼を折り、何処かへ向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

「ピギャアアアアアア(ここで待てばいいのか?)」

 

大砂漠が一望できる、ちょっとした崖の上で吾輩は自家製の黄金色に輝く蜂蜜酒片手にディアブロスに話しかける。

治療を終えた吾輩は、バルファルクの死体と瓦礫を回収した後、ディアブロス達に連れられて、そこそこ離れた場所まで連れてこられていた。

月下で飲む酒というのもなかなか乙なものであるな。それなら日本酒が欲しかったけど。

風が砂を攫う音だけが砂漠に響く。

種族も違う吾輩達であるが、今はただ戦友と共にいるこの時間が心地良い。

 

あとセルレギオス。お前は幾つ吾輩のあげたジャーキーを食べるつもりだ。アプトノス丸ごと一頭使ってるからそこそこ大きいんだけどな。それ吾輩のおやつだし少しは残して置いて欲しいんだけど。

 

少しばかり時間が経過しただろうか。古龍に怯え逃げていたモンスターたちが戻ってきたのか、ガレオスの群れが砂漠を渡るのを何度か見た。そうして暫く経った時。

砂の中を、何か巨大なものが泳いでいるのを感じた。

 

「ピギャアアアアアア(なんだなんだ…っ!?)」

 

思わず目を見開いた。

 

神秘を纏った霊獣が、砂の中からその身を翻し、飛び出す。

吾輩たちの居る高台よりも高い高度へ飛び上がった霊獣は、暫く滞空したのちに、夜空に紫の軌跡を残して砂の中へ還る。

 

吾輩は思った。

人も、竜も何かを美しいと思う心は同じなのかもしれない、と。

 

闇夜に紛れ、砂の中から現れたのは、霊山龍『ジエン・モーラン亜種』。

全身が紫に輝く霊水晶に包まれた、荘厳たる神秘の巨獣。

 

──あぁ、彼らはこれを吾輩に見せたかったのか。

 

突然、ディアブロスが霊山龍の出てきた方へ潜ると、角に紫の巨大な結晶を引っ掛けて戻ってくる。

そして、頭を振るうとそれを吾輩に投げ渡してくる。

それを合図に、セルレギオスとベリオロス亜種が、自身の鱗の一枚を持って、女王の元へ歩み寄る。

 

それを遠くから観察していたハンターは、知人にこう語ったという。

「あれはまるで騎士の叙勲式だったな。」と。

三体の竜が、自身の鱗の一枚を手渡すと、女王は三体の竜へ護石を手渡す。

それが終わると、三体はそれぞれの縄張りへ、バラバラに帰ってゆく。そして、地平の向こうへ見えなくなる寸前、咆哮が夜空に霧散した──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

吾輩である。

吾輩は今洞窟を潜った末に辿り着いた溶岩地帯にいるのである。勿論目的は鉱産資源の確保である。そこ、お前いつも採掘してるなとか言ってはいけない。やばい相手と会うとその度にストックが吹き飛ぶから仕方がないのである。

 

いやぁ、バルファルクは強敵であった。古龍怖すぎる。四対一で負けかけるとかなんなんだよ、だからお前は平気で盾を貫通するんじゃないよ。あと龍属性ってなんなんだよ。

とはいえ、得るものもあった。咄嗟に出したが狩技『ラウンドフォース』。あれはなかなか便利なものである。木の伐採とか。回転して薙ぎ払うだけで木材がいっぱい手に入るのである。…絶対に使い方間違えてるよな、これ。

 

あとはこれである。バルファルクの素材から作った竜機装(クロスドラゴンウエポン)。新しい外装の素材にするか迷ったが、今まで使っていた外装の上から更に追加で装備する追加装甲のような感じにした。

バルファルクの素材と、レイア希少種レウス希少種の素材をメインに、補助としてジンオウガ亜種やイビルジョーの素材から作ったかなり見た目が派手な装備である。

龍気生成機関を加工して作った炉心により、従来の数倍の威力の龍属性光線の発射を可能に、加えて各属性の竜機装と組み合わせて威力の増幅も可能。加えて生成した龍気をドレスのように纏うことで、本来の性能のように属性ダメージ全カットは無理だが、4割ぐらい属性攻撃の威力を減衰する。

又、バルファルクのような高高度への飛行はできないが、龍気を噴出することで水平方向への高速移動も可能。これとバサルモス型外装を組み合わせれば高防御力でやけに素早く動く虫(曲がれない)が出来上がる。

 

今まで龍属性は使おうとすると使うたびに滅龍核と砲身使い潰していたから、これからは比較的安易に龍属性を使えるようになって大満足である。ちなみにこれと黒龍型外装を組み合わせると不味いことになる。

核融合炉二個分の炉心が直列に繋がれた状態になるわけで、具体的にいうとパワーが強すぎて機体を制御できない。一歩進んだと思ったら十歩分以上進んでるし、ちょっとジャンプしたつもりが数十メートル上空にいたりする。

勿論火力も頭が悪いことになっている。全龍気を集めた光線を放つと空が割れる。これを実験した時、嫌な予感がして横ではなく上に向けて放ったのは正解だった。反動で死にかけた。いにしえの秘薬使う羽目になった。

ちなみにこれでもバルファルクの彗星より威力は低いのである。あの規模のクレーター作れる攻撃を出せたらそれはもう生物じゃないんよ。

 

この竜機装の素材になった金銀夫婦は普通に強敵であった。ただでさえ残り少ない盾は溶かされるし単純に2体同時だから見なきゃいけないものも多いし、普通に一体でも強いしで本当にこの世界は吾輩に優しくないと思う。しかもなんか2頭とも獰猛化してたし。

あー、今日は何もなくて平和だなぁ、などと考えながらシモフリトマトにモスポーク、目玉焼きを挟んだハンバーガーを齧っていたら、いきなり獰猛化金銀夫婦相手に撤退戦を繰り広げているコンビハンターが飛び込んできたのである。

そのまま戦闘に巻き込まれた。ハンバーガーは消し炭にされた。哀しい。

 

コンビのうちの片方、男ハンターの方は今にも死にそうだったし、女ハンターの方もそっちはそっちで疲労困憊と言った様子だったから、吾輩がいなければどちらかは死んでいたと思う。幾ら死にものぐるいで逃げていたとはいえ、普通進行方向に別の大型モンスターがいるかどうかぐらいは確かめるのでは?

意図せず救援したコンビハンターだが、相変わらず何をいってるのかは分からなかったものの、吾輩を見ても逃げなかったし、お辞儀っぽいことしてたし多分感謝してはいたのだと思う。とはいえモンスターがゼニー置いていかれても困るんだけどね、使い道ないし。

 

……そういえば師匠に色々買ってもらってるし、これで支払った方がいいのだろうか?あれ、吾輩クズ男みたいなムーブしてないか?

 

 

閑話休題。

そんなこんなでピッケル片手に鉱産資源の補充のために溶岩地帯で採掘をしていたわけであるが…

 

目の前にいるのは人間。それも幼児。どう考えてもこの溶岩地帯の熱には耐えられなさそうな貧弱な存在。

それも木で作られた木製の社の様なところに縛られて放置されている。

 

と、とんでもない厄ネタ見つけちゃったよ吾輩。

危険なモンスターの前に幼児がいる状態をハンターに見られたら間違いなく捕食数秒前と勘違いされて狩猟されちゃうよ。あ、眼があった。

 

虚な眼が、吾輩を見据える。そして気を失…不味いこれ熱中症で死にかけてるぞ!おい!クーラーミスト、クーラーミスト使わなきゃ!!!

まずいって、目の前で子供が死ぬのは夕飯が不味くなるじゃ済まねえぞ、というかなんでこんな小さい子がこんなところにいるんですか!?

 

クーラーミストで体を冷やし、保管していた氷水に塩を少し溶かして飲ませる。

あとはともかく体を冷やそうと近くに氷塊を置いたりとあたふたしていると、突然目の前の溶岩湖の表面が隆起したかと思うと、中から3頭の竜が現れる。

『炎戈竜』アグナコトル。火山の生態系では上位に位置する竜、それが3頭同時。普段ならなんてことない相手だが。

 

「ピギャアアアアアア(おま、子供守りながらだと話が変わってくるのだが!?吾輩死ななくてもこの子死んじゃうっ!)」

 

子供を守るようにしてマガイマガド人形とナルガクルガ人形が立ち塞がり、金と銀の鎧をさらに着込んだ女王が武器を構える。

 

どうして鉱物が欲しかっただけなのに、毎回厄介ごとに巻き込まれるんだよ吾輩!

 

 

♦︎

 

 

 

 

かみさまなんていないと思っていた。

モンスターは火の神の怒りの具現だと、何度も言い聞かされてきた。だから、悪いことをしていると、神様が怒ってモンスターに食べられちゃうんだって。

そして、お父さんはそんな神の怒りから、みんなを守るハンターだった。

お父さんは、周りでも数少ないハンターの一人だった。私の生まれた国、火の国の中の小さな村落の中では、そこそこ腕の立つハンターだった。

 

そして、近くの山にとても怖いモンスターが現れて、それをお父さんは狩りに行って。

帰ってこなかった。一緒に行ったハンターも全員帰ってこなかった。

 

そして、大人たちは、命をかけてまで必死に戦って、死んでいったお父さんたちのことを、次々と悪様に罵った。

無能だとか、神の怒りに触れた愚か者だとか、自分じゃ何もできないくせに、何度も何度も。

 

そして、その中の一人がこう言った。

「生贄を捧げれば、怒りも収まるんじゃないか」って。

そしたら、もう一人がこう言った。

「なら、失敗したあの男の娘を差し出そう。自分の娘が神の贄となれればあの男も本望だろう。」と。

 

そして、私は縛り上げられ、苦しいほどの暑さの中に放置された。

憎しみよりも、悲しさよりも、初めに感じたのは「何故」だった。何故、こんなにも世界は理不尽なんだろうか。

かみさまなんていないと、理解した。

 

でも、絶望と等価の希望を世界は与えてくれた。

 

 

「ピギャアアアアアア(ちょ、3体相手に勝てるわけないって?馬鹿野郎お前吾輩は勝つぞお前!あ、待て溶岩を投げつけてくるんじゃない!熱いって!ウロコトルまで連れてくるんじゃねえ!!)」

 

赫いドレスを纏った、金と銀のお姫様。凶暴な竜相手に圧倒的な力を見せつけた私の神様。

凛々しく、美しいその背中は、今でも私の瞼に焼き付いている。

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

「いや、その子どうしたのよ。」

 

「ピギャアアアアアア(吾輩にもわかんない。なんか溶岩のそばに放置されてたからとりあえず保護したのである。)」

 

溶岩地帯を抜けた先の、森林地帯。

そこで1人のハンターとモンスターが鍋を囲んで話し合っていた。

彼女も目を疑ったであろう。バルファルクの特異個体と激闘を繰り広げたと噂の恩人に会いに行ったら、気づいたら何処かから子供を攫ってきていたのである。本当にこいつギルドに目をつけられたくないと思っているんだろうか。

 

「あー………火の国かぁ……生贄かー………。うん。私が故郷に帰してあげようかとも思ったけど、それなら止めておいた方がいいかもしれないわね。貴女はどうしたいの?えーっと、お嬢さん?」

 

少女は首を振る。あんな国に帰るのは二度とごめんだと言わんばかりに激しく。そして口を開く。

 

「ひょっとして、神様の言葉がわかるということは、貴女は巫女様ですか?」

 

「ちょっと待って何かとんでもない勘違いをしている気がするわねこの子。神様とか言ってるんだけど。」

 

「ピギャアアアアアア(知らない、吾輩知らない!吾輩この子の言葉なんとなくしかわからないもん!師匠、お願いしますこの子どうしたらいいのか教えてください!)」

 

女ハンターも、アトラル・カも気づかない。

この会話の中でも少女の勘違いは加速していることに。具体的に言うと何年後かに新興宗教を立ち上げそうなほどに。

 

グツグツと煮えたった鍋から、ダイミョウザザミから取れたいい出汁の匂いがする。

もうそろそろ食べごろだろうか。そんな匂いが漂う。

 

「保護しようにも、私、ちょっと今立場も危ないしいつ消されてもおかしくないし…」

 

ハンターがアトラル・カの方をチラリと見る。

 

「ピギャアアアアアア(大自然の中に幼児を連れて行くとか殺す気か?)」

 

鍋をかき回しながらアトラル・カが答える。

 

「そうね…1人、1人だけ龍歴院に信頼できる友人がいる。迷惑をかけることにはなるけど、あの子に頼んでみるわ。…貴女も、それでいい?」

 

少女の目線に合わせるようにしゃがんだハンターは、そう問いかける。

少女は小さく頷く。

 

「はい。本当は一緒に行きたいけど、神様には迷惑をおかけしたくないので。」

 

「とりあえずその神様って呼び方はやめてほしいそうだけど」

 

「じゃあお姫様で、貴女は騎士様…?」

 

「‥って言ってるけど、お姫様?」

 

「ピギャアアアアアア(吾輩がお姫様ならリオレイアはどうなるんだ。女帝か?)」」

 

勘弁してくれ、と言った様子でアトラル・カは首を振る。

 

「あはは、そうだ、アトラル・カ。頼まれてた抗竜石だけど、オークションに流れてたから手に入ったわよ。あとチーズ。」

 

「ピギャアアアアアア(本当か!?それはありがたい。…とりあえず、鍋も煮えたし、飯にしようか。)」

 

 

 

 

 

 






「聞いたか?最近、どうも金獅子が大量に不審死しているらしいぞ?」

「ああ、知ってる。雷を落とされた後に氷漬けにされたような感じだってな。それも雷のエネルギーを全て抜き取られて死んだみたいなんだってな。」

「あぁ、角をおられたキリンの怨念が実体を持ってラージャンを襲った、なんて噂もあるぜ。」

「そりゃあ流石にないだろうな」








感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています。

数年後、ハンターズギルド上層部を悩ます問題が増えるが、それはまた別のお話。
教祖がMR級ハンターでさらに手が負えないかもしれないがそれもまた別のお話。


作者は受験生なので、急に更新されなくなったらそういうことです。三月下旬になっても更新速度が戻らなかったら「あ、こいつ落ちたな」って思ってください。一応活動報告で報告だけはします。


兵器紹介:『調合』

兵器というか技術。時々錬成に失敗してST産アイテムが出来上がることもあるが再現性はない。ちなみに密猟者の落とした錬金書のおかげで錬金っぽいこともできる。文字がないから不完全だが、千里眼の薬ぐらいなら作れる。
また、師匠に教えてもらった結果調合アイテムのクオリティはハンターのそれと遜色ない領域までたどり着いた。
ちなみに兵器一個でも特徴としては大きいのに、調合やらハンターの装備使うやらで、研究員たちの間で、『こいつの特殊名どうしよう』問題が日夜繰り広げられているそうだ。観測されるたびに特徴が増えるため皆頭を抱えている。
一部の研究員の間では、80年前に暗殺された狂気の科学者『マネルガー』の作った改造モンスターの一種なのではないかと言われていたが、時系列が合わないのでそれはないだろうと結論付けられた。

次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン

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