吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い 作:美味しいラムネ
(ドゥレムディラの出番は短いです)ので初投稿です
眼前に聳え立つは、天を貫く巨大建造物。火山の火口を貫くようにして建造された、地球基準でも高すぎる、超高層建造物。差し詰めバベルの塔とでも言ったところか。
──我々は、取り返しのつかないことをしてしまった。許せ...許してくれ...
「ピギャアア(うん、なんて書いてるのか読めないのである)」
まぁ、どうせ地名とかが書いてあるのであろうな。
いや、本当にここ何処であるか?海を彷徨って、島を見つけて、岩山を飛び越えて...いや、本当にここ何処であるか?吾輩の知識にもこんな建造物は無いであるし...塔の秘境とも違う感じであるな。
古代文明の遺跡とか何であろうな。こんな僻地に、わざわざこんな巨大な建造物を建てるなんて、どんな目的があったのやら。
「ピギャアア(と言うか、ここどこ?おうち...現大陸に帰して...)」
きっかけは、ほんの数週間前に遡る。
♦︎♦︎♦︎
「ピギャアア(どこまでも続く蒼い海。絶景であるな)」
その日、吾輩は船の上で揺られていた。古代遺跡で発見していた船を改造して、吾輩が乗れるサイズに改造した物、その上に吾輩は乗っていたのである。
ちなみに絶賛遭難中である。
オストガロアから助けたあの村。村人達に、時間稼ぎをしている間に逃げるように言われたから、船を出して一度外洋に出てから陸地に戻る形で逃げようとしたら、嵐に巻き込まれて結果気づけば大海原のど真ん中である。水も食料も大量にあるから餓死はしないであるが、暇である。*1
「ピギャアア(わぁ、ガノトトス亜種...と戦ってるのはナバルデウスの幼体ではないか!退避!退避ーー!!!)」
大波が発生して、顔面に海水がかかる。冷たい。やっぱり航海には危険がつきものであるな。周囲に陸地が見えれば、バルファルクの飛行で一気にそこまで移動できるのであるが...っ!ここで吾輩に電流走る。
陸地が見える高さまで上昇すればいいのであるよ!今までは無理だったが、オストガロアの龍属性エネルギー生成器官と、バルファルクの龍気生成器官を組み合わせれば充分可能。吾輩の肉体が耐えられるかと言う問題があるが、防御特化の護石構成にして、酸素玉食べれば問題ない...筈!あとは滑走路をどうするか、と言う問題があるが、それは問題ない。
船の上で揺られながら修復した義手から、ベリオロスのアイスサイクロンを撃ち放ち、そこに龍属性を注ぎ込む事でエスカトンジャッジメントの要領で海の一部を凍結させる。
「ピギャアア(これを滑走路に、一気に成層圏まで飛び上がるであるよ!)」
船を仕舞い、一気に天高く上昇する。反動で氷の滑走路は弾け飛び、音速を超えた反動で発生した衝撃波が海を揺らす。
ぐんぐんと高くのぼり、加速が止まったタイミングで、複数の飛竜種の翼を組み合わせて作ったグライダーを展開する。気分はハイラルの勇者である。
「ピギャアア!?(本当に何もないであるよ、この辺り。どうなってるのであるか!?)」
どんだけ流されたのであるか吾輩!?本当にここは何処であるか?
双眼鏡を取り出し、水平線の向こう側を見ようと目を凝らす。うーむ。向こう側に何か見える気が。
澄み渡る空の上、雲の上。そこにあるはずのない何かの気配がッ...!?
背中から吹き飛ばされ、とんでもない速度で水平線の彼方まで吹き飛ばされる。下手人は、「航路の邪魔だったから」と言わんばかりに、悪意もなく吾輩を吹き飛ばしたようだ。
加速する視界の中、攻撃を放ったモンスターの正体をこの目で捉える。銀色に輝く鱗、神秘的な翡翠色の甲殻に、幻想的な蒼い皮膜。
「ピギャアア(シャンティエンかよおおお!?SB出れなかったからって吾輩に八つ当たりするなよ!!!)」
どうして吾輩はこんなに古龍とエンカウントするのであるか。ハンターが一生に一回出会えるかどうかって存在だよね君たち!?君たちがポンポンその辺にいたら世界滅んじゃうよ!?
「ピギャアアアアアアア‼︎‼︎(上手いこと着地しないと大怪我であるよ!...あ、丁度いいところに島が)」
さっきまで見えていなかった島が見える場所まで吹き飛ばされたのである。どんだけ強く吹き飛ばされたのであるか、吾輩。探査船が耐えられる威力じゃないでしょあれ。
上手いこと龍気を逆噴射させ、何とか着地しないと、アトラル・カ煎餅(定価100ゼニー)の出来上がりであるよ...いや待てもっとやばい!岩山が!剣山みたいな岩山が!モズの早贄みたいになってしまうであるよ!
「ピギャアア(えぇい、ままよ!)」
こうして、冒頭に移るのである。危うく死ぬところだった。
...で、ここ何処?何処なの!?怖いよ!
天廊、と後に呼ばれることとなる、聳え立つ塔を眺める。さて、どうしたものか...あの上から滑空すればいいのではないか?それに、折角の冒険の気配。内部を探索するのもありであるな。
吾輩が入れるほどに大きい塔の内部へ、足を進める。ハンターさえも立ち行ったことがない秘境中の秘境。古代竜人が立ち入らなくなって久しい、太古の遺跡。さて、中には何があるか。
そんな吾輩を出迎えたのは、謎の装置から放たれる雷属性のエネルギー弾だった。
「ピギャアアアアアアア!?!?」
既のところで回避し、何んだ何だと前を見つめる。
雄叫びを上げながら存在感を強調するのは、紫色のゴム質の皮を纏ったあいつ。ゲリョスだ。なるほど、モンスターの巣になってるのね...あ、ゲリョスが罠に巻き込まれて吹き飛んだ。どうしてこんなところに住もうと思ったのであるか。
塔に入った瞬間、罠のお出迎えにモンスターの襲撃。なるほど。なかなかワクワクさせてくれるじゃあないか!
♦︎♦︎♦︎
この世界に、ダンジョンってあったのであるな。
変なオーラを纏ったモンスター目掛けて、塔内部の罠をぶち当てる。このオーラを纏ったモンスター、妙に硬くてやってられないのであるよ。
床に設置されたレバーを引くと、壁に括り付けられた砲台から、火属性のエネルギー弾が放たれ、オーラを貫通してモンスターを撃ち倒す。
塔の内部。そこには想像の何千倍も高度な文明の跡があった。
「ピギャアア(うおっと、危ない危ない)」
振り子の先に括り付けられた大岩を避け、地面のレールに沿って回転する刃をジャンプで避ける。本当に、ファンタジー系作品定番のダンジョンって感じがするのであるな。
罠と番人を掻い潜り、その先には宝が待っているのは定番。この塔の内部にも、そのポジションに当てはまりそうな、貴重そうな古文書や何やらが落ちている。まぁ、全部読めないのであるがな!貴重そうな布とか、鉱石は何かに使えそうであるが。この光をほとんど反射しない石、桜餅みたいな味がするであるよ。
罠を解除して、それを壁から引き剥がす。一つ一つが超高性能。古代に作られて、現代でもまだ生きている時点で相当な物であることはわかる。これを解析すれば、新しい兵器の開発にもつながること間違いなし...っておああ!?壁から矢の雨が!?随分と古典的な罠で...って今度は床から槍が!古代文明、恐るべし...リオレウス希少種の甲殻に傷をつけるレベルの罠って何なんであるか。
え、運命の戦争さんはこのレベルの文明持った人類と古龍纏めて相手にして勝てるって...コト!?やっぱあれ生物じゃないよ。
手に入れた罠や宝物を整理しながら、塔の内部を進む。見たことないモンスターに罠を飲み込まれそうになった時は焦った。ダイナミック自殺をかまそうとしていたのである。どうしてそれが餌に見えたの...?そんなくだらないことを考えていたせいか。少し注意が散漫になっていたのだろう。
「ピギャアアアアアアア(吸い込まれる、吸い込まれるって!!!)」
次の階層への階段を見つけ、そこに向かおうとした瞬間、通路の角に巧妙に隠されていた罠が起動する。強力な風が吾輩の巨体を吸い込み、吸い込まれた吾輩目掛けて蒼色の強力な雷を注ぎ込んでくる。いや、殺意高いなこの罠。
人間に対してはどう考えてもオーバーキルな罠であるな...もしや、この罠。内部に存在する強力なモンスターを外に逃がさないことが目的だったりするのであろうか?もしくは古代の盗人が相当タフだったか。
何とか罠を根本から破壊して脱出する。小型ダイソン、って感じであるな。やっぱり技術が高度すぎる。吸い込まれたおかげか、通路の先に木箱を発見する。いかにも、って感じの宝箱であるな。古代人は随分と趣味がいい。中に入っているものは、まぁ宝物としての価値は高そうであるが、吾輩には無用の長物なものが多いであるな。こんな豪勢な宝飾の施された剣とか、何に使えばいいのであるか。明らかに儀式用だし、古文書は読めないし。完全にコレクション用である。
まぁ、偶に入っている杯なんかは普段使いに便利そうなのであるが。コップって自分で作ろうとすると面倒臭いのであるのよな...*2
吾輩が通れるほどに巨大な通路に、不可思議なオーラを纏った多様なモンスター。強力な罠の数々。そして宝の数々。これを作り上げた存在がいる、と言うこと自体が驚きだ。しかもそろそろ階数が400越えるし。え、本当にどうなってるの?タルタロスか何かかな?空間歪曲してない?大丈夫?
これぐらいの高さなら、滑空を始めるには丁度いいとは思うのであるが...ここまで来ると、何階まであるのか知りたくなってきたのであるよ。結局、何のために、どの様にして建てたのかは分からず仕舞いだし。
「ピギャアア(まぁ、上に行けば行くほど罠もモンスターの殺意も上がっているような気がしないでもないが...)」
そもそも、塔の内部にこんなにモンスターがいること自体が意味不明なのである。食事はどうしているのか。何故大人しく塔の内部にいるのか。罠のせいか?そもそも、あの生物は野生の生物なのか。何処かから持ってこられたのか。下手すればクローンなんて可能性もあるのである。
「ピギャアア(見たことのない植物も生えているであるしな)」
石畳の地面から生えたウツボカズラ風の植物を焼き尽くす。毒液を吐き出すその姿は、まさに植物型モンスターそのもの。食獣植物とでもいうのか。初めて見る種族である。モンスターと植物の中間といった感じであるな。
内心、実はここって想像の一千倍は厄ネタなんじゃないかと思い始めたが、ここまできた以上、引き返すわけにもいかない。
そろそろ500階、と言ったところで珍しく罠が殆どない広間に当たったため、腰を下ろして休憩する。ここまで1週間はかかった気がするのであるよ。昇るのに1週間かかる塔とは。酸素も薄くなってきているし、本当にどうやって建てたのであるかこの建物。
酸素玉を火にくべて、竈に火をつける。今日の夕飯は、ガーグァの金の卵をふんだんに使った豪華なオムライスである。ハンターたちの間では最高級素材らしいシモフリトマトを使った自作のケチャップで作ったケチャップライスに、ふわトロのオムレツをかけて完成。具材にはホロロースにガンランスの素材にもなるオオモロコシ、レアオニオンを使って完成である。ダンジョンで作った飯だし実質ダンジョン飯では?まぁ食材は持ち込みだから違うか。
「へぇ、なかなか美味しいわね」
そうであろう。吾輩、料理には自信が...え?
「ピギャアア(いや、貴女誰であるか!?)」
気づけば、隣に巫女のような姿の少女が座っていた。くすくすと笑う彼女が、いつからそこにいたのかは分からなかった。初めからいたのか、料理の匂いに釣られてやってきたのか。「驚かせてしまったかしら?」とくすくす笑う彼女の気配は、古龍のそれに酷似していた。千年以上生きる存在特有の気配とでもいうべきか。
「ねぇ、彼らが来なくなって、私ずーーーーっと暇してたの。幾ら待っても来ないし。ねぇ、下にいた彼らはどうしてるの?久しぶりにお客さんの気配があったから、降りてきたの!」
道がなくて大変だったけど、すーっごく頑張ったの!と彼女は笑う。そんな快活なセリフとは裏腹に、ずっと無表情なのが不気味だ。
吾輩の言葉がわかる、なるほど...厄ネタだな!助けて師匠!こいつ多分禁忌関係者だ!いやだ!吾輩やだ!帰りたい!
いつの間にか、吾輩に気づかれることもなく眼前まで移動してきた彼女が、吾輩の鎌を握りしめてくる。柔らかそうなその肌からは血の一滴も漏れてこない。
「ピギャアア(下には、誰もいなかったのであるよ)」
「えぇ?えぇ...そうなの...やっぱ嫌われちゃったのかなぁ...まぁ、いいか」
吾輩の背中によじ登り、足をバタバタとさせながら巫女は少し寂しそうに話す。ほんの少しだけ、憂うようなその目に同情の念を抱いたが、すぐにその表情は変わる。
「ねぇ、あなた。モンスター?何をしにきたの?やっぱ主に会いに?メフィストフェレスに会いに来たのね!そうでしょう!彼はね、この先の番人を倒せれば会ってあげてもいいって言ってるわよ!」
勘弁してください。番人って何。あとメフィストフェレスって悪魔だよね、え、何、なんなのこの娘。怖いよ!?
「彼はね、禍福を齎す存在なの。でも怖くはないわ。趣味の悪い白や、残酷な黒と違って、彼は温厚だもの。そもそも見た目が似てるだけで親戚ですらないし...」
あー聞こえない聞こえない!これ以上何も聞きたくない!なんか扉の向こうから凄まじい気配がするなぁ、とは思ってたけど!扉凍ってんなぁとは思ってたけど!やっぱこの塔厄ネタではないか!
「ピギャアア(いや、吾輩そもそもここがなんだか分かってないのであるが)」
「あらあらまぁまぁ!でも、確かに知りようがないわよね、賢い蟲の女王サマ?扉の向こうにはね、番人がいるの。最強の番人が。皇冰の龍が!気になるでしょう。気になるよね?」
流石に、そこまで言われると気になる。
そーっと、扉を開けて、すぐに閉める。何 ア レ。
一瞬だけ見えた。漆黒の甲殻に身を包んだ、莫大な冷気を纏った古龍がそこにはいた。やっぱおかしいよこの塔。
「ね、どう?」
「ピギャアア(いやどうじゃないが。勝てないが。吾輩死ぬが)」
「えぇ?でも、
嘘つけ!何を言ってるのであるかこの巫女は!
もう一度、そーっと扉を開けた瞬間、吾輩の頭上を機関銃の如き冷気のブレスの雨が通り抜けていった。やっぱだめだよ。戦う意味も理由もないし。
勢いよく扉を閉める。吾輩を殺す気か?高さは充分だし、吾輩はここから逃げさせてもらう!
「そう...貴女もここを去るのね。いいわよ。まー、私を連れ出すのは貴女じゃないってわかってたしね。いつか、狩り人が来てくれるわ。だって、約束したもの」
もう来てるかもしれないしね。そう言って巫女は望遠鏡のようなものを手渡してくる。塔の壁に開いた穴から、下を見ろということだろうか。
下を覗く。なるほど。ハンターだね。ハンターだね!?しかも強そうだね、この距離でもオーラが見える気がするであるよ...え、待って雲の上と下の距離感なのに捕捉されてないか吾輩!?怖っ。
「ほら、言ったでしょう?ところで貴女、逃げなくて大丈夫なのかしら?久しぶりのお客さんだし、死なれると悲しいもの。狩り人のあり方が嘗てと今で変わっていないのなら、貴女死ぬわよ?」
でしょうね。ま、お前がどんなやつかは分かっていないし、知る気もないが...まぁ、頑張れ?
そう言い残して、塔の外壁から外へ向けて加速する。これだけの高さなら、大陸が見つかるまで持つだろう。...新大陸じゃなくて現大陸の方で頼むであるよ!
龍気を充填して、加速!
その日、外洋の上を赤い彗星が駆け抜けた。
青い星は、天の下で天をかける赤い星を見つめていた。
なるほど、あれが噂の竜の女王か。狩り人は、空を見上げる。
天廊という新発見の遺跡の探索を依頼された調査団は、そこで初めて噂の蟲と邂逅することとなった。
感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています!
天廊:Fのアレ
巫女:Fの裏設定のアレ
メフィストフェレス:MFOのアレ。参考文献があまりにも少ない。実際はそうじゃないけどこの作品では実質的に禁忌と同列として扱う。作者は何処でこいつの存在を知ったのかが思い出せない。怖いよ。
この世界にメゼポルタは無いです。F産モンスターはいるけど。
次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)
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掲示板if②
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擬人化if
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vsアルバトリオン