吾輩はアトラル・カである。アトラル・ネセトになる予定はまだ無い   作:美味しいラムネ

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まだ日曜日の47時なので初投稿です


新大陸編
吾輩はアトラル・カである。新大陸初陣!古代樹の森の錆鋼龍


 

 

 

 新しい冒険の予感があった。

 

 

 

 寄せては返す波の音が、海岸に響き渡る。

 ヤオザミ1匹居ない砂浜で1匹の黄金のカマキリが咆哮を上げる。

 

 

 「ピギャアアアア(た、辿り着いた...辿り着いたであるよ大陸に!!!)」

 

 

 長かった。やばい巫女にやばいハンターから逃げてはや数日。途中で数回海に落下しながら、ようやく辿り着いた陸地。涙が出そうであるよ。このままずっと海の上を彷徨うことになるのではないかとヒヤヒヤしたぞ。

 うーん、懐かしの陸地。ちゃんと踏み締めることができる大地がある。なんて素晴らしい!地脈の流れっぽいサムシングも素晴らしいであるよ...なんでただの蟲であるはずの吾輩がこんなものを感じ取れるのかは知らないであるが。

 

 暖かな日差しを全身に浴びて、大地のありがたみを享受する。

 空を見上げると、遠くに岩山が見える。望遠鏡でそちらを覗いてみると、天を駆けるレイギエナと、風船のようにぷかぷかと浮かぶパオウルムーが見えた。なんて平和なんだ...というかお前ら現大陸にもいたのであるな。まぁST2にも居たしあり得るのであるよ。

 

 久しぶりの陸地にご機嫌な女王様が、鼻歌混じりにどすんどすんと大地を踏み締める。どこか気分を高揚させるような*1旋律を奏でながら進む。背後でウラガンキン亜種とアルセルタス亜種が縄張り争いをするのを尻目にどんどん進む。

 

 

 気づけば辺りの風景は様変わりし、生命力に溢れる森林地帯へ突入する。折り重なるように繁茂した森林は、中心に聳える古代樹へ向けてより濃さを増していた。虫が飛び回り、様々な植物が青々しく繁栄している。モンスターたちの鳴き声が絶えることなく響き渡る。

 

 ...アレ?何故だかはわからないのであるが、ここ見覚えがあるのであるのよな。いや、まっさかぁ。

 吾輩の胸に去来した疑念。それはやがて確信へと変わった。

 どこかで見たことがある気がしないでもないネコ。ジャグラスを乗りこなす姿はまさにネコライダー。そんなネコにそっと話しかける。

 

 「!!!(お、お前はなんだ!)」

 

 うん、まぁそりゃあ驚かれるに決まっているであるな。

 

 「ピギャアアアア(あ、どうも吾輩はアトラル・カである。これはお近づきの印のオストガ...烏賊煎餅である)」

 

 「!!!(あ、これはどうも丁寧にありがとございます)」

 

 なんかオトモダチになれた気がするであるよ。で、君は誰?

 目の前で立ち尽くすアイルーの亜種のような生物。メラルーともナビルーとも違うその獣人に吾輩は見覚えがあった。いや、ナビルーと似通っていたらそれはそれで問題であるが。

 

 「ピギャアアア(シュレイドとか、ドンドルマっていう場所の名前に聞き覚えはないであるか?)」

 

 人間と関わったことのあるアイルーならまず知っているであろう場所の名前を出す。頼むから、頼むから違ってくれよ。

 

 「!!!(そのしゅれなんちゃらってのは知らないけど、あの場所の名前なら、最近ここに来るようになった、僕たちとちょっと違うネコたちが「アステラ」って呼んでたよ)」

 

 そのネコは、吾輩の背後を指差してそう言った。

 そういえば、名前思い出したであるよ。君、確か種族名テトルーだよね...

 

 ──天を駆けるレイギエナと、風船のようにぷかぷかと浮かぶパオウルムーが見えた

 

 そういえば、お前らって陸珊瑚組だよなぁ。

 そういえば、海に一回落ちた時、中にゾラ・マグダラオスに見えなくもない岩山があったなぁ。 

 そういえば、吾輩の後ろになんか壊れた船が見える気がするのであるよ。うん。そうであるな、アステラであるな。

 

 うん。

 

 うん...

 

 や...やっちまったああああああ!!!!!

 

 自分から魔境に飛び込んじまったあああああ!!!

 ここ新大陸じゃないであるか!?こんなところに居られるか吾輩は帰るぞ!どうやって!?ここ世界中のエリートハンターが集まってる場所であるよ!?吾輩に死ねと!?

 

 今脳裏に

 

 MONSTER HUNTER WORLD

 

 ってタイトルが過ぎったであるよ!?

 って、とりあえずまずアステラから離れなくては!撤退、撤退ーー!!ソードマスター滅茶滅茶強かったのまだ忘れてないであるよ!

 

 ...いや、でも折角新大陸来たしなぁ...少しぐらい観光してもいいであるよな?吾輩の予想だと、この世界って少なくともライズ本編は終わっているはずであるし...古龍渡りの周期も正常化されたはずだし、ゼノも大いなる存在もムフェトもアルバもいないわけである。だったら少しぐらい...?でもここにいるのって全員人外ハンターなんであるよな。

 

 「ピギャアアアア(本当、何処にいてもハンターはいるのであるからなぁ...あくまで何処まで行っても吾輩は狩られる側だと言うことは忘れてはいけないのであるよ)」

 

 いやぁ、ハンターが怖いのであるよ。...いや、モンスターも怖いわ。

 目の前に降り立った、鋼色の甲殻に身を包んだ風の龍を見上げながらそう思う。お前、いや別個体だろうけど。吾輩、貴様のこと前にも見たことあるのであるよ。

 クシャルダオラじゃねえか。クシャルダオラではないか!それと、一つ言わせて欲しいのである。お前、錆びてね?錆びてはいないか?よりによって一番凶暴な個体と出会うのは想定外であるよ?

 

 「ピギャアアアア(こ、古龍渡りは百年周期ではないのであるか!?)」

 

やっぱモンスターなハンターも、モンスターもどっちも脅威であるよ。全く、これだから大自然ってやつは!

 と、とりあえずアステラから離れて...陸珊瑚の台地辺りが隠れるのにはいいのではないであろうか?

 

 あぁもう!追ってくるな、竜巻を起こすな、ライトボウガンの射撃を弾くな。そしてわざわざ美味しくない蟲を執拗に追いかけないで欲しいのであるよ。もっとこう、吾輩みたいな一般通過モンスターを見逃す古龍としての威厳を見せて欲しいのであるよ。

 

 「ピギャアアアア(折角だし、吾輩の新兵器のお披露目と行くであるよ!)」

 

 ダイミョウザザミの、泡を発生させる呼吸器官に、タマミツネの素材とオストガロアの触腕を組み合わせた水圧レーザーを生成する龍騎装。見た目はオストガロア(イカ状態)方の水鉄砲である。昔の技術じゃ作れなかった、マカライト鉱石すら一瞬で両断する水圧であるよ!

 

 「ピギャアアアア(このレーザーに、錆落としとしてお手製の重曹もどきを加えれば、超強力錆落としレーザーの出来上がりである!)」

 

 錆びついたせいで気が立っているのであれば、錆を落とせば元の優しいクシャルダオラに...いや元から別に優しくはないのであるよ。

 龍風圧の衣に軽減されながらも、高圧の水のレーザーがその甲殻に傷をつける。その瞬間、ツギハギの武具に身を包んだハンター人形たちがクシャルダオラに群がる。

 

 「ピギャアアアア(少しでも足止めして、その隙にクシャルダオラから逃げるのであるよ!)」

 

 別にお前と戦わなきゃ行けない理由も無いのであるよ!理由もないのに戦ってたら命が幾つあっても足りないのである!

 

 

 

 

 

 

 ♦︎

 

 

 薄桃色の珊瑚に寄りかかり、ふぅと息を吐く。

 陸珊瑚の台地の、不可思議で神秘的な光景の中に、淡い色彩を切り裂くような金が佇んでいた。

 

 満月の光に照らされ、ぼんやりと台地が輝く。

 

 「ピギャアアアア(無事、クシャルダオラから逃げ切れてよかったのであるよ...)」

 

 水レーザーで錆のほとんどを破壊したら、気分が落ち着いたのかクシャルダオラは追うのをやめてくれたのである。この錆、老廃物とはいえ、クシャルダオラの甲殻ではあるし何かに使えそうであるな。

 

 まぁ、それはそうとあれ以上古代樹の森にいる意味もないしここまで来たのであるが。

 

 

 ──調査拠点アステラより伝令。古代樹の森にて、現時点で生息が確認されていない大型モンスターを確認。現大陸よりの情報に記載のある、『特異個体アトラル・カ』である可能性あり。ハンター数名の帰還を求める。

 

 

 焚き火を焚き、フライパンで食材を炒める。

 ほうれん草っぽい草に、古代樹の森で採取しておいた厳選スジタケに霊光スジタケをお手製のバターで炒めたものにゴールドフラワーを添える。

 

 いやぁ、今日も無事に生き延びた。ハンターからもモンスターからも無事に生き延びたし、やっぱり吾輩は運がいいのであるよ。クシャルダオラもどこかへ行ったし。

 

 

 ──天廊遠征隊より伝令。こちらでも『特異個体アトラル・カ』と思わしき存在をハンターが目撃している。また、天廊内部で新種の古龍と遭遇。その対処のため帰還は困難。

 

 

 お、ユラユラクイーンであるな。珍しい。

 

 巨大なエリマキをもつ、美しい花のような生物と、灰色の体に青い斑点を持った生物のゆらゆらと揺れる舞を眺めながら、グラスに黒檀色の液体を注ぐ。あの達人ビールであるよ。ジンオウガに襲われている商隊を助けたら譲ってもらえたのである。前も同じようなことがあって、流通が止まったって言ってたけど大丈夫なのであろうか?

 

 

 ──対象は鋼龍と交戦後、陸珊瑚の台地へ移動。地脈の収束地へ移動中と思われる。

 

 ──古龍ではないのだろう?アトラル科の生物は地脈エネルギーを感知するような能力はない筈だ

 

 

 あー、随分と遠いところまでやってきたのであるなぁ。龍宮砦跡で目が覚めて、気づけば世界中駆け回って...自分でもどんなルート歩んできたかよくわからないのである。古龍に追われたりハンターに追われたりで滅茶苦茶に逃げ回っているし。

 

 まー、まさかね、ハンターズギルドも現大陸にいる筈のモンスターが、新大陸にいるなんて思わないであろうな!ジェット機と化した吾輩を誰も捕捉できるとは思えないのである!

 

 

 ──天廊遠征隊より報告。内部にて黒龍と同型の骨格を持った、黒龍の近縁種と思わしき存在を確認。

 

 ──天廊にそんな存在が...!?そういえば、特異個体アトラル・カが天廊で目撃されたらしいな。異様な移動速度、不自然な大移動...まさか、あのアトラル・カは時空間を超越した彼の龍の!

 

 ──いや、そいつ普通に空飛んでこっちにきてたっぽいですよ

 

 ──...確かに

 

 いやぁ、今日も飯と酒が美味いのである!そういえば、新大陸ってエネルギー豊富な大地なのであるよな...いい食材もありそうであるな!

 

 速攻で捕捉され、今にも対処されそうになっていることなんて知るわけもないアトラル・カは、陸珊瑚の景色に目を奪われながらハグハグとキノコ炒めを頬張り、酒を飲み干していた。ついに運が尽きようとしているのかもしれない。

 

 いや、実際に運が尽きていたのであろう。

 今夜の寝床にする場所を探そうと、調理道具を片付け、その場を後にした直後。

 

 「ピギャアアアア(現大陸ぶりであるなこのやろおおおおおおぉぉぉぉ...)」

 

 発生した濁流に流され、陸珊瑚の台地から投げ出される。ネロミェールである。どうして吾輩を虐めるのか、そう思って下手人の方向を見る。

 

 おかしい。吾輩を狙ったのだと思ったが、どうやらそうではないようだ。陸珊瑚が影になって見えないが、何かと戦っているようだ。

 雷が激しく暴れ回り、濁流が狂ったように放たれる。相手は誰だ。古龍という大自然の化身。それに対抗できる相手が陸珊瑚の台地にいたのであるか。イビルジョーか、キリンか、それとも...?

 

 まぁ、何はともあれ逃げさせてもらうのであるよ。吾輩、巻き込まれたくないし。このまま落下して...あ、そういえばこの下って瘴気の谷では?何処かに糸をくくりつける場所は...吾輩が重すぎて幹が折れるね!龍気の充填も間に合わないのである。でも滑空すれば死にはしないし大丈夫であるな。

 

 ボフン。

 瘴気の雲を突き破って、吾輩の体が谷底へ落下する。羽で滑空してなければ即死であった。

 

 夥しい数の腐敗した死体に、黄色いモヤのようなものが集っている。

 口から涎を垂らしたギルオスの群れが駆け回り、体色が変容したラフィノスが暴れ回っている。

 ここは黄泉かそれとも現実か。先ほどまでの幻想的な空間とは打って変わって、この世に顕現した地獄のような光景が目の前には広がっていた。

 

 上はあんなにも綺麗だったのに、下はこんなにも陰鬱としているのであるのよなぁ。ぺっぺっ、瘴気が汚いのである。狂竜ウイルスと比べたらヘーキヘーキ!なんか逆に若干体調が良くなった気もするし!

 

 目の前に鎮座する巨大な骨を眺める。

 ダラ・アマデュラの死骸。遥か太古にこの地で生を終えた古龍。

 貴方の技には、何度も助けられたのであるよ...それにしても貴方、大きすぎない?

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
具体的にいうと砦でラオシャンロン相手に撃龍槍を撃った後に流れ始めるアレ







感想、評価、誤字報告などありがとうございます!大変感謝しています!

「そういえば、巫...騎士様。お姫様が新大陸の方で発見されたらしいですね」

「あの馬鹿...!」


このあと、「新大陸にウラガンキン亜種とアルセルタス亜種だと、お前ら生息していたのか」と地味に新発見で学会で話題になったそうな。


Q.どうしてアトラル・カくんちゃんに瘴気が効かないの?
A.文字通り、なんでも食べるから。瘴気の正体である微生物がアトラル・カを食べる速度よりも、アトラル・カくんちゃんが微生物を消化してエネルギーにする速度のほうが早いから

タイトルはXXが元ネタなのに内容はワールド

次の番外編で使うかもしれない(エイプリルフールでつかうかも)

  • 掲示板if②
  • 擬人化if
  • vsアルバトリオン
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