吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

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超久しぶりの初投稿です
リハビリなので短めです


吾輩はアトラル・カ。その神剣、危ないからしまいなさい!

 

 

 

 

「ピギャアアアア(脅えろ、竦め、古龍目の性能を活かせず、死んでゆけ!)」

 

 糸に体を縛られたシャガルマガラの人形が、幼体のゴアマガラを、狂竜化した生物を潰し、吹き飛ばし、抉り取る。

 

「ピギャアアアア(ふはははは!強いぞ、カッコいいぞー!)」

 

 シャガルマガラ、それを吾輩は討伐した。だが、討伐したからといって、それで終わりじゃない。むしろ、ここからが本番だ。これが『黒の凶気』だったらなー、絆の力で倒して全部万々歳!だったのであるが...狂竜症はそうもいかない。シャガルマガラを倒した以上、この場のシャガル産ウイルスに感染した生物を全滅させないと、いつかまたシャガルマガラが現れてしまう。故に、シャガルマガラを狩った者の責任として、吾輩は狩り続けている、という訳だ。

 

「ピギャアアアア(毒を以て毒を制す!狂竜エネルギーも、汚染問題さえ解決できれば純粋なエネルギーとしてこれほど変換効率が高いものは無い!)」

 

 核エネルギーとかコーラルとかコジマ粒子とかアブノーマリティみたいなもんでしょ適切に管理すればヘーキヘーキ!適切に管理できるかって?で、できらぁ!

 

「ピギャアアアア(焼き払え!)」

 

 シャガルマガラの口内でエネルギーが圧縮され、熱線となって放たれる。それを前転するように飛び込み回避した、狂竜化したガララアジャラの頭部へライトニングブレードを差し込む。

 威嚇音を発しながらそれを滑るように流し、全身を使って吾輩の体を締め付ける。

 

「ピギャアアアア(其方もまた強敵であった...狂気が晴れた時(来世で)またやろうや)」

 

 絡みついた瞬間、放たれた幾千の刃に体が細切れにされる。

肉片が、アトラル・カを避けるようにしてボトボトと落ちる。

 

 これを観察していた研究者達は驚愕した。女王は、狂竜化した生物だけを狩っている。危険性を理解しているのか、いや。仮にそうだとしても、自然界の生物が自分からより危険な事態へ飛び込んでいくだろうか。

 

 ──狂竜症を抑圧する、自然界におけるバランサー?

 

 ──だが、それを一介の、古龍でも無い通常生物が担うだろうか?

 

 ──我々が保管している大戦期の負の遺物。だが、あの時代に作られたのはアレ1機ではない

 

 ──...黄金の女王、黄金色...黄色の衣...まさか!?源龍に最も近い竜が、虫だとでも言うのか!?

 

 勿論、途轍もない勘違いをされていることをこの虫は知らない。そろそろ風評被害にキレた黒いドラゴン辺りがやってくるかもしれないがそんなことはこれっぽっちも知らない。

 

「ピギャアアアア(首を差し出せ!恐れよ、吾輩こそが恐怖だ!ふはははは...ぐへっ)」

 

 幼体を脱し、そこそこの大きさに迫っていたゴアマガラが、その体をくの字に曲げて吹き飛ばされる。10tを超える石材の蹴り飛ばしが、命中時に炸裂した臨界粘菌のインパクトによりその威力を数倍させ、内臓を骨ごと破壊する。

 

 倒木に外装の足を取られて派手に転び、頭を強打する。轟音に釣られて、ガブラスの群れが空に飛び立った。

 

「ピギャアアアア(はっ吾輩は何を...意識がハイになっていたであるよ...具体的にいうと3ヶ月ぐらい意識が飛んでいた気がする*1)」

 

 まだシャガルマガラを倒して一日と少ししか経っていない筈なのに。不思議なこともあるものであるなぁ。懐から取り出した空き瓶を取り出し、その中に入った自作のコーラ風炭酸飲料を飲み干す。

 この、某現代で一番人気なコーラの味を再現するのにいったいどれだけの時間がかかったことか。そこに狂竜エネルギーを加えるとあら不思議、薄い蒼色に輝くアトラルコーラ・クアンタムが...って

 

「ピギャアアアア(意識飛んだの絶対これのせいではないか、吾輩は阿呆なのか!)」

 

 コーラの瓶を地面に叩きつける。

 あぁ、疲れた。大体、ただの虫が古龍に挑み掛かるとか、一年前の我輩に言っても信じないであろうな。まぁ、先制して一方的に畳み掛けなければ負けていた。相性も吾輩が有利だったであるしな。

 どかり、と座り込み、調理キットでお湯を沸かす。煮込んだスパイスワームにチーズをかけてもしゃもしゃと食べる。

 

 「ピギャアアアア(これがワインに合うのであるな...というか、アイルーもワイン飲むのであるな。これ村でもらったやつだし)」

 

 夜空を眺めながら今までのことを回想する。大自然。実に恐ろしくもあり、そして美しい。多くの強者との出会いがあった。その全てに、なんの因果か生き延びてきた。辛いことも多いが、それ以上に日々の全てが楽しい。より強い武器を作り、より美味い飯を作り、より効果的な薬を作り。そうやって、人類は発展してきた。それは吾輩も同じことであるよ。

 

 流れ星が一条。赤い星は凶星と呼ぶ者もいるようであるが、吾輩に取っては吉兆であるよ。

 

 さて、そろそろ狩人達は来てくれるであろうか。逃げ続けていた相手を今度は逆に誘い込むとか、吾輩も図太くなったものだなぁ。

 

 

 

 

 

 ♦︎

 

 

 狂竜ウイルス。竜を狂わせる、致命の物質。しかし、使いようによっては強力な兵器ともなるだろう。

 

「ピギャアアアア(穢れなき狂竜結晶...ゴア・マガラの使う、鱗粉の副次効果的な未完成の狂竜ウイルスではなく。シャガルマガラの扱うような、ビームや光の柱の様な現象の結晶化したエネルギーの塊)」

 

 このエネルギーだけを引き出すことができれば、ウイルスの拡散を気にすることなく、強力なエネルギー源として利用できるのでは無いであろうか。龍気の様に、純粋なエネルギー源としての転用。

 まだ、原始的な利用方法しか発明できていないが、何れはなんかすごい奴が作れる様になるだろう。夢が広がるであるよ。

 

ピギャアアアア(出てこい。隠れてる奴...不敬)(で、そこのところどう思うであるか?隠れてる狩人さん。不意打ち狙いは失礼であるよ?)」

 

「ありゃりゃ、バレてたか」

 

 突進しつつ、棍を足場に天から急襲するハンターが一人。舞踏跳躍、文字通りに舞う様にして天から棍を突き立てようとするハンターをシャガルマガラの人形が弾き、ハンターの背中から飛び出したオトモアイルーの放った貫通ブーメランを、吾輩が取り出した巨大ブーメランで撃ち落とす。

 

ピギャアアアア(もう一人。見えてるよ)(まだ一人、オトモがいるであるな)」

 

 地中から機会を伺っていたオトモアイルーは背筋が凍る様な思いをする。間違いない、バレている。

 アトラル・カの外装の足が勢いよく地面に叩きつけられる。大型モンスターに有りがちな振動攻撃、いや、違う!『しこ踏みドンの技』だ!

 地面に亀裂が走り、地中からオトモが投げ出される。同時に、その亀裂から龍気のエネルギーが漏れる。赤い光の柱がオトモを突き上げる。

 

「シャガルの再現かぁ。大丈夫?」

 

「全然平気にゃ!旦那さんこそ!」

 

 すぐに起き上がり、外装に武器を叩きつけてくる。なるほど、これ吾輩死んだか?その小さい体からどうやったらその力が出せるのであるか?

 

ピギャアアアア(やめて、貴女とは戦いたく無い)(ちょ、痛い痛い!やめて欲しいであるよ!!!)」

 

 操虫棍、機動力がおかしいのであるよ。しかも猟虫が!!お前何なのであるか!!痛いって、痛いって!生態系のヒエラルキーが吾輩よりも上ッ!

 

「うん、何となく言ってることはわかる。随分と知能が高いみたいだね」

 

 最至近距離まで接近したハンターの棍と、吾輩の鉄骨がギチギチと音を立てて拮抗する。その迫力は、まるでラオシャンロンを思わせる程。

 

「差し詰め、竜の女王。ウイルスには罹患してないのか、それすらも効かないほどに高度な生命体なのか」

 

「狂竜症の専門家として。狩らなきゃいけない相手なのか、戦いの中で、見極めさせて貰うよ」

 

 水に浮いた油の様に、光を虹色に反射する、朽ちた様にも見える異様な甲冑。巨戟龍を狩った証であるその装備からは、熱気にも似た恐怖の気配が渦巻いていた。

 

 オトモアイルーを連れたプロハンは、ここまで恐ろしいモノなのか!

 視線、動き、一挙一動全てが吾輩の動きを誘導している。笛が鳴り響き、ブーメランがガリガリと装甲を削る。

 

「不思議だったんだ。あれほど逃げ回っていた女王が、どうしてここに来て私たちに存在を示したのか」

 

 曳光弾を空に打ち上げたのなんて、それの最たる例だよね、と呟きながら棍を回転させ、射出された武器群を弾き飛ばす。

 

「いやぁ!びっくりだよ!君は、狂竜症に対処できるのは私達だけだって理解してたんだろうね!そして、アイルーの大規模な村という、人類の生存圏拡大の可能性を見れば、ハンターズギルドは動くに決まってる、と考えたんだろうね」

 

 ...正解であるな。考えてはいた。アイルーを見捨てる様なことをすれば、それを機にアイルーとの関係が悪化するかもしれない。それに、この世界の人間の生存圏は狭い。そんな中でわざわざ新たな拠点の可能性を自分から潰しはしない、と。

 

「賢しいね、姫様?本当、何でただのモンスターが人間の社会を理解しているのか。...まぁ、本当にただのモンスターならね!君の正体、知ってるよ?」

 

 まさかッ!こいつ、吾輩が転生者だと──!

 

「ミラボレアスが元々存在していた、時空間の渦の向こう側。そこから来た、第三の禁忌。僅かではあるが伝承で語り継がれていた存在。それが君だね?」

 

 いや違いますが!?!?

 こいつは何を言っているんだ。ドキドキノコでも食べたのではないか?ハンターって実は馬鹿なのか?助けて師匠!助けて吾輩の外装!

 

「と、なると...少し分が悪いな。武器を変えるとしよう」

 

 操虫棍を投げ捨てた狩人が、今度は腰に穿いていた片手剣を装備する。銀色の刀身に、目が覚めるような青を湛えた光の片手剣。

 

「えくすかりばー・がらてぃいいいいいいいん!!!」

 

 焼ける様な衝撃。なんだ、あの剣は。心胆を震え上がらせる程の存在感を放つ、あの剣は。言うなれば、極神。片手剣の終着点。究極の一振り。

 

ピギャアアアア(強い...!)(ぐ、強い...!吾輩は幾多もの古龍を狩った蟲だぞ!負けるはずが...!」

 

「私は1000日以上貸本宿(ねっとかふぇ)に泊まった狩人だ。色々なところ行くのに宿泊費が碌にでなかったからなぁ!」

 

 片手剣に結晶の様なものが差し込まれる。すると、片手剣が更なる属性──いずれかの異常状態か?──を纏ったのを知覚する。

 抜刀状態で有りながら、納刀状態の全速力並みの速度で駆け回る狩人は、龍気の守りさえ貫く圧倒的な属性で外装を切り裂く。

 

 あぁ、グラビモス人形が一撃で破壊された!何処かで離脱しなきゃ!ハンターが来たのは確認したし、あとはもう大丈夫、だから逃げさせて!吾輩死んじゃう!!!

 

ピギャアアアア(ふ っ と べ !)(吹き飛べ!)」

 

 ハンターの数倍はある大きさの鉄骨が、後ろに括り付けられたブースターにより加速され、その腹に叩き込まれる。

 

「ちょっと効いたかな」

 

 盾で受け流しつつも、骨にヒビが入ったのかハンターが顔を歪める。しかし、次の瞬間には笛の音と共に傷が回復していた。

 互いに睨み合う。相手の出方を伺え。後の先を取るか、それとも全てを貫いて先手を取るか。

 

「うへぇ、折角いいところだったんだけどね」

 

ピギャアアアア(...邪魔)(うわっこのタイミングでか!)」

 

 突然の乱入者。それは、今にも成体に迫ろうかというゴア・マガラ。別の土地から流れてきたのか。シャガルマガラの後釜を狙ったか?

 ハンターの袈裟斬りと、吾輩の粘菌を纏った拳が同時に炸裂する。

 

ピギャアアアア(今は、一時休戦)(ちょっと、吾輩よりゴア殺ったほうがいいであるよ!優先順位優先順位!)」

 

 こんなの放っておいたらあの村のアイルー死んじゃうでしょうが!!!

 

 

 

 ♦︎

 

 

 

 

 ゴア・マガラの体が地面に沈む。

 ものの数分もかからなかった。狩人の中でも頂点の位相に位置するハンターと、無限の武装を操る女王に同時に襲われれば、こうもなろうというものだ。

 

 ちゃきん、と剣を鞘に納め、狩人が言う。

 

「君は、別に狂竜ウイルスに感染してもいなければ、そこまで危険な感じもしない。不思議だよね、どう考えても危険そうなのに。()()から聞いていた通りだよ」

 

「行きな。後のことは私たちに──我らの団に任せてくれればいい」

 

 見逃してくれるのか、いや、生き残れるならそれでいいのであるが...

 

「ゴア・マガラの突然の乱入で見失った、それでいい。不必要な狩りはしない主義でね。あぁ、でも」

 

 ──君が人の平和を喰らう竜になった日には、私が狩るよ?

 

 

 怖。迫力が違うというか、背後に大怪獣っぽいオーラが溢れていたというか。あれゴグマジオスであるよな?...高位のハンターとは恐ろしいものであるよ

 

 

 

 

 

 

*1
更新が遅れて大変申し訳ございません










感想、評価、誤字報告などありがとうございます!励みになります!

そろそろオストガロアあたりと邂逅させたい次第です。
大変お待たせしました。また更新を再開します。裏で書いてる方がもう少しで完結なので、そちらが終わればまた更新頻度も戻ります。


狩人「なんか、お姫様みたいな喋り方だったなー(勘違い)」

次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン
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