吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い 作:美味しいラムネ
X XX的初投稿です
誰かが、来た。
亡骸が積み上がる、外界に繋がる大洞穴の中。竜ノ墓場にも似た環境の中心で、オストガロアは目覚める。餌が自分からやってくるとは。
ここは楽園だ。ここに入れば誰にも負けることはない。カラカラと骨と骨とがぶつかり合う音がする。骨と骨の擦れ合う音が、悲鳴の様な音に変わる。唯一の出入り口は封じられている。が、そんなことはどうでもいい。己以外の全ては餌。古龍さえも喰らう貪食の王は、そんな瑣末なことは気にしない。
触腕の先から濃縮した粘液を放ち、絡め取ったところに突進する。これで大体の餌は死ぬ。が、なるほど。
地中からお気に入りの骨塊を引き摺り出す。鋭い餌。熱い餌。冷たい餌。硬い餌。爆発する餌。バチバチする餌。全部美味かった。さぁ、お前はどんな味がする?
♦︎♦︎♦︎
吾輩である。アトラル・カである。まさか、早速狂竜兵器の出番が来るとは思っていなかったであるよ。アイツが残した形跡。ペイントボールの痕跡を追いかけ、そして『竜ノ墓場』を構築できる環境を探す。奴はそこにいる可能性が高い。だから、そこを特定する。
オストガロア。奴は幼体とはいえ古龍さえ捕食する化け物だ。だが、吾輩達を餌としか思っていないその驕り。そこにつけ込めば勝機はある。
吾輩の知る竜ノ墓場と比べると、少々岩石や建物の残骸が多い気がする骨の平野の中心に佇む双頭の骸。
「ピギャアアア(やっと、見つけたであるよ...!)」
薬を飲み干し、バフ効果の乗った飯を喰らう。身体能力の差を少しでも縮める。『竜ノ墓場』、成る程確かにそこはオストガロアのホームグラウンド。貴様に取って有利であろうな。だが、骨を利用するのが貴様だけの特権だと思うなよ。『索餌形態』でこちらへ向かってくるオストガロアを睨みつける。
シャガルマガラの人形を呼び出し、その口の中に狂竜結晶を放り込む。
「ピギャアアア(焼き払え!!!!)」
シャガルマガラの狂竜ブレスと、蝕龍カートリッジで強化された翼脚から放たれた龍属性のビームが絡み合い、螺旋を描いてオストガロアの触腕を破壊して、その胴体に突き刺さる。
暫くすれば触腕は復活する、だからその前に畳み掛ける。翼脚から龍気を吐き出し、赤い彗星の様にオストガロアへ突進。その勢いのまま、分厚い頭骨へ突きつけたのはパイルバンカー。カシャンカシャンと小気味良い音を立てて展開されたスラスターから勢いよく熱が溢れると同時に、通常の撃龍槍の数倍の勢いで射出された槍が頭骨を貫き、発光する青白い粘液が溢れる。
おいおい、さっさと本気出さないとこのまま狩れちゃうであるよ?あ、そのまま何もしないで死んでくださいお願いします!
「ピギャアアア(まぁ、そう来るよな...!)」
シャガルマガラ人形には、入り口を封鎖させる。逃げられたら元も子もない。『捕食形態』へ変わり、軟体生物としての真の姿を露わにしたオストガロア。その興奮に呼応するように、空間が青白く発光する。
龍気の赤と、粘液の青が混ざり合い、紫色に大気が染まる。ここは己が領域だと主張するように互いに喰らい合う。
竜の頭部を模していた触腕が、ディノバルドの剣尾を接着して簡易的な大剣と化す。それを迎え撃つのは、竜機装。ディノバルドの剣尾を元に改造された兵器。
「ピギャアアア(素材の使い方なら、吾輩が一歩上を行くであるよ...!)」
触腕に取り付けられた剣尾が吹き飛び、女王の剣に触腕が薄く切り裂かれる。もう一方の触腕に取り付けられたブラキディオスの拳は、猛り爆ぜるブラキディオスの翡翠色の拳が破壊する。
取り付けられた骨塊を破壊された瞬間、間髪入れずに粘液が露出した触腕の先から放たれる。それを泡が迎撃し、無防備な口元目掛けて超重量の蹴りが放たれる。
やはりそうだ。何かを利用する、その点で言えば吾輩が何歩も先を行く。だが、相手は古龍。武装で負けていても、身体能力は吾輩の遥か上を行くッ...!
「ピギャアアア(ぐぅっ...!)」
盾で防いでもなお、この衝撃。無造作に前に突進しただけで、吾輩の体が浮かされる。すれ違い様、吾輩の大砲がその背負った骨塊を揺らし、叩くように振るわれた触腕が外装に穴を開ける。
少し、違和感を感じてしまう。このまま行くと、あっさりと勝ててしまう。オストガロアの最後の切り札。その対処法は知っている。武装の使い方は吾輩の方が上だ。単純な身体能力だけで戦う相手はそこまで怖くはない。
ラギアクルスの背電殻から放たれた棘が外装に突き刺さる。龍気とキリンの外皮の影響でその電気の殆どがシャットアウトされる──筈だった。
──痛い、なんだ、想定外。想像以上...いや、あれはただのラギアクルスの素材ではない!
暗黒の雷が周囲に拡散する。まさか、ラギアクルス希少種か。お前は、一体どれだけの、どれ程の竜を喰らったというのだ!
だが、そう数は多くないはず。背電殻目掛けて火力を集中させ、臨界した粘菌の爆発により破砕する。次の瞬間、周囲の岩石が吾輩目掛けて殺到する。もう片方の触腕に取り付けられた、深い青色の板のような部位から発せられた磁力が周囲の岩石を持ち上げ、それが投擲されたのだ。
「ピギャアアア(磁力...ナルハタタヒメか!?いや、しかし色が違う...?)」
もう片方の触腕に取り付けられたナルガクルガの尾から放たれた尾棘を、セルレギオスの刃鱗で迎撃する。そして、両方の触腕をゴアマガラの翼脚で掴み取り、動きを封じたところで顔面にもう一対の翼から龍気の光線を放つ。同時に狂竜結晶を砕くことで威力を拡大させる。
黒い瘴気が、青白い瘴気を蝕み始める。しかし、貪食であるオストガロアの前では、ウイルスでさえ己がエネルギー源に過ぎない。美味しそうに狂竜ウイルスを喰らうその姿は、狂気的とさえ思える。
次の瞬間、磁力に操られた岩石が吾輩の足を絡めとる。触腕を引きちぎり、板を破壊するものの、拘束から脱する一瞬で、龍属性の光線が体を掠める。
「ピギャアアア(まぁ、龍属性への耐性ぐらいであるからな、この体の誇れる点は...!)」
薄い火傷が体に刻まれる。
破壊された青色の板を捨て、取り出されたのはウラガンキンの顎。通常のものと違う、その鉱石を纏った顎は、間違いなく宝纏のモノ。
それを射出されたハンマーが撃墜し、頭部を守る骨の兜にハンター人形が群がる。設置された対古龍地雷や属性スチームが爆発し、徐々に兜が剥がされ始める。
──いける、骨の鎧さえなければ、オストガロアは比較的柔らかい部類に入る古龍だ、削り切れる!
「ピギャアアア(やれ、マガイマガド!)」
周囲に渦巻く竜たちの怨念に後押しされたのか。今まで以上に大きく燃え上がった鬼火を纏った、十文字槍の如き尾の突き刺しが、骨の大地を抉り取りながらオストガロアに突き刺さる。
瞬間、爆発。粉塵と化した骨が視界を覆い尽くす。その中で、オストガロアの目がきらめいた気がした。
「ピギャアアア!?!?」
片足が吹き飛ばされる。何かを隠し持っていたということか。秘中の秘。誰にでも切り札はあるということ...!
再度、体に衝撃。両の触腕から放たれる乱舞と、糸が繰る武具がぶつかり合い、絡み合う。
なるほど、ウカムルバスとアカムトルム、その幼体。抉り穿つスコップの如き顎と、刺し穿つ二又の槍。一拍遅れた。地面に叩きつけられる。翼脚から噴射した龍気で体勢を立て直そうとするよりも早く、オストガロアにのしかかられる。のしかかられた部位の外装が砕け始める。
ここで龍属性のビーム1発でも放てば追撃になりそうなモノだが、そうしないのはビーム1発で相当なエネルギーを消費するからか。
「ピギャアアア(自分から飛び込んできてくれるか...!)」
義手を突き出し、機関銃のように弾丸を放ち、アイスサイクロンの冷気が粘液を凍てつかせる。
同時に、攻撃を喰らいながらも吾輩の体を胃の中に収めようと、オストガロアの肉を噛み砕く牙が吾輩に迫る。体を触腕が絡めとる。ガスが体を蝕む。
触手プレイだ、こいつ吾輩を食べるつもりだ!吾輩に酷いことするんでしょ!どちらかというと-Gがつく感じの!!!
...使うしか、ないか!
丸薬を瓶ごと噛み砕く。瞬間、アトラル・カの体を金色のオーラが包み込む。オストガロアは驚愕する。突然、目の前の蟲の力が倍増した。
僅かに体が押し戻され、空間ができる。そこに砲身が捩じ込まれる。
オストガロアの口目掛けて、レールガンの砲身を突き出す。先端の銃剣が肉を押し戻し、綺羅星のような極光を放ちながら砲弾が体を貫通し、反動で吾輩たちの体が離れる。すれ違い様、巨大な鉄骨を振り回して触腕を薙ぎ払う。
紫がかった空間が、オストガロアの怒りに呼応するように青白く輝き始める。喰らうためではない。生き残るために龍属性を本格的に使うことを決意した。
いつも逃げ道を探している吾輩が、今度は相手の逃げ道を塞ぐことになるとは思ってもいなかったであるよ。激しく暴れ回りながら突進するオストガロアを、絶対回避で避ける。
狂ったように不規則に暴れ回る触腕を掻い潜り、武器を射出し、砲弾を放ち続ける。外装は削れる、全身に打撲痕が刻まれる。アドレナリンに浸された脳は痛みを脱ぎ捨て、前へ前へ体を動かす。
「ピギャアアア(いけ、シャガルマガラ!)」
純白の龍が、骸龍の背に飛びかかる。出入り口が開いた、これで逃げられる。オストガロアはそう思ったことだろう。──いや、ダメだ。
「ピギャアアア(流石に気づくか)」
あの男も使っていた爆弾。それを数十倍する威力の物が仕掛けられている。もし不用意に脱出しようとすれば、崩落する天井に巻き込まれた上で背後から撃たれることになっていただろう。
オストガロアに明確な知能があれば、心の中で悪態をついていたことだろう。ディノバルドの剣尾よりも巨大なブーメランを弾き飛ばしながら、新たな骨塊を地中から引き摺り出す。ショウグンギザミの大鎌が、もう片方の触腕に捉えられたアトラル・カの腕を刈り取る。
来た、好機は今。最大火力で吹き飛ばす──なんて考えているのであろうな。知っているよ。お前の最大の一撃は。何せ何回も乙ったからな。チャージが終わる直前の一瞬。その口内に特大の麻酔玉が放り込まれる。
オストガロアは驚愕する。なぜこいつは腕を切り飛ばされても動けている!?
「ピギャアアア(お前が切り飛ばしたと思った腕は、はなから義手であるよ!!)」
ゴアマガラの翼脚が、その腕に撃龍槍を握りしめる。鬼火と臨界した粘菌を纏い、穂先に狂竜結晶が使われたとっておきの1発。それが、麻酔玉を勢いよく吸い込んだことでよろめくオストガロアの外殻を完全に破壊する。青っぽい烏賊の、軟体動物の柔らかい体が露出する。
オストガロアの目が妖しく光る。全てだ、全て喰らってやる。俺の飢えを満たすため、貴様の全てをその技も、その肉体も、その歴史の全てを喰らってやる。
触腕がブルブルと震え、骨でできた大地に腕を突っ込む。そして、
「ピギャアアア(おいおいおい、おいおいおい!待て!住処が武器になるってそっちの意味でか!)」
通常兵器での迎撃はまず不可能な大質量。ならばどうするか。
黒龍外装、起動。龍気、狂竜エネルギー接続完了。『劫火』、フルチャージ。
全てを灰に。
瞬間、洞窟が真昼よりも明るく照らされる。竜骨の大地は悉くが溶け、灰になり、怨念たちは炎の中で浄化される。黒龍を模した外装が、力尽きたようにヘタリと倒れ込む。
オストガロアの口元で、龍属性の雷がスパークする。来ると思っていた。正真正銘最後の一撃が。2回目の麻酔は間に合わない。黒龍外装による迎撃も不可。
劫火に焼かれ、触腕が焼け落ちたオストガロア目掛けて駆ける。あの極光が放たれるよりも早く、その心臓を穿つ。
翼脚による最大限の加速。途中で外装を脱ぎ捨て、慣性の力で前へ飛び出す。
お前を喰らうのは、俺/吾輩だ!
その日、数十キロは離れている都市の観測隊が、天へ昇る龍属性の光を目撃した。
洞穴の天井をぶち抜き、雲さえも晴らしながら体内へ貯蔵されていた龍属性の光が漏れる。
「ははっ!あいつ、勝っちまったか!あぁ、すげぇなぁ...」
感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています!
磁力の正体はディオレックスの素材。
ギルド「まずい、オストガロアのコレクションがそのままアトラル・カのものに...!」
研究員「わぁ、こいつ狂竜ウイルス武器にしてやがる!」
次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)
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掲示板if②
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擬人化if
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vsアルバトリオン