吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

16 / 40


初投稿です
平日はどうしても時間がなくて、少し短めです。本当に申し訳ない。

これからのアトラル・カくんちゃんのセリフは、鳴き声上のルビが、『アイルーたちが何となく理解しているアトラル・カくんちゃんの言おうとしていること』で、()内部が実際に言ったことです。



吾輩はアトラル・カである。アイルーと和解せよ

 

 

 

 

 

 

あのお姫様は、私にとってかみさまだ。

巫女s…騎士様の持ってきた、お姫様が作ったというもふもふとしたジンオウガのぬいぐるみを抱きしめながら考える。

客観的に見れば、危険視しない方がおかしい。ギルドの上層部が、彼女を討伐しようとするのは自然なことだ、理解はできる。でも納得はできない。

 

恩人のために、わたしには何ができるだろうか。

ハンター達が、お姫様の旅を邪魔できないようにするには。ギルドの上層部でも乗っ取るか…?うん、現実的じゃないね。何百年と世界を支配してきた存在相手は流石に分が悪いどころの話じゃない。それに、彼らがやっていることは至極真っ当な事だ。

 

頭が痛すぎて思考がまとまらないなー。

 

もふもふと人形を抱きながら、ベットの上で転がる。

武力でどうこうするのはナンセンス。だったら社会の力を、大衆の力を借りればいい。お姫様を神格化すれば良い。火の国、そうだ。あの国を利用しよう。

 

はっきり言って、わたしの生まれたあの国は終わってる。詰んでいる。ハンターの数が国土の広さに対して圧倒的に足りない。上層部は山の神がどうのこうのといって、既得権益を守りたいがために現状を変えようともしない。でも、一部の者たちが現状を変えようともがいていたのは最近になって知った。国の上層部のせいで燻っている有望な人材、明日に希望を抱くこともできずにのたれ死んでいる若者達。あぁ、なんということ!未来の信徒候補が沢山転がっている!

初めはそうね…「1人の里帰りしたハンターが、国の未来を憂いて、未来のハンターを育てる私塾を始めた」これで行きましょう。そこから、徐々に宗教に浸していけばいい。目指すべき存在として、日々進化を続けるお姫様を最上位に置く。

 

どんどんハンターが増えてギルドはハッピー、モンスターの被害は減って大衆もハッピー!偶々偶然その新しいハンターのほぼ全員がわたしの息のかかったハンターな訳だけど。

モンスターによる害を神の怒りとすり替えて、ある種の恐怖で大衆を縛っていた彼らがどうなるかは知らないけど、まぁ、その…抑圧されていた感情の矛先がすぐ側にいるのってすっごく素敵。神敵の名の下に、弱者が群れて今まで自分たちを抑圧していた存在を叩く。その熱狂の中できっとわたしの教えは広まってくれる。別にわたしは何もしないわよ?ただわたしの独り言を聞いた信者が暴走しただけ。

 

うーん、テオ・テスカトルぐらい狩れるようになれば私の言葉にも説得力がでる?上位ハンター程度じゃ役者不足だし…騎士様が羨ましい。強くなる!やっぱ腕力だな腕力。色々小難しい事考えたけど、考えるのわたしに向いてない。却下。ようは滅茶苦茶強くなって全部まとめて抱き止めることができることができるぐらいになればいいのでは?そうだ、強くなるのだ私はー!

 

…彼女は寝不足であった。一昨日にホロロホルルを狩った時に、頭に超音波を浴びすぎて少しテンションがおかしくなっていたのだ。

朧隠がどうのとか、超特殊許可がどうのと言ってギルドの偉そうな人に滅茶苦茶謝られた気がするがその内容も飛んでいる。*1

 

え、受付嬢さん、ますたーらんく?きんきゅうくえすと?え、あたまはだいじょうぶかって?

これがだいじょうぶにみえるならいんたいすることをおすすめするよ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

吾輩である。無事ハンターから逃げ延びた吾輩である。やっぱハンターってちっちゃい古龍だよな。吾輩の知ってる人類とは違うよな。

とにかく遠くへ遠くへ逃げることばかり考えて、ときに隠れつつ逃げ続けたら気づいたら森の中にいた。ここ何処だ。

 

ふぅ…流石にここまでくれば大丈夫であるか…装衣を使ってくると分かった以上、そう簡単に警戒を解くことはできなくなった訳ではあるが。1週間以上不眠不休で戦闘機が飛び続けていたのである。時間感覚はもう消えた。流石に飛行船じゃ追いつけないと信じたい。…大丈夫だよね?

流石にそろそろ休まないと吾輩壊れちゃうよ…

 

大木を背に座り込み、やかんを取り出してお湯を沸かす。少し温めたポットに乾燥させたラベンダーを少々、あとはお湯を注ぐだけ。ラベンダーティーである。うーん独特な味。嫌いではないであるよ。

ほぅ、と息を吐く。じんわりと体が温まる。ハンター。うーむ、なんというか。多分あれ彼らも本気じゃなかったよなぁ…殺意が薄かったというか、なんというか…

せめて言葉が通じればなぁ。師匠には通じるのであるが、多分特殊な例であろうし…どこかに野生の竜人族いないかなぁ。古龍みたいに吾輩が共鳴できたらワンチャンあるのである。いや無理だな。

 

装衣ってなんだよ、吾輩にも使わせろよ!狡いだろ!まぁアイテムを使ってる吾輩が言えたことではないのであるが。

相手の隠密対策、これをなんとかしたいのであるが…うーむ。周囲に細い糸の結界でも張り巡らせておくか?移動中に引っかかる未来しか見えないのである。今度ハンターが襲ってきたら、迷惑料として装衣パクっていくか?…より殺意が増す未来しか見えないのである。無理やり買おうとしたら高そうだし。

一応、対人という観点なら、今開発中のアイテムの中に幾つか刺さりそうなものはあるが。『蝕龍カートリッジ』。養殖し、龍気を当て続けることでその龍属性の濃度を上げた蝕龍蟲。それを回復薬を薄めて作った特殊な液体と一緒に詰め込んだカートリッジ型のアイテムである。これを龍光解放やビームの様な、莫大な龍属性を放出する攻撃に巻き込む様にして破壊することでその威力を僅かに高めつつ、攻撃に相手の粘液や鱗粉を蝕み破壊する効果を付与するアイテムである。粘液や鱗粉を蝕み破壊すると言えばなんか強そうであるが、たぶんテオ・テスカトルの粉塵とか相手には無力である。ハンター相手に使えば相手をドライアイにできるぞ!だからなんだってんだ。狂竜ウイルスとキュリアに効果が有るのかは知らない。そして、副次効果として回復薬などのアイテムの質を下げる効果もある。こっちは充分実践級で、回復薬の回復量を薬草程度のものまで下げ、秘薬であれば回復薬グレート程度まで下げる効果が有るぞ。なんなら粉塵系は全部無力化できる。吾輩はこの効果を蝕龍やられ【小】と名づけることにした。

対モンスターを考えたら、その作成難度に対して効果的な相手が限定的すぎて開発を後回しにしていたが…これに手を出してもいいかもしれない。

 

あとは、レールガンがかなりハンター相手に刺さったので、それを強化してもいいかもしれない。音速を超えた速度で飛ぶ撃龍槍!…あの重量をその速度で飛ばすのに一体どれだけの電力が必要になるのであろうか…一応、超至近距離でだけ使える、杭がわりに撃龍槍を飛ばすパイルバンカー的なものなら作れそうではあるが、それは対人というより対モンスター向けの兵器である。まぁでも作るだけ作ってみるか、なんかカッコいいし。あと超至近距離で効率的に撃龍槍を使う手段としてはアレが多分最適の形状である。

 

他に何かいいアイデアはないであろうか…ハンターの予想しない意外性で勝負するのは如何だろうか?今まで積み重ねてきた知識が通用しない様な武器…仕掛け武器でも作るか?仕込み杖!車輪!作ってどうするんだ!あとは新作の人形…ACでも作るかAC。人型相手は慣れてないだろ奴r…ゴシャハギぃ!あとなんかコラボモンスターでいたなぁ人型!まぁあれは例外であるか。というかそういえば師匠滅茶苦茶対人得意だったなぁ。うーむ、だめだ。いいアイディアが思いつかない。この疲れておかしくなってるテンションで何か作ろうとしたら絶対ろくでもないことになる。こんなに疲れてちゃあ考えも上手く纏まらないというものであるよ。

まだ日は沈みきっていないであるが…寝よう。吾輩の中のミラボレアスも「寝ろ」と言っている、間違いない。

糸の結界を張り巡らせ、モンスター避けに大型モンスターの人形を幾つか置いておく。

くぁ、とあくびをしながら人形を取り出す。等身大もふもふグランミラオス人形…*2じゃなくて。視界を覆い尽くす禍々しいぬいぐるみをしまい、もふもふベリオロス人形を取り出し、枕がわりにする。もっふもふだぁ!

おやすみなさい…

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

目が覚めたきっかけは、遠くから聞こえる猫の鳴き声だった。

 

「ピギャアアア(なんだなんだ…おわぁっ!?)」

 

寝ぼけ眼をこする吾輩目掛けて、木々の間から火球が飛んでくる。何事!?糸の壁が盾になり、散らされたお陰でダメージは全くないが、流石に驚いたぞ…

ピッチャーに入った水を飲み干し、急いでゲネル・セルタス型外装に着替えて火球の飛んできた方向へ双眼鏡を向ける。

 

アイルー、それも装備をきたアイルーたちが、イャンガルルガ相手に激闘を…って、不味っ!

攻撃を避け損ね、地面に潜る暇もなく踏み潰されそうになってるアイルーを見かねて、思わずイャンガルルガ目掛けてバリスタを放ってしまう。本当はこういうことするのは良くないんだけどなぁ…

粘菌をまとったバリスタの弾を受け、吹き飛ばされたイャンガルルガは吾輩を睨みつけ、嘴から涎を垂らしながら起き上がる。

 

ああもう。

 

ピギャアアアアアア(下がれ、自分、戦う、逃げろ)(下がってろ!吾輩が戦う!だから向こうに逃げてろ!)」

 

「にゃっ!」

 

微妙に言葉が通じたのか、アイルーたちは吾輩を申し訳なさそうに見ながら逃げてゆく。

アイルーたちから興味を無くしたのか、黒狼鳥はティガレックスのものにも迫るほどの大咆哮を上げながら、吾輩目掛けて突進する。

木々を薙ぎ倒しながら迫るその迫力は、大型の飛竜種にさえ匹敵する。

まぁでも、古龍と比べたらなんてことはない。今夜は鳥鍋かな?

 

突き出された尾を義手で受け止め、そのまま噛み付き、ハンマーの様に振り回して投げ飛ばす。

体勢を崩した黒狼鳥目掛けて砲弾を放ち、苦し紛れに吐かれた火球を氷の竜巻が飲み込み、その翼膜をズタズタに切り裂く。

イャンガルルガは、鳥竜種に似つかわしくない圧倒的近接戦闘力と古龍と同じく罠に引っかからないほどの知能と狡猾さが売りであるが…こうとなっては形無しだな。二つ名個体になって出直してこい。

 

金色の糸で地面に縫い止め、とどめを刺そうとディノバルドの剣尾を振り上げた瞬間、剣尾が弾き飛ばされる。いかなる手段を使ったのか、拘束を抜け出したイャンガルルガは、自身の尾を犠牲に剣尾を弾き飛ばすと一直線に吾輩目掛けて突進してくる。

速い、そして重い…!?さっきまでとは違う!

 

自分の体が傷つくのも厭わずに、外装目掛けて何度も突進を繰り返し、嘴が傷つくほどに突く。

自身の何十倍もの質量から繰り出される打撃を喰らいながらも、異常なまでに食い下がってくる。おかしい、激痛で普通なら起き上がれないほどにダメージを負っているはず。よく見れば、糸の拘束から抜け出した時に、翼が千切れかけている。

 

本当にイャンガルルガと戦っているのか心配になってきた。怒り状態というより狂乱だぞ、これは…冷静さが見る影もない。

横に薙ぎ払う様にして放ったライトニングブレードを、千切れかけた翼を乱暴に振るい、急上昇することで避ける。

急降下しつつ放たれた突進を避け、着地した瞬間、盾で殴り飛ばす。吹き飛ばされ、転ばせたと思ったら、回転する勢いに任せてそのままイャンガルルガは起き上がり、一直線に突進してくる。

 

ピギャア(びっくり)(うおあっぶね!)」

 

嘴の中で限界まで肥大化させた火球が至近距離で暴発し、吾輩もろともイャンガルルガの顔面を吹き飛ばす。龍気に阻まれ、吾輩には殆ど影響がない。むしろ黒狼鳥の方がダメージを受けているほどだ。

脅威でも何でもない、なんて事ない相手なのに…何なのだ、これは!

顔面が吹き飛び、下顎は失われ、片目が喪失している。それなのに、這いずりながらも吾輩へ迫ろうとし、外装の脚へ触れた瞬間、遂に果てた。

 

ピギャアアアアアア(おわり!)(ふぅ…終わった。やっぱハンターだけじゃなくて自然も充分怖いのであるよ。)」

 

戦いが終わったことに気づいたのか、アイルーたちが集まってくる。

逃げてなかったのか。危ないから逃げててよかったのに…興味津々と言った様子で遠巻きにこちらの様子を伺っている。

吾輩が危害を加えようとしてくる様子が無いからか、アイルーたちの中の1匹。──おそらく代表だろうか?アシラ装備のアイルーが吾輩におずおずと近寄り、吾輩に話しかけてくる。

 

「にゃ(助けていただき、ありがとうございましたニャ。その黄金の外殻、理知的なお姿…もしや旦那さんは、村に伝わる伝説の龍、ガバルダオラですかにゃ!?)」

 

ピギャアアアアアア(ちがうよ)(いや人違いです!?あとガバルダオラじゃなくてガルバダオラであるよ…)」

 

 

 

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ(おーい、村に帰るニャよー!)」

 

とあるアイルーは、他のアイルーたちが、金ピカのナニカと話しているのも気にせず、石を取ったり、綺麗な花を懐に入れたり、剥がれ落ちた黒くてデッカい鳥の鱗を拾うので大忙しだった。

ハンター達の基準で言えば、コレクター気質に当てはまるのであろうそのアイルーは、仲間の他のアイルーに呼ばれて、漸く採集をやめ、仲間達の方へ走る。

 

「へくちっ!」

 

鼻が急にムズムズして、思わずくしゃみをしてしまう。花粉を思いっきり吸っちゃったのが原因かな?と思う。

そういえば、何だか黒い煙?みたいなのが出てた気がするけど…きっとこの花の花粉だろう。

 

「にゃー!(待つにゃ、置いてかないでー!)」

 

どうやら、ボクが採集している間に話が終わり、あの金ピカを村に連れて行くことになったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
勿論、狩ったホロロホルルの素材で作った装備の性能が想像の何倍も高いことにも気づいていない。なんか心と剣が一体になった気がするなー、と思うだけで

*2
全長約62m、その圧倒的重量はぬいぐるみというより最早凶器。駆け出しハンターの打撃ぐらいなら受け流してしまうほどの圧倒的もふもふ。関節部が駆動するギミック付きのこだわりの一品。その禍々しい見た目とは裏腹に、目だけはやけに可愛らしい。







次回、『まぁ別に百竜夜行を起こせそうな古龍は他にもいるよね』

感想、評価、誤字報告などありがとうございます!励みになります!
1人通じる人がいたらいいなぁ、と思っていたネタが通じてびっくりしてます。

一応この世界のハンターって殆どが下位で一生を終えるのですよ。上位ハンターは最早人外。G級、MRハンターは古龍とかそういう人類。ちなみにこの世界にメゼポルタはない。F産ハンター()いない。

アイテムボックス、一応世界観的な説明はあって、所謂古龍が使う様な、天候を操ったりするノリ。天候の代わりに空間を操るために必要な器官がアトラル・カくんちゃんの脳みその中にある感じ。別に大した意味はない。大した意味はないけどもしこの世界に空間を操る古龍がいたら確実にそれの血族かなにかと勘違いされる。


次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。